カズマと名乗るのは恐れ多いのでカズヤと名乗ることにした   作:美味しいパンをクレメンス

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繋いだこの手は──

カズヤの右肩甲骨から発生している金属片は、先程まで回転翼だったものが今は尻尾のように足元まで垂れ下がった羽となっており、それが鞭のように大きく振りかぶられてしなると彼の背後の地面を叩く。それにより彼の肉体は発射された弾丸のような猛スピードで前方へと突撃した。

 

「どおおおおおおおりゃあああああっ!!」

 

右の拳が打ち抜かれる。

先程とは次元が違う速度にフィーネは反応できない。彼女が顔面を殴られたと認識したのは、瓦礫に埋もれた自身の体がネフシュタンの鎧によって修復されていくのを自覚した時だった。

何の前触れも見せずいきなりフィーネに殴りかかったカズヤの後ろ姿を見て、装者達四人は相変わらず手が出るの早いなぁと感慨に耽る。

なお、一連の動きを見て、カズヤから予めシェルブリットには複数の形態があることを聞いていた奏は一人言のように呟く。

 

「すげぇ...あれが最終形態の力か。加減と制御が難しいから使いたくないっつってたカズヤの気持ちが分かったよ。第二形態とは桁違いだ」

「おいちょっと待て奏。お前、カズヤの今の姿知ってたのかよ?」

 

クリスが初耳だとばかりに奏に問い詰めると、誤魔化すように笑う。

 

「アハハハ...元々シェルブリットには複数の形態があって、全身をアルター化させる最終形態が存在するってのは聞いてて...カズヤとアタシの秘密だったんだけどね」

「何だそりゃ!? カズヤに関してそういう隠し事はしないって一緒に暮らし始めてから約束しただろうが!」

「だってこの話聞かせてもらったの随分前なんだもん。仕方ねぇじゃん」

 

拗ねるクリスを宥める奏。二人を横目に見つつ、響と翼はそう言えばと思い出す。

 

「確かカズヤさんがクリスちゃんと戦った時に...」

「ええ。絶唱に対抗する為、最後の一瞬に見せたわね。あの時は両手足だったけど。そうか、なるほど、複数の形態というのはそういうことなのね」

 

ふむふむと納得する二人。

そんな感じでお気楽&最早勝った気になってる四人の歌姫に、カズヤは呆れたけど安心したような、俺達らしいからまあいいかと思ったところではあったが、小さく溜め息を吐き苦言を呈する。

 

「お喋りもそんくらいにしとけ。奴さん、まだやる気だぜ」

 

その言葉を証明するように、瓦礫の中から上空に向かって緑色の光が伸びていく。

やがてそれは幾千もの光となって街に雨のようになって降り注ぐ。そして大量のノイズとなって街を埋め尽くす。

ノイズは地上だけでなく、空にも飛行型が数え切れないほど配置された。

種類も多種多様で小さいものから大きいものまでノイズの見本市のようだ。超巨大なノイズなどは動くだけで建築物を破壊する様子が確認できる。

しかし、かつてないほどの規模のノイズ出現に、誰一人として臆することはない。

 

「おーおー、今日のライブは大盛況だな。お客さんが街に溢れ返ってるぜ」

「でも残念でした。これから始まるライブはたった一人の為に歌うことが決まってるから、チケットを持ってないお客様にはお帰り願おうかね」

 

軽口を叩くカズヤに、奏が似たような軽口で応える。

そんな二人の発言に翼が快活に笑い飛ばす。

 

「せっかく集まってもらって悪いけど、マナーの悪いファンはファンじゃないわ」

「私、歌いますよ! カズヤさんの為に、全力で!!」

 

響が満面の笑みでカズヤにそう言うと、クリスも頷いた。

 

「ま、あたしはあの時以来、カズヤの為だけに歌うって決めてたけどな」

 

彼女達の言うことにカズヤは胸が熱くなる。その胸の熱さに突き動かされるように、

 

「さあ、派手なライブを期待してるぜお前ら!!」

 

羽をしならせ地面を叩き、街に向かって飛んでいく。

飛び立つ彼に、四人は新しく生まれ変わったシンフォギアに備わっている光の翼を羽ばたかせ、歌いながら後に続いた。

 

「おおおおおおおおおおおおおおおっ!!」

 

歌声が響く街の中に野性味溢れる男の叫びが轟く。

拳を振るう。それだけで発生した衝撃波──拳圧が大量のノイズを一瞬で塵と化す。

第二形態のシェルブリットを遥かに上回るその圧倒的な破壊力に僅かに驚きつつも、響が前に出る。

 

(私もカズヤさんに続きます!)

 

声に出していない自身の声が皆に聞こえているのを気づくことなく、響も拳を振り抜けば、カズヤと同等の破壊力を以てノイズを打ち倒していく。

更に打つ、打ちまくる。両の拳を突き出せば突き出すだけノイズを纏めて蹴散らせることに興奮が止まらない。

 

(凄い! 攻撃の一発一発が、いつものカズヤさんと同調した時のシェルブリットバーストより全然強い!!)

