特に甘露寺さんと伊黒さんの生まれ変わりさんが『一緒に』(←ここ重要。)食堂を経営してるの、本当に好き。
素敵な作品をありがとう、本当にありがとう。
それしか言葉が見つからない・・・
「・・・・・・・・んぁ」
普段の寝起きは良い筈の俺だが、今回ばかりは流石に頭がまだぼやけている。
時間は─────あれ、時計無いや。ナースコールナースコール・・・・と。あった。ポチッとな。
さて、ここは何処だ?病院なのは判る。こう見えて病院に入院するのは三度目の経験だ。──────胸張れる事じゃねーな。
―――――――――――†――――――――――
やって来た看護婦さんに色々聞かれたり聞いたりして、情報を共有。どうやら俺は一週間寝っぱなしだったらしい。マジかー・・・・
「かぐやちゃん!!」
「お、ゆうな゛っ!?!?」
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!かぐやちゃんのばかぁ!!!ばかばかばかぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
俺が起きたのを聞いたらしい友奈が病室に突撃してきた上に、俺に飛びかかってきてぽかぽかと叩いてきた。
「うぐぅ・・・・いってぇな・・・・飛びかかンの止めろよ・・・・ったく・・・・」
「うぅぅぅ・・・・そんなの、かぐやちゃんが悪いんじゃん・・・・・」
半泣きの友奈の頭を撫でると、友奈は叩くのを止めた。相変わらずぐずっているが。
「あーはいはい、俺が悪うごぜーました・・・・だから許せって、な?」
「やだ」
「あのなぁ・・・・・」
参ったなぁ・・・・こういう時の友奈って滅茶苦茶頑固なんだよな。
どうやって友奈の機嫌を治そうか考えていた時だった。
「輝夜!!」
「輝夜くん!!」
「煌月!!」
「────!!」
夏凛を始めとする、他の連中が病室に飛び込んできた。
「お前らよォ・・・・病院なんだから、静かにしろよなー」
「人に心配かけといて・・・・何言ってんのよぉぉ・・・・!」
「ま~~ったく・・・・そういうとこ、あんたらしいワ!」
「良かった・・・・本当に、良かった・・・・」
「───────!!」
熱烈歓迎じゃないの。俺ってそんなにモテモテかい?
「・・・かぐやちゃんがろくでもないこと考えてる」
「うわー、煌月ったらサイテー」
「輝夜・・・・あんたって奴は・・・・」
「あらあら・・・吊るされたいのかしら・・・?」
「───────────(冷ややかな眼差し)」
「結局こんな扱いかよチキショーめェェ!!!」
―――――――――――†――――――――――
その後、夏凛が持ってきてくれた義足─どうやら夏凛が春さんに頼んで修理してもらってくれたらしい─を装着し、談話室までやってきた。他の連中は皆もう既に退院済みのようで、病衣ではなく制服姿だった。
それは良いんだが・・・・
「なぁ、風さん。その眼帯どーした?」
「フフフ・・・・これは先の大戦のおr「あ、そういうのいいんで」ちょっとぉ!?」
風さんのボケを華麗にスルーして、本題に入る。
「で?本当は?」
「・・・・・・うん。なんか、右目の視力が落ちてるみたいなのよ。どうもあの戦いの影響みたいなのよねー」
「─────────ふぅん。そっか。治るの?」
「医者の話だと、そのうち治るそうよ」
そう、夏凛が言う。
「そう・・・・か。医者が言うなら・・・・大丈夫かな?」
不安な点は幾つかあるが、専門医の言うことだ。間違いは無い─────筈だ。
ちょんちょん
「??どうした樹。なんか用か?」
袖を引っ張り樹がスケッチブックを見せる。
『こうづき先輩はどこもおかしいところ、ないですか?』
「ん?俺かい?へーきへーき。心配ありがとう、でもどうしたんだ?スケッチブックなんざ持って。そういやさっきから一言もしゃべって無ェけど───────まさか」
『おねえちゃんとおなじです。わたしは声が出なくなっちゃいました』
なんと
「─────それも、いつか元に戻るって?」
『そうきいてます!』
にこやかに笑ってスケッチブックを見せてくる樹。
その笑顔に、申し訳ない気持ちが込み上げてくる。
「・・・・・俺、結局なんにも出来なかったな」
「「「え?」」」
「・・・・・・え?」
東郷以外の四人が、『こいつは何を言っているんだ?』という表情で俺を見る。
「何言ってんのよ。あんたがあのバーテックス弱らせてくれたから、なんとかなったんじゃない!」
は?
