Summer Voyage〜鴎アフター〜 作:(ノ*°▽°)ノルーっ!
本編を読んでいなくてもお楽しみいただけます。
4月某日
4月4日は鴎の誕生日だ。
俺は毎年のことながら鴎にあげるプレゼントに頭を悩ませていた。
学生だった頃はお金がなかったこともありろくなものはあげれてなかった。まぁ毎週のように鳥白島に通えば交通費だけでかなりのものだったから……。
今は鳥白島に移住して鴎と二人一緒に暮らしている。
費用に関しては鷺さんに頼らないようにと二人とも働いている。
俺は本土の方で…いわゆる一般企業のサラリーマンっていうやつだ。鴎は島内で海賊船観光事業を中心に働いている。
それはさておき、俺は仕事帰りに港近くのショッピングモールでプレゼントを吟味していた。
昔何度か通ったぬいぐるみを置いているお店で、今ではすっかり有名になったひげ猫団のマスコットキャラクターがずらりと並んでいた。鳥白島の観光名所海賊の洞窟でおなじみのキャラクターだ。
鳥白島帰りの観光客が割と買っていくらしい。グッズなどの考案は鴎なので実はそんなに働かなくてもそれなりに収入はあるのだ。さすがお嬢様、出来が違う。
俺はいつものアクセサリーショップに立ち寄った。
ことある毎にここに来ている気がする……。店内をゆっくり見ながら歩く。
『そう言えば結局結婚指輪もアレのままなんだよな……』
以前アクアマリンのペアリングを結婚指輪代わりにと二人で買ったのだが本物の結婚指輪はまだ用意していない。
『おお?羽依里じゃねーか!買い物か?』
そう声をかけてきたのは三谷良一。そしてその横にはのみきがいた。
実はこの二人付き合い出したらしい。
『本土で脱ぐようなことはないと思いたいが良一のことだからな……注意深く見張っているだけだ』
そうは言っているがやや赤面気味。相変わらずのコンビである。
学生の頃と違い本土に出ることが多い俺は島の元少年団達に会う機会も減ってしまっていた。
『そうか、もうすぐ鴎の誕生日か』
俺はもうすぐ鴎の誕生日でプレゼントを探していることを伝えた。
二人のアドバイスを聞いたり店内商品をじっくりと見ていったがこれと言って決める事はできなかった。
結局もう一晩じっくりと考えることにした。
※ ※ ※ ※ ※ ※
『羽依里、おかえりなさい。ご飯用意できてるよ!』
『ただいま、ありがとな』
家に帰ると鴎が出迎えてくれる。夕食の準備もバッチリだ。すっかり主婦業も板についた感じだな。
『じゃ~ん!今日は鳥白島印のチャーハンだよ!』
自信満々に出してきた料理は鳥白島印のチャーハン。
これはしろはが開発したチャーハンの素をご飯と炒めるだけで誰でも簡単においしいチャーハンが作れてしまうというスグレモノ。実を言うと週に3回くらいの頻度でこれが出てくるのだ。まぁ忙しい自分たちにとって簡単に作れるものはとてもありがたいと思っている。あとは鷺さんからの差し入れが時々ありこちらも助かっている。
夕食を済ませたあと鴎に欲しい物を聞いてみた。
『欲しい物?うーん……特にこれと言ってないかなぁ〜』
『あ、あえて言うなら掃除機が欲しいかな?今使ってるのが最近調子悪くて動かないときがあるんだよね』
掃除機か…。まぁ実用的なものが欲しくはなるのはわかる。掃除機+αで考えることにしようか。
※ ※ ※ ※ ※ ※
『お疲れさまでしたー』
今日も仕事帰りにショッピングモールに赴く。
とりあえず掃除機は家電屋で買うとして……。
『あれ〜羽依里じゃない?こんなところでなにしてんのよ?』
声をかけてきたのは蒼だった。
『今日は一人なんだな』