(ていうか、さっきから響の心の声だだ漏れだよ)

(え? 奏さんの声!? どうなってんのこれ?)

(どうやらテレパシーか念話かどっちか知らないけど、喋らなくても意思疎通できるみたい。まあ、難しい理屈は置いといて、歌いながら意思疎通できるんなら便利ってことにしとこうか!!)

(はい、奏さん!)

 

何故、念話が突然できるようになったかなど、今となっては些細な問題だった。

彼女達にとって、戦う際に起きる現象など今更驚いていてもしょうがない。そういうもんだと受け入れるのが最も楽なのだ。

 

(へへ、とにかく、今のこの状態ならシェルブリットバースト撃ち放題ってことだろ? だったらぁ!!)

 

気合いと共にクリスのアームドギアが飛行と射撃に特化した一人乗り用の戦闘機のような姿に変形。飛行型ノイズに向けてレーザーをバラ撒くように発射し、あっという間に空中を支配していたノイズの群れを撃破。それだけに留まらず、クリスは華麗にバレルロールを決めながら残りのエネルギーや弾数を気にせず縦横無尽に暴れ回る。

 

(翼、こりゃアタシ達も負けてらんないな)

(ええ。私と奏、ツヴァイウィングの力を)

(刻み込んでやるとしますか!!)

 

奏が槍を、翼が剣を振るう。それだけで巨大な竜巻と斬撃が発生しノイズの群れを呑み込み、蹂躙していく。

他三人と同じように一撃では終わらない。より多くのノイズを屠る為に、飛び回りながら二撃、三撃と惜しむことなく技を繰り出す。

 

「おらああああああああああああっ!!」

 

そこは一人の男の雄叫びと、四人の歌姫の歌が響き合う戦場。

閃光と爆音と戦火が弾けて混ざり合う。

最早ノイズなど数が多いだけの的も同然。ただの木偶では五人を止めることなどできはしない。

カズヤと響の拳が、クリスの銃口が、奏の槍が、翼の剣が途方もないエネルギーと熱量を以て街を埋め尽くしていたノイズを瞬く間に消滅させた。

 

「どんだけ出ようが、今更ノイズ!」

 

アームドギアを一旦仕舞い、ファイティングポーズを構えるクリスの闘志は衰えるどころかますます強くなる。気持ちと力が充実してる証拠だ。

 

「あらかた片付いた?」

 

そのクリスの背後で、この中で一番の年長者らしく周囲の警戒を怠らない奏。

 

「そうね。残るは櫻井女史のみ」

 

奏に応じるように翼が言いつつリディアンの方角に向き直ると、瓦礫の上に立つフィーネがソロモンの杖を自身の腹に突き刺したところを目撃した。

するとフィーネは全身から緑色の光を放出。その光はさながら天に向かって打ち上げられる間欠泉のようだ。

 

「...次は先にあのクソ(アマ)からソロモンの杖取り上げてからな」

「...そうですね...」

 

うんざりした口調のカズヤに響もげんなりしながら同意を示す。

誰もが最初にそれをやれと思ったが、いの一番に街に飛び出して行ったのはカズヤで、それに疑問に思わずついて行ったのは四人である。全員に責任があるので誰かを責めるようなことはしないが、五人が五人共、誰か一人でもいいからさっき思いつけよと他力本願的に考えたのは確かだ。

緑色の光は先程とは異なり、街に降り注ぐことはなかった。その代わり、街ではなく光が発生した場所──フィーネに向かって収束し、泥が堆積していくようにその肉体の質量を爆発的に膨らませていく。

ソロモンの杖はノイズを召喚し操る力を持つ完全聖遺物。ならば使い方次第では、大量のノイズをその身に纏い、自身を強化する為に利用することも可能なのだろう。

 

「悪役の巨大化は負けフラグって知らねーのかあのクソ(アマ)...つーか、キモい蛇だな」

 

最終的にはカ・ディンギルに匹敵するだけの超巨大な赤黒い蛇のような気色の悪い姿になったフィーネに、カズヤが心底嫌そうに顔を顰め、四人もうんうんと頷いた。

蛇の頭部、その先端部がこちらを向き、深紅の光を放射する。

五人は散開して回避。

狙いが外れた光は背後の街──その中でもオフィスビル群に当たり、大爆発を起こしてその周囲一帯を更地に変えた。

 

「...今の力、どう考えてもネフシュタンの鎧とソロモンの杖だけじゃねーな。地下にあったデュランダルも取り込んでるだろ」

「だね。あの蛇が立ってる場所がそもそもアビスの真上だし」

 

鋭い観察眼を披露するカズヤの言葉に奏も補足する形で同意する。

 

「...完全聖遺物を三つも取り込んだ状態か...」

「何だよ、怖じ気づいたか? 震えてるぞ」

「いや、武者震いが止まらないだけだ。あれを前にしていながら、私達五人なら負ける気がしないとな」

「ハッ、ったりめぇだ!」

 

呻くように言う翼に対してクリスが茶化すように問うが、続いた言葉に二人は揃ってニヤリと笑う。

 

