契約者達への鎮魂歌 -Re.birth-   作:渚のグレイズ

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こっちだと初めて?な三人称視点。
今回、目まぐるしく状況変わるから、こっちのが書きやすいんよ~~

あと、今回いつもより長いです。


Attack on Vertex -華、開く-

爆煙の中を、風に舞う木葉の様に宙を飛ぶ輝夜に、東郷は自責の念に駈られる。

 

(私のせいで・・・・私が、もっと速く動いていたら・・・・こんな事には・・・・・)

「ごめんなさい・・・・・輝夜くん・・・・」

 

 

 

 

 

「『おはようございます 戦闘行動を 開始します』」

 

 

 

 

 

「・・・・・・・え?」

 

爆煙の中から聞こえて来たのは、どこか機械的な、見知らぬ女性の声。

東郷がいぶかしんでいると、煙を振り払い、その声の主が立ち上がった。

 

「かぐ・・・・や・・・くん・・・・?」

 

「『敵性個体を確認 名称不明 登録無し 計測出来るエネルギー量から 暫定個体名を"スタークラスター"で登録します』」

 

全く此方を見ず、真っ直ぐにスタークラスターと呼んだ超巨大バーテックスを見つめ、輝夜?が歩き出す。

 

「あ・・・待って・・・・!」

「『───────』」

「っ!?・・・・ぁ・・・その・・・・顔・・・・」

 

東郷の呼び掛けに振り向いた輝夜?の顔を見て、東郷は驚愕した。

 

 

 

 

 

顔面の右半分の肉が削げ落ち、中にあった金属製のスケルトンが剥き出しとなっていたのだ。

 

 

 

 

 

「『────────』」

「ひっ!?」

 

歩み寄る輝夜?に、怯えを見せた東郷だったが、足が動かせないので、下がることができない。

 

しかし、それで良かったのかもしれない。

 

「─────────え?」

「『─────────』」

 

感情を感じ取れない、無表情な顔のまま、輝夜?は東郷の頭を優しく撫で、目元に溜まった涙を拭ってあげたのだ。

 

「──────輝夜くん」

「『・・・・・・私は 煌月輝夜ではありません』」

「え?」

 

「『私は 人智の及ばぬ敵性体との 戦闘を想定して創造さ(つくら)れた 量子演算式小型人工知能(フォトン・ドライヴ)。個体識別番号"AIーNo.La:6(セスタ)"です』」

 

その、淡々とした口調に、東郷は呆然とAIを名乗るモノを見つめるのみ。

 

「『敵性個体"スタークラスター"の 戦闘能力を計測 此方の予想数値を大幅に上回る結果が算出されました よって 全力稼働にて迎撃を開始します』」

 

東郷からの反応が返ってこないと、AIは再びスタークラスターへと向け、歩み始める。

その途中で、AIは端末を取り出すと、魔装神衣のアプリを開き、五色に塗り分けられた花のボタンをタップ。

 

上空から、五つの光がAIの周囲に降り注ぎ、五種類の武具へと変化した。

 

一つは、薙刀

一つは、巨大な扇

一つは、二振りの小太刀

一つは、大筒

一つは、拳当て(ナックルガード)

 

その中から、大筒を選び取ったAIは、砲身横の二つのツマミを操作すると、スタークラスターに向けて撃つ。

 

放たれた弾丸は、スタークラスターの身体に、風穴を開けたのだった!

 

しかし、その程度ではバーテックス故に倒れない。

そこでAIは大筒を投げ棄て、身の丈程もある巨大な扇を選び取る。

パンッ!と音を立てて扇を広げると、AIは舞う様に詠唱を始めた。

 

「『凪ぐ風が断ち そよぐ風穿つ』」

 

扇を中心に風が集まっていき、小さな竜巻を作り出す。

だが、それを黙って見ているバーテックスでは無い。即座に火の玉を撃ち、AIを迎撃する。

 

「『天風は吹き荒れ 神風は止む』」

 

「『大地を削ぎ落とし 山河を産み出せ』」

 

「『大いなる風は 今こそここに吹き乱れん!!』」

 

 

 

 

 

「『偉大なる風の太刀 『刃翔乱(ばしょうらん)』!!!』」

 

 

 

 

 

扇を扇ぎ、溜め込んだ風を解放すると、巨大な竜巻が火の玉ごとスタークラスターを巻き上げ、風の刃で切り裂いた!

