契約者達への鎮魂歌 -Re.birth-   作:渚のグレイズ

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Kの襲来、Hの真実 -夏凜と輝夜 その④-

「──────あの態度は、流石に酷くねーか?」

 

春さんに突っぱねられ、呆けている夏凜にコーヒーのおかわりを差し出した俺は、慌てて春さんの後を追っかけて工房まで来た。

 

「・・・・・・・・・・・」

「だんまりかい。あと、何を弄ってん?」

 

春さんは人型の何かを修理していた。あれは・・・・確か、この前見たな・・・・なんて言ったっけ?パワードスーツとかなんとか・・・・・

 

「・・・・・・・・・・・」

「まァた、だんまり・・・・夏凜はなぁ、懸命に努力して勇者になったんだぞ?なんか言ってやったらどうなのさ」

「─────────そんなの、僕は望んでない」

「なら尚の事、言ってやれよ。『対話による相互理解こそが、家内安定への第一歩』だぜ?」

「・・・・・・・・・・ああ、先生の言葉か」

「こんなカッコいい台詞、ばっちゃくらいしか言わねーだろ」

 

不敵に笑ってみせると、春さんは苦笑を返してくれた。

 

「ま、夏凜とは後でじっくり話し合ってもらうとして・・・・・何してんの?」

「"ジェフティ"の整備だよ」

「ジェフ・・・・・・?」

「旧暦の時代にあった企業"へリオポリス"が造り上げたパワードスーツ『Ennead Number's』の一機だよ」

 

Ennead(エネアド)───へリオポリス─────確か、どちらもエジプトなる外国の神話に出てくる単語だったな・・・・どういう意味かは知らない。

 

「現存するNumber'sは三機って言われててね・・・・ある人から譲り受けたのがこの機体なんだよ」

「ある人?」

「僕が大赦に所属していた頃、お世話になった人さ」

「ばっちゃじゃなくて?」

「先生とは別の人だねえ」

 

ふむ・・・・誰だろう・・・・?

まあ多分、俺の知らない人なんだろうけど。

 

「ちなみに、君の左腕はこの機体の武装を流用して造った物だよ」

「え!?マジで!?」

 

武装付きとはまた・・・・・物騒なマシンだこと。

 

「・・・・・・着てみたい?」

「良いのか?」

「そろそろ、試着して性能を試してみたかったからね。輝夜くんなら、良い被験体になってくれるよ」

「それ絶対誉めてねーよ」

 

なんて言いつつも、喜んで被験体を努めさせてもらう。

なかなか楽しかった。

古い技術も、バカにしたモンじゃないね!

 

―――――――――――†――――――――――

 

それから数日後

 

特に何事も無く、レクリエーションの日がやってきた。

やってきた・・・・のだが、

 

「夏凜ったら遅いわね・・・・・」

「迷子になっちゃった・・・・とかかなあ?」

 

夏凜が来ない。

こういう時、だいたい十分前くらいから来ていそうな奴なのに・・・・

樹の言うとおり迷子とかか?

 

「電話は?」

「今からかけるところだよ」

 

友奈が端末を操作し、夏凜に電話をかける。

しばらくして・・・・・

 

「───────あ」

「どうしたの?」

「切れちゃった」

「は?」

「なんか、向こうから切ったみたいな感じで・・・・」

「もっかいかけ直してみろよ」

「うん」

 

・・・・・・・・・・

 

「───────今度は繋がらないよ」

「・・・・・・なんかあったのかも」

「えぇ!?」

 

やれやれ・・・・仕方ねぇな。

 

「俺が様子を見てくる。お前らはそっちを頼む」

「分かった。夏凜をよろしくね、煌月」

 


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