「やれますよ、私達なら! 絶対負ける訳にはいかないんですから!!」

 

響が全員の心の内を代弁しつつ、胸の前で拳と拳を打ち合わせた。

 

「ネフシュタンの鎧による無限の再生能力、ソロモンの杖でノイズを無限に召喚して再生能力を補強してるだろうな。んで、デュランダルの無尽蔵のエネルギー? この局面じゃ無尽蔵も無限と似たようなもんだな。それで火力は絶大、かつ、デュランダルが前の二つの力を底上げさせてる...無限だらけでゲシュタルト崩壊しそうだが、やることは決まってる」

 

唇の端をニヤリと吊り上げ、カズヤが両の拳を腰溜めに構える。拳と腕の装甲のスリットが展開し、甲高い音を立てつつ金の光が収束。大気中からフォニックゲインが集まり、凝縮していく。

やがてカズヤの全身が黄金に輝くと、それに呼応するように四人の体も光輝く。

 

「アタシと翼が道を開く」

「私達、両翼が空を翔る様をしっかり見てて」

 

奏と翼がアームドギアを振りかざし、光の尾を引いて飛び出した。

 

「じゃ、あたしも行ってくらぁ。トドメは任せた」

 

二人を追う形でクリスも光の翼を羽ばたかせる。

 

「カズヤさん...私達は...」

 

どうすれば、と視線で聞いてくる響に、カズヤは笑って左手を差し伸べた。

響はカズヤの左手を見てから、嬉しそうに笑顔を浮かべて自身の右手を伸ばし、指と指を絡めるように手を繋ぐ。

 

「響...今思えば、お前が俺をこの世界に繋ぎ留めてくれたんだ」

「...カズヤさん」

「感謝してる」

 

握る力を強くし、繋いだ手をギュッと握り締め、更に言葉を紡ぐ。

 

「俺はお前に手を握ってもらって、"向こう側"から抜け出すことができた。あの時の俺は、間違いなくお前に救われた」

 

だから──

 

「お前の手はきっと、俺だけじゃなく、これからも誰かを救うんだろうな」

 

言われてポカンとしていた響であったが、

 

「...はいっ!!!」

 

次の瞬間には太陽の如く輝かしい笑顔で元気に返事した。

 

 

 

真っ直ぐ超巨大蛇に向かって進む奏と翼は、近づけば近づくほど激しく密度の増す赤い閃光を回避しつつ、全身に漲る力を己のアームドギアに集約させる。

二人の槍と剣は金の光を纏い始め、やがてその光はそれぞれがビルよりも大きく成長し、フィーネの超巨大な蛇に匹敵するほど長大な"一対の翼"へと変化した。

遠くから見たそれは、まるで蛇の前で怯むことなく雄々しく翼を広げた一羽の鳥を連想させた。

 

「これが、カズヤがくれた力で放つ」

「私と奏のシェルブリットバースト」

 

二人目掛けて蛇の先端部が極太の閃光を撃ってきたが、構わず振り下ろす。

 

「「ツヴァイウィングだあああああっ!!」」

 

金に光輝く"一対の翼"と蛇が放った赤い閃光が拮抗したのは一瞬だけ。赤い閃光は容易く押し負け、消滅させられた。

"一対の翼"は鋭い刃となって蛇の巨体を縦に斬り裂き、三枚に下ろす。

斬り裂かれたその隙間にクリスが再生する前に飛び込む。本体のフィーネを狙い、拳を振りかぶる。

 

「クリスッ!」

「フィーネ! さっきはよくもカズヤのことをボコボコに痛めつけてくれたなあっ! それに関してはあたしが直接お前を殴らないと気が済まねぇんだよ!!」

 

超巨大蛇の中心部でデュランダルを右手に握ったフィーネがクリスの姿を見て瞠目する。

彼女の右腕が眩い光を放つと、一瞬にして()()()()()()()()()()()と同じ姿へと変化。

白を基調とし所々が赤いその右腕は、色こそ一部異なるが間違いなくカズヤのシェルブリット。そして右腕全体が凄まじい光を放ち輝いた。その事実にフィーネはクリスが何をしようとしているのか察し戦慄した。

 

「まさかっ!?」

「こいつを食らいやがれえええええっ!!」

 

手にしたデュランダルで迎撃しようとするが、クリスの突撃に比べて圧倒的に遅い。

 

「シェルブリットバァァァストォォォッ!!」

 

クリスの右の拳がフィーネの顔面に叩き込まれた刹那、拳に収束されていたエネルギーが炸裂し、金色の閃光を伴って大爆発を引き起こす。

その爆煙の中から放物線を描き、くるくると回転しながらデュランダルが飛来する。

 

「やっちまえ、カズヤ!! 響!!」

「勝利をその手で掴み取れ!!」

「お前らの番だ! 決めろよ二人共!!」

 

おあつらえ向きにこちらへ飛んできたデュランダルを、右手でその柄を掴み、即分解して虹の粒子に変え、内包されていた莫大なエネルギーを虹の粒子ごと取り込み、その半分を響に──繋いだ手を通して渡す。

