二人の銀翼   作:アレクシア少佐

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二番煎じ感のある訓練編。


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こんにちは、アレクシア・フォン・デグレチャフです。

 

先日、参謀本部より、東部軍の5個歩兵大隊を鍛え治す任務を与えられました。

 

今日は鍛え治す前に、どの程度の能力なのか、チェックです。

...まあ、東部軍司令のお話から察するに無能の集まりなのでしょうが。

 

ターニャに対して嘗めた態度の顔をしていた?

許せませんね、本来なら即処刑にしてやりたいところです。

 

さて...。

 

「なんてことをしやがる、このクソガキ共が!!」

 

...このゴミ共をどうしましょうか...。

 

ええと、先日の夕飯の際に『未明、4:00より訓練を開始する』と伝えた筈なのですが...。

時間になって起きてきたのは、士官学校時代の私達を知っている人間が隊長を務める各小隊だけ。

...それでも、2個中隊よりも少ない数です。

 

もしかしたら、起きたものの準備をしているのかも、ということで5分だけ待ってあげましたが変わらず。

仕方がないので、起こしてあげた、というわけです。

 

「...貴様は、上官の命令を聞けないのか?時間通りに来ることも無く、起こしてやったというのに謝罪の言葉も無いとは。」

 

「言葉は分かりますか?言う事が聞けないクソガキは貴様では?上官への反抗は重罪です、処刑されたいのですか?お望みならば、今すぐにでもミンチにしてあげますよ?」

 

無能など、生きている価値なぞありません。

さっさと駆除するに限ります。

 

「ハッ、お国のプロパガンダの為に仕立て上げられたクソガキが。やれるものなら...。」

 

目の前で、何やらのたまっていた糞の頭が弾けます。

 

...ああ、すみません。どうも現実が見えていないようですし、殺してほしいとの言質も頂きましたので、お望み通りにしてあげました。

 

「ん...弾がもったいなかったですね。すみません、ターニャ。」

 

「いや、よくやってくれた。さて...他に、死にたい奴はいるか?」

 

漸く、自分達の置かれている状況に気が付いたのでしょうか。

青い顔をしていますね、もう遅いですが。

 

「はぁ、今回のことは上に報告しておこう。...4:30までに準備し、宿舎前に集合せよ。遅れた者は...分かるな?」

 

「「「了解でありますッ!!」」」

 

「...ターニャ、ゴミをひとつ処分してしまいましたが...問題になるでしょうか?」

 

「いや、大丈夫だ。明らかな上官反抗、暴言。本来なら裁判、良くて軍からの除名、悪くて最前線の弾除けだ。どうせ奴は死んでいたさ。」

 

まあそうなのですが、訓練初日から処刑したとあっては、印象が悪くなりかねませんし...。

 

「さて...奴らを虐めるとしようか。この辺りは少し行けば丘陵になっていたな、その頂上まで走らせるとするか。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、再指定した時間になりました。

今度は、全員いるようですね。

 

「今日は死にたがっていた奴を一人お望み通りにしてやったが、貴様らも死にたくなったら言ってくれたまえ。また、明日から指定の時刻に遅れた者には相応の罰があると思え。」

 

当然ですよね、ここは軍隊ですから。

規律、命令を守れない者は戦場では必要ありません。

 

「では、今日の訓練ですが...あの丘の上に何本か木がありますよね、宿舎前からあそこまで走ってください。赤い布を木に巻いてありますので、その木に触ってここまで戻ってくる。これを...そうですね、とりあえず5往復してください?」

 

丘の上の木まで、だいたい6500フィートですかね。

これを往復させれば、結構な運動になるでしょう。

 

「ああ、途中で歩くのは構わんが、その分そいつだけ訓練が遅れていくからな。すべての訓練を完遂するまで、今日は貴様らは寝れないと思え。」

 

時間だけ過ぎるのを待つ、なんてことはさせませんよ。

きちんと全部の訓練を終わらせるまで、睡眠などありません。

 

「5往復した奴から、私達が次の訓練を指示するまで宿舎前の邪魔にならないところで休憩していろ。では、訓練を開始せよ。」

 

