二人の銀翼   作:アレクシア少佐

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こんにちは。

読んで下さる皆様、本当に、ありがとうございます。

拙い文章、誤字などあるかと思いますが、ご容赦を。


6 試作演算宝珠テスト

こんにちは、アレクシア・デグレチャフ魔導少尉です。

 

現在、新作宝珠の性能テストをしております。

 

私とターニャで交代でやっておりますが、はっきり言いましょう。

 

命がいくつあっても足りません!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ターニャ・デグレチャフ少尉?意識はありますか?デグレチャフ少尉?」

 

私は管制にいますが、ターニャはテストの為にお空の上であります。

 

「一応あるにはあるが、長くは持たない。はっきり言って、生身でこれ以上の高度は不可能だ。」

 

ターニャでさえ、限界。

つまり、並大抵の一般的な魔導士では死んでいるかもしれない。

ターニャはどこまで上昇したのでしょうか。

限界、と言うからには6000は軽く超えているんでしょうね。

 

 

私達がテストさせられているものは、『エレニウム工廠製95式試作演算宝珠』という名称の、新型宝珠です。

通常、演算宝珠一つにつき宝珠核と呼ばれる、エンジンが一つ、搭載されています。

しかし、単発ではそこまで大きな出力は出ません。

この課題を打破するために生み出されたのが、この試作品というわけです。

 

この試作品は、通常の宝珠と同じサイズながら、4つの核を搭載しています。

それ故に、制御がとても難しく、魔力も湯水のように垂れ流しになるのです。

 

...どうして、双発にしなかったんですかね。

 

私もターニャも何度も実験していますが、一つ間違えば良くて大けが、悪ければ死ぬ、そんな試作品なのです。

 

......ターニャを殺したら、制作者もろとも...。

 

 

「なにより、魔力が底なしに喰われる。魔力の変換効率は最悪だ。」

 

やはり、ターニャでも難しいですか...。

 

「少尉、もう少し、高度は取れんのかね?理論上は、18000までは固いはずなのだが。」

 

...。

 

「ドクトル、無理を言わないでいただきたい。」

 

 

「すみませんドクトル。私もテストしているのでよく分かりますが、どう考えても不可能かと。」

 

私でもターニャでも無理、誰が使いこなせるというんでしょうか。

 

 

「まだ、魔力に余裕はあるはずだ。演算宝珠の負荷もまだ許容値以前の水準だろう。」

 

「ドクトル、遊びがなさすぎますよ。この欠陥宝珠め、いつ火を噴くかわからないんですよ!?」

 

「ターニャ、気を付けてください。本当に、いつ爆発してもおかしくありません。」

 

人命最優先。安全第一。

 

ましてや、帝国の宝と言っても過言ではない、私のターニャ。

中止していただきたいですが...。

 

「私の最高傑作に、言うに事欠いて、欠陥宝珠だと!?」

 

ダメですね、このMADは。

 

どうやら人の命よりも、欠陥宝珠のほうが大切らしいですね。

 

「ドクトル、お願いだから無線機で大きな声を立てないでください。」

 

「黙りたまえ!まず、先に発言を...」

 

「ドクトル、少しでいいんです、ターニャのために、黙って頂けますか?」

 

...。

 

 

 

 

 

 

- - - - side ターニャ・デグレチャフ

 

 

 

急に静かになったな。

 

静かになる直前、我が妹、アレクシアの恐ろしく冷たい声が聞こえたような気がしたが、聞かなかったことにしよう。

 

さて、静かになったことでなんとか暴発させずに済んでいるが。

こんなもの、時間の問題だろう...。

 

 

ッ!?

ああ、畜生。

どんなに集中していても、ほんの少しの乱れで同調が狂いやがる。

ただちに、魔力供給を緊急カット。

同時に、演算宝珠内部の魔力を緊急排出。

一動作でただちに緊急措置を実行。

 

思った以上に、前回の教訓を取り入れた安全機構は有効に機能。

だが、演算宝珠内部の魔力が完全に排除できたというわけでは無し。

各核がそれぞれてんでバラバラに魔力をぶつけ合い、回路が一瞬で吹っ飛ぶ。

散々要求した外殻の強化が間に合っていたこともあって、辛うじて実害なし。

 

「管制。確認しているだろうか?パラシュート降下する。」

 

