カズマと名乗るのは恐れ多いのでカズヤと名乗ることにした   作:美味しいパンをクレメンス

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二話連続投稿、二話目はGX編の第二話となります。
もう片方は閑話G5ですので、よろしければそちらもどうぞ。

最近知ったんですが、なんとdアニメでスクライドのTV放送版が配信されました。(残念ながら劇場版の総集編は今のところ無し)
dアニメはシンフォギアも5期まで全話見れますので、今のコロナの自粛で暇な時間、スクライドとシンフォギアをdアニメでマラソンするのはいかが?(ダイマ乙)


拳を握るその理由

『第七区域に大規模な火災発生。消防活動が困難な為、応援要請だ』

 

ツヴァイウィング&マリアの出番が終わったタイミングで、装者五人の通信機に弦十郎から連絡が入る。

 

「はい、すぐに向かいます」

 

響がソファーから直ぐ様立ち上がり、続いてクリス、セレナも立ち上がった。

 

「響...」

「大丈夫。人助けだから」

 

未来が心配気に見上げれば、ニッコリとした笑顔で響が返答する。

 

「私達も」

「手伝うデス!」

 

調、切歌も順番に立ち上がると、クリスが手に顎を当てて考える仕草を見せてから呟く。

 

「...そういや二人の適合係数はもうLiNKER要らねぇんだったな? だったら出動に問題ねぇだろ」

 

この判断に切歌と調が顔を綻ばせた。

 

「では急ぎましょう。被害が広がる前に」

 

決意を固めたような表情でセレナが言い放ち、装者五名は部屋を足早に出ると、迎えのヘリを待つ為にマンションの屋上へと向かう。

程なくしてやってきたヘリに乗り込み、モニター越しに弦十郎から火災の詳細を聞かされる。

 

『付近一帯の避難は、ほぼ完了。だが、このマンションに多数の生体反応を確認している』

「まさか人が...」

 

顔を曇らせる響の心情を肯定するように、モニターの向こうで弦十郎は厳かに頷く。

 

『防火壁の向こうに閉じ込められているようだ。更に気になるのは、被害状況が依然四時の方向に拡大していることだ』

「赤猫が暴れていやがるのか?」

 

クリスが眉を顰める。ちなみに赤猫とは、あまり馴染みは薄いが放火魔の俗語だ。

 

『響くんとセレナくんは救助活動を、クリスくんと切歌くんと調くんは被害状況の確認に当たってもらう。皆、分かっていると思うが、カズヤくんがいない以上、同調によるブーストと負荷軽減はできん。無茶はするな』

「了解です」

 

指示と注意を受け、響がいの一番に返答し、ヘリが降下ポイントに到達したのでドアが大きく開かれた。

眼下に広がるはまさに火の海。大きな高層かつ高級マンションの群れから赤い炎と黒い煙が発生し、今なおその存在を大きくし建物を呑み込もうとしている。

 

「任せたぞ」

「任された!」

「クリスさん、切歌さんと調さんをお願いします!」

「ああ。こっちはこっちで任せとけって」

 

飛び降りようと身構えた響、セレナの二人に対しクリスが声を掛ければ、響が待機中のギアペンダントを掲げて笑みを浮かべ、セレナもクリスに二人の妹分を頼み、クリスも力強く頷き返す。

そして二人は意を決したように飛び降りて、

 

「Balwisyall Nescell Gungnir tron」

「Seilien coffin Airget-lamh tron」

 

聖詠が夜空に響き、眩い光を伴ってシンフォギアを纏う。

片や黄色を基調としたガングニール、片や白銀を基調としたアガートラーム。

響が歌いながら、重力を利用した蹴りを放ちマンションの屋上をぶち抜き、内部に進入を果たす。

セレナが響に続く。

 

『これより二手に別れて生存者の救助に当たってもらいます』

 

本部からのあおいの声に二人は頷き、響は拳で、セレナは剣で壁や床を破壊しながらそれぞれ誘導された生体反応に向けて走り出す。

 

「避難経路はこっちです!」

 

壁を拳で粉砕し、要救助者が取り残されていた場所に辿り着いた響が叫ぶ。

響は要救助者達を引き連れつつ、壁をぶち抜きながら安全な所まで一直線に突き進む。

一方セレナは、意識のない状態の子どもを一人、小脇に抱えてアームドギアを振るい、文字通り道を切り開きながらマンションより脱出を果たす。

ギアを解除したセレナが子どもを救急車の前まで抱えていくと、救急車の前で偶然その子どもを探していた母親に遭遇し、これ幸いと渡す。

一応、無事に子どもを救助できたことに安堵すると、他の救助者達を安全な場所に避難させた響が駆け寄ってきた。

 