二人の全身から太陽を錯覚させるほどの光が放たれ、世界を照らす。

 

「クソッ、クソッ、クソォォッ!! お前のような訳の分からん輩に、私の想いが踏み(にじ)られるなんてこと、認められるものかぁぁぁっ!!」

 

憎悪と怨嗟を孕んだフィーネの声に、カズヤはふっ、と鼻で笑うとその言葉に応じた。

 

「ああ、そうさ。

 俺も自分自身のことなのに訳分かんねーよ。

 ちゃんとした名前だって覚えてねー。

 記憶もろくに残ってねー。

 テメーみてーに絶対成し遂げたい目的もねー」

「...カズヤさん」

 

隣で手を繋いでいる響から、離れた場所から固唾を飲んで見守っている奏と翼とクリスの視線を感じながら告げる。

 

「それでもただ一つ、

 一つだけテメーに勝ってるもんがあるっ!!」

 

叫び、隣の響に顔を向けて笑いかけると、意図を察した響が笑顔で頷き返してくれた。

カズヤの左手と響の右手──互いが互いに握った手に力を込める。

 

「さあ、見せてやる。これが、これだけが!!」

 

カズヤの羽が大きくしなって背後の空間を叩き、前に突撃する為の推進力とする。

同時に響の腰部分のスラスターがカズヤの動きに合わせて火を吹いた。

 

「俺とっ!!」

「私のっ!!」

 

 

 

 

 

【繋いだこの手は──】

 

 

 

 

 

「「自慢の拳だああああああ!!!」」

 

全く同じタイミングでカズヤは左腕を、響は右腕を振りかぶり、蛇の頭に狙いを定めて突き出す。

そしてそれが蛇の頭頂部を穿つと、激しい閃光を生み出してから、一拍遅れて爆裂する。

巨体を誇る蛇の肉体が、再生することなく虹の粒子となって空気に溶け、消えていく。

 

「何故だ! 何故再生しない! 何故組織が崩壊していく!? いや、違う、これは分解されているのか!! おのれ、おのれ! おのれ"シェルブリットのカズヤァァァァァ"!!」

 

大量のノイズで肉体を構成されていた蛇の巨体全てが、虹の粒子となって消えると、それを待っていたかのように朝日が顔を出す。

月と闇夜の時間が終わり、朝焼けが世界を彩る。

 

 

 

 

 

「さて、キリキリ吐いてもらおうか。最初から最後まで、全部な」

「...そんなことの為だけに、私を助け出したというのか...」

「俺は別にテメーのことなんてこれっぽっちも興味ねーし、テメーがこの後どうなろうが知ったこっちゃねー。だが、俺以外の連中はそうじゃなかった、それだけだ」

 

精も根も尽き果て、十数年は老け込んだように見えるフィーネに、響と一緒に肩を貸していた状態から瓦礫の上に座らせると、俺はその場から少し離れた場所にある瓦礫の上に腰掛けた。

二課の面々も勢揃い。ついでに未来と安藤などを含めたリディアン生徒も数名いる。

響が代表として口を開く。

 

「了子さん、話してくれませんか?」

 

響の声にチラリとそちらに視線を向けてから、フィーネは訥々と、ゆっくり語り出した。

 

 

 

遥か昔。先史文明時代、この世界の人類(当時はルル・アメルと呼ばれていた)にとっての創造主──カストディアンという存在(種族名はアヌンナキというらしくややこしい)に仕えていた巫女、フィーネ(ルル・アメル)。

フィーネは創造主の一人、エンキという名の男性に恋をした。

創造物が創造主に恋慕する。それは本来なら許されない不遜なことだと考えながらも、フィーネはたとえどんな結末になろうと胸の想いを伝えたくて、想いを伝える為の塔を建てたが、想いを伝える前にその行為は創造主の怒りに触れ、塔は雷で砕かれ、バラルの呪詛が降りかかり──人類同士だけに留まらず創造主とも意志疎通と相互理解が可能で、誰とでも分け隔てなく語り合うことができた統一言語が、失われた。

それ以来フィーネは、バラルの呪詛を解呪する為、呪詛の発生源──月の破壊に心血を注ぐ。

しかしそれには時間が足りない。だから、自身の子孫がアウフヴァッヘン波形に触れた場合、記憶と人格と能力を持ったまま子孫の意識を乗っ取り転生するシステムを己の遺伝子に仕込んだ。

これまで何度も何度も子孫に転生を繰り返してきたフィーネ。その度にパラダイムシフトを起こし、歴史の裏で暗躍してきたとのこと。

なお櫻井了子は、十二年前に覚醒した今回の転生先だとか。

ちなみにノイズとは、バラルの呪詛により統一言語を失った人類が、人類同士で手を取り合うことではなく殺すことを選択した結果、環境を破壊せずに人類を殺す為に産み出された兵器。しかしノイズが仕舞われている"バビロニアの宝物庫"とかいう異空間は扉が開けっ放しになってるので、たまにそこから出てきたノイズが現在災害として扱われているようだ。

