鷲尾を庇いつつ墜落したおれは、その衝撃で変身が解けた。変身が解けたおれの身体は精霊体へと戻る。
「『あーあ、落ちちまいやがった・・・・』」
気付けばおれ達の近くにファウストが立っていた。園子と銀は・・・・?
おれのその疑問に答える様に、二人が後からファウストを追いかけて来た。
「待て~~!!!」
「この野郎・・・・二人から離れろッ!!!!」
「『おっと、流石にもう限界か・・・・』」
ファウストは大きく跳躍すると、大橋の支柱に降り立った。
「『今日はこの位にしてあげマス。次はこうはいかネェからナァ!!!』」
捨て台詞を吐いてそのまま海へと落下していった。あれでは追跡は難しいな・・・・・
「あーっ!逃げた~~!!」
『追わなくて良い!それよりも、バーテックスを!!』
「カズマは大丈夫なのか!?」
『この状態のおれに触れられる者は居ない!気にせずヤれ!!!』
「分かったよ~!!」
「二人が作ってくれたチャンス・・・・無駄にはしないッ!!!」
「「でやあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」」
二人の猛攻により、バーテックスがどんどん削られていく。
もう邪魔も居ないことだし、どうにか今回もお役目を果たせそうだな・・・・・
と、安堵したその時だった。
『ぐっ!?』
「上里くん?」
いつの間にか、おれの両足が樹海の根と一体化していた。まさか、こんな時に樹浄化だと!?
樹海化中に変身解除した際のデータが無かったから、知らなかった。
「あ・・・・あ・・・・その・・・・足、が・・・・・」
『・・・・・気にするな』
「気にしますっ!どうして・・・・こんな・・・・」
『選ばれなかった者が無理矢理に割り込んだ、その代償だ。お前が気にする事では無い』
「・・・・そんな」
悲し気な顔で、樹木と化したおれの足を見つめる鷲尾。
バレたらこうなる事が予想できたから、今まで隠してきたというのに・・・・・まったく。
「私に、出来る事はありませんか!?」
『無い。これは上里家に伝わる神楽舞でしか解呪出来ない』
「・・・・・・・・・」
それでも諦められないのか、鷲尾がそっと、おれの足に触れた。
その瞬間、樹木と化したおれの両足が暖かな光に包まれて元に戻った。
『なっ!?』
「も・・・・戻った・・・・?」
これにはおれも驚きだ。
樹浄化の解呪には巫女の力が必要になるのだが、どういう訳か、鷲尾が触れただけで解呪されてしまった。
何故だ?鷲尾は勇者。巫女の力なんてある訳が無いのだが・・・・
一つ、思い当たる節があるとするならば………
『まさか・・・・それがお前の能力か?』
「え?これが?」
これは詳しく調べる必要があるな・・・・・
「かずく~~ん!終わったんよ~~♪」
「おーい!カーーズマーーーーー!!」
・・・・どうやら鎮花の儀が始まったようだ。
『何はともあれ、お役目終了だ。みんな、ご苦労』
「お疲れ~~。大変だったね~」
「だな。アタシくたくただよ」
「・・・・・・・」
『おれは一足先に戻っている。お前等は後からゆっくり来ると良い。なに、昼食は逃げたりしないさ』
それだけ告げると、おれは現実世界へと帰還したのだった。