それから更に一年が経過し、おれ達は小学六年となった。
大赦からのテコ入れによって、おれと園子達は同じクラスに纏められた。
「zzz……zzz……」
「・・・・・乃木さん、そろそろ起きないと、朝礼が始まってしまうわよ」
「無駄だ、そんな起こし方ではこいつは起きない」
園子の隣の席に座る鷲尾が、園子を起こそうとしているのを見て、おれは自分の席を立つ。
むに
「んにゅぅ~」
「起きろ園子。でなければこのままお前の頬を餅にして遊ぶぞ」
ぐにぐに
うにょ~ん
ぺちんっ
「あぶっぷぁ!?」
「あ、起きた」
「おはよう園子。もうすぐホームルームの時間だ」
「う~~ん・・・おはよう~、かずくん。起こしてくれてありがと~」
「礼は鷲尾に言え」
「えっ・・・でも私、何も・・・・」
「そっか~~、ありがとうね、鷲尾さん~」
「いえ、だから、その・・・・」
そうこうしている内に担任の安芸先生が入室してきた。
「皆さん、席に着いてください。朝の学活を始めますよ」
「っゴール!!!間に合った~~」
「・・・三ノ輪さん、間に合ってませんよ」
「あたっ・・・・へへ、すんませ~ん」
安芸先生に続くように、銀が教室に駆け込んで来た。あいつ・・・・またおれに連絡もせず────
「──────今度は何をしていた」
「ひぃ!?お・・・・怒ってらっしゃる・・・・?」
「何をしていたか、と聞いている」ゴゴゴゴゴゴゴゴ
「ひぇっ!」
「さあ言え。何をしていた・・・・?」ゴゴゴゴゴゴゴ
「い・・・・今はダメだ!学活が始まる!」
「──────終わったら、拷問の時間だな」
「勘弁してくれよ~~」
平穏な日常が続く。
願うなら、この日々がずっと続いて欲しいと思う。
しかし、世の中そうは上手くいかない。
『"鳴子"ノ作動ヲ感知シマシタ 樹海化発動マデ 三十秒』
「・・・・・来たか」
耳元のインターフェースより届いた報告。
それは、戦うべき時が訪れた事を報せる物だった。
「Hello Under Forester ジュカイネット接続」
『接続開始・・・・・・・・樹海化発動マデ 残リ十秒』
心を落ち着け、来るべき時に備える。
『九・・・・捌・・・・漆・・・・』
大丈夫だ。システムはしっかり作動している。理論上では上手くいくはずなのだ。
『陸・・・・伍・・・・肆・・・・』
ここで上手く作動しなければ、今までの苦労が徒労に終わる。それだけなら別にどうって事は無いが、問題なのは────
「・・・・誰一人、死なせない」
「ん?カズマ?」
『參・・・・弐・・・・壱・・・・』
瞬間、おれの意識は肉体を離れ、変様する世界に呑み込まれていった………
─ジュカイネット─
「hello under forester」
一正が開発した、"神樹の力を万人が扱えるようになれる"システム。
神樹にハッキングを行い、勇者の力を無理矢理抽出する事で、男でも勇者になれる他、神樹が保有するありとあらゆる情報も閲覧できる。
が、必要最低限のコンピューター知識と、膨大な情報を処理しきれるだけの脳力がなければ、脳が情報により圧殺されてしまう、という欠点がある。
上の言葉は、ジュカイネット起動に必要なパスコード。