契約者達への鎮魂歌 -Re.birth-   作:渚のグレイズ

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Kの襲来、Hの真実 -夏凜と輝夜 その①-

ミーティングが終わり"嵐ヶ丘"へ向かう途中、浜辺で木刀を振るう夏凜の姿を見つけた。

 

「精が出るねー」

「──────煌月輝夜。こんなところで何してるの?」

「これからバイトなんだよ」

「ふぅん・・・・そうだ、今、時間良いかしら?」

「なんだい、改まって・・・・はっ!まさか、愛の告白!?」

「んなわけあるかぁ!!」

「ですよね~(笑)あと思い付くのは・・・・あ、今度のレクリエーションの話か」

「それも違う!!」

「えー?だとすると・・・・・ああ、プールと更衣室の周りに設置した、覗き撃退トラップについてか!」

「それも違────待って何それ私知らない」

 

違うのか・・・・じゃあ、なんだ?他に思い当たる節は──────はっ!まさか"例の計画"がもうバレた!?

 

「─────いや、それは無いな。決めたのついさっきだし」

「は?」

「何でも無ェよ・・・んで、結局何の用事さ」

「────────腑に落ちないけど、まあいいわ」

 

夏凜はジト目で一睨みすると、咳払いをして問いかける。

 

「あんた、自分の"魔装神衣"についてはどれくらい知ってる?」

「まそーかむい?なんだそりゃ?」

「あんたの端末に登録されている武装のこと!!こんな奴が、神樹様に選ばれた魔術師だなんて・・・・!」

「へー、そんな名前なのか・・・・」

 

アプリを起動して確認。

ふむふむ、個体名称は『ミストルティン』と・・・

死なない神様をぶっ殺した冥界の木の枝の名前と同じじゃん、超カッケー。

 

「神サマだって殺せそうな名前してんなぁ~」

「不謹慎なこと言わない!」

「ジョークだよ、ジョーク」

「ぐぬぬぬ・・・・・!!」

 

あー楽しい♪

 

なんだろうね、この、"打てば響く"って表現であってるのか?友奈たちと一緒にいるときとはまた違った楽しさがあるね♪

さて、そろそろ夏凜の堪忍袋が切れそうだから、真面目に聞いてあげましょうかね。

 

「で?俺の『ミストルティン』が何だって?」

「だからっ!扱いきれているのかって話!!─────ま、名前も知らないようじゃ、たかが知れてるけど」

「ほう、言うじゃないか。そういうお前さんこそ、勇者の力に随分と御執心だな」

 

安い挑発だが、ケンカっ早い俺はあっさりと乗ってしまう。

 

「・・・・・なんですって!?」

「他の連中との交流も無視して、こんな場所で訓練に明け暮れて・・・・"勇者である事"がそんなに大事なのかよ」

「─────────だったら、何?」

 

どうやら俺の一言は、夏凜の地雷を踏み抜いたらしい。しかし、もう時既に遅し。

 

「特別だか何だか知らねーけどよォ・・・・開発に二年も掛かったモンが、なんでお前のだけ一月も遅れた?調整が必要だとか言っていたが、俺達のシステムは調整とか受けて無ェんだぞ?怪しいと思わねえの?なぁ?」

「──────────さい」

「ンなモンにすがって、必死こいて努力して、あんたはいったい何を求める?まっ!どーせ、ロクなモンじゃないんだろーけどな」

「うるさい!!!」

 

夏凜の叫びが聞こえた直後、木刀が飛んで来たので左手で掴む。

 

「──────で?」

「勝負しなさい」

「なるほど、実力で黙らせようって魂胆」

「それ、貸してあげる。無手の相手に勝っても嬉しくないもの」

「言ってくれる・・・・なら尚更、木刀(コレ)は返す」

 

木刀を投げ返すと、夏凜の表情は更に険しくなる。

 

「─────怪我じゃ済まないわよ?」

「やってみろよ。出来るものなら」

「上っ等!!吠え面かかせてやる!!!」

「コッチのセリフだボケァ!!!!!!」

 

売り言葉に買い言葉。

俺達の"交流"はこうして、幕を開けた。

 




・・・・・夏凜ちゃん、こんなキャラだっけ?(唐突)

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