あと、happybirthdayメブ~~♪
「そんなワケで、俺達は今カラオケ屋に来ているのぜ~」
「輝夜、誰に話てんのよ?」
「気にしたら負けさね」
夏凛のツッコミを受けつつ、ノリノリで歌う風さんを見る。友奈と東郷がそれに合わせて合いの手やらマラカスやらで盛り上げている。
「イエーイ!聞いてくれてありがとー♪」
さて、点数は─────────────ほう!92点か!
「良かったよ、お姉ちゃん」
「さんきゅー♪」
樹の言葉に風さんが答える。
さて、お次は──────
「夏凛ちゃん夏凛ちゃん。この曲知ってる?」
「ん?知ってるけど・・・・」
「じゃ、一緒に歌おうよ!」
「はぁ!?ちょ・・・・冗談じゃないわよ!馴れ合う為にここにいる訳じゃないんだから!!」
「そうよね~~。私の後じゃあねぇ~~。ゴ・メ・ン・ねぇ~~~」
風さんが自分の出した点数を指差して、夏凛を煽る。
「───────────友奈。マイクを貸しなさい」
「へ?」
「早くっ!!!」
「は・・・・はいっ!!」
―――――――――――†――――――――――
友奈と夏凛の抜群のコンビネーションによるデュエットで、叩き出された点数は──────92点!
「はぁ・・・・はぁ・・・・」
「はぁ・・・・はぁ・・・・夏凛ちゃんすっごい上手~~♪」
「ふ・・・・・フンッ。この程度、どうって事無いわ!」
相変わらずのツンデレ台詞、頂きましたァーーーーーーーーー!!
「─────ちょっと輝夜。なによ、こっち見て」
「いえいえ別に何も~~?2828」
「ぐぅ!!こ~~い~~つ~~・・・・!!」
「まぁまぁ、次は樹ちゃんの番だよっ♪」
「は・・・・・はいっ」
緊張気味の樹が歌う。
結果は──────まあ、言わぬが花だな。
「あうう・・・・」
「まだちょっと硬いかなぁ」
「誰かに見られていると思うと、それだけで緊張しちゃって・・・・」
だいぶ重症だな、こりゃ。
「まぁまぁ、今は練習なんだし。ほら!お菓子でも食べて──────って、無い!?」
「お菓子なら牛鬼が全部喰っちまったぞ?」
「んなぁ!?!?!?」
「あはは、牛鬼は食いしん坊さんですね~」
「ううう~~・・・・食べ過ぎだよぉ~~・・・・」
涙に濡れる友奈をなだめていると、突然、軍歌が流れ始めた!
これは────!
「あ、私の入れた曲」
東郷がマイクを握ると、夏凛以外の俺たち四人は立ち上がり、敬礼する。
「ぅえっ!?何!?」
呆然とする夏凛を他所に、東郷はがっつり歌い切る。
音楽が止み、採点画面に切り替わったところで四人同時に着席。
「──────何、今の?」
「私たち、東郷さんが歌う時はいつもこんなだよ~♪」
「こうしないと、後が怖いんさー・・・・『護国の心が足りーん!』って────」
「そ・・・・・そう・・・・・」
「そうよ。という訳で・・・・・・・・・夏凛ちゃんには後でお話があります」ゴゴゴゴゴゴ・・・・・
「ひぃ!?」
あーあ、東郷の心に火ィ着いちまったな・・・・
おっと、そうだ忘れてた。東郷の次は俺の曲だ。
「よし───────俺の歌を聞けェ!!!!」
今回歌うのは、俺の『48のカラオケ十八番』の一つ。
旧暦時代、初の合体変形ロボットアニメとして有名になったシリーズの三大OVA作品の一作目にて、物語後半のOP曲として使用された曲だ。
「───────上手いわね、輝夜」
「そりゃそうだよ!なんたってかぐやちゃんの『48のカラオケ十八番』の一つだもん!」
「───────────突っ込んだら負けかしら?」
気持ちよく歌い上げた俺は、採点結果を期待して待つ。
さて、結果は────────────────83点か。
「まぁまぁだな」
「でも上手でした!さすがです、煌月先輩!」
「フッ─────まあな!」(ドヤァ)
「それじゃ、次はなに歌おっか?」
「そうねぇ───────」
いつも通りに雑な扱いを受けつつ、次に歌う曲を選んでいると、風さんが部屋から出ていった。
なんだろ、便所かな?
