何だろうな、しばらくアレクシアと会話していないせいか...イライラしてしまう。
ロメール将軍と共に東部戦線を任されてから2週間ほど経った。
...明日は、敵を我らの陣地へ誘引し、包囲殲滅を図る作戦の決行日だ。
共和国の時と同様、我々、参謀本部直属戦闘団が囮として攻勢を行う。
私達が引き付けている間に、撤退する、というものだ。
「ああ、『白銀』。南方ぶりだな。」
「ああ...ロメール閣下。今回も、厄介な仕事ですね。」
「はっはっは、まったくだ。...君も大概だがな。」
...この2週間、撤退の準備とともに、敵側に嘘の情報を流していた。
曰く、帝国は度重なる戦争によって疲弊していて、これ以上戦線維持をするのは困難。後方へ撤退するしかない...。
共和国の時と同様だが、有能な将校を粛清してしまった連邦では、な。
おそらく、簡単に信じるだろうな。
上層部が信じなくとも、実際に撤退していく様を見る連邦側の前線司令はこれを好機とし、進軍してくるだろう。
...敵陣地が空いているのに、進まないなどすれば...NKVDに粛清されてしまうだろう。この世界にもNKVDのような組織があるのか不明だが。
「...さて、戦闘団諸君。我々は、これまで経験したことのない戦場へ、戦争へ赴く。だがやる事は今までと同じだ。...では改めて聞こう、我々の任務は何だ!?」
「「「敵軍の殲滅でありますッ!!!」」」
「よろしいッ!!我々の任務は、書面上は殿軍、囮、となっているが...敵軍を殲滅するな、とは書いていないッ!!貴様ら、我々の任務は殲滅だ!敵を、一人残らず殺し尽くせ!」
「「「Ja Mama!!」」」
...帝国に仇成す存在は、断じて許してはならない。
...本当なら、私は今頃はアレクシアとゆっくりできていたはず...。
連邦め!徹底的に、叩き潰してやる...!
「...連邦の阿呆共に、領土的、数的有利に慢心する阿呆共に、奴らが思いもよらない戦争を見せてやろうではないか?」
「「「大佐殿!戦闘団長殿!指揮官殿!」」」
「よろしい、ならば戦争だ!戦闘団各員、戦闘団隊長命令だ。...連邦の、コミーのクソ共に本当の地獄を教えてやれッ!!」
「「「Ja Mama!!」」」
「...では戦闘団諸君、明朝より作戦開始だ。各員、準備をしておけ。」
ああ...さっさと作戦を遂行し、帝都へ帰りたい。
- - - - side メアリー・スー
...なんだか今のターニャちゃんからは、いつも以上に...アレクシアちゃんが居る時に比べて、圧倒的な...威圧感を感じます。
アレクシアちゃんの怪我が治るまで、ずっと看病してしまう程に心底大切にしていらっしゃいますから...ストレスも大きいのでしょうか。
「どうした、メアリー少尉?心配事でも?」
「...はっ!い、いえ...なんでもありません!」
「...メアリー、私達の仲だ...無理には聞かないが、いつでも相談に乗るぞ。」
「...うん、ありがとう、ターニャちゃん...。」
最前線の野営地、魔導師、特に女性が優遇されているとはいえ...寝床も多くありません。
ですので、私はターニャちゃんと同じテントなのですが...。
...アレクシアちゃんが居てくれれば、こんなにもピリピリしていないのですが...。
ターニャちゃんから、アレクシアちゃんを引き剥がしてしまうのは、とても良くない事かもしれないです...。
私では、ターニャちゃんの支えにはなれないでしょうが...。
「む、メアリー?」
「...ターニャちゃん。ターニャちゃんが、何か悩んでいるのは分かりますよ?」
...抱きしめるとよく分かりますが...こんなにも小さな身体で、帝国の最前線を駆け続けているターニャちゃんを知ると...本当に、戦争は嫌ですね。
「...すまない。どうにもアレクシアがいないと...調子が狂う。私的な想いを持ち込んではならないのだが...帝国軍人として、まだまだだな。」
「今までずっと、一緒だったのですから...仕方ないと思います。」
「...メアリー、ありがとう。明日も激戦だろう...そろそろ寝ようか。」
- - - - アレクシア・フォン・デグレチャフ
ターニャが戦場へ行ってしまって、2週間が経ちました。寂しいです...。
ですが、ターニャのためにも、早く傷を癒して、また一緒に戦場を...。
ええと、今の私は順調に回復し、松葉杖が必要ですが...歩くことができます。
腕の回復のほうが早く、脚がまだ痛みますが。
「...エミリアです、入ります。...アレクシア殿、本日の診察をしても?」
「はい、お願いします。」
...今入ってきた人は、以前怪我をしたときにもお世話になった、軍医さんです。
本名は、エミリア・リーゼンヴェルトさんです。
「...お姉さんがいなくて、寂しいのでしょう。」
「...はい。私が、不甲斐ないばっかりに、姉には苦労をさせてばかりです...。ですから、さっさとこの傷を治して、姉と共に戦場へ行かなければなりません。」
あまり感情を表に出す人ではありませんが...良い人です。
「...おそらく、もう一週間もすれば、杖無しでも歩けるようになると思います。痛みが完全に消えるのは、もう少し先でしょうが...。」
「はい、ありがとうございます。」
...軍医さんが、「ではまた。」と部屋を出ようと立ち上がった時、聞いていたラジオから、
『速報です!秋津島皇国が"周辺諸国の解放"を目的に...合衆国へ、宣戦布告しました!』
...と。
「!?...っ...。」
「アレクシア殿!...無理をしてはいけません、治りかけている傷が、また酷くなってしまいます!」
「ですが...この宣戦を機に、合衆国が連邦側に着き、秋津島皇国攻略を狙えば...。参謀本部へ、行かなくてはいけません...。」
合衆国としては、連邦と手を組み秋津島皇国を二正面に追い込み、叩き潰したいはずです。
そうなってしまえば、秋津島皇国が倒された後に、帝国へ...。
それだけは、何としても阻止しなくてはいけません...。
「...仕方ありません。ですが...参謀本部の手前まで、私が同行します。宜しいですか?」
「はい。...ごめんなさい、参謀課程を修了しているからには、やらなくてはならないのです...。」
参謀将校として、ゼートゥーア閣下に期待されている人間として...。
期待を、裏切るわけにはいきません。
それに、合衆国ともやりあうとなると、ターニャも私も...死んでしまうかもしれないですから。
...道がないわけではありません。
合衆国としても、欧州を平定した帝国に背後を突かれることは避けたいでしょう。
これを盾に...帝国が連邦を制圧した暁には、何らかの形で秋津島皇国を倒す手助けをする、などのおまけをつければ、不可侵条約の締結も...。
やることは、山積みですね。
史実、原作と異なり欧州を平定した帝国。
(あえて理由は書かない!)合衆国へ史実通り?宣戦布告した秋津島皇国(Japan)。
日中戦をどういう扱いにしようか検討中。
まだそこまで継続していませんが、感想など。
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良い
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まあまあ
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イマイチ