少年に支えられつつ、樹海化した瀬戸大橋に出たおれが見たのは、苦悶の表情を浮かべ倒れている三人と、それを眺めている男の後ろ姿………
「園子!?銀!須美・・・!」
「─────遅かった」
「の、ようだな・・・・注意を惹き付ける。お前達はその間に」
「うん」
少年と頷きあうと、政弘さんが男に向かって突撃して行く。
「・・・・む?やれやれ、面倒事は御免被るのだがな」
「やはりお前か、"AIーNo.SO5"『ラプラス』」
「唯でさえ面倒な実験に付き合わされているというに・・・・」
「マンデリン!!」
『応、俺を呼んだか?』
突如として珈琲豆の銘柄を叫んだと思いきや、政弘さんの頭上に色黒の少年が現れた。
あれってまさか・・・・
「悪魔だよ。
「っ!?」
あれが悪魔・・・・いや、それよりも!
「あんたも、悪魔だったのか・・・・通りで・・・・」
「不思議な力を持っていると思った?」
「ああ・・・・・」
「おおおおおおっ!!!」
政弘さんの叫び声が聞こえてきたので其方を見れば、政弘さんの背中から二本の腕が生えていた。
「なっ!?」
「マンデリンの契約特典。『
「契約特典・・・?」
等と会話していると、政弘さんは四本の腕でラプラスと呼ばれた男(多分キューロノイド)をがっちりとホールド。そのまま何処かへと跳び去って行った。
「ほら、今のうち」
「あ・・・・みんな!!」
少年に促され、三人の下へと向かう。
銀と園子はおれを見るなり、驚いた顔をしている。しかし、須美からは何の反応も無い。まさか───────
「───────────」
「須美っ!・・・・脈はある。気絶してる・・・・だけか」
須美がまだ生きている事に安堵するのも束の間。次は園子の様子を見る。
「かひゅ・・・・かず・・・・く・・・・・」
「しゃべるな園子!!・・・・呼吸が出来ていないのか?なんなんだこの首輪は・・・・」
外そうと試みるが、全く動じる気配が無い。と、その時。隣まで銀が歩み寄って来た。
「カズマ・・・・お前、本当に・・・・?」
「銀、お前・・・・その顔・・・・」
銀の顔面は、まるで焼鏝でも当てられたかのように焼け爛れ、眼球に至っては抉り取られていた。
「顔と
「須美は気絶してる。今問題なのは────」
「かず・・・・し・・・・を、たす・・・・け・・・・」
園子がおれの足を掴んで訴えてくる。
「分かっている。今、この首輪をどうにか─────」
「違う!今すぐどうにかしなくちゃいけないのは、
「それは─────」
どういう事だ。と聞くよりも先に、銀の言葉の意味は、須美の上げた絶叫を以て示された。
「なっ・・・・!?」
「くっ・・・・遅かったか・・・・・」
須美の身体から尋常ならざる量の魔力が発せられる。
勇者であるならばあり得ない現象に、おれは、動揺を隠せないでいた。
「なんだよ・・・・何が起きているんだよ・・・・!!」
「───────魔転化生」
魔力はやがて、蔦の形となり、須美の身体を呑み込んで、巨大な生物へと、変化していったのだった。