合宿前からも思っていたけれど、三ノ輪さんの遅刻癖をどうにかしたいと思っている。
今日だって遅刻して先生に怒られていた。しかも上里くんまで・・・・・
「・・・・・・真面目な人だと思っていたのに」
「わっし~?何か言った~?」
「乃木さんはちゃんと起きて。もう朝の学活の時間よ」
まったく・・・・・乃木さんはこんなだし、やっぱり私がしっかりしなくちゃいけないわね!
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「という訳で、三ノ輪さんの身辺調査を行うわ!」
「すぴ~~・・・・」かくん
「乃木さんも乗り気ね!!さあ、行くわよ!!!」
乃木さんの手を引いて、私は三ノ輪さんの家へと向かう。
その途中、
「・・・・・あら?上里くん?」
「ふぇ?・・・・・・・・あー♪かずk(モゴモゴ」
「待って、乃木さん。一度隠れて!」
上里くんを見つけた乃木さんが、声をかけようとしたので止めて近くの路地へと隠れた。
「ぷはぁ!わっしーどうしたの~?」
「上里くん、今日は用事があるって言ってたのに・・・・どうしてこんな所に・・・・?」
「聞いてる~?」
「気になるわね・・・・・そういえば、この前も三ノ輪さんと一緒に遅刻してたわね・・・・・どう思う乃木さ─────いない!?」
辺りを見回すと、乃木さんは路肩の蟻の行列に話しかけていた。
「ありさんだ~~♪ヘイヘイ元気~?園子だよ~~」
「乃木さん!こんなところで油を売ってないで、上里くんを追いかけましょ!」
「あ~~~~れ~~~~~~」
乃木さんを引き摺りながら、上里くんの後を追うと、そこは三ノ輪さんの家だった。
「───────上里くんの用事って、ここ?」
「わっしーわっしー!どうする?ピンポンダッシュする?」
「何て恐ろしい事を!?慌てないで、こんな時の為にある物を用意したんだから」
背負った鞄から潜望鏡を取り出して生け垣の上から屋内を覗く。
「おぉ~♪なんかスパイみたーい♪」
─────居た。縁側で赤ちゃんと遊んでいるみたい。
「・・・・・・こら、眼鏡を引っ張るんじゃないと言っているだろう」
「だーぅ」
「止めろと言っているのが分からんのか」
「きゃっ♪きゃっ♪」
「────────全く、仕方ない。ほら」がさごそ
「う?」
「お前専用の眼鏡。名付けて『叡智の結晶』だ!」
「うぁーーい!!きゃっ♪きゃっ♪」
「・・・・・なーんかマイブラザが喜んでると思ったら、カズマお前、可愛いアタシの弟に何渡してんだよ」
「なんだ?銀も欲しいなら今度造ってやるが?」
「いるかぁ!そんなもん!!」
「えー?ねーちゃんいらないのー?」
「鉄男!?友達ん家に遊びに行ったんじゃ・・・・」
「これから行くのー。で、ねーちゃんいらないの?いっつもにーちゃんの話してるくせ「にょわわわわわわわわわわわ!?!?!?!?そろそろ行かないとヤバいんじゃねーの!?ほらさっさと行け!!!」痛ってー!!!蹴んなくたっていーじゃんかよー!!!」
「うっせー!さっさと行ってこいっての!!!」
「・・・・・なんなんだ?」
「だぅあ」
・・・・・・・・なんというか、混沌としているわね。
「良いなぁ~~。私も『叡智の結晶』欲し~~い」
「えぇ・・・・・?」
ただの眼鏡が欲しいなんて、乃木さんは本当に変わった娘ね・・・・
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その後、買い出しに出掛けた二人を尾行すると、二人は行く先々でトラブルに遭遇していた。
公園を通りかかれば、蹴球を木の上に引っ掻けた子供たちに出会し………
横断歩道では、立ち往生しているお婆さんがいて………
駐輪場に立ち寄れば、突風により自転車が薙ぎ倒され………
買い出し先のイネスでは、お姉さんがリンゴを落としていた。
他にも迷子や喧嘩している子、等々………
「ミノさんとかずくん、息ぴったりのコンビネーションだったんよ~♪」
「というより、上里くんの出した作戦に基づいて、三ノ輪さんが行動する感じだったわね」
「っ~~~~~~///か・・・・かーずーまぁぁ・・・・///」
「良いだろ別に。全て本当の事なのだから、それほど照れる要素は無い」
とか言いつつも、上里くんもちょっと耳が赤くなっている。
二人がリンゴ拾いを始めた時点で、見ていられなくなった私達は、そのまま二人と合流し少し遅めの昼食を摂っている。
「でもこれで、三ノ輪さんが何故遅刻するのか。その理由が判ったわ」
「ミノさんいつもああなの~?」
調査結果としては、三ノ輪さんは重度のトラブル巻き込まれ体質、ということだった。
行く先々でトラブルに遭遇しては、それに対処していたが故の遅刻。
ここで『無視する』という選択をしない辺り、三ノ輪さんは勇者なのだと感じさせる。
「うん。そうだよ。いつもいつも、行く先々でトラブルに遭遇してさ・・・・宝くじだって当たったこと無いもん」
「くじ運とお前のソレは別問題なんだが・・・」
と、その時だった。
「っ!?────来た」
「かずくん?」
不意に、上里くんが耳元に手を当てたと思いきや、彼の動きが止まった。いったい何が・・・・?
鳴り響く鈴の音
光が全てを飲み込み
日常が、非日常へと切り替わる。
「ほらな?アタシって運が無いだろ?」
「ミノさんはアンラッキーガールなんよ~・・・・」
「なんて言ってないで、お役目よ!」
大丈夫。合宿でも、あれだけ特訓したんだもの・・・!
私が三人をまとめてみせる!!
そんな私の決意を余所に、遠き過去からの遺物が、私達へと悪意の牙を向けていた。
それに気付いた時には、既に──────
思ったけど、銀と一正のトラブルバスティング、スザルルのあれと一緒じゃん(笑)