ついでに言えば、ソロモンの杖がなくても多少のノイズ召喚ならできるらしく、ノイズ出現のどさくさに紛れ悪どいことをしょっちゅうしていたことも判明。

全てはバラルの呪詛を解く為。それだけの為に永遠の刹那を繰り返してきたとフィーネは締め括る。

 

 

 

恋心もここまで来ると大迷惑を通り越して大災厄だ。

ある意味こいつの存在そのものが、人類にとってバラルの呪詛よりも遥かに呪詛らしい。

振られた癖して未練たらしく奪われた統一言語にいつまで縋るつもりだこの地雷女は。想いを伝える前にお断りされたんだから現実を見据えて諦めろボケ。

と、思わず口にしそうになったので必死に止めた。

くたばる寸前のババァにこれを言うのはさすがに気が引ける。

 

「だから私は、この道しか選べなかったのだ...」

 

フラフラと瓦礫から立ち上がり、こちらに背を向け、ネフシュタンの鎧の武装──鞭を握り締めるフィーネ。

ここまで話を聞いて、一つ違和感があった。

エンキという創造主は、フィーネを振って金輪際自分と関われないようにする為だけに、バラルの呪詛を発動させたのだろうか?

実はフィーネはエンキから蛇蝎の如く嫌われてた、っというのなら納得しよう。もしくはエンキには既に別の女(同じ創造主側の)がいて、その女が横恋慕してきたフィーネに腹を立てた、というのも話としてはまだ分かる。

まあ、振られたってのに数千年も盲執を抱えて目的の為なら手段を選ばず悪逆非道を繰り返してきた核地雷女だ。俺がエンキと同じ立場なら滅びよ人類、とかやってそうな自信がある。

しかし、もしエンキが、というか創造主達が何らかの事情でバラルの呪詛を発動せざるを得なかった場合は?

その事情をフィーネに伝えることができなかっただけであれば?

これはエンキという人物像について話を聞く必要があるなと考え立ち上がろうとすると──

 

「人が言葉よりも強く繋がれること、分からない私達じゃありません。少なくとも私は、私達は、カズヤさんと一緒に戦ってるとよくそれを感じます」

 

響が諭すような優しい口調で語りかけた。

だがフィーネはこちらに背を向けたまま、苛ついたように叫ぶ。

 

「同調のことを言っているなら、それは大きな間違いだ! その男は異世界人、創造主が生み出したこの世界の人類とは違う! この世界で唯一バラルの呪詛に囚われない人間だ! それを──」

「なら異世界から来たカズヤさんは、創造主が生み出した人類とは違うカズヤさんは、この世界に元々あった統一言語を使えるんですか?」

「っ!?」

 

一瞬、え? 誰? と思ってしまうくらいに鋭い指摘をする響。

絶句するフィーネを見て、響は笑みを深める。

 

「ほらっ! バラルの呪詛があってもなくても関係ないんですよ。私達は手を繋ぐことができる。異世界からやって来た人とできたんです。同じ世界で生まれた人達同士なら、きっといつか」

 

そう言って響は手を差し伸べながらフィーネに歩み寄った。

風が吹く音と、響の足音だけが静寂の中で木霊する。

ここはもう暫く響に任せてみよう。そう思って上げかけていた腰を下ろしたその時、

 

「......でりゃああああああ!!」

 

突如、フィーネがくるりと反転しながら踏み込み、握っていた鞭を響の頭部に投擲。

難なく避ける響は、フィーネの懐に飛び込み拳を振るうが、胸の中心で寸止め。

 

「了子さん、こんな無駄なことは──」

「私の勝ちだぁっ!!」

 

悪足掻きをするフィーネに響が何か言おうとするが、それは遮られる。

そして俺達は今もなお、ネフシュタンの鞭が伸び続けていることに今更気づく。

何処まで伸び続けるのか疑問に思い視線で追うと、月が視界の中央に映る。

まさかこいつ──

 

「あああああ、ああああああああっ!!!」

 

伸び続けていた鞭が止まると、フィーネは再び反転しこちらに背を向け、両足で地面をしっかり踏ん張り、鞭を背負うようにして渾身の力を込めて引く。

咄嗟に響がフィーネから離れるように後ろに退いた。

踏み締めていた大地が砕ける。身に纏っていたネフシュタンの鎧に罅が入って砕け散る。

同時に、フィーネの肉体も鎧と同様に砕け始め、組織の崩壊が始まった。

それでも彼女は止めない。残りの命の全てを懸けて鞭を引いた。

やがて手に持つ鞭すら砕けて千切れ、漸く動きを止めると何かを確信したのか、勝ち誇ったように、狂ったように笑う。

 

「月の欠片を落とす!!」

 

誰もが驚き息を呑む中、俺はやれやれと首を横に振りながら立ち上がる。

最後の最期になんかやらかすんじゃないかな~、とこれまでの執念を聞かされていたので嫌な予感がしていたのだが、当たって欲しくない予感だけよく当たるのはどうにかならんのか。

