今年もよろしくお願いします...。
(内容はちまちま飛び飛びで書いてたせいで一抹の不安がある)
こんにちは、お久しぶりです、アレクシア・フォン・デグレチャフです。
毎日のようにリハビリに励んでいた成果か、未だ多少の痛みはありますが普通に生活を送ることができるくらいに回復しました。
...ターニャから、最前線の状況が事細かく記された文書と、...その、私宛の個人的な手紙がほとんど毎日送られてきています。
どうやら今のところ帝国軍は、連邦軍に対して圧倒的に優勢らしいですが。
ターニャも感じているのでしょう、いくら粛清直後の連邦とはいえ...これほどまでに弱いはずがない、と。
「...すべての作戦は殆ど帝国の思惑通り、ですか...。地雷原の突破が予想以上に早い...?」
地雷がいくつ埋まっているかもわからない場所に戦車を突っ込ませない程度には賢いはずですが...。
地雷撤去、となれば埋めた際の偽装を見破り、丁寧にひとつひとつ掘り返し、処理していく必要があるはずです。
空爆で吹き飛ばせないこともないでしょうが、制空権は完全に帝国の支配下でしょうし...。
...通常の、撤去作業ではないのでしょう。
「...ここまで迅速に地雷原を突破する方法...そうせざるを得ない必要...?」
...合衆国の、援助?
ですが、合衆国は今、極東の皇国と戦争状態です。
このような状況下で、連邦が合衆国へ援助を求めるならば...連邦はさらに戦線を抱えることに...?
「どうして、帝国側の戦線に、主力軍がいないのか...成程。」
このまま連邦が帝国と戦争しても、勝ち目は薄いでしょう。
ですが...合衆国と共同なら?
...だから、先に皇国を倒して、合衆国に恩を売る...?
「ですが...イデオロギー...思想的に相容れぬはずです...。帝国と合衆国の関係はそう悪くはないはずですが...。」
生き残るには...連邦を倒し...。
ターニャの、前世の故郷...皇国を、倒すしかないでしょう...。
「...と、以上であります。」
私が辿り着いた考えを、参謀将校の皆さん、帝国官僚の皆さんにプレゼンテーションしました。
...うまく伝わっていれば、いいのですが。
「...外交官が失敗すれば、連邦はともかく、合衆国とも皇国とも戦争になるが...。」
「何もしなければ、合衆国が連邦へ援助する可能性...か。」
...どちらにせよ、皇国を救うことはできません。
彼の国の、兵士の持つ精神力は列強各国に比べてずば抜けているでしょう。
海軍も、連合王国のロイヤルネイビーに引けを取らない程だと聞きます。
ですが...圧倒的に、資源が足りないのです。
「...発言、よろしいでしょうか。」
皆さんが決めかねているようですから...ダメ押しですかね。
「言ってみたまえ。」
「はっ。合衆国さえ説き伏せれば...東方戦線の情報では、連邦は今、本軍をどこか別のところに置いている、との現地司令官の予想であります。おそらくは...皇国戦を予想し、後方に隠しているのでしょう。そうでなくば...無謀な地雷原突破など、しないでありましょう。」
...戦車で地雷をすべて爆破させている、とも考えましたが、主力武装に当たる戦車をそんなことには使わないでしょう。
であれば...共産主義者の考えそうな策...。
「...連邦は、我々に無謀な攻勢を三日前よりし続けていると聞きました。これは...連邦主力軍が皇国を倒すまでの時間稼ぎ、でありましょうか。...現在皇国は、合衆国相手に海戦において圧倒的勝利を収めております、皇国が連邦と開戦しても防衛だけなら問題は無いでしょう。」
「...だが彼らが合衆国に勝利できるかは分からない、いずれ敗北するかもしれない...ということか?」
「はい、ゼートゥーア閣下。ですから...皇国は切り捨てるしかありません。合衆国と連邦を、同時に敵に回して勝利できるとは...。」
...将校として、敗北を匂わすことを言うのは立場が危うくなりかねませんが...。
想定されることは全て言わなければ、誰かが歯止めにならなくてはいけませんから。
それは...歴史が証明していますから。
「祖国のため...致し方あるまい。」
「貴官の話、検討しよう。」
「は、ありがとうございます。...では、小官は失礼致します。」
改めて、帝国の参謀が、冷静に物事を判断できる集団で良かった...と、本当に思います。
ともかく、動けるようになったとはいえ、まだまだこれから身体を治さなければなりません。
「はぁ...。」
悩んでも仕方ないです、そんなことは、わかっているのですが。
どうにも...ターニャについていけなかった自分が...恨めしいのです。
...連邦がどのようにして、地雷原の突破をあんなにも早くできるのか、でも考えましょうか...。
- - - - side ハンス・フォン・ゼートゥーア
...重苦しい空気だ。
普段にも増して、珍しく誰も言葉を発しないとは。
「...アレクシア大佐の発言内容は、我々では想定していなかったことだ。だが...十分に納得できるだけの話だった。」
彼女は、いや。彼女達は我々が考えているよりも遥か先を見越している。
「世界大戦...か。ゼートゥーア殿、貴方の持ってきた論文を読んだときは...こんな恐ろしいことが起きる筈がないと思っていた。あれを書いたのは...。」
「外交官殿、貴方の思っている通り、アレクシア大佐が書いたものだ。」
「はは...。ならば先程の話も、我々がこのまま何もしなければ起こりうる...のだろうな。」
だが、彼女が話をしてくれなければ、誰もそんな未来を想定できなかったかもしれないのは確かだ。
そのまま敗戦...帝国は、守るべき祖国は無くなってしまったかもしれない。
しかし、実際は彼女達...『白銀』『白百合』の活躍によって、周辺諸国との戦争に勝利し、戦後の関係も良好である。
さらに、それぞれの戦争が早期決着したこともあり、余裕をもって連邦と渡り合うことができている。
...もし準備不足のまま、連邦と開戦していれば...いや、今はやめておこう。
「...『銀翼突撃章』保持者とはいえ、ただの一将校が...自分の立場が危うくなるかもしれないことを承知で、我々に忠告してくれたのだ。ならば我々は、彼女の意思を汲むべきであろう?」
...ふ、ルーデルドルフめ。
貴様が、協商連合国戦以来...彼女達を孫のように可愛がっていることはお見通しだぞ?
「我々は軍人だ、戦うことならば任せてくれ。だが...外交や世界情勢については...貴方方、官僚の力がなくてはならない。普段ならば経費がどうだのと、文句を言い合っている我々だが...。」
「...そうだな。喧嘩は戦争が終わってからにしよう、その時は貴様ら軍人にも、馬車馬の如く働いてもらうからな。...我々も最善を尽くそう...だが、もしものときは。」
犬猿の仲の、軍と政治家達が、今だけであるとしても...協力できるとはな。
まだそこまで継続していませんが、感想など。
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良い
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まあまあ
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イマイチ