「CPへ、こちらサラマンダー01。感度良好、ノイズ無し。これより残敵掃討作戦を開始する。」
「CP了解。地上部隊は防衛しかできない。武運を。オーバー」
「サラマンダー01了解。オーバー」
...こんにちは、参謀本部直属戦闘団所属、副隊長のアレクシア・フォン・デグレチャフであります。
偵察にてある程度情報を集めることができ、いよいよ作戦開始です。
「ファントム隊へ、こちらサラマンダー02。敵影は確認できますか?」
少しの間があった後、
「こちらファントム01。敵前線基地をいくらか攻撃してみたが、全機、敵影を確認できていない。」
...敵がいない?
偵察の時には、現在ファントム隊が飛んでいる真下にいたはずです。
それが、攻撃をしても敵が確認できないとは...?
「機甲部隊、そちらで敵影は確認できますか?」
「...視界良好、なれど、敵影確認できません。」
...空からも地上からも、見つからない?
では、一体どこへ...。
「ッ!至急、HQへ繋げ!!」
「どうしたのですか、サラマンダー01?」
「敵はここにはいない!嵌められた、これは罠だ。」
「では、どこに...っ、そういうことですか。」
「...気づいたか。そうだ、敵軍は...我々の陣地だ。」
...いつも通り、分散してちまちま攻撃してくると思っていましたが...。
まさか、司令部ごともぬけの殻、全軍で我々の陣地へ...?
「では、包囲されているのでは...。」
「サラマンダー戦闘団へ!こちらCP、我々は半包囲状態に置かれている!」
「こちらサラマンダー01、直ちにそちらへ向かう。サラマンダー戦闘団へ。敵軍は我々の後方だ。地上部隊へ、包囲されぬよう留意せよ!」
どこで、入れ違いになったのでしょうか...。
- - - - side 元共和国軍司令部
「......勝ったな。」
「はい、閣下。」
我々の眼前に広がるのは、祖国が帝国へ降伏してからというもの、夢にまで見た光景。
いつものように、ちまちまと攻撃をすると見せかけて敵を誘引、全軍で包囲。
長かったように感じたが、ここで帝国軍を撃滅できれば南方大陸の守りを固めることができる。
また、大陸反抗作戦をより強固なものに。
そう、感慨に耽っていた時。
けたたましく警報音が鳴り響く。
「だ、第228魔導中隊より、メーデー!」
順調に事を進めていたはずだ、一体なにが...?
「第12魔導大隊よりエマージェンシー!突破されかけています!」
...どういうことだ?
地図上で示されている戦況を見るに、右翼に位置する部隊が突破されかけている?
少しずつ攻撃を重ね、帝国軍の状況を鑑みるに、突破できる余力など存在しないはずだが...。
「第七師団司令部より、至急報!敵一個連隊規模と思しき魔導師、航空部隊が右翼を強襲中!」
「何だと!囲んだのではないのか!?」
一個連隊規模の魔導師?航空部隊?
そんなもの、昨日までの戦闘で全く確認できなかった筈。
「馬鹿な!では、中央の魔導部隊は何と戦っているというのだ!?」
...取り逃がした?ありえん、ここに来るまでに付近に魔導反応は無かった筈...。
一体、どこから湧いて出てきたというのだ?
「確認しろ、連隊規模なのか?」
「閣下、既に二個中隊が落とされております。」
二個中隊が叩き落された、ということは、少なくともこれを一瞬で圧倒できる敵部隊が存在するということになるぞ?
抵抗の末に撃破されてしまったならばともかく、第一報がメーデーなど尋常ではない!
「第12魔導大隊が突破されつつあることを思えば、少なくともこれに倍する程度の戦力ではないかと。」
突破されつつある、ということは遅延防御も間に合わない、か。
「っ、中央の魔導師を支援に廻しましょう!このままでは、包囲を突破される!」
部下の大佐がそう叫んだおかげで、私は意識を取り戻すことができた。
そうだ、中央の魔導師を支援に廻せば。
「第5魔導大隊よりHQ、敵魔導師、我へ急速接近中!」
「どういうことだ!砲列を叩くのではないのか!?」
中央の魔導師を右翼へ送った直後、援軍阻止ですらない行動...。
全く意味がわからない。
何者なのだ、この敵は?
