ルーシー連邦首都、モスコー。
この世界でも、西暦世界でも...様々な欧州の英雄が目指し、しかしモスコーまで辿り着いたことは無く。
ナポレオンやヒトラー...英雄ではないかもしれないが、その時代の一大勢力が持ちうる限りを尽くし、しかし敗北を喫した戦場。
そんな東部戦線にて我々帝国軍は、かつて誰も成しえなかった事を成そうとしている。
補給線の問題は鉄道や空輸を利用し、敵の集積所がそっくりそのまま放置されているものも含め、万全。
敗走を続ける連邦はといえば、首都モスコーを帝国軍が包囲してからもう2週間も抵抗を続けています。
また、我々の戦場とは反対側...極東では秋津州皇国が連邦に対し宣戦布告。
相変わらずの寒さ、整っていないインフラに阻まれているようですが、それでも進軍しているみたいです。
連邦首脳がモスコーに留まっていようが、さらに東へ逃げていようが、我々の勝利は目前。
「はぁ...漸く、我々の仕事も大詰め、だといいのだがな。」
「そう、ですね。...もうすぐ作戦開始時刻です、ターニャ。」
色々と...込み上げてくるものもありますし、ターニャと話したいことはたくさんありますが...今は、目の前の作戦に集中しなければ。
「そうだな。そろそろ、行こうか。」
最前線を駆け抜けてきた私たちにしてみれば、敵首都の襲撃など手慣れたものです。
とはいえ、いつぞやの連合王国首都侵攻の際は囲まれてしまい...ターニャに、迷惑をかけてしまいました。
もう二度と、そんなことにはならないようにしなければ。
さて...もうまもなく、作戦開始の時刻です。
私たちが鍛えた第203航空魔導大隊を乗せた輸送機は、闇夜に紛れてモスコー上空に入ります。
地上では既に交戦中、泥沼の塹壕戦が繰り広げられています。
「さて諸君、仕事の時間だ。モスコーに立てこもる敵司令部を叩き、地上部隊と共に市街を制圧しろッ!」
「少なくない数の敵航空魔導師、対空支援による迎撃が予想されます。各員油断せず任務に当たってくださいね。」
きっと、連合王国首都よりも激しい戦いになるでしょう...。
きっと、私たちの中からも少なくない死傷者が出ると思われます。
ですがそれでも。
私はターニャを守り抜き、ターニャの理想を現実にしなければなりません。
そして、出撃のタイミングです。
「降下せよ!出撃!」
一斉に降下し、モスコー上空に展開。
私は部下の報告を聞きながら、戦況把握に努めます。
指揮はターニャに、穴があれば私がカバーします。
「ターニャ、提案です。モスコー市街に対空砲、市街戦を想定していると想定される機銃などから破壊するのはどうでしょうか?敵の迎撃が来るのであれば、その際敵の通信を傍受し、司令部を割り出せるかもしれません。」
「...そうだな、よし。諸君、聞いたな!モスコー市街の対空砲や機銃を排除せよ!また、敵の迎撃があると想定される、留意せよ!」
この時の私は、私自身も不思議な程に冷静沈着でした。
帝国の勝利のために、戦争終結のために、今も奮戦している友軍と戦友のために。
そして何よりも、ターニャのために。
戦闘開始から30分程が経過、順調に市街の障害物を排除していると。
『フェアリー02より報告します!北東方向に敵魔導反応多数!連隊規模です!』
ヴィーシャから報告が上がってくる。
ようやく敵の迎撃部隊がやってきましたか。
「サラマンダー02より各員へ、各自防殻と乱数回避を優先し後退せよ。サラマンダー01へ、私と第一中隊で後退時間を稼ぎます、攻めのタイミングはお願いします!」
『こちらサラマンダー01、了解した。無理はするなよ!』
大丈夫、あのときと違って戦力は十分。それに、味方が集結してターニャの為の時間を稼ぐだけ...。
大隊をターニャに預け、私は借り受けた第四中隊を率いて。
「さて皆さん、覚悟はできましたか?味方の後退を支援、連隊相手に時間を稼ぎますよ!」
「ああ、帝国の英雄サマと共に戦えるなんて光栄ですよ!」
「今までお世話になりました、やっと恩返しができます!」
「帰ったら褒章をたんまりお願いしますよ!」
今までの功績と活躍のおかげ...でしょうか。
私にはターニャほどのカリスマも無く、部隊の掌握もできませんが、それでもついてきてくれると言うのは。
「それでは皆さん...死なないでくださいね?」
まだそこまで継続していませんが、感想など。
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良い
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まあまあ
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イマイチ