───────view,change:風────────
水の流れる音が響く中、私は洗面台の鏡に写る自分の顔を見た。
ひどい顔だ。とてもじゃないけど、みんなには見せられない。
「大赦からの連絡?」
その時、髪紐の鈴を鳴らしながら、夏凛が入ってきて私に訪ねる。
「─────『最悪の事態を想定しておけ』、って」
「ふぅん・・・私には連絡してこない癖に・・・・・」
夏凛はそうぼやくと、私を見据えてはっきりと言った。
「怖いの?」
「──────────」
「なら、あんたは統率役には向いてない。私の方がうまくやれるわ」
夏凛のその言葉に、私はそれまで流しっぱなしにしていた水道の蛇口を止める。
「これは私の役目で、私の理由なのよ」
「──────────」
黙る夏凛の横を通って外に出る。
「後輩は黙って先輩の背中を見てなさい」
通りがかりに、一言だけ告げて。
―――――――――――†――――――――――
夕暮れの帰り道。
カラオケの後は、勇者部のみんなでこうして並んで帰ることが多い。
「歩いて帰るのって久しぶりね・・・・」
「うん。でも、樹ちゃんの歌の訓練にはならなかったねえ・・・・」
「でも楽しかったです!」
「そりゃなにより。昔、死んだばっちゃも言っていた。『楽しむ事こそ、上達の道』とね」
前を歩く樹たちが、楽しげに会話している中、私は、大赦から送られてきたメールの事で、頭が一杯だった。
「風さん?聞いてる~?」
「ぅえ?な・・・何?」
だから、煌月の声に反応するのに、ワンテンポ遅れてしまった。いつもなら即座に反応していたのに・・・・
「樹の歌のことよ」
「あ・・・・ああ・・・そうね」
夏凛がフォローを入れてくれる。
おかげで私は会話に追い付く事ができた。
「うーん・・・・樹はもうちょい練習が必要かな?」
「α波出せるように・・・・・!」
「α波から離れなさいよ・・・・」
「東郷お前、まァだα波信仰してンのかよ・・・・」
何気ない平凡な中学生らしい日常。
私たちは、この平和な日々を守るために、戦わなくてはならない。
(もしもの時は──────)
大赦がああ言ってくるという事は、最悪の場合、この中の誰かが─────
「ふ~~~う~~~さんっ!」
「ぅわっ!?びっくりしたぁ!」
いつの間にか、目の前に煌月が居た。
「なんか、悩み事?」
「───────やっぱ、分かる?」
「分かりやすいねぇ。風さんが会話に乗っかってこないもん」
「────────そっか」
幼馴染なだけあって、友奈と煌月の二人は、他人の感情にとても敏感だ。
本当、素直に凄いと思う。
「敢えて聞くようなことはしないよ。でもね────」
「・・・・・・もしもの時は、私がなんとか致します」
「──────煌月?」
少し、機械的な口調の煌月に少し驚く。
でも、それだけじゃない。
さっきまで黒かった瞳の色が、何故か一瞬、
目をこすり、もう一度見直す。
けれど煌月の瞳は、いつも通りの黒い色。
「──────今のは・・・・いったい・・・・」
「ん?何、風さん。俺に惚れた?」
「それは無い」
「ひどーい」
良かった。いつもの煌月だ。
「─────ありがと、煌月」
「your welcome」
腰まで届く長い三つ編みの黒髪を揺らして、煌月が笑う。
その笑顔を眩しく思いながら、私たちは帰路に付くのだった。