翌朝、何事もなく目覚めた俺は、簡単な検査を受けてすぐに退院となった。
元々、身体に異常はなく、単純に一週間も寝てただけだったからこそのスピード退院らしい。寝てただけとはいえ一週間も入院していたのだから、スピードもクソも無いな。
「退院おめでとう!かぐやちゃん!!」
「おう!シャバの空気が懐かしいぜ・・・!」
「はー、何を言っているんだか・・・」
「そういうところも、煌月らしいワね」
『みんな、なんともなくて、よかったです』
「ええ、本当にそう・・・・」
笑う仲間達を見て思う。
俺は、この日常を守ることができたんだ、と。
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「良い眺め~・・・」
夕暮れ時の学校の屋上。
病院を出てすぐ、俺たちは学校へ赴き、ここからの町並みを眺めている。
「私たちが、守ったんだよね」
「普通に暮らしている連中は知らないけどな」
「それでも、誇れることだと思うわ」
「・・・・・・・そうだな。誰も知らない、俺達だけの勲章だ」
「おー、なんか格好いい響き!」
「だろー?」
「うふふふ♪」
ふと、夏凛と風さんが端末を見る。
その後の反応は対照的で、夏凛は笑い、風さんは暗い顔をしていた。
「なにか良いことでもあった?夏凛ちゃん」
「ふぇ!?べべ・・・別に何も!」
友奈の問に照れ隠しする夏凛を尻目に、風さんに声をかける。
「風さん」
「え?何?」
「・・・・・大丈夫だよ。何があっても、なるようにするさ。無責任な発言なのは、わかってるけどな」
「────────煌月」
『どうかしたの?お姉ちゃん』
「─────ううん。なんでもない。ありがと煌月」
「Your welcome」
そう言ってウインクしてやると、ようやく風さんも笑った。
そうして話題は、夏休みにやりたいことにシフトする。
やりたいことを語り合う中、俺は一人、何があっても大丈夫なように、準備だけはしておこうと、心に決めるのであった………
―――――――――――†――――――――――
「────以上が、アタシからの報告だ」
「うんうん、勇者部のみんなは、なんとか生き延びることができたんだね~」
先程まで輝夜が入院していた病院の一室。
そこでは、仮面の少女───鉛と、全身包帯に巻かれベッドに寝る少女が話し合っていた。
「私が預かった"あれ"も、無事起動したみたいだし、今後の準備は万端・・・かな~~?」
「だと良いけどな」
鉛が、その仮面を外してベッドの隣の机に置く。
「正直な話、アイツが何を考えて、AIを奴に埋め込んだのかわからないんだよな」
「彼には彼なりの考えがあるんよ~。だからこそ、貴女を・・・・・ミノさんを彼のサポーターとして送った」
「それは理解してるし、アタシだって、アイツの近くに居られるんだ。わからないなりきに頑張ってはいるんだけど・・・・・」
「ミノさんも、彼のこと、大好きだもんね~♪」
「─────────────ばーか///」
包帯少女が、鈴を転がしたような声で笑う。
それに釣られてか、"鉛"ではなく"ミノさん"と呼ばれた少女も笑った。
「・・・・・それにしても、たった二年であんなになっちまうとは・・・・」
「・・・・・・仕方ないよ。私たちだって、こんな風になっちゃったんだし」
「体、大丈夫か?」
「うまく動かせないだけだからね~。本当は、私が彼の隣に行きたいんだけど・・・・あーあ。体がもっとちゃんと、動かせたらな~~~~~~~~~~~~」
「へっへっへー。このまま園子よりもリードしてやるー♪」
「あー!ずるーいミノさん!抜け駆けはNGなんよ~~!!!」
「あー、あー、聞こえなーい」
そうやってふざけあう姿は、年相応の少女達だった。
しかし、一瞬の間を空けて真顔に切り替わってからの二人の様子は、熟練の戦士が持つ
「じゃあ、"鉛"。彼───アヌビスのこと、宜しくね」
「お任せあれ、私の
仮面を被り、鉛は退室していった。
「───────かずくん」
残された少女────乃木園子が、ポツリと呟く。
「必ず、わっしーのこと、助けてあげようね・・・・!」
その瞳に、決意を宿して………
これにて第一章は完結です。
次回からは第二章となります。
こう、ご期待!!