ぼちぼちと走り始めましたね。すごく嫌そうな顔をしていますが。

というか、こんな訓練、新兵教育の訓練に毛が生えた程度です。

全然たいしたことありません...。

 

「...今日は基礎訓練...ちょっとハードな体育の授業だな。」

 

「そうですね...これが終わったら腹筋背筋スクワットですかね?」

 

「そうしようか。まずはどの程度でへばってくるのか知らなければ。昼までこの4種を繰り返してみよう。」

 

早く終わらせた人は、休憩できますからね。

遅い人は?知りません、ノルマをクリアしてから文句を言ってください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結局、彼らは昼までの訓練で誰も脱落せず、大幅に遅れた者もいませんでした。

正直、事前情報と比較しても予想外です。

 

「...想像していたよりも、マシだな。」

 

「ですね、もっと早い段階で音を上げると思ったのですが。」

 

「これなら、明日からでもアレクシアのプランで訓練を開始してもよさそうだな。今日のところは、午後は休みにしてやろうか。」

 

「はい、了解しました。...蛆虫共、喜んでください。午後の訓練はありません、自由に休憩してください。明日からは本格的な訓練を開始します、準備しておくように。」

 

...第203航空魔導大隊編成のときと同様に、今回はファントム隊に手伝ってもらって宿舎を爆破するのですがね。

最も、今の時期は肌寒いとはいえ雪は積もっていませんから、大丈夫でしょう!

 

 

 

 

 

 

 

 

- - - - side 再訓練歩兵大隊 一般歩兵

 

日も昇っていない早朝に叩き起こされたと思ったら、起こした本人に文句を言った奴が射殺された。

 

...朝っぱらから賑やかだな。まったく。

 

...しかし、我々の再教導を任せられたという、新聞などでも見たことのある少女二人だが。

平然と人間を撃ち殺し、次に遅れた者も殺してやる、と言わんばかりの気迫だった。

 

あんなものが、本当に子供なのか?外見で判断してはいけない、と人生で最もそれを理解した。

 

その後、寒い中朝から片道6500フィート程の坂道を往復させられ。

新兵訓練でもやる、基礎的な体力づくりの訓練をさせられ。

 

これを昼まで何度も何度もやらされた。

 

いくら基礎的な訓練とはいえ、ここまで徹底的にやったことはなかった。

...まぁ、今までは適当にやっていたからだが。

 

あの少女達に逆らえば、本当に殺されてしまう。

なにせ、各地の最前線を飛び続け、スコア200だったか?それくらいを稼ぐエース魔導師だ。

 

最初、新聞で見たときは帝国軍のふざけたプロパガンダだとばかり思っていたが...。

俺たちとは違い、本物の戦争を知っているのだろう。

 

『白銀』ターニャは、言わずもがな各地で困難な状況を塗り替えてきた英雄。

『白百合』アレクシアは、優秀な参謀として数々の作戦を練り上げ、『白銀』と共に実行せしめてきた英雄。

 

二人に共通して、現場での突然のトラブルにも対応可能ときたもんだ。

 

...ああ、これらは教官から聞いた話だがな。

真実かどうかは定かではないが、あの気迫を見た今ならば、真実だと言い切れそうだ。

 

まだ、12歳くらいの少女だというのに、その表情、風格、雰囲気は歴戦の将校さえも霞む程だ。

 

そういえば、彼女達に選抜され訓練された部隊があったな。

第203航空魔導大隊、だったか。彼らもまた、このような厳しい訓練をさせられたのだろうか。

しかし彼らは、『双翼』と共に空を駆ける英雄の一員となった。

 

...ならば、我々も、もしかしたら陸上部隊の英雄になれるかもしれない?

 

戦功を、勲章を獲得し、英雄に?

 

......面白いじゃないか。

『双翼』は恐ろしい方達だが、各地の現場、司令部からは悪い噂はひとつも聞こえてこない。

ならば、ついていくほかあるまい?

まだそこまで継続していませんが、感想など。

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