「ターニャ、無事ですか!?大丈夫なんですか!?」

 

ああ、私の救いはアレクシアだけだな。

心優しく、何でも気が利く、私とは正反対もいいところだ。

このような妹をもって、誇りに思う。

 

「ああ、大丈夫だ。降下する。」

 

この高度では、予備の演算宝珠を起動するよりも先に、パラシュートを開いたほうが安全だ。

なにより、ここは帝都。パラシュートでゆっくりと降下しようとも狙われる心配は無用。

さしあたり、現状では深刻な問題はない。おとなしく、着地に備えるくらいか。

 

「了解しまし、ちょっ、ドクトル、止めてください!離れて!離れて下」

 

管制が騒がしいな、またか。

なんだ、またドクトルの小言か。

 

「デグレチャフ少尉!またかね!?」

 

「...ドクトル。少し、向こうへ来ていただいてよろしいでしょうか。」

 

...ああ、私想いのアレクシアには耐えられなかったか...。

 

 

 

 

 

 

- - - - side アレクシア・デグレチャフ

 

 

「...ドクトル。少し、向こうへ来ていただいてよろしいでしょうか。」

 

...もうダメです。私には、ターニャをテスト用の道具としか思っていないのでありましょうドクトルを、これ以上容認することはできません!!

 

「何を言っているのだね、アレクシア少尉!今はそれどころではないのだ!」

 

「言わせて頂きますが!あのような危険極まりない欠陥品を、爆発させずに制御するだけで精一杯であります!あのような高高度で振り回す代物ではありません!」

 

今までの鬱憤と共に、すべて言いつくしてやるのです...。

 

「なに?また、欠陥と言ったのかね!?」

 

「ええ!欠陥品です!あんなもののテストなんて、命がいくつあっても足りませんよ!」

 

「君達が、集中をとぎらすから暴発になるのだ!それでも軍人かね?冷静に制御もできないのかね!?」

 

「お言葉ですがドクトル!今にも爆発するかもしれない危険物を首からぶら下げて、別の爆発物をどうにかしろと言っているようなものです!今すぐに!改善を要求します!」

 

「既に最高傑作と言っても過言ではないのだぞ!それに、ホイホイ壊す君達が悪いのだ、どうしてそんなに精密機械を壊せるのだ!!」

 

「壊れるような構造だからです!軍用なのですよ、安定して運用できなければ何も意味はありません!なぜ4発なのです、双発でもいいでしょう!」

 

「この4機同調という技術が、どれほど、革新的であるのかどうして理解しない?」

 

「革新的であるのは、私だって認めますとも。ですので、まともに動くものを作って頂きたいと何度も申し上げておりますが?」

 

「理論上動くではないか!」

 

「理論上、ではダメなのです!運用も考えてください!理論上の数値が、現実で出るはずがないでしょう!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結局、ターニャが私を制止し、ドクトルを管制の人たちで制止するまで、ずっと言い争っていました。

 

 

「ターニャ、私は限界です。私だけの命ならばともかく、ターニャの命まで奪われかねません。即刻、転属を要求してきます!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

- - - - side ターニャ・デグレチャフ

 

 

アレクシアに、ついに我慢の限界が来てしまったようだ。

 

あの子が私のことを大切に想ってくれていることは、とても嬉しく思う。

 

...少々、愛が強すぎることが悩みでもあるが。

 

 

 

今回に関しては、私もアレクシアと全く同じ意見だ。

こんなもの、いつ死んでもおかしくない。

どうせ死ぬなら、最前線で二階級特進のほうがマシだ。

 

他人が怒ると周囲は冷静になるとはよく言ったものだが、なるほど。

アレクシアが怒りをぶつけたおかげか、冷静になることができた。

不思議な感覚だな、これは。

 

私も正直なところ、限界だ。何度目かわからないが、転属願いを出そう。

このままでは、私もアレクシアも死んでしまいかねん。

 

これで4度目の転属願いか、いい加減違うところへ行きたいものだ。

...前よりも嘆願書の中身を濃く、ビッシリと裏面まで書き連ねてやろう。

 

 




ドクトルとの口論、ターニャじゃなくてもブチ切れますよね、絶対に。

誰だって、命は惜しい。

まだそこまで継続していませんが、感想など。

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