「セレナさん、こっちはなんとか終わりました」

「はい、こちらも今しがた」

 

二人で微笑み合う。とりあえず救助活動が上手くいったことに安心していると、響が何かに気づいたのか「あっ」と小さく声を漏らす。

つられて響の視線をセレナも追い、見た。

普通なら人が登らないような場所と考えられる高架付近に、人影が存在していたのを。

 

 

 

 

 

【拳を握るその理由】

 

 

 

 

 

袈裟懸けに振り下ろされた剣を右手の甲──シェルブリットで受け、

 

「おらあああっ!!」

 

左の拳をファラと名乗る人形の顔に叩き込む。

人間ではないからか、それとも単純にシェルブリットではない攻撃だからか不明だが、倒れることはなかった。殴られたファラは数メートル程度吹き飛ぶものの、空中ですぐに体勢を整え両足で着地し、ヒールで床を擦りつつブレーキをかけ勢いを殺し、停止すると同時に剣を構え直す。

 

「...」

 

無言のままカズヤはファラを観察する。

人形というだけあって痛覚などないのか、表情からは攻撃が効いたかどうかイマイチ分からない。

カズヤはアルター能力を使わずとも生身の状態でコンクリートを粉砕するパンチを放つ。シェルブリットを発動させれば身体能力は更に跳ね上がる。肉体の頑強さも同様だ。流石にシェルブリットそのものとは比較できないが、今食らわせた左拳も威力は相当である。

だが、敵は毛ほども効いていないのか、剣を振りかざしてこちらに踏み込んだ。先にシェルブリットで一発殴って立ち上がってきた以上、かなり頑丈なのは分かっていたが、その頑丈さには何か言葉に表しにくい引っ掛かりのような、違和感があった。

しかし──

 

「ちっ、もう面倒だ」

 

生け捕り──人形なので生き物ではないが──は無理と判断。何故アルター能力の物質分解が無効化されるのか知りたかったが、やはりチマチマやるのは性に合わない。

粉々に粉砕して、後は他の連中に任せよう。今は敵の排除を優先する。

刺突を繰り出そうとする人形の間合いに入る前に、シェルブリットを真っ直ぐ振り抜く。

その瞬間、凄まじい拳圧が衝撃波となりファラを襲う。

無色透明故に視認が難しいそれが命中する寸前、人形は急停止。更に人形を中心とするように小さな竜巻が生まれ、衝撃波を受け止める。

 

「翠色の...」

「風!?」

「カズヤの拳圧を、防いだ!?」

 

翼と奏が背後で訝しむように呟き、マリアが驚く。

 

「...お前ら、下がれ」

 

人形が流暢に喋り、フラメンコを踊るようにしながら手にした剣を振るい、シェルブリットの一撃を食らっても平然としており、未知の力を用いて拳圧を防ぐほどの風を発生させた。

ここにきてカズヤはファラに対する警戒心をぐっと高める。

 

(本当に何なんだこいつは...聖遺物由来の異端技術か? それとも俺みてーな何かの能力者によるものか? それとも別の何かか? どれか分かんねーが、ヤバい感じがするのは間違いねーな...)

 

改めて相対している敵を睨む。

と、ファラはこれまで能面のように、それこそ人形然として無表情を貫いていたが、突然唇を歪め嘲るような視線と共に吐き捨てた。

 

「纏うべきシンフォギアを持ちながら、ただ静観するのみ...騎士(ナイト)に守られるのを当然とする、何もできないお姫様(プリンセス)気取りかしら?」

 

目の前のカズヤにではなく、その背後の三人に向けた侮蔑の言葉と視線。

カズヤに一太刀も返せていない状況にも関わらず、あからさまな挑発であったが、カチンとくるのは事実。

 

「...ああ?」

 

案の定、顔を険しくした奏が目を怒りで見開き、ドスが利いた低い声で唸る。もしこれを彼女のファンが見聞きしたらまず泣き出すだろう。

 

「お望みだってんなら、四対一でタコ殴りにしてやってもいいんだよ...!」

 

