樹海化が解け、意識が肉体に戻る。
「────────ふぅ」
教室では、突如三人が消えた事に気付いた誰かを皮切りに、てんやわんやの大騒ぎ。おかげで
「静かに!」
担任の安芸先生の一声に、教室が静かになる。
「三人は神樹様のお役目に呼ばれました。これから迎えに行ってきますので、みんなはそのまま自習を。それと─────」
む?
「上里くんは先生と一緒に来てください」
「・・・・・はい」
どうやら、先生は気付いたらしいな。目敏い事だ。
―――――――――――†――――――――――
「────何があったのか、説明してくれますね?」
車を運転する安芸先生から訪ねられ、おれは大人しく説明した。
「つまり、貴方は神樹様にハッキングを仕掛けて、彼女達と共に戦っていた・・・と?」
「ええ、そういう事です」
「─────────なんて、恐れ知らずな」
「上層の爺婆連中とは違って、『罰当たり』とは言わないのですね」
「・・・・・・」
おれの軽口に、先生は睨み付けるだけ。
「・・・・まあ冗談はさておき、他に聞きたい事はありますか?」
「────神樹様に選ばれた訳でも無し、ましてや無垢な少女ですら無い貴方が、神の力を無理矢理扱った。なら、何らかの副作用があるんじゃなくて?」
本当に、察しの良い人だよ────
指摘を受けおれは、
「・・・・・・・っ!?」
流石に、これを見せつけられては、誰だって絶句するだろう。
今、おれの右腕は、指先から肘までが、
「それ・・・・・は・・・・・?」
「神の力を無理に扱った代償・・・といった処ですね。おれはこれを『樹浄化』と名付けました」
「──────────」
「ああ、ご心配無く。上里家に伝わる神楽舞で祓えば元に戻ります」
「────────────そうまでして、貴方は」
「それが、上里の役目です。勇者を護る事。かつて、上里ひなたが大赦を改革し今の形にした時のように・・・・」
「─────────そう。そこまで考えて・・・・・」
「・・・・・この程度で苦しんでいるくらいなら、お目付け役は代わってもらうべきです。下手をすれば、人の形の樹木が出来上がるか、死t」
キキッ───!!
突然の急停車に、舌を噛みそうになった。
外を見れば、目的の場所に到着していた模様。
「──────なんです?事実を述べただけですよ?」
「・・・・・・・・・・・・・」
先生は沈黙したまま、おれを抱き締めてきた。
「・・・・・・一つ、約束して。どんな形でも良い。必ず、皆の所に帰ってきなさい」
「───────────」
「良いわね?」
「───────────了解」
返事を返すと、先生は何事も無かったかの様に、園子達を迎えに行ったのだった。
─樹浄化─
選ばれざる者が神の力を扱った際に起きる現象。
扱った量に応じて、肉体が変質していき、最終的には、人の形をした樹木へと変わってしまう。
一正がこの現象に直面したのは、去年、勇者の選別が行われた数日後。
ジュカイネットによる変身システムの最終調整を行った際に発症。
その時は両足が樹木に変質した。
上里の血筋によるものなのか、巫女神楽による穢れ祓いを行うことで症状は回復できる。