「・・・悪魔のような連中ですな。」
- - - - side アレクシア・フォン・デグレチャフ
敵軍後方より奇襲をかけ、第203航空魔導大隊、第43戦術戦闘飛行隊による空からの攻撃によって、包囲している敵軍の右翼側を半壊。
応戦してきた魔導部隊を、易々と撃ち取る。
「...さて、ここらの掃除はファントム隊、貴様らに任せる。好きなだけ爆薬を使うといい。」
「ファントム01了解!ヒャッホー!!」
「...ファントム02了解。隊長の理性が無くなってしまいそうですので、お早めに決着をお願いします...。」
メアリーの、なんともいえない辛そうなお願い...。
...まあ、ああなってしまう隊長の副官というのは、ストレスが溜まりそうですね。
後で慰めてあげましょうか...。
「では、第203航空魔導大隊。久しぶり、という訳でもないか。我々は敵司令部へ突撃する!」
「「「了解ッ!!」」」
- - - - side ロメール少将
「はははっはははっははっははっはははは!」
ああ、すまない、そんな指揮官がついに狂ったか、というような目で見ないでくれ。
いやなに、例の『白銀』『白百合』のことだ。
...まさか、半包囲状態を知るなり敵軍の背後から奇襲、敵右翼を攻撃したかと思えば、敵の司令部へ直撃だと?
右翼への攻撃に、どれ程の効果があるのか、と戸惑ったが。
まさか、それすらも陽動。
敵司令部付近の魔導師を援軍として出させるための陽動だったとはな。
流石は、参謀本部をして頼られる戦術家、といったところか。
...確かに、参謀本部の漠然な命令も理解できるな。
アレに明確な命令を出すよりも、大まかな目標だけ与えておけば、勝手に上手くやってくれる。
今回に限っては、とんだ想定外の事態だったが。
自分の思い通りに、戦争をしたい司令部の人間にとっては扱いづらいだろうな、アレは。
敵の増援を振り切り、中央部へと斬り込んだおかげで敵は大混乱中。
包囲されていたはずの帝国軍は、纏まった戦闘部隊を組織的に保持し続けたために状況を打開できるまでになっている。
前に進もうと、後退しようと自由。
それこそ、両翼が中央の混乱によって即座に対応しかねているのは当初の各個撃破方針を蘇らせるに足るものだ。
「敵左翼を叩く!機動遊撃戦だ!敵左翼を叩き、そのまま敵中央部をぶち抜くぞ!」
背後から強襲され、混乱している右翼は一先ず放置。
中央部は『白銀』『白百合』が混乱させている。
そうであるならば、残りは左翼。
最も、指揮系統から孤立しているものの、ある程度戦力が存在する部分を叩くのが一番効果的であろう。
「くっくっく、面白い!例の中佐二人に伝えろ、『自由にやれ』とな!」
「はっ?よろしいのですか?」
「あれには、自由にやらせるに限る。狩りは猟犬に任せるべきというだろう?」
自由にやらせておいたほうが、命令するよりも大きな戦果が出せる二人組だ。
彼女らの、これまでの記録を見たときは「いくらなんでも盛りすぎだろう!」と笑ったものだが。
成程、あれらが真実だと理解できるな。
私は、同数の軍同士の衝突ならば負ける気は全くしない。
だが、大隊規模、連隊規模の運用となれば彼女達には及ばないだろう。
ああも、的確に綻びを作り出し、敵軍を大混乱させるなど、通常の将校にはできまい。
「それよりも、浸透襲撃用意を急げ!共和国の砲兵が統制を取り戻す前になんとしても、取りつかせろ!」
とりあえず、彼女達には自由にやってもらおう。
とにかく今、重要なことは、元共和国軍砲兵隊を潰さなければ、一方的に叩かれてしまうだろう。
「ヤー!直ちに取りかかります。」
「残存の砲兵をかき集めろ!背後を突かれたくない。敵中央集団に向かって撃ち込んでやれ。制限はなしだ。」
「牽制目的であれば、全ての必要があるでしょうか?」
「突撃には砲兵を連れていくわけにもいかん。何より、軽師団の防御支援もいる。取りかかれ。」
だが、さすがに単体で防御するのは限界だろう。
防御支援抜きで包囲下に置かれれば崩壊しかねない。
そうなれば、突破中の全部隊が動揺する。
いや、軽師団の崩壊が波及しかねないところだ。
速度が重視される機動戦。
砲兵隊は連れていけないとあれば、防御を最優先に考えて使うほかにない。
少なくとも、砲兵隊は攻防に役立つこと間違いなしだ。
撃ってよし、牽制して良し、守って良しだ。
「失礼しました。直ちに。」
今まで、南方派遣軍の司令としてここに来てから久しく感じていなかったが...。
この戦争、『勝てるぞ』。
まだそこまで継続していませんが、感想など。
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良い
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まあまあ
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イマイチ