「かぐやちゃんすごかったよね~♪」
「噂に聞いてた上級魔術。まさか、敵の攻撃を吸収して倍に返すだなんて・・・・流石に認めざるを得ないわね・・・・!!」
『せんぱい、かっこよかったです!』
いやいやいや!え?なんで俺、こんなに賞賛されてんの!?なんかした?
戸惑っていると、東郷から目配せ暗号が送られてくる。
『輝夜くんは、そのまま賞賛を受け取って。理由は後で話す』
うーん・・・・なァんか気が引けるが・・・・
「フッ・・・!まァな!!俺にかかれば、あんなもんよ!!!」
とりあえず、東郷の指示通りにしておくことにした。
―――――――――――†――――――――――
その後、談話室にて行われた祝勝会にて、友奈の様子がおかしい事に気付いたが、お祝いムードの中をぶち壊すのも嫌だったので、その時は敢えてスルーする事にした。
そして、病室に戻りしばらくすると、扉がノックされた。
「・・・・輝夜くん、居る?」
「・・・・・・東郷」
入って来たのは東郷だった。
要件は・・・・・まあ、分かりきっている事だな。
「んじゃ、説明してもらおうか?あの戦いで何が起きたのか、それと、俺が寝てた一週間に起きた出来事を」
「ええ。でもその前に、輝夜くんは、どの辺りからの記憶が無いの?」
「記憶っつーか・・・・合体したバーテックスに吹っ飛ばされて、なんか、頭ン中から声が聞こえてきてから先は、全く記憶が無いな」
「─────────やっぱり」
「ん?」
「落ち着いて聞いてね。実は─────」
―――――――――――†――――――――――
「────以上が、輝夜くんが気を失ってから今日までの出来事よ」
「・・・・・・・・・・」
「輝夜くん?」
よもや・・・・・そんな事が起きていたとは・・・・
「AIを名乗る謎の人格。突如現れた犬頭の少年。そして、満開の後遺症・・・・・頭痛が痛いぜまったく」
「頭痛が痛いだと変よ、輝夜くん」
「わーってるよ・・・・・・そのくらい、頭が痛いって言ってンだよ」
さっき、友奈の様子が変だったのも、後遺症のせいなのだろう。
「・・・・・あいつのあの様子だと、味覚かその辺りってところか」
「ええ、そうみたい」
「東郷は?」
「・・・・・・・・・私は、左耳の聴力が」
「聴こえなくなってるワケね・・・・・夏凛は、満開してないんだったか・・・・無事なんだな?」
「うん」
「なるほど・・・・・医者が『治る』と言っている以上、その言葉を信じたくはあるが・・・・・」
しかし、それが嘘である事を裏付ける証拠もある事もまた、事実だ。
「・・・・・もし」
「ん?」
「もし、私の記憶とこの足が、満開の後遺症による物だとしたら・・・・・」
「それが真実だとして・・・・果たして、アイツ等はそれを受け止めきれるのか?」
「・・・・・っ!?でもっ!」
「真実を語ることが、常に正しいってワケでも無いだろ・・・・・時には優しい嘘も必要なんだよ」
「・・・それは、理解しているつもりよ・・・でも」
東郷の言い分も理解できないワケじゃない。しかし、大赦職員だって人間なんだ。俺達みたいな
むしろ問題なのは、
『尊い犠牲』
『必要な贄』
『コラテラルダメージ』
『人柱』
そんなクソみたいな"キレイゴト"を並べて、後遺症の件を正当化しようとする人間も、世の中には居る。
だからこそ、あの日大惨事に─────
「───────あれ?」
「輝夜くん・・・?」
「・・・・・・いや、別に」
というか、
「───────────」
「・・・・輝夜くん」
「・・・・・・悪ィな、東郷。今日は、帰ってくれると、助かる」
「・・・・・・・お大事に、ね」
突然の激しい頭痛に見舞われた俺は、東郷を見送ることも出来ず、そのままベッドへ倒れるように、眠った。