二人の銀翼   作:アレクシア少佐

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こんにちは、読んでいただき光栄であります。



7 神の加護

こんにちは、アレクシア・デグレチャフ魔導少尉であります。

 

本日は、私とターニャにとっての、良い報せと悪い報せがあります。

 

 

 

良い報せからいきましょうか。

ええ、この度、エレニウム工廠製95式演算宝珠の開発打ち切りが決定致しました。

 

やっと、爆死の危険から解放されるのです!

とても、嬉しいことです!

 

 

では、悪い報せです。

開発打ち切りを受けて、開発責任者のドクトルがどうせ打ち切りになるならと、今まで危険すぎてできなかった実験をやろうと言い出したのです。

 

ふざけるな!

 

何でも、ドクトルの頭の中に神が舞い降りてきただの、天啓を授かっただの、ついに完全に狂ったのだと思います。

 

やりたくないですが、これ以上付き合わなくていいのなら、とスタッフの皆さんは抵抗も消極的です。

貴方達はいいですよ、安全な場所で観測機を眺めてるだけなんですから。

実際に実験するのは、私とターニャなんですから...。

 

 

 

 

「少尉達よ、準備はよろしいかね?」

 

どうしてこの人は、爆発がほぼ確定しているこの実験で、こんなにもニコニコと、ウキウキとしていられるのでしょうか...。

バカと天才は紙一重とはよく言ったものです、紙一重というよりはもはや単なるバカとしか思えませんが。

 

「ドクトル、本気でやめませんか?試算では、最悪我々は演習場ごと吹っ飛びかねませんが。」

 

「それが、なにか?科学の進歩には犠牲がつきもの。それに、君達だけではなく、私もここにいるのではないか。」

 

「正直に申しまして、その潔さを別のベクトルに向けていただきたいのでありますが。」

 

何故こんなにも自信満々なんでしょうか...。

 

 

「...?科学者足るもの、探究に忠実であるべき。つべこべ言わず始めたまえ。」

 

「私達は軍人です。このようなことで死にたくありません。」

 

「じゃあ、命令だ。とにかく、さっさとやりたまえ。」

 

何を言っても聞かない、無駄。

人間としては難ありどころではないが、頭脳は本物だから質が悪い。

 

「では、ターニャ。始めましょうか...。」

 

「アレクシア、短い人生だったが今までありがとう。お前だけでも生き残ってくれ...。」

 

「どうして死ぬ前提なんですかっ!?」

 

「ええい、いつまで喋っているのだ!さっさと始めたまえ!」

 

 

はぁ...。最悪ですね。

ドクトルに天啓を授けた?神とやらは相当、私達のことを殺したいらしいです。

 

 

「...95式へ魔力供給開始。」

 

「観測班了解。無事を祈る。」

 

もう多少のケガで済むなら、命さえあれば...。

 

 

「なに、安心したまえ。成功は約束されたようなものだよ。」

 

「...ドクトル、一体どこからそのような自信が?」

 

本当に。今まで失敗の連続だったというのに。

 

「なに、簡単なことだったんだよ。」

 

「と、申しますと?」

 

「私は、主任技師。少尉達が、首席試験要員。つまり、我々が反目せず、協力すれば事を為すは容易いということだ。」

 

「もう少し早く、それに気づいてくだされば、私達ももっとケガは少なかったはずなのですがね...。」

 

「はっはっは、すまなかったね。」

 

「ですが確かに、その通りではありますな。」

 

「だろう?そして、私は先日天啓を得てね。」

 

「...天啓、でありますか?」

 

またドクトルが言い始めた、夢でも見ていたのでしょう。

 

 

「そうだとも。我々が共に、神に成功を祈願すれば、信ずるものは救われようとな。」

 

「「............は?」」

 

そんなことで成功すれば今までの苦労は何だったのかと...。

 

あれ、ターニャが何だか青い顔をしてますね、どうしたのでしょうか。

大丈夫なのでしょうか...。

 

「驕らず、謙虚な気持ちになるのが重要だということだが。」

 

「いえ。その前なのですが...。」

 

ターニャは何だか、『神』について思うところがあるのでしょうね。

そういえば、以前お互いの秘密を打ち明けあったときに、何度目かの時に言っていたような...?

 

「いい機会ではないか。三人で、神に成功を祈ろうではないか。」

 

「ドクトル、貴方は無神論者では?」

 

「発明の神が私に舞い降りたのだ。私は、今や敬虔な信徒だよ。」

 

「ついに、打ち切りのショックで狂ってしまわれたのでしょう、ターニャ、気にすることはありません。」

 

「............。そうだといいが。」

 

 

 

 

「我らが発明の信徒となり、祈願すれば成功は間違いないのだ。」

 

「...ちなみに、私達が祈願せねばどうなりますか?」

 

「まあ、仲良く殉教というところだろう。」

 

狂人の言うことはよくわかりませんが、せめて死なないようにしなければ...。

 

「今すぐに、メディックを呼びましょう。或いは、私が楽にいたしましょうか?」

 

「落ち着け、アレクシア・デグレチャフ少尉。君も神に会ったことがあるのだろう?お互い、神を信じれば救われる。」

 

 

 

......ドクトル、一体どこでそれを。

 

その話は、私とターニャの間でしかしていないはず。

 

私がターニャの秘密を漏らすはずがありませんし、ターニャも自分の秘密を言いふらすようなことはしないはずです。

 

...何だか、嫌な予感がしますね。

 

 

 

 

そう、思った矢先。

 

 

 

「魔力係数が、急速に不安定化!?魔力暴走です!」

 

「そんな!?核が融解寸前!総員退避ー!!!!!!」

 

観測班の悲鳴を耳にしながら、私は意識を失う直前まで、ターニャを案じ続けた。

気味の悪い何かが、何処かでにやりと笑ったのを、確かに実感した。

 

 

ああ、あいつが。

 

 

あいつらこそが。

 

 

ターニャを苦しめ続ける、悪魔、なのですね。




今回は切りどころが悪かったせいで短めであります。

許してください。

まだそこまで継続していませんが、感想など。

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