 

「─────すごい」

「あれが・・・・上級魔術・・・・」

 

しかしそれでも、スタークラスターの表面が傷付いたのみである。

扇も棄てたAIは、今度は小太刀を取り────

 

「『敵性個体より 高密度の水珠を確認』」

 

それより先にスタークラスターから巨大な水球が放たれ、AIに向かって一直線に迫る。

 

「『──────位置関係を確認 回避は非推奨』」

 

ちらりと後ろを振り返ったAIは、棒立ちのままその水球に呑み込まれたのだった。

 

「え・・・なんで避けなかったのよ・・・?」

「──────風先輩が、後ろに居たから?」

 

AIは、気絶していた風の前で戦っていたのだ。

先程漸く起きたばかりの風では、水球に気付けても回避は間に合わない。故にAIは、避けることなく受け止めたのだ。

 

「くぅ・・・・アタシの、せい・・・・で・・・・」

 

「『──────────穿ち水月』」

 

水の中から、武器の名を呼ぶと、薙刀がAIの元へと飛んで来た。

 

「『波風を揺らせ』」

 

そして再びの呪文詠唱。

 

「『綾波を束ねよ』」

 

「『打ち(ひし)ぐ潮騒』」

 

「『荒れ狂う水面』」

 

一つ一つ、呪文を唱える度、水球が小さくなっていき、三節唱える頃には、全ての水が薙刀に巻き上げられていた。

 

「『湖処(ここ)に錨を』」

 

「『水底(そこ)(かばね)』」

 

「『凡て呑み込み 原始に還せ!!』」

 

 

 

 

 

「『翻す水の怒号 『磨波姫(まなひめ)』!!!』」

 

 

 

 

 

薙刀の鋒をスタークラスターに向け、集めた水を解き放つ。

大洪水にも匹敵する水量がスタークラスターを呑み込み、洗い流していった。

 

「・・・・・圧倒的過ぎでしょ」

「『敵性個体沈黙 なれど 反応は未だ衰えず』」

 

またも薙刀を棄て、次の武器を取ろうとした、その時であった。

 

突如として、AIの動きが停止した。

 

「え?何?」

「止まった・・・・?」

「『しゅ・・・・つ力・・・の・・・・低下・・・・を 確に・・・ん・・・・生命・・・・維持・・・を・・・・優・・・・・せ・・・・ん・・・・し・・・ま・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』」

 

バタリ、と糸の切れたマリオネットの様に、輝夜の体が倒れる。

 

「かぐやちゃん!!!」

 

そこへ慌てて友奈と夏凛が駆け寄る。

 

「かぐやちゃん・・・・・かぐやちゃんっ!!!」

「・・・・・・・気を失ってるだけみたいね」

「よ・・・良かった・・・・かぐやちゃん・・・・・」

「良く無いわよ!あのバーテックス、起き上がって来てんのよ!?どうすんのよ!」

 

現状の戦力では、スタークラスターに対抗できない。それを身を以て理解した夏凛が吠える。

戦力が足りないならば、どうすれば良いか。

 

「・・・・・・だったら!」

 

友奈が右手の甲にあるゲージを見る。

と、その瞬間だった。

 

 

 

 

 

友奈達の背後で、大輪の華が、咲き誇った。

 

 

 

 

 

「煌月が作ってくれたチャンス・・・・無駄になんて出来る訳ないでしょぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!!!!」

 

 

 

 

 

風が"満開"を使用したのだ。

 

「アタシはね、先輩なのよ・・・・部長なのよ・・・・それなのに・・・・!!」

 

起き上がったスタークラスターから火の玉が風に向かって放たれるが、それを回避し、

 

「後輩にばっかり、いい格好させる訳にはいかないでしょうがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

スタークラスターにも匹敵するサイズの大剣を呼び出し、スタークラスターを地面に叩きつける!

