Summer Voyage〜鴎アフター〜   作:(ノ*°▽°)ノルーっ!

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〜約束〜

8月中旬のある日。

夏の暑さも最高潮に達していた。

 

 

『羽依里ーー!』

 

『鴎、おはよう!』

 

『おはよう!じゃないよー遅いー待ったよー?』

 

『ごめんごめん。ちょっと鏡子さんに用事頼まれて』

 

『そっかー、なら仕方ないね。それじゃあしゅっぱーつ!』

 

『しゅっぱーつ!…ってどこ行くんだよ』

 

『七ヶ浜!最近あの場所に行ってなかったから!』

 

『水上バイクで行くか?』

 

『ううん、歩いて行く』

 

『となるとあの洞窟か』

 

『そうは言っても道も整備されてるし、一応観光地として扱われてるんだよ?』

 

『そうだったな』

 

去年羽依里達が海賊船を完成させてくれたおかげで今は鳥白島の観光地として七ヶ浜洞窟は賑わっています。

洞窟に続く道も歩きやすいよう整備され、所々にクイズなど設置されて冒険感が出るように作られている。

 

『今は夏休みシーズンだから子ども達が多いけどね』

 

『ひげ猫団の冒険の舞台モデルだもんな』

 

そんな話をしながら歩く。

ここに来ているのは小学生が多いようだ。

 

『洞窟見えた!なんだか懐かしいね』

 

『去年の話だろう?』

 

『うーん、あんまり覚えてないなぁ』

 

『この洞窟の入口で二人でテント張って一泊したんだ』

 

『おおー、そうだったね!ピンクのテントだったっけ?』

 

『いや、それは別の話』

 

『別の話?』

 

『いや、何でもない。さぁ、行くぞ』

 

『あー、羽依里待ってよー』

 

先に入っていった羽依里を追いかけて私も洞窟へ入る。

今はしっかり電気もつけられて洞窟内は明るく照らされている。

 

『真っ暗な時はものすごく狭く感じたんだけどな…。明かりがあるとやっぱ広いよな。』

 

『羽依里ここで溺れたんだっけ?』

 

『そんな浅瀬ではなかったと思うんだけどな…。スーツケースを見つけたのもここだったな。』

 

『…ふふーん。じゃあスーツケース置いて消えちゃおっかな』

 

『やめてくれ。鴎がいなきゃ俺はここにいる意味がないだろ?』

 

『羽依里って大胆だねぇ』

 

そのやり取りを見ていた小学生の子ども達を連れた親御さんがくすくすと笑っていた。

その光景を見た羽依里は顔を真っ赤にしていた。もちろん私も赤かったけど…。

 

洞窟を抜けるとすぐに海賊船のある七ヶ浜へと出る。

海賊船の周りは子ども達でいっぱいだった。

 

『人が多いねぇ。もう少し人が引くまで待とうかな』

 

『そうだな』

 

『ちょっと遅くなったけどお昼食べる?今日も作って来たんだ』

 

『スーツケースに入ってるのな弁当。相変わらず不思議なスーツケースだ。そのうち喋るんじゃないか?』

 

『まさか〜。喋ったりしないよ。ただのスーツケースだもん。じゃーん!今日も気合を入れて作りましたー!』

 

『いつもありがとな。いただきます!』

 

気合を入れたお弁当。今日も羽依里は全部食べてくれました!

 

『ちょっと苦しい…かな』

 

『あはは…。次からは少し減らしてくるね!』

 

『そうしてくれるとちょっと助かる』

 

日が地平線に沈む頃、昼間にいたたくさんの子どもや人影はすっかりと消えていた。

 

海賊船の上に登り、鍵のかかった船長室へと向かう。

 

『一年前なのにもっと昔な気がするくらい懐かしく感じるな。あの時はいろいろびっくりしたし。』

 

『あはは…。でも羽依里のおかげで海賊船は完成したし…私も帰ってこれたし。羽依里、座って』

 

『ああ』

 

二人だと少し狭く感じる船長室のソファに座る。

 

『羽依里は高校…卒業したらどうするの?』

 

『…特にこれといって決めてる訳じゃない…。でも…』

 

『でも…?』

 

『俺は鴎と一緒にいたい。だから卒業したらこの島に引っ越してこようと思っている』

 

『ふぇぇ!?変な声出ちゃった…羽依里本気なの?』

 

『ああ。本気だ』

 

『そ、そりゃ嬉しいけど羽依里はやりたいこととかないの?』

 

『俺のやりたいことは鴎と一緒に冒険することだ』

 

『羽依里…』

 

