契約者達への鎮魂歌 -Re.birth-   作:渚のグレイズ

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Attack on Vertex -魔術師-

樹海をひた走る。

バーテックスの繰り出すミサイルの雨をくぐり抜けながら、倒す方法を思案する。

 

(左目の力は通用しないって事ァ・・・・・アレは生き物っつー事なんだが・・・・さて)

 

俺の左目には、"目"と呼ばれる、物の一番緊張した部分を見ることのできる能力がある。ここを刺激してやることで、全ての物は一発で粉々にできるのだ。直接触れる事が出来なくとも、左手で"目"を手繰り寄せることができるので、距離にはそれほど意味は無い。ここまで聞くと万能っぽく思えるが、無論弱点はある。『この能力が通じるのは無機物のみ』、という一点だ。生き物相手では見ることすら叶わない。

 

「・・・・ま、やりようはある!」

 

全身に意識を集中。

左腕で辺りの空気を絡めとるように、纏め、固め、拳の形を造り出すと、バーテックスへ向けて打ち出した!

 

「飛んでけ!」

 

 

イ ン パ ク ト烈空拳

 

 

拳形の空気弾がバーテックスに直撃。が、殆どダメージを与えられていない。

 

「ならば!!」

 

同じ空気弾を無数に造り出し、再び打ち込む!

 

 

烈空拳乱舞エ ア ロ ラ ッ シ ュ

 

 

今度はしっかりダメージが入った。頭部と思われる場所にクリティカルヒットし、三割くらいを削りとってみせた。

が、即座に削られた部分が再生を始める。ペース的には削る速度の方が速そうだから、俺の努力次第ではこいつを仕留めることも可能だろうが・・・・

それを実行するよりも前に、風さんがやって来た。よく見れば、制服からきらびやかな衣装にチェンジしている。あれが、勇者の姿ってワケか。

 

「ちょっと煌月!!先走らないの!!」

「来たか、風さん・・・・・と、樹も!?」

 

風さんに続いて、樹まで勇者に変身していた。

まったく・・・・風さんは何を考えて────いや、風さんの事だから、樹は下がらせるか・・・・

となると、着いてきたのは樹の意志っつー事になるな・・・・

 

「樹・・・・お前、分かってンのか?場合によっちゃア命、落とすかも知れないんだぜ・・・・」

「そ・・・・それでも!私はお姉ちゃんに着いていくって・・・・そう決めたんです!!」

 

震えながらも、真っ直ぐにこちらを見つめて言ってのける樹に、俺は「下がれ」と言うことはしなかった。

 

「・・・・・上等だ。援護に回る!魔術師は後衛ってナァRPGのお約束だからな!!」

「え?まじゅ・・・?」

「──────やっぱり、煌月。そういう事なのね」

 

拳形の空気弾を更に追加で数十発打ち込みながら、二人の後ろに下がる。

大赦所属であるが故か、流石に風さんは知っていたようだな。

 

魔術師

 

それこそ、俺がばっちゃから勝手に継いだ役職の名前だ。

大赦的には"蟇目(ひきめ)(かぶら)"と言うらしいが、正直、"魔術師"の方がカッコいいと思う。

役割についての説明は一旦保留しておくとして、魔術師の戦闘方法を紹介しよう。

と言っても、魔術師にやれる事は一つだけ。

 

事前に組み上げた「術式」を用いて自然現象から力を借り、妖魔の類いを滅却する。

 

それだけだ。

ちなみに、先程あのバーテックスに向けて放った魔術は、"風"の魔術だったりする。

もっとも、俺の場合は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()使()()()()のだが。

 

「んで、風さん!コイツどうやって倒すんだ?少し削っただけじゃ、すぐ治っちまうぞ」

「バーテックスには"御霊"っていう、所謂心臓みたいな物があるの!それを破壊しない限り、バーテックスは倒せないわ!」

「御霊?」

「今からあたしと樹で、御霊を取り出すわ!あんたは───」

「把握した。出てきた御霊をブッ壊せば良いンだな!」

「頼むわ。樹!」

「う・・・・うん!煌月先輩、お願いします・・・・!」

「任せろ」

 

跳び立つ二人をサムズアップで送り出す。

さて、その間に俺ができる事っつったら────

 

「敵の注意を引き付ける!!」

 

土を一握り掴み、バーテックスへ向けて放り投げる。

瞬間、魔力によって土が雷へと変化し、バーテックスに浴びせられる。

 

 

 

 

「うわっ・・・すご・・・・」

「ひえぇ・・・・」

 

雷はバーテックスの表面を焦がし、おかげでコチラに注意を向ける事に成功した。

ミサイルの雨を再び雷を撃ち迎撃。

 

「お姉ちゃん!位置に着いたよ!!」

「よし・・・・!封印開始!!」

 

お、なんか始まった。

 

「えっと・・・・これを読むの・・・?」

 

隠世の大神

哀れみたまい

咲御霊

櫛御霊

 

「おとなしくしろぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」

 

樹が祝詞を唱えているのをガン無視して、風さんがなんか叫んだ!?そしてなんか発動。え、それで良いの?

 

「えぇ!?それで良いのぉ!?」

「要は魂込もってさえいれば、言葉は問わないのよ!」

「早く言ってよ~~!」

 

なんつー雑な・・・・・

しかし効果の程は上々で、バーテックスの頭がパッカーンして中から三角錐型の奇妙なモンが出てきた。

 

「あれが御霊ってヤツか!」

「そう!あれを壊せば私たちの勝利!!」

「OKだ!そうと決まればとっておきを喰らえェ!!!」

 

 

メ タ ル ス テ ー

 

杭金射単発

 

シ ュ ー テ ィ ン

 

 

土から金属を抽出し生成した杭を、御霊へと撃ち込む。

俺の腕程もある太さの杭は、御霊に見事突き刺さった。あとは─────

 

 

「勇者ぁ─────」

「ん?」

 

ダメ押しに、左腕に雷を纏わせてからあの杭を殴ろうとしたら、上の方から聞き覚えのある声が。

見上げて見れば────

 

「─────な!?友奈!」

 

勇者の姿に変身したらしい友奈が、バーテックスに突き刺した杭に向かって殴りかかる。

 

 

「パぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁンチ!!!!!!」

 

 

その一撃で、杭は奥深くへと入り込み、御霊は完全に砕け散ったのだった・・・・・

 

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