新キャラはぐんちゃんに関係あるらしい・・・・・って事は、この作品にも絡ませられそうかも知れない。
何はともあれ、来月が楽しみだせぇ!!!
───翌朝
「昨日の事故知ってる?」
「あー、隣町で起きたやつでしょ?二,三人怪我したっていう・・・・」
「私その時、現場の近くに居てさー」
「え、ウッソ、マジで!?」
「写メ送ろうとしたんだけど、電池切れてて・・・」
「あるあるー。大事な時に限って電池切れ起こすんだよねー」
クラスメイトのそんな会話を聞きながら、私は日直の仕事をする。
今日は東郷さんはお休みだ。
学校には「足の検査に行く」と言っていたらしいが、本当は違う。大赦まで端末を取りに行っているのだ。
(・・・・・・・そういえば、風先輩がかぐやちゃんのこと、"魔術師"って言ってたな・・・・)
私の知らないところで、私の大切な人たちが大変な事に巻き込まれていた。
その事実に、私の背筋は震える。
(大丈夫・・・・今の私には、勇者の力がある・・・・・これなら、みんなを守れる・・・・!)
自分を奮い起たせて、震えを止めようとする。けれど震えは収まらない。
「何ボケーっとしてンだよ」
その時、頭になにかが乗っけられて、後ろからかぐやちゃんの声がした。
乗っけられたのは、紙パックのりんごジュースだった。かぐやちゃんが買ってきてくれたのかな?
「あ・・・・ありがとう・・・・」
「オラ、それ飲んだらとっとと日直の仕事、片付けろって」
「うん・・・・」
「────────大丈夫だ」
「ふぇ?」
りんごジュースを飲もうとしたら、かぐやちゃんが小さな声で呟いた。
「何が有ろうとも、俺がどうにかする。だからお前らは、大丈夫だ」
「───────────────────」
「その代わり、俺の方はお前らに任せるから。持ちつ持たれつ、ってヤツさね」
「─────ふふ、かぐやちゃんらしいや」
もう、背筋の震えは収まっていた。
大丈夫。かぐやちゃんやみんなが一緒なんだ、怖いものなんかありはしない。
「よぉし!」
私はかぐやちゃんから貰ったりんごジュースを一気に飲み干すと、空になったパックをゴミ箱に投げ入れた。
飛んでいく紙パックは、綺麗な放物線を画いてゴミ箱へホールインワン。
「お、ナイッシュー♪」
「んへへ~♪」
―――――――――――†――――――――――
時間は流れて放課後───
部室に着いた私は、端末を操作し、私の精霊"牛鬼"を呼び出す。
アプリの説明書によると、精霊は、私たち勇者に力を貸してくれる存在で、バーテックスから御霊を引き出す"封印の儀"や、勇者のサポートをしてくれるのだとか。
私は気が付かなかったけど、昨日の時もサポートしてくれてた・・・・のかな?
「その子、友奈さんになついているんですね~」
「うん。名前は"牛鬼"っていうんだ!」
「かわいいです~♪」
「ビーフジャーキーが好きみたいなんだ」
「牛なのに!?」
そんな樹ちゃんの精霊は"木霊"というらしい。頭に葉っぱの生えた緑色の毛玉みたいで、こっちもかわいい。
「さて!みんな無事で何よりだワ!」
と、その時、風先輩が黒板からこっちに向き直って、話を始めた。
「戦い方はアプリに説明があるから置いといて、今は戦う目的を話すわね」
「お願いします」
私が返事をすると、風先輩は黒板の謎の絵をビシッと指差して言った。
「こいつ!バーテックス。こいつら人類の天敵が、向こう側から壁を越えてやってくる事が、神樹様のお告げで分かったの。その数、十二体。この前倒したから、残り十一体ね」
「それ、こないだのやつの絵だったんだ・・・・」
「き・・・奇抜な様子をよく表しているよねっ!?」
樹ちゃんのツッコミに対し、フォローを入れる。
「・・・・バーテックスの目的は神樹様の破壊。以前襲って来た時は追い返すのが精一杯だったんだけど、御霊の存在が確認された事で、状況は一変。大赦は神樹様の御力を借りて"勇者"と呼ばれる姿に変身するシステム───勇者システムを作りあげたの。人知を超えた力には、こちらも人知を越えた力ってワケ!」
続けて風先輩は、神樹様(っぽい何か)の絵から線を引っ張り、四つの人(のような何か)の絵に繋げて丸で囲んだ。
「それ私たちだったんだ・・・・」
「げ・・・・現代アートってやつだよ!(汗)」
「結城さん。それはフォローになってませんよ?」
いつの間にか後ろにいたマッキー先生に突っ込まれた!?
というか、先生にお話聞かれて大丈夫なの?