響も響で、寸止めじゃなく殴っちまえばいいのに。

 

「私の悲願を邪魔する禍根は、ここで纏めて叩いて砕く! この身はここで果てようと、魂までは絶えやしないのだからな!」

 

砕けて崩壊していくネフシュタンの鎧とフィーネの肉体。それが割れた大地にパラパラと落ちて乾いた音を立てた。

俺は皆が呆然としているのを横目にフィーネのそばまで歩み寄る。

 

「聖遺物の発するアウフヴァッヘン波形がある限り、私は何度だって世界に蘇る! 何処かの場所、いつかの時代! 今度こそ世界を束ねるために......アハハッ、ハハァ! 私は永遠の刹那に存在し続ける巫女、フィーネなのだぁぁっ!! ハハッ!」

 

手を伸ばせば届く距離、フィーネの目の前で足を止める。

 

「"シェルブリットのカズヤ"、今回はお前達に阻止されたとしても、私にはそもそも負けというものが存在しな──」

「テメーが惚れた男は、優しかったか?」

 

時間が止まったように固まるフィーネに構わず続けて問う。

 

「テメーが惚れた男は、どんな奴だったんだ?」

「...」

「テメーに笑いかけてくれたことがあったか?」

「...」

「理不尽な命令をするような主だったのか?」

「...」

「私利私欲の為に動くような人物だったのか?」

「...」

「テメーに対して常に冷たい態度を取っていたか?」

「...」

「テメーの想いを察することもできない、怒ると全人類に呪いをかけるような短絡思考だったのか?」

「...」

「おいこら答えろよ。そいつの何処にテメーが惚れたのか聞かせろよ! ただし、よく昔を思い出してから答えてもらうがなぁっ!!」

 

するとフィーネは、全身を震わせ、目に涙を溜めてゆっくり首を振った。

 

「...違う、違う違う! あの御方は、あの御方はいつも私に穏やかな笑みを見せてくれた、いつも私を気遣ってくれた、ルル・アメルの私を自分と対等に扱ってくれた...誰よりも慈悲深く、思慮深い方だった! そんな方だからこそ私は心から愛した!!」

 

零れた涙が頬を濡らす。

それを聞いて俺は肩を竦める。

 

「何だよ、理想のイケメンじゃねーか」

「そうだ! 素晴らしい方だった!」

「それに誰よりも思慮深いってんなら、バラルの呪詛を発動させるには何か特別な事情があったとしか思えねーぞ」

「...あ」

「もしかしたら連絡する暇もないくらい切羽詰まってたんじゃね? 惚れた男がどんな人間だったか忘れてないなら、このくらい想像つくだろ?」

「...だとするなら、全て私の勘違い...?」

「十中八九。さっきの響の指摘でもそうだが、頭良いのに結構抜けてんな、()()()()は」

「...あ、あ、あ、あああああ...」

 

力が抜けたように体勢を崩し、四つん這いになって赤子のように泣きじゃくる古代の巫女の姿は、酷く哀れに映る。

恋は盲目とはよくいったもんだが、いくらなんでもこれは星の巡りが悪過ぎるというか、不幸にもほどがあるというか。

 

「次はその事情が何なのかをまず探ってみろ。事情が分かれば、男の本当の返答がそこにあるかもしんねーんだからよ...男女関係なんてだいたいそれで解決できる。これ、男の俺から女のあんたへのアドバイスな」

 

涙を拭いながらもしっかり頷いたのを確認して、俺はすぐそばでやり取りを見守っていた響に、少し離れた場所にいる奏と翼とクリスに視線で促す。

すると四人はこれから何をするのか予め知っていたかのように笑ってくれる。

俺、こいつらのこと大好き。いや、超大好きだわ。

 

「アンコール、お願いしてもいいか?」

「えっへへ、カズヤさんのお願いなら何度でも」

「歌手冥利に尽きるね翼、アンコールだって」

「そうね。この際とことん付き合うわよ」

「カズヤが望むならあたしはいくらでも歌う」

 

嬉しくて自然と口元がにやける。しかもこれを言う為にわざわざ駆け寄ってくるとか超可愛いな。

フィーネに背を向けて、四人を引き連れ歩き出そうとした。

 

「待てお前達、まさか...」

 

立ち上がりこちらに手を伸ばしたフィーネに、足を止めて振り返り、言った。

 

()()周りに迷惑かけずもっと上手くやれ」

「...」

「んで、事情が分かって、男があんたを想ってたことが証明されるのを祈ってる」

「っ...!」

 

もう一度涙を零すと、フィーネは声を張り上げた。

 

「女の私から男のあなたにアドバイス!!」

「?」

「女の子はね、好きな人が自分のことをどう想ってくれてるのか常に不安なの、不安で不安で夜も眠れないの! だから態度と行動と言葉でちゃんと応えてあげて! じゃないと私みたいになっちゃうから」

 

そりゃ困る。

 

「俺、こいつらのこと超大好きなんだが。こいつらが歌う歌も。それこそ後ろからブスリとナイフで刺されても気にしないくらいには...うーん...じゃ、これが終わったらなんでも言うこと聞くとするぜ。キスでもハグでもデートでも、それ以外でも、なんでもだ」

「「「「っ!!!」」」」

 

歌姫達の目が野獣の眼光に変わった気がする。まるで俺の全身を舐めるような、ねっとりとした視線を感じた。

あ、誰か生唾飲み込む音がする。

 

「...男に二言はないなカズヤァァァッ!!」

 

と思ってたら翼が凄い勢いで食いついてきた。生唾飲み込む音出してたのお前か!

