契約者達への鎮魂歌 -Re.birth-   作:渚のグレイズ

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お待たせ致しましたァ!!!

Re.birthこれよりスタートです!

リメイクに乗じて少し設定とかも変更しております。


それでは、どうぞ御堪能ください………


第一章 Re.birth
K.K.の日常 -普段通りの朝の光景-


最近、目が覚める時

この身体が、自分の物ではないような

そんな錯覚に陥る

 

「───────んー」

 

寝起きで回転の悪い頭を起こしつつ、右手を見る。

開いて。

閉じて。

開いて。

閉じて………

 

大丈夫そうだ。さて、お次は左───

 

「──────あ」

 

そうだ。忘れてた。

左腕は昨晩、簡易メンテナンスを行ってからそのまんまだったから作業机の上じゃん。

 

「・・・・めんど」

 

ぼやきながらも、俺はベッドから出る。

きしり、と音を立てて()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「こっちもメンテしないとなぁ・・・・」

 

前回のメンテからそろそろ一年が経つ。あちこちガタが来ていてもおかしくない。というか、俺の扱いがわりと雑だから、関節部とか磨耗してるだろ、絶対。

 

「さて、と」

 

寝間着代わりの半袖プリントTシャツ(でかでかとEXTRAという文字が書かれている、俺のお気に入りだ)を脱ぎ、机の上の左腕を取り付ける。

 

「ん・・・・・よし!」

 

各部正常に稼働中。

問題は特にないっぽいな・・・

 

「さて、今日も今日とて、頑張るゼェ~っと!」

 

背伸びをしながら、俺───煌月輝夜は気合いの一言を叫ぶのだった。

 

―――――――――――†――――――――――

 

「おはようマッキー」

「はい。おはようございます、坊っちゃん」

 

指定の学ランに着替え、鞄を持って二階の寝室から降りてリビングに向かうと、金髪とんがり頭の青年がテーブルに食事を並べていた。

彼の名は、布堂幕切。

家の使用人にして、学校の教師だ。

 

「今日の献立はうどんですよ」

「良いね。梅干し持ってきたから、これも」

「おや、それは良いですね」

 

俺は趣味で梅干しを漬けている。

級友からは「渋い」とか「おじいちゃんみたい」とか散々な言われようだが、そんな連中には俺の梅干しを食わせて黙らせている。

俺の梅干しは絶品なので、一口食えば大抵の奴は虜になる。

 

「俺チャンの絶品梅干し~~♪」

「自分で絶品と言い切る辺り、坊っちゃんらしいですよね」

「実際問題、市販の梅干しよりも旨いだろ?」

「ですから、否定してないじゃあないですか」

「それもそうか」

 

と、こんな感じで、二人だけの食事は進む。

両親は居ない。別に他界してる訳じゃあ無い。離れて暮らしているだけだ。元々この家はばっちゃ──祖母の家で、中学校に通う都合で今も住まわせて貰っている。

そんなばっちゃは一昨年の六月に他界。享年九十一歳。

死ぬ直前までいつも通りにガーデニングしていた事から、大往生だったに違いない。・・・・・・・大往生の意味、合ってるよな?

 

「ふう・・・ごちそうさまでした!」

「ごちそうさまでした・・・・今日は早いですね?」

「勝負の日・・・・だからな!」(キリッ

 

そう・・・・今日は勝負の日なのだ。

こうしちゃいられん。早くしねーと先を越される。

鞄を抱え、玄関へと走る。

 

「んじゃ!いってきます!!」

「はい、いってらっしゃい。また後程学校で」

 

マッキーに軽く手を振って、俺は家を飛び出した。

 

―――――――――――†――――――――――

 

家を出た俺が向かったのは学校、ではなく隣の家。

軋む両足で駆け込むと、玄関口には先客が居た。

艶やかな黒髪を肩口から前に垂らしているその先客は、駆け込んできた俺に気付くと、乗っている車椅子を動かして、こちらに向き直り挨拶してきた。

 

「───あら、お早う輝夜くん♪」

「おはよう。相変わらずはえーな、東郷」

 

彼女は東郷美森。

もう一軒隣の家に去年の三月に越して来て以来、何かと一緒につるんでいる。

 

「その調子だと、今日も俺の負けか・・・・車椅子生活の身の上で、毎朝五時半起きの俺より早いとは・・・・どんな秘訣があるというのか・・・・」

「なんて事はないわ。私、いつも四時には起きているだけだもの」

「単純に俺よりも早起きなだけだった!?」

 

割りと衝撃の事実に驚愕していると、玄関が開き中から赤髪の少女が出てくる。

 

