PS装甲持ちに鉄血系MSで挑むのが、最高に泥臭くて楽しいが過ぎるんよ~wwwwww
勇者に変身した風先輩に言われて、私と東郷さんは安全そうな場所に避難していた。
・・・・良いのかな、こんなところに居て。
かぐやちゃんは真っ先に飛び出して行った。
樹ちゃんも風先輩と一緒に行った。
私はここで、なにもしていない。
「─────ごめんね、友奈ちゃん」
「東郷さん?」
一人、悶々としていたら東郷さんが急に謝ってきた。東郷さん、何かしたっけ?
「今までずっと、黙っていたこと。ちゃんと説明していれば、こんな事には─────」
ああ、なんだ。そんな事かぁ。
「─────うん、そうだね。事前に教えてくれれば、確かに覚悟くらいはできていたかも知れないね」
「─────────」
「でも、東郷さんも風先輩も、みんなの為を思って黙っていたんでしょ?それって、勇者部の活動目的と一緒だよね」
「─────友奈・・・ちゃん・・・・」
「東郷さんは悪くないよ。もちろん、風先輩もね!」
「────────ああ、なんだか・・・友奈ちゃんが眩しい・・・!」
そう言って、東郷さんは顔を両手で被って下を向いてしまった。どうしよう?なんか変なことでも言っちゃったかな・・・?
「私、少し怖かった。もし私達が"当たり"だったとして、勇者部の真実を知った時、友奈ちゃんたちに嫌われてしまうんじゃないか──って」
「そんなこと・・・!?」
「そうね。私の考え過ぎだったみたい」
そう言って、東郷さんは笑ってくれた。良かった・・・・東郷さん、元気になってくれたみたい。
「友奈ちゃん」
「何?東郷さん」
「私のことは気にしなくて良いから、行ってあげて」
「─────え?」
真剣な表情で、東郷さんが言う。でも、そんなことしたら────
「私の端末は確かに、今は修理中で手元に無いけれど、バーテックスの攻撃が飛んで来たって平気よ。私の精霊が護ってくれる」
「────東郷さん」
「だから、友奈ちゃんは行って。輝夜くん達を、助けてあげて・・・・!」
精霊が何の事なのかよくわからないけど、真っ直ぐ見つめてくる東郷さんの真剣な眼差しを、私は信じることにした。
「──────わかった!行ってくるね!」
「うん。行ってらっしゃい」
東郷さんに見送られて、私は走り出す。
目指す目標はただ一つ。目の前のバーテックス。
「・・・・・・私は」
あんなのと戦うのは、ちょっと怖い。でも・・・・!
「・・・・・・・・・・・私はっ!!」
かぐやちゃん達が頑張ってるのに、私だけなにもしないなんて・・・・・そんな事はできない。だから・・・・!
「勇者になるっ!!」
握り締めていた端末から、光と花弁が溢れだし、気がつけば私の着ている服が変わっていた。
これが、私の勇者服・・・・?
なんだって良い。これで、みんなを守れるならっ!
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!」
雄叫びを上げて、おもいっきりジャンプ。
樹海の木々を飛び越えて、バーテックスへと立ち向かう。
バーテックスは頭から三角形のよく分からない物を出しており、その物体にはでっかい杭が突き刺さっている。
丁度良いや、あれを殴ろう。
「勇者ぁ──────パぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁンチ!!!!!!!!!!!」
全身全霊の勇者パンチで、杭は三角形の物体を突き抜けて行った。
でっかい風穴を空けられた物体は砕け散り、いくつもの光が空へと昇っていった。
「・・・・やった!」
それと同時に、バーテックスが砂になって崩れて消える。もしかして、さっきのはバーテックスの心臓みたいな物・・・・だったのかな?
「友奈~~!」
「あ!風先輩!樹ちゃん!」
ぼーっとバーテックスが消える様を見ていたら、風先輩と樹ちゃんが跳んで来た。
良かった・・・・二人とも無事だった。
「あれ?かぐやちゃんは?」
「煌月なら、多分無事よ。あいつが本当に魔術師なら、きっと、私の誰よりも戦い慣れているはずだから」
「まじゅ・・・・・なんですか?それ?」
私の質問に風先輩が答えるよりも先に、視界が目映い光に包まれ─────
―――――――――――†――――――――――
「・・・・・・・あれ?ここ、学校の屋上?」
気が付くと学校の屋上に立っていた。
「神樹様が戻して下さったのよ」
「ほへぇ~」
「樹、怪我は無い?」
「うん・・・・お姉ちゃんは?」
「あたしはホラ、女子力高いから────おっと」
その時、樹ちゃんが風先輩に抱き付いた。
「ふぇぇ・・・・怖かったよぉ・・・・もう何がなんだか・・・・」
「よしよし、頑張ったわね。冷蔵庫のプリン、食べていいわよ」
「あれ、元々私のぉ~~・・・」
そんな微笑ましい姉妹愛をほんわかした気持ちで眺めていたら、
「友奈」
「あ、かぐやちゃ────」
パシン───!
乾いた音がして、頬に痛みが走る。
顔を上げて見れば、無表情でこちらを見るかぐやちゃんがいる。
やっぱり、怒るよね・・・・勝手に飛び出しちゃったもん。
「なんで出てきた」
「ちょ・・・・煌月!?」
「黙ってろ」
仲裁に入ろうとした風先輩を一喝して、かぐやちゃんは私の返答を待つ。
「答えろ。なんで、出てきた」
「─────────かぐやちゃんは、優しいね」
「あぁ?」
叩かれた頬を撫でる。ちょっと赤くなっているけど、もう痛くない。かぐやちゃんが手加減してくれたからだ。
「今だってこうして、左手じゃなくて、右手で叩いて・・・・"叱る"ってどうするのか、ちゃんとわかってる」
「──────────」
「私、かぐやちゃんのそういうところが好き」
「─────そーかよ」
「かぐやちゃんだけじゃない。風先輩も、樹ちゃんも、東郷さんも・・・・みんな大好き。だから、守りたいって思うんだ」
真っ直ぐ、かぐやちゃんの眼を見て話す。
「戦うのは怖いよ・・・死んじゃうのは、嫌。でも、大好きな人たちが、居なくなっちゃうのは・・・・もっと嫌だから・・・・・」
「あー、もういい。解ったから・・・・・ったくよォ・・・・こっちの心配も知らないで・・・」
「えへへ・・・・わがまま言って、ごめんね?」
「何時もの事だ。馴れたよ」
やれやれ、と頭を振るかぐやちゃん。
「怪我は無いか?お前そういうの、直ぐに言わねーからな。痛いとこあるなら、さっさと言え」
「うーん、今はほっぺたが痛いなぁ~~」
ほんとはもう痛くないのだけど、ちょっとだけ、かぐやちゃんをからかってみる。
「我慢しろォ、そんくらい!────────悪かった」
相変わらず、素直じゃないなぁ、かぐやちゃんは♪