 

「...翼、がっつき過ぎ」

「翼さん、目が血走ってますよ」

「お前、カズヤに何させる、いや、何するつもりなんだよ」

 

奏と響とクリスがドン引きしてるが、お前ら人のこと言えないから。俺は今さっきの野獣の眼光を忘れてないからな。

 

「どうしてこういう話題になると、いつも私が空気読めてない感じの雰囲気になるんだあああああっ!!」

 

天を仰いで絶叫する翼の姿に、俺は思わず吹き出した。

腹を抱えて大笑いをしていると、つられて皆も笑い出す。

 

「...うふふ、ハハッ、アハハハハハッ!!」

 

次第にフィーネも笑い出した。

俺にはそれが、彼女にとって数千年ぶりに心の底から笑っているように見えた。

 

「おっかしい。これから先もきっと、あなた達はずっとそんな感じなんでしょうね」

「かもな」

「でも女の子達、気をつけておきなさい。この男、女性関係についてはどうしようもないドクズの最底辺よ」

 

年上の女として響達に注意するように言う。

改めて他人から指摘されると、なかなか心に来るものがある。今のスタンス直す気ないけど。

そして皆それをよく理解してるのか反論せずに苦笑して頷くのが、もうなんか地味に笑えた。

 

「でも、胸の想いを形にした歌には応えてくれるみたいね」

 

金色の瞳が、櫻井了子の元の色に戻るのを、その時俺は確かに見た。

 

「だから、この男に応えて欲しければ、胸の歌を信じて歌いなさい。()()()()()の光と輝きは、あなた達への想いがそのまま形となっているのだから」

 

最期に微笑むと、全身が灰色の塵となって崩れ去り、風に流され消えてしまう。

事件の黒幕、櫻井了子──フィーネは死んだ。

しかし彼女はまた、先程言っていたように何処かの場所で、いつかの時代に復活を果たすのだろう。

その際は、もう誰かを犠牲にして目的を果たす女ではなくなっていることを願うばかりだ。

 

 

 

「軌道計算、出ました...直撃は避けられません」

 

俺を除いた一部の面子が了子──フィーネの死に悼み、涙を目に溜めていたり、実際泣いたりして別れを済ませたのがある程度終わった頃。

朔也が手にしていた情報端末を用いた月の欠片の落下地点について計算が終わったらしい。

 

「さてと、あと一仕事終えてとっとと飯にしようぜ」

 

いつもの調子でそう言うと、四人の歌姫が待っていたかのように集まってくる。

 

「響! カズヤさん!」

 

突然、大きな声で名を呼びながら未来が俺達の前に駆け寄ってきた。

 

「未来...?」

「心配すんな。十分以内に戻ってくるから安心しろ。そもそも大気圏外までなら、今の俺ならジャンプ一回で到達できるしな」

「そうじゃない! そうじゃないんです! どうしてそんなにいつも通りでいられるんですか!? どうしてあなたはいつも──」

「いつも通り帰ってくるから、お前もいつも通り俺達のこと待ってろ」

「大丈夫だよ未来、私一人じゃないんだから...いってくるね」

「...」

 

二の句を継げられなくなった未来に笑みを向けてから、右の拳を高く掲げた。

それを合図に四人が絶唱の歌詞を口にする。

歌声に聴き惚れている内に、全身の血液が沸騰していくような錯覚を覚える。

熱い。胸の奥が、心が熱い。

まるで魂に火が点いたように。

 

「輝け」

 

呟くと同時に光が放たれる。

俺に呼応するように四人の歌姫も全身に光を纏う。

 

「もっとだ、もっと」

 

輝く光はますます強くなった。

未来や他の皆が眩しさにその目を細めるのが確認できたが、構いはしない。

 

「もっと輝けええええええええええええっ!!」

 

力が溢れる。活力で満たされていく。気持ちが最高に盛り上がる。

何より、四人の歌姫と強い繋がりを感じる!

 

「これが、天下無敵の力だああああああっ!!」

 

五人で同時に叫ぶ。

 

シェルブリットォォォォォォォッ!!!

