契約者達への鎮魂歌 -Re.birth-   作:渚のグレイズ

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7月10日 -糾-

泣き声みたいな雄叫びが聞こえて、おれは目覚めた。

 

 

どうやら、血溜まりの中に、倒れている、ようだ。

 

 

痛みは無い。むしろ、身体の感覚が、無い。

 

 

端末から、アラートが、鳴り響く。

 

 

どうやら、心臓が、止まっている、らしい。

 

 

いまいち、はっきりしない、視界を動かして、戦場を見る。

 

 

三体のバーテックスと、銀が、戦っていた。

 

 

・・・・駄目だ。このままでは、銀が──────

 

 

「・・・・くそ・・・・・・寝てる・・・・・場合じゃ・・・・・・ない・・・・・・・な」

 

 

動かない腕を無理矢理動かし、ベルトの端末を操作する。

 

 

『システムF起動。各アーマメント、全機装着。全魔力タービン、回路接続』

 

 

待ってろ、銀・・・・・・今、たす・・・・け・・・・・

 

 

───────view,change:3rd────────

 

 

うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 

泣き叫びながら、銀は三体のバーテックスと戦っていた。

今、彼女の心は、一正がやられた事への絶望と、憤怒と、後悔でいっぱいだった。

感情が、濁流のように押し寄せて、自分でも抑えきれなくなっていたのだ。

 

故に、バーテックス達を圧倒していた。

 

故に、バーテックス達の連携を許してしまった。

 

「・・・・・・・しまっ!?」

 

気付いた時にはもう遅い。先程、一正がやられた連携攻撃─────キャンサーの反射板を利用したサジタリウスの連携射撃と、サジタリウス必殺の大型の杭による挟撃が空中の銀を狙う。

 

(くそぅ。ここまでか・・・・・ごめん、須美、園子・・・・・カズマ)

 

自らの死を予見した銀は、次に襲い来るであろう衝撃に備えて瞳を瞑る。

 

 

 

が、衝撃は来なかった。

 

 

 

「・・・・・・・間に合った、な」

「─────────────え」

 

瞳を開けば、目の前には、ヘルメットのバイザー越しに生気の亡くなった瞳で銀を見つめる一正の顔。

 

「カ・・・・・・ズマ・・・・・・・おま・・・・・」

「話は、後だ・・・・・・この、ファイナル、フォームは、三分、しか、もたな、い」

 

バーテックス達を飛び越して背後に一正が着地する。その時になって漸く銀は、自分が一正に抱き抱えられて─────所謂、"お姫様抱っこ"をされている事に気付いて身悶える。

 

「あ・・・・ああああああの!カズマ!!」

「わかってる・・・・今、下ろすから・・・・・暴れる、な」

 

あっさりと自分を下ろしてしまった一正に対し、銀は少し複雑な心境。

 

「そこで、じっと、してろ・・・・・あとは、おれが、なんとか、する」

「カズマ・・・・・・」

 

下ろされて初めて銀は見た、一正の今の姿を。

 

 

両腕には『マキシマムローダー』

 

背中には『バスターアームズ』

 

そして、両足には『スクランダーブーツ』

 

全ての武装を装着していたのだ。

これぞ、システムFの真骨頂。

 

 

その名も『ファイナルフォーム・カタストロフ』

 

 

電気エネルギーを魔力エネルギーに変換する動力炉"魔力タービン"を、各武装にそれぞれ二つずつ増設した事により、可能となったフォームだ。

全ての武装の魔力タービンを直列接続する事で、莫大な魔力を精製する事が出来るようになり、その出力は単純計算でも、通常の十倍以上。

しかし、その莫大過ぎる出力故に、一正の身体が耐えられず、起動させただけでも相当な負荷がかかってしまう。限界時間まで稼働させ続ければ、()()()()()()()()()()()()

 

それを一正は、今、使用している。

全ては、バーテックスを倒し、仲間達を護る為に………

 

「行くぞ、バーテックス・・・・・生命(いのち)残弾数(ストック)は充分か?・・・・・なんて、な」

 

柄にもない事を言い放ちつつ、一正はバーテックスへと飛び立つ。

 

真っ先に仕掛けてきたのは、スコーピオン。尾針による突きを繰り出した。

 

「邪魔、だ・・・!」

 

腰のレールガンと両肩のビーム砲による一斉射。

出力の増した状態の一撃は、スコーピオンの尾を消し飛ばしたのだった。

 

「──────ベイルブレード」

 

続いて一正が取り出したのは、ベイルバートの先端にある発振器部。この部位は本体から分離して、エネルギーの剣"ベイルブレード"となるのだ。

 

「一撃で、終わらせる・・・・・!」

『final limit burst』

 

ベイルブレードを掲げ、エネルギー充填を開始。

光の刃は天へと伸び、そればまるで、摩天楼を想起させる・・・・

 

 

「天網・・・・恢恢」

 

サジタリウスが針弾を発射しようとしているが、時既に遅し。

 

「疎にして・・・・失わず!!」

 

摩天楼が、揺らぐ。

野球のバッティングフォームのような格好で、ベイルブレードを構え、そして、振り抜いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

天網劍・悪鬼爆恢

 

 

 

 

キ・・・・ン

天網劍・悪鬼爆恢

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――――†――――――――――

 

 

樹海の中を、二人の少女が歩いている。

 

園子と、須美だ。

 

一心不乱に歩いて行き、そして、目的のものを見つけた。

 

「──────銀!」

 

小さな樹木の側で踞っていた少女が、名前を呼ばれて顔を上げる。

 

少女───銀は、泣き腫らした顔を、二人に向ける。

 

「・・・・・・須美・・・・・・・・園子」

「ミノさん・・・・・かずくん、は・・・・・・?」

 

園子の一言に、銀は再び、涙を流す。

 

「───────────まさ、か」

 

そうして、漸く、目の前の樹木に、見覚えがあることに気付いた。

 

 

 

 

 

人のような形をした、樹木に………

 

 

 

 

 

「あ・・・・ああ・・・・・・」

「・・・・・・かず・・・・・く・・・・・・」

 

少年は、少女達の為に、命を棄てて、戦った。

 

その成れの果てに、遺された少女達は只、泣く事しか、出来なかった………

 

 




─ファイナルフォーム・カタストロフ─


改良した三つの武装を全て装着した、最終にして最強の形態。
動かすには莫大な魔力が必要で、それ故に、魔力の無い者は起動させるだけで精一杯な程。
今回一正は、己の生命力と引き換えに稼働させ、そして………



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