契約者達への鎮魂歌 -Re.birth-   作:渚のグレイズ

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お久しぶりです!!!!
そしてカズマの物語は、ここで一度終わりです!!!!

最近は全然書けなかったけど、どうにか書けて一安心。どうぞ、御堪能あれ。


施戸尾惡波紫盧弛斗羽(せとおおはしのしとう) -契約-

目の前で、須美が化け物へと変化してしまった。

なんなんだ・・・・いったいここで何が行われていたと言うのだ!?!?

 

「ムシュマッヘに酷似してる気がするけれど、蛇じゃなくて蔦だし・・・・なんだろ?」

「そんな事はどうでも良いから!!とにかく今は一度下がるぞ」

 

怒涛の展開についていけずにいたおれは、銀の一声に正気に戻る。

 

「そ・・・・そうだな。とりあえず、園子を頼む。それと────」

「いいよ。そいつについて行けばいいんだろ?」

 

先程まで須美だった怪物を尻目に、おれたちは一旦撤退した。

 

 

―――――――――――†――――――――――

 

 

「それで・・・・いったい須美はどうしてあんな風になってしまったんだ?」

 

安全な場所まで退避したおれ達は、まず、銀に事の次第を問いただす。

 

「詳しくは・・・アタシにもわからない。一つだけ確かなのは、須美は()()()()()()()()()()()ってことくらい」

「───────────なん、だと?」

 

悪魔と・・・契約した?何故?何時?何処で?

様々な疑問が浮かぶが、それを銀にぶつける様な真似はしない。そんな事をしても無意味だと理解しているからだ。

それをすべき相手は──────

 

「──────キューロノイド達が、自分達の一部を使って『強制契約』したんだよ」

「強制・・・契約・・・・無理矢理に、悪魔と契約させたのか・・・・!?」

 

連中と対抗しており、自身も悪魔である三日月がおれの視線に答え、語る。

 

「うん。そうやって、()()()()()()()()()()()()()()()だから」

 

人類を・・・・進化・・・・?

 

「壁外の大地で暮らせるようになるには、悪魔と契約した方が良いからね」

「待て。どういう、事だ・・・・?」

 

壁外の世界がどの様な状態になっているのかは知っている。

しかし、それと悪魔との契約がどう関係してくるという・・・?

 

「契約すれば、最悪、人の形を棄てる事になるけど、それでも、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()からね。契約が続く限りは」

「─────────それが、人類の進化、だと?」

「連中はそう信じて行動してる」

「ふざけている・・・・!」

「連中は真面目なんだって」

「余計にふざけているっ!!!そんな事をして・・・いったい何になると言う!」

「さぁ?そこまでは知らないし、興味もない」

「貴様は・・・・!!!」

「よせよカズマ」

 

銀に静止させられるが、おれの怒りは収まらない。なんなんだコイツは・・・!

 

「まあ、でも、連中はプログラムされた命令に従って動いている訳だし、誰かがそれを命じたってことじゃない?人類の進化を、さ」

 

誰かが・・・・命じた・・・?

 

「誰かって・・・・誰だよ?」

「知らない。興味も無い」

「なんじゃそりゃ」

 

銀と三日月のやり取りを他所に、おれは一人思案する。

キューロノイドに命じた人間。それはつまり連中を創造した者────即ち、神樹様によって名を、大赦によって存在を、記録から抹消された者─────"名前を消された天才(ネームロス)"。

奴はいったい、何を考えてそんな命令を遺したのだろうか・・・・・

 

「──────────────」

「カズマ?おーい、カーズマー」

「────────────ん?あぁ、すまん。考え事をしていた」

「大丈夫か?」

「おれは平気だ。寧ろお前の怪我の方が問題だろう」

「アタシはへーきだよ。焼いたから血も出てないし・・・・右側が見え辛いのは、ちょっとめんどくさいけど」

 

どう見ても無理をしている。だが、今は手数が足りない。

 

「──────おい、悪魔。須美を救出することは可能か?」

「できるよ。っていうか、たぶんオレにしかできない」

「どうすれば良い」

「じゃ、オレと契約してよ。話はそれから」

「わかった」

「ちょ・・・!?カズマお前!!」

「それしか方法が無いのであれば、躊躇う必要は無いだろう?どのみち、おれの身体はコイツに生かされている状態なんだ。他に道は、無い」

「・・・・・・・・・・・カズマ」

 

哀しげな表情でおれを見る。

 

「・・・そう悲しむな。二度と会えないはずだったのに、こうしてまた会えた。それだけでおれには、充分だ。だから─────」

 

三日月を見やる。

 

「ああ。やろう。契約だ」

 

おれの視線に答え、三日月が手を伸ばす。おれはその手を取る。

 

「上里一正だ。お前は?」

「知ってる。呼ぶなら“三日月”で」

「そうか。どうすれば良い?」

「契約は結んだ。オレの真名は知ったね?」

「真名・・・?っ!?」

 

瞬間、一つの名前が頭の中に浮かび上がる。これのことか?

 

「口に出しちゃダメだ。それは最期の手段だから」

「──────了解。それで、須美を救出する算段は?」

「特典を使って契約を書き換える。それであいつの命は助けられる」

「特典?」

「悪魔と契約した時、契約者には契約した悪魔の能力が使えるようになる。それが契約特典」

「了解した。作戦を開始する」

「待ってくれ!アタシも行く!」

「・・・・分かった、援護を頼む」

「おう!」

 

 

―――――――――――†――――――――――

 

 

そうして、おれ達は須美をなんとか救出した。

契約したことをなかった事には出来なかったが、契約内容を書き換えた事で須美の特典能力は安定。数年分の記憶と引き換えに、彼女を人の形のままにすることができたのだ。

 

 

だが、それもいつまでも保てる訳ではない。

 

 

契約者の精神状態によって、特典能力は暴走する。その上、三人に植え付けられたキューロノイドの一部、通称“擬似真鍮核”は、そもそもが不安定な代物。故にこそ、須美の特典能力が暴走し怪物へと変化したのだ*1。今は平気だが、いずれ再び暴走する時がくるだろう。

 

 

そして、奴らはまだ須美達の事を諦めていない。

 

 

次点で魔転化生となる確率の高い園子は、現在大赦に匿われている。本来なら須美もそうするべきなのだが、精神安定の為には元の親元に還す方が得策だった。

彼女達には、辛い思いをさせているとは思う。

だが、真に三人を救うには、おれだけでは無理だ。

 

「──────今度こそ、救ってみせる」

 

準備は整った。決着を着けよう。

 

 

*1
三日月はこれを“魔転化生”と呼んでいた




これにて第二章“わすゆ編”はおしまいです。
次回第三章“ゆゆゆ後編”にてお会いしましょう。
それでは、またね♪
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