「それじゃ、いってきまーす!」

「おはよう、友奈ちゃん♪」

「おっす、友奈」

「あ!おはよー、東郷さん、かぐやちゃん♪」

 

彼女の名は結城友奈。

俺の幼馴染にして、一番の友人。

 

「お前、まぁーた東郷に起こして貰っただろ?」

「う゛っ!?ソンナコトナイヨー」

「片言だぞ。おめぇそんなんで大丈夫かよ・・・・」

「前にも言ったけど、責任は取るわよ?」

「下手な男よりも男らしい台詞をありがとよ!!」

 

そんな感じで駄弁っていると、東郷がお世話になっているデイサービスの送迎車がやって来た。友奈と協力し東郷を乗せつつ、俺たちもついでに乗せて貰い、学校へ向かうのだった。

 

―――――――――――†――――――――――

 

「おーっす、煌月!この前借りたマンガ、返すぞ~」

 

教室に着いて早々、後ろの席の半田がこの間貸したマンガを返しにきた。

 

「うっす。どうだった?」

「まさか三十五話のゲストがレギュラーキャラになるとは思ってもみなかった」

「なんか、めっちゃ人気で再登場を希望する声が多かったらしいぜ」

「あー、なんとなく分かる。健気な努力家な女の子って、それだけでも応援したくなるからなー」

「なになに?何の話ー?」

 

そこに友奈と東郷が加わる。

言い忘れていたが、この二人とはクラスも同じなのだ。

 

「これ」

「おー、『デストピア・サーガ』!!今何巻まで出てたっけ?」

「確か、四十二巻・・・だったかな」

「随分と多いわね・・・・」

「東郷も読むか?貸すぞ」

「横文字は結構です」

「ブレねぇ奴」

 

相変わらずの護国思想に辟易していると、それまで沈黙していた半田が唐突に大声を上げる。

 

「おっ↑お早う御座います結城さん、東郷さん!!本日はお日柄も良く、絶好の運動日和ですね↑!!」

 

めっちゃ声上擦ってやがるwwww

 

「おはよ、半田くん。いつもかぐやちゃんと仲良くしてくれてありがとね♪」

「おはよう、確かに今日は良いお天気ね」

「う・・・・・うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ・・・・・・・・・・・」

 

なして感動してんの?こいつ・・・

 

「二人に挨拶してもらえた・・・・・こんなに嬉しい事は無い・・・・・!!」

「大袈裟な・・・・・」

「ちょっと煌月」

「おふっ!?」

 

半田に首根っこ掴まれて教室の後ろへと引きずり込まれる。

 

「ンだよ?」

「お前・・・・東郷さんと結城さんだぞ!?いつも元気で老若男女分け隔て無く接してくれる大天使結城さんと!お淑やかを体現したかの如き大和撫子東郷さんだぞ!!」

「だからなんだよ・・・・」

「そんなお二人と仲が良いだけでなく家も近いとか、お・・・・おま・・・・お前ーーーっっ!!!」

 

両肩を掴まれ、がっくがっくと揺さぶられる。

酔うからやめろ。

 

「家の距離なんざ関係ねーだろ。要はテメエの努力次第だ」

「お前・・・・そうやって簡単に言うけどなぁ・・・・・・それがどれだけ難しいのか、分かってんのか?・・・・分かってんのかァ!?」

「二度も言う事かばばばばばばばばばばばば」

 

再びがっくがく揺さぶられる。流石に気持ち悪くなってきた。

 

「ええい!わーった、分かったよ!!」

 

半田の両手を振り払い問う。

 

「んで?お前俺にどうしろと?」

「東郷さんと仲良くなりたいです」

「友奈じゃないのか」

「東郷さんの方が俺好みだから」

「素直な奴。仕方ねーな・・・・東郷は歴女でな、リットン卿の素晴らしさについてレビューしてみろ」

「なるほどリットン卿────誰?」

「ヒントは教えた。自分で調べな」

「よっしゃあ!!やぁって、やるぜ!!」

 

それだけ叫んで半田は図書室へと走り去って行った。

朝っぱらからうるせぇ野郎だ・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、半田は口元しか笑っていない東郷によって吊るされた。

 

「イエーイ予想通り~(爆)」

「おま・・・・お前ーーー!!お前、お前ーーー!!」

 




朝の勝負とは、輝夜と東郷による、「どっちが早く友奈を起こしに行くか競争」のこと。
車椅子のハンデがあるにも関わらず、輝夜の勝率は三割強。
東郷さんは強い(確信)
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