 

 

 

 

 

私の目の前で、五人は雄叫びを上げると光となって飛び去っていく。

大気圏外までジャンプ一回で済む、というのは虚言でも強がりでもなく、事実として語った言葉であることをカズヤさんは証明してみせた。それはカズヤさんと同調した響達も同じなのだろう。

 

「見て!」

 

板場さんが指差す先には、こちらに落ちてくるであろう月の欠片。

それが一瞬、太陽すら霞むほどに強烈な光を放つ。

誰もが目を庇って瞼を閉じ、光が収まるのは待ってから目を開けば、

 

「...流れ星...」

 

粉々に粉砕された月の欠片が、朝焼けの中、流星群となって降り注ぐ幻想的な世界が広がっていた。

皆、その景色に見惚れている。

でも私は、どうしてか涙が溢れてきてまともに見ることができない。

どうか無事で、さっき言ったようにいつも通り帰ってきて。

目を瞑ってただひたすら祈る。

と、

 

「ん? ねぇ、あの流れ星、こっちに来てない? 来てる? 来てるよね? え! 嘘! ホントにこっちに来てるぅぅぅっ!?」

 

悲鳴を上げる板場さんの視線の先を捉える為に目を見開けば──

 

「...響、カズヤさん、皆...!!」

 

あの輝きを纏った五つの光が、轟音と共に私達の目の前に着弾した。

舞い上がる土煙が晴れたそこには、

 

「腹減ったぁぁ」

「私も、もうペコペコです~」

「そういやアタシら昨日の昼に食べて以来、何も口にしてないね」

「...あたしは"ふらわー"のお好み焼きが食いてぇけど、どうせ無理だよな、畜生...」

「雪音、今その話はやめて、私のお腹に効く...せめて被害が少なければいいのだけど」

 

自ら作ったクレーターの上に、制服姿の響と翼さん、普段着のカズヤさんと奏さんとクリスがお腹をぐーぐー言わせて大の字に倒れていた。

 

「...もう、本当に、いつも通りなんだから!!」

 

私は、いつも通り帰ってきてくれた五人に、いつも通り"お帰りなさい"と"お疲れ様"を言う為に駆け出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして後に世間では『ルナアタック』と呼称される一連の事件が終わった。

事件の爪痕はそこら中に残っているけど、私達は相変わらずだ。

奏さんと翼さんは休止していた『ツヴァイウィング』としての活動を再開。今回の事件で傷ついた人達を癒す為に積極的に動いている。

カズヤさんは緒川さんの助手兼雑用、という感じでよく二人でいる。ツヴァイウィングの活動にも同行することが多い。緒川さんから聞いた話によると、カズヤさんがいるといないとじゃ、奏さんと翼さんの気合いとノリに差が出るらしい。

クリスは復学。私達より一つ上の学年としてリディアンに編入。最初は嫌がってたけど、なんだかんだで普通の学校生活を満喫してる。

響と私も元の生活に戻ったけど、相変わらず響は勉強に苦しめられていた。

ノイズが出現する度に戦うことはあるけど、以前よりもかなり頻度が減ったらしく、出動よりも圧倒的に訓練が多いと響が言う。

それぞれが明日を見据えて今日を生きる日々。

こんな日がずっと続けばいいのに、誰もがそう思っていた。

しかし──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私...私達はフィーネ。そう、終わりの名を持つ者だ。私達がまず日本政府に要求するのは、とある人物の身柄を引き渡してもらうこと。先のルナアタックから世界を救った真の英雄でありながら、日本政府の重要機密事項として秘匿されている人物、"シェルブリットのカズヤ"、彼の身柄を要求する! なお、彼がこの会場にいることは既に確認済み...さあ、私の声が聞こえているのなら、このステージに姿を現せ。"シェルブリットのカズヤ"!!」

 

世界を巻き込んだ波乱が、またしてもその産声を上げた。




G編に続く! ということで今回で無印編は完結となります。
ここまで読んでくれた方、感想や評価をくれた方、本当にありがとうございます。皆さんの反応こそが私の活力となっておりました。
でも相変わらず感想への返信は諸事情によりやってませんのであしからず。
ではここらで私がこの作品を書くことにした切っ掛けでも語ります。
私は元々、水樹奈々さんの曲が好きで、シンフォギアは水樹さんがいつもテーマ曲歌ってるなくらいの認識しかありませんでした。水樹さん個人のシングルCDやアルバムは集めてたので一部の曲は持ってましたが、シンフォギアに興味はなかったんです。
しかしシンフォギア五期放送を記念して一期から四期まで無料放送していたので試しに視聴してみたら面白くて、今まで自分はどんだけ損してたんだと後悔しました。
で、五期も含めてシリーズ全部見た数日後、スクライドを全話久しぶりに見る機会があってですね...
その時に思った訳ですよ。あれ? シンフォギアとスクライドのクロスオーバーって面白そう? 二次創作出てないのかな?
だが探してみるが全く見当たらない。
見当たらないなら自給自足しろ。
同人、二次創作界隈ではよく聞く言葉です。
こうして私はこの作品を生み出すに至りました。
まあ、スクライドのキャラをそのまま持ってくるのは私の実力的に難易度高過ぎなので、姿と能力だけのなんちゃってオリ主クロスオーバーものが出来上がったんですけどね。

はい! ということで、次回からは閑話を一つか二つ入れた後にG編に突入したいと思ってます。
ではまた次回!

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