「ああ、私のことはお構い無く。大赦の知人から、大体の事情は聞き及んでおりますので・・・・」
「あー・・・・ありがとうございます先生。じゃ、続けるわね」
なんかよくわからないけど、大丈夫らしい。
「えーと・・・・ああ、そうだ。注意事項として、樹海が何かしらのダメージを受けると、日常に戻ったときにその分、何かの厄災となって現れるそうよ」
「厄災・・・・」
思い出したのは、今朝の事故の話とバーテックスの足下で黒く変色していく樹海の姿。
あの事故が、樹海での戦闘の影響・・・・?
「派手に壊されて大惨事!・・・なんてことにならない為にも、私たち勇者部が頑張らないと・・・!」
「その勇者部も、大赦からの指示で意図的に集めたんだよな・・・?」
それまで黙っていたかぐやちゃんが、突然にしゃべりだした。
「───ええ、そうよ。大赦の調べで勇者の適性がある人はだいたい分かっていたから」
「知らなかった・・・・ずっと一緒に居たのに・・・・」
「・・・・黙ってて、ごめん」
「次、敵はいつ来るんですか?」
「わからない。一週間後かも知れないし、明日かも知れない」
「だったら、なんでもっと早くに言わなかった?」
「それ、は・・・・でも、他のチームが当たる可能性だってあって───」
「そ・・・そっか。他にも、ここみたいなチームがあるんですね?」
「うん。人類存亡の危機、だからね」
「なら、なおのこと事前に言うべきだろ」
「──────────」
「友奈も樹も、下手したら死んでいた可能性だってあっただろうに」
「ゆ・・・勇者の適性が高くても、どのチームが選ばれるかは、敵が来るまではわからなかったのよ!だから・・・・」
「ふーん・・・・・・なら、東郷は?」
「え?」
え・・・・どうしてここで東郷さんの名前?
「あいつは、風さん以上にヤツの事を知っているような雰囲気だった。て、事ァよ・・・・もしかしてなんだが、東郷は以前にもバーテックスと戦ったことがあるんじゃないのか?」
「────────え?」
かぐやちゃんの指摘に、風先輩は呆然としている。
「だとしたら、勇者部が当たる事はほぼ確定だったんじゃないか?」
「─────そん、な」
「・・・・・・その様子だと、そこまでは知らなかったようだな」
「───────────ごめん」
「謝って済む話じゃないだろうが」
「うん。分かってる・・・・・でも、これだけは信じて。勇者部を創ったのは、大赦からの指示があったからだけど、それだけが理由で創った訳じゃないってこと」
風先輩のその一言に、かぐやちゃんは────
「分ぁーってるよ、ンな事ァ」
「──────へ?」
「東郷が言わなかったのは『心配させたくないから』。風さんが言わなかったのも『心配させたくないから』。どっちも他人を思ってやった事だ。別に咎めるつもりはねーよ。でもな・・・・」
「うん」
「勇者部五ヶ条一つ、"悩んだら相談"。一人で抱え込んでんじゃねーよ。せめて俺くらいには話せって」
「うん・・・・ごめん」
「ていっ」
ぺちん、とかぐやちゃんが風先輩にデコピンした。
「あいたっ」
「ごめんはもう聞きあきたぜ。こういう時はよ───」
「・・・・・ありがとう」
「うむ、よろしい」
「─────年下のクセに生意気」
「なら、年上らしい事してみろっての」
「言ったなー!このー!」
「ぬわっ!?ぐりぐりは止めい!────ったく」
良かった・・・・二人とも、ちゃんと分かり合えて・・・・
と、その時。
♪~~♪~~
「────まさかの二日続けて!?」
「人気者は辛いねえ・・・・・東郷から連絡は?」
「──────────来てないわね。仕方ない、向こうで合流しましょ」
さっきまでのふざけあっていた空気は消え去って、真面目な表情で話し合う二人。
間には割り込めそうにないので私は、隣で緊張している樹ちゃんに話しかけることにした。
「・・・・・・・・・」
「大丈夫!私たちならやれるよ。勇者部五ヶ条一つ!"為せば大抵なんとかなる"だよっ!」
「・・・・・はいっ!」
うん。大丈夫みたい。
「話は蒸し返すようだが風さんよ。別に俺は咎めるつもりは無いが、怒ってはいるんだぜ?」
「うっ・・・・・・うぅ、仕方ないわね・・・・・バーテックス全部倒せたら、なんでも一つ言うこと聞いてあげるワ」
「よしなら噂に名高いチアコスで撮影会な!」
「はぁ!?」
「いよーし!俄然ヤル気が出てきたね!!バーテックスちゃんイラッシャーイ!!なんなら十一体全員で来てもいいのよ?」
「フラグ・・・・ですかね?」
「あ・・・・・あははは・・・・(汗)」