そう、いつもは双子の姉、藍が一緒にいるはずなんだが今日は蒼一人のようだ。
『あぁ、誕生日プレゼントね〜』
蒼と一緒にいろんなお店を見てみたがやはりこれと言ったものはなかった。
蒼と別れ一人でショッピングモール内を歩く。ふと目についたのは花屋だった。
そう言えば花なんてあげたことないかも……。案外花束とか絵になるかもしれない。そう思って花屋に立ち寄った。やや狭めの店内には数十の種類の花が並んでいる。鉢のあるタイプから一輪だけの花、観葉植物などが並んでいた。
今日は下見なので価格と予算の調整、あとどんな花がいいかを品定めしておこう。そう思い店内を見渡す。まず最初に目に入ったのはバラの花だった。白、赤、ピンクなど様々なカラーのバラが並んでいる。なるほどなるほど……ある程度のイメージは固まってきた。価格、予算にも問題なし。あとは受取か……。
出来れば当日がいいがわざわざ本土まで出向くのも一苦労だ。
結局相談の末朝イチの船に特別に乗せてもらい、港で受け取ることにした。
※ ※ ※ ※ ※ ※
誕生日当日。
『いってらっしゃ~い』
朝から元気な鴎に見送られながら俺は港へと足を運んだ。
港につくと時間を確認。朝イチの船はまだ到着してないようだ。港には乗船待ちのお客さんがちらほら見受けられる。
海の方を見ると遠くの方の船影が目に入ってきた。あと5分くらいで到着のようだ。
汽笛の音が響き渡る。到着した船内から一人の女性が大きめの花束を持って下船してくる。あの花束に間違いはない。
花束を受け取ろうと駆け寄った女性に驚いた。
『パイり君?』
久しぶりに変な呼ばれ方をした。なんと花束を持ってきたのは静久だったのだ。
話を聞くと静久が船に乗る前お店の人が花束をもったまま戸惑っていたようで、静久が声をかけた時、花束に「鴎様」と書かれた文字を見つけたので俺が頼んだのだろうと察知し持ってきてくれたということらしい。
ピンク色のバラが5本、そしてその周りを無数の白いカスミソウがピンク色のバラを引き立てていた。
静久から花束を受け取った俺は鴎の待つ家へと足を向けるのだった。
玄関へつくと妙に緊張してきた。普段やらないことに慣れていないからだ。
『ただいまー』
そう言うとおかえりなさいの声と共に玄関の扉がゆっくりと開く。
『鴎、誕生日おめでとう』
そう言いながら手に持っていた花束を渡す。
白いワンピースを着た鴎は花束を受け取る。うんうん、とても絵になる。
その光景は眩しいほどに美しかった。
これほどまでにきれいな人がいただろうか。うん、いない。
鴎の美しさは世界一、いや、宇宙一だ。
『あとこれ』
そう見せると鴎は大爆笑した。
『ねぇなんでリボンつけられてるの!』
そういいながら鴎は大笑いしている。
今までの雰囲気どこ行った…。
何がおかしいのか……掃除機の箱にリボン着けられてるのがそんなにおかしいのか……いや、おかしいだろ。普通に考えて掃除機にリボンはないわ……。頼んでおいて自分で引く。
そういえば店員さん「え?リボンですか?」不思議そうに聞いてきたわけだ。
でも……こんなふうにふてりで笑っていられる。すごく幸せなことなんだと実感した。
鴎誕生日おめでとう!!
おしまい
ご拝読ありがとうございました!
今年は鴎アフター完結もしてせっかくなのでこのお話ベースでと思って書きました。
今回は羽依里くん視点でお届けいたしました。
羽依里君になりきればあなたも鴎と……
ちなみに五本のバラは
「あなたに出会えたことの心からの喜び」
カスミソウは
「幸福、感謝」
です!
ワタクシは鴎に出会えてとても幸せです。