 

「よっし!次ィ!!」

 

更にその後方で、青い華が咲き誇る。

 

「東郷さん!」

 

宙に浮かぶ戦艦に乗って、東郷がバーテックスを睨め付ける。

 

「・・・・・これ以上は、許さない!輝夜くん、私、もう逃げない!!!」

 

懐から日の丸の書かれた鉢巻を取り出すと、それを巻いて、宣戦布告する。

 

「我、敵軍ニ総攻撃ヲ仕掛ケル!!!」

 

そうはさせないと言わんばかりに、それまで地中に潜っていた魚座(ピスケス)が東郷の射線を遮った。

 

が、戦艦より放たれた砲撃の弾幕は、魚座をあっと言う間に粉々に砕き、封印無しで御霊を露出させるに至った。

 

「この程度なら、封印の儀は必要ないみたいね!」

 

傲ることなく、冷静に御霊を撃ち抜き、魚座は消滅した。

しかしここで、もう一つの伏兵が現れる。

 

「・・・・・え!?嘘!?いつの間にこんな距離まで!?」

 

後数百キロの場所まで侵入していたのは、双子座。

 

「そんな!?あのバーテックスは、さっき輝夜くんが壁にしていたはず・・・・双子・・・・まさか、二つで一つ・・・・!?」

 

確かに今神樹に向かって走る双子座は、先程輝夜が壁にした個体とはカラーリングが別だ。しかし、そんな事を気にしている余裕は、今の東郷には無い。

急ぎ、砲撃を敢行するが、双子座は見事なステップでかわしていく。

 

「軽やかにかわされた!?このままじゃ・・・!」

 

 

その瞬間、心優しき華が、咲き誇る。

 

 

「私達の日常を・・・壊させない・・・・!」

「樹ちゃん!!」

 

樹が"満開"を使用したのだ。

 

「そっちに行くなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!」

 

樹がやった事は輝夜と同じだ。双子座の退路を絶ち、足を止めた瞬間にワイヤーで絡めとる。

がんじがらめに縛り上げられた双子座は、そのまま樹の元へと引き寄せられ、

 

「おしおきっ!」

 

粉微塵に引き裂かれ、双子座はその御霊を露出させた。

 

「ていっ」

 

御霊にワイヤーを突き刺して、双子座は消滅した。

 

これで残るはスタークラスターのみである。

 

「樹やるぅ~~♪・・・・・・ん?」

 

急に周囲が赤くなったので、空を見上げれば───

 

「・・・・なぁによ、この元気っぽい玉(汗)」

 

地面にめり込んで身動きの取れないスタークラスターが、最後の力を振り絞り巨大な火球を生成していたのだ。

 

「ふ・・・風先輩!!」

「総員、封印準備ぃぃぃぃ!!!!!!」

「!?」

「アタシがこいつを抑えているうちに、早く!!!」

「わ・・・・わかった!」

「了解!」

 

風が、放たれた火球を大剣で受け止めている間に、友奈達が封印の儀を執り行う。

 

「「「「封印開始!!!!!!」」」」

 

無事、儀式は成功し、スタークラスターより御霊が現れる。

しかしそれよりも先に、風が抑えていた火球が爆発。

激しい爆風が友奈達に襲い掛かる!

 

「きゃああああ!!!お姉ちゃん!!!!!!」

 

樹が悲鳴を上げる。が、風は最期の力で一言だけ叫ぶ。

 

「そいつを・・・・そいつを倒せぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!!!!」

 

それは、後へと託す願い。

しかと受け取った四人は、いざ、御霊と向き合う。だが、

 

「何よ・・・・あれ・・・・・」

 

そう呟いたのは誰だったか。

摘出された御霊を見て、一同は絶句していた。

 

 

 

 

 

とてつもなく巨大な御霊が、宇宙空間に出現していたのだ。

 

 




─五武具足─

煌月輝夜の魔装神衣。
纏う衣装は、学ランをモチーフにしている。
五武具足の名の通り、五種類の武器を用いて戦う。

以下はその名前↓

・水属性の黒い薙刀"穿ち水月"

・木属性の青い扇"無花果(いちじく)"

・火属性の赤い二振りの小太刀"双炎義(そうえんぎ)"(それぞれ、矛勇(むゆう)鎖羅(さら)という銘がある)

・土属性の黄色の大筒"ヴァジュラ・カノン"(砲身の横に二つのツマミがあり、それを操作して弾丸の収束性と速度を調整できる)

・金属性の白い拳当て(ナックルガード)"金剛拳"

―――――――――――†――――――――――

作中に出てきた呪文は、PSのゲーム『俺の屍を越えて行け』を参考にしました。
詠唱はテキトーに考えたモノ。こっちの参考資料はBLEACH。

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