『だから俺はここに来る』

 

『…ありがとう。約束だよ?』

 

『ああ。約束だ』

 

『…んっ…』

 

抱きしめあってキスをする。

お互いの気持ちを確かめ合うように。

 

『…ここでキスするの2回目だね』

 

『…なんでそこは覚えてるんだよ…』

 

『そこは忘れたくなかったからかもしれないね』

 

『まったく…』

 

また距離が縮む。暑いことを忘れてしまうくらい抱きしめあっていた。

 

 

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 

 

波の音が聴こえる…。

まだ夜の明けていないうす暗い中甲板に出る。

 

『…暗くなって帰れなくなってここで寝ちゃってたんだったね。もうすぐ日が昇る…』

 

『…鴎?』

 

『羽依里、おはよう!』

 

『早いんだな。まだ夜明け前だぞ』

 

『なんだか目が覚めちゃって』

 

『さすがに朝方は涼しいな』

 

『そうだね』

 

少しだけ吹く風がとても心地よかった。

 

『と言うかここに泊まって大丈夫だったのか?』

 

『まぁ、一日くらいは大丈夫だよ!』

 

『不良娘だな!』

 

『羽依里こそ!』

 

日が昇ると浜辺は一気に明るくなっていった。

 

『日も昇ってきたし、そろそろ帰ろっか!』

 

『ああ、鷺さんが心配してるだろう。俺も一緒に謝るよ』

 

洞窟を抜けて山道を降りて行く。

 

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 

『ただいまー…』

 

『鴎、どこに行ってたの?心配したわよ?』

 

『あはは…お母さんごめんね。連絡できなかった』

 

『鷺さんすみません。俺のせいです』

 

『羽依里さんが一緒だと思ってたから大丈夫だとは思ってましたけど一応連絡頂けると助かります』

 

『ですよね。次からはちゃんと連絡します』

 

『…お母さん。今後のことなんだけど』

 

『…?』

 

『羽依里は高校卒業したらこの島に来てくれるって。私も羽依里と一緒にいたい』

 

『鴎!?』

 

『羽依里さんはそれでいいんですか…?』

 

『…お、俺も鴎と一緒にいたいです。支えて行きたいです』

 

『…わかりました。羽依里さんなら安心できます。鴎をよろしくおねがいします』

 

『ありがとうございます』

 

『やったね!羽依里!お母さんもありがとう』

 

こうして羽依里が卒業したら私たちはこの島で暮らす約束をしました。

 

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 

羽依里は鏡子さんのお使いで駄菓子屋に行っていました。

その時こんなことを言われたそうで……。

 

『蒼〜』

 

『今日はやけに早いわね。…はは〜ん。ひょっとして朝帰り?』

 

『…まぁ違わなくもない』

 

『!?冗談で言ったつもりがほんとだったのね。ところであんたこの島に住むってほんと?』

 

『…っ!?なんで知ってるんだよ!』

 

『あんたと鴎がニヤニヤしながらそんな話をしてたって木戸のおばあちゃんが言ってたわ』

 

『おばあちゃん!?どこにいた!?田舎恐るべし…。』

 

『でなんの用?』

 

『ああ、鏡子さんに頼まれた買い物を…』

 

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 

『…と言う訳で…話はあっという間に島中に広がったとさ』

 

『…鳥白島恐るべし。でもまぁみんなに言う手間省けていいんじゃないかな?』

 

『相変わらずポジティブ思考だな。だがほぼ同意だ。まぁびっくりはしたけどな』

 

『…羽依里嬉しそう』

 

『そういう鴎もだろ?』

 

『まぁね〜!』

 

もうすぐ夏休みは終わってしまう。夏休みが終わると羽依里は一度本土に戻ります。

少しだけ寂しい気もします。

でも約束をしたの。二人の冒険はこの先も続いていくんだって。

 

 

 




お読みいただきありがとうございます(ノ*°▽°)ノルーっ!
という事で鴎アフターストーリーSummerVoyage第四話でしたー。

理想の鴎像であったり、こうであってほしいとか言う想いや願いを込めて書いてます。

昔制作していたゲームがありましたがセリフや物語の流れとか結構作ると大変ですよね…(笑)

今回は割と真面目な回でしたのであまり小ネタは挟んでませんが、ピンクのテントネタはドラマCDをお聴きになってくださいね!
ちなみにキスシーンとか初めて書きました…(笑)

次回は夏休み最終日からのお話の予定です!

読み辛い点もあるかと思いますがお付き合いいただきありがとうございます!

※2021年4月3日加筆修正
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