現代童話集   作:早崎 富也

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始まり始まり〜




料理を作る仕事

 

 

 

あるところに、料理を作るのが得意な少年、A君がいました。

A君はよく料理を作り、友達にご馳走していました。

 

ある日友達の一人、B君が言いました。

 

「君は将来、コックさんになれるだろうな」

 

「ああ、僕は将来料理を作る仕事をするんだ!そして、いつか自分の店をだすんだ!」

 

 

 

 

 

 

それから数年たち、A君もB君も大人になりました。

 

B君はある会社の社員として働いていました。

 

ある休日、B君は公園でA君に会いました。

 

「久しぶりだな」

 

「そうだな。お前、今は何をやってるんだ?」

 

「ごく普通のサラリーマンさ。お前はどうなんだ?」

 

「それが……」

 

「?」

 

「料理学校を卒業してすぐ、あるレストランの厨房で働き始めたんだけど、すぐクビになったんだ」

 

「ええっ⁈」

 

「しばらくは、他の料理屋とかをまわっていたんだけど、どこもすぐクビになってさ。だから、料理屋を始めたんだけど、それも全然上手くいかないんだ」

 

「どうして?あんなに料理得意だったじゃないか?腕が落ちたとか、そんなわけないだろ?」

 

「もちろんだ。料理学校でも成績は優秀だったし、いろんな資格も手に入れたんだ。それなのに全然ダメでさ」

 

「どうしてなんだ?」

 

「さっぱりわからないよ……。よかったら、相談にのってくれないか?」

 

「いいぞ。いつになるかわからないけど、お前の店に行くから。俺でよければいくらでも知恵貸すよ」

 

「ありがとう」

 

 

 

 

 

 

それから数日後、B君はA君の店に行きました。

 

そして中に入ってビックリしました。

 

お店の中がとても汚いのです。

とても食事ができる状態ではありません。

食器も全て汚れていますし、冷蔵庫の中に食材はほとんどありません。

残っているものも、賞味期限が切れたものや、カビが生えたものばかりです。

レジを見てみると、お金は乱雑に入っていて、ちゃんと管理されていないことが明らかです。

 

B君はすぐにA君に訊きました。

 

「お店の掃除はどうしてるんだい?」

 

「してないよ」

 

「食器は洗っているかい?」

 

「いいや」

 

「食材の調達は?」

 

「私用のついでにやってる」

 

「お金の管理は?」

 

「特に何も」

 

「誰か人をやとったりは?」

 

「してない」

 

「どうしてやらないんだい?それじゃあ、すぐクビになるし、お店が上手くいかないのも当然だよ」

 

「だって僕は料理人だろ?料理を作るのが仕事だろ?

だったら掃除したり、食器を洗ったり、食材を買ったり、お金や人の管理をするのは僕の仕事じゃないだろ」

 

B君はため息をついて思うのでした。

 

(料理人は、料理だけやってればいいってわけじゃない。料理だけが得意でも、料理人になれるとは限らないんだなァ……)

 

 

 






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