第一弾は電童とユニコーン、レオ
第二弾はオーガとバイパー、ブル
データウェポンフル装備はちゃんとできるのかなぁ・・・?
連携の訓練が目的とは言え、普段通りに授業は行われる。
「─────ではここを乃木さん」
「zzzz………」
「起きろ園子。ご指名だ」
鼻ちょうちんを割って、園子を起こす。
「ぷぇっ!?あー・・・・当時の科学力では治療不可能な未知のウイルスが蔓延したからです~~」
「正解です」
「・・・・・なんでさっきまで寝てたのに質問が分かるんだ?」
「園子だからだろ」
「まぁたテキトー言って・・・・」
―――――――――――†――――――――――
訓練は実技だけでは無い。
座禅を組んでの精神修行もカリキュラムの内に入っている。
「─────────」
「zzzz・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「うぅ・・・ぐぅ・・・・ぬぁぁ・・・・!」
「銀。五月蝿いぞ」
「いや・・・・だって・・・・・あー!もう無理ぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!」
開始五分と経たず、銀は足を崩して倒れるのだった。
―――――――――――†――――――――――
「ふぅ・・・・」
夜。園子達が寝静まったであろう時間。
おれは一人、寝室としてあてがわれた部屋にて、幾つかの連携パターンを考案していた。
思い付いたパターンを脳内でシミュレートし、バーテックス戦において一定以上の効果を見込めそうな物を採用していく。
そうして十種程採用した、その時だった。
コンコン、と扉が控えめにノックされた。
「上里くん、起きてます、か?」
「・・・・・鷲尾?」
訪ねて来たのは、鷲尾だった。
「こんな時間にどうした?」
「えっ・・・と・・・・・」
「────────とりあえず、上がれよ」
「おっ・・・・お邪魔します・・・・・」
鷲尾を部屋に上げ、適当に座らせる。
「ま・・・・まだ交際していない殿方のお部屋に上がるなんて・・・・・」
「旅館の一室だろうに」
何を言っているのだ、こいつは・・・・・
「はぁ・・・・それで?何の要件なんだ?」
「えっと・・・・・その・・・・・・」
「────────『何故、自分を選んだのか』?」
「っ!?」
鷲尾の顔が強張った。やはりか・・・・・確かにそろそろ教えるべきだと考えていたところだし、丁度良い。
「『異能者』という単語に、聞き覚えは?」
「いのうしゃ・・・・・?」
「無いようだな。当然といえば当然か・・・・・」
鞄から自前のノートPCを取り出して立ち上げる。
「鷲尾、こっち」
「え?あ、はい・・・・・」
おれの隣に座らせ、とあるファイルを呼び出す。
「『異能者』というのは、端的に言うと"常人よりも優れた能力を持つ者"の事を指す」
「常人よりも・・・・優れた?」
映像データを再生し、それを見るように鷲尾に促す。
音声は無く、画像のみではあるが、樹海のような場所で勇者と思われる鞭を持った少女が戦っていた。
相対するのはバーテックス────ではなく、両手に炎を纏わせた少女。
その少女が両手で地面を叩くと、勇者の足下から間欠泉のように炎が吹き出した。
場面は変わり別の場所、クロスボウを持った勇者が弾幕を展開するが、少年が回転させているボールに吸い込まれ、逆に撃ち返されてしまう。
「これ・・・・は・・・・・」
「『終末戦争』の記録映像だよ」
「・・・・諸外国からの難民と時の政府が共謀し、大赦に反旗を翻した事から始まったという、あの?」
「・・・・・・・・ああ」
神樹様から力を授かった少女達が、政府軍の侵攻から四国の民を守りつつも粘り強く話し合いを求め続け、凡そ一年後、難民達が神樹様の比護下に下った事による政府軍の全面降伏という形で終結を迎えた。
・・・・・・という顛末となっている、
「それで・・・・この映像と異能者との関係は・・・・?」
「何のために見せたと思っている。
「えっ!?この、炎を出したり、球体を回転させたりしている人が!?」
「ああ」
驚愕の表情で、己の両手と画面の少年少女達を見比べる鷲尾。
「そ・・・・それじゃあ、私も・・・・あんな風に・・・・?」
「成れるかどうかは不明だ」
「えぇ・・・・?」
怪訝な表情へと変えた鷲尾に対し、別のデータを呼び出す。
「異能者であるか否かはこのように、数値として見る事が出来る。これが一定値以上確認されれは、そいつは"異能者となれる可能性がある"と見なされる」
「可能性・・・?」
「特別な能力────即ち異能が発現するかどうかは、そいつ次第だ」
「・・・・・・・・・・」
「鷲尾、お前の数値は四国随一だった。どのような異能なのか、本当に発現するのか、分からない事だらけではあるが・・・・・それでも、おれはお前を推薦した。ありとあらゆる可能性を考慮し、想定できる障害を全て排除する。それが、おれのやり方だからな」
「───────もし、私が異能を発現出来なければ・・・・」
「それはあり得ない事だな」
「どうしてそう言えるの・・・・?」
不安で表情を陰らせ、鷲尾はおれに訪ねた。
「言ったはずだ。お前の数値は四国随一だ。異能者は数値が高ければ高い程発現し易い。お前程ともなれば、誰かに何かされなくとも発現していただろうさ」
「そう・・・・なの・・・・?」
「あとは・・・・・・そうだな・・・・・・『自分なら絶対できる』と信じること・・・・かな」
「信じる、って・・・・・」
今度は呆れた表情でこっちを見る。どうでも良い事だが、今日の鷲尾は表情がコロコロ変わるな・・・・
「自分を信じる。ということは、結構大事なことだぞ?『無理だ』と思ったら簡単なことだって出来ないし、『辛い』と思ったら何をしてもしんどくなる」
「病は気から・・・・ということ、ですか・・・・」
「概ねそうだ」
「────────ありがとうございました」
一言礼を言って、鷲尾は席を立つ。
「鷲尾」
「はい」
「だからといって、無理に頑張る必要は無い。お前のペースでやれ」
「・・・・・・はい」
退出する鷲尾の表情は、戦闘時のように険しいものだった。
下手に気負わせてしまっただけだっただろうか・・・・
だが、今後語る機会があるとも思えない。そういう意味では今日がベストだった。
気休めの言葉を心に浮かべ、おれは気持ちを整頓したのだった。