首元から歌姫としての衣装の下に隠していたギアペンダントを取り出す。

奏ほどではないが、翼とマリアも頭にきていた。翼にも防人としての矜持があるし、マリアもカズヤのパートナー(自称)としてのプライドを持っている。何もできないお姫様ではない。断じて違うとその血の通わぬ体に刻んでやりたい。

二人も奏同様ギアペンダントを取り出し、三人揃って今まさに聖詠を歌おうとしたその時、

 

「一つ訂正してやる。こいつらは何もできない、なんてことはねー」

 

声に遅れて、思わず耳を塞ぎたくなる打撃音が廊下に響く。

それはカズヤが右の拳を床に叩きつけた音だ。殴りつけた反動で跳躍し、十メートル届くか届かないか程度の高さの天井スレスレまでくると、

 

「歌って戦う」

 

今度は天井に右の肘を打ち付けて、その反動を利用しファラへと突っ込む。

 

(速いっ!)

 

ファラが戦慄し、咄嗟に剣を眼前に構え防御の姿勢を取りつつ、更に翠色に光る障壁のようなものを浮かび上がらせた。

 

「俺の可愛いお姫様だっ!!」

 

右の拳が振り下ろされ、翠の障壁と衝突する。

高エネルギー同士がぶつかり合うことで稲光のようなものが発生し、廊下が二人を中心に激しく明滅した。

その光景を眺めつつ、どうしてこの男は戦闘中にそんな恥ずかしいことを平気で言えるのだろうか? と若干頬を赤く染める三人。

 

「ぐっ...!」

 

あまりの威力に苦悶の声を漏らし、歯噛みするファラに対し、カズヤは拳を突き出したままニヤリと笑い、

 

「シェルブリットォォォォ──」

 

右肩甲骨の回転翼が高速回転し始め、軸部分から銀の光が噴き出す。

 

「まさか!?」

 

手首の拘束具が勝手に外れ、腕の装甲が展開し、右腕全体が金の光を放ち輝く。

 

「──ブワァァァストォォォォォ!!!」

 

翠の障壁を打ち砕き、光輝く拳が剣の腹に激突し、そのまま剣の腹越しにファラの額をぶん殴る。

次の瞬間、眩い光を伴って拳に内包されていたエネルギーが爆裂した。

爆風が奏達三人の髪を弄び、衣装がはためく。思わず三人は両腕で閃光と爆風から顔を庇う。

光と風が収まり、前方を確認すれば、床に空いた大穴を前に佇むカズヤの後ろ姿がある。

 

「...倒した?」

「いや、逃げられた。ほぼ溜めなしのシェルブリットバーストだったから、威力がまるで足りてねー。精々、少しダメージを与えた程度だ」

 

慎重な口調で問う奏に、カズヤは振り返ることなく大穴を覗きながら即答。

彼の視線の先には、夜故に暗闇と一体化した海面が大穴の向こうに広がっている。ライブ会場となったこの施設は海上に設立されており、カズヤ達の現在位置であるスタッフ用の通路は、施設の最下層に当たり海面のすぐ真上なのだ。

 

「とにかく追いかけて、トドメを差す」

 

本能的にあれをこのまま放置するのは危険と判断し、次いで意を決したような声でそう告げると、彼は穴にその身を踊らせた。

 

「あ、待てこのバカ!」

「一人で深追いは危険だ!」

「待ってカズヤ!」

 

三人が慌てて走り寄り穴を覗きながら叫ぶ。

 

「お前らは別ルートから追跡頼む!!」

 

海面に体が叩きつけられる直前に回転翼を回して揚力を得ると、銀色のエネルギーの尾を引いて何処かへ飛び去ってしまう。

 

「ああもう! いつも『ついてこれる奴だけついてこい』って感じなんだから!」

「全くだ。たまには追いかけるこっちの身にもなって欲しい」

 

マリアの嘆きに翼が同意を示す。

 

「相変わらず弾丸みたいに一人で真っ先に突っ込んでく癖は直らないね...翼、マリア、敵の狙いがカズヤかアタシら装者か分からないけど、とにかく今はカズヤを追うよ」

 

奏の提案に翼とマリアは無言で頷く。

三人は衣装の格好をそのままにして、ライブ会場を出た。

その際、ブラックスーツの国連エージェント達が三人を見て泡を食ったように狼狽え、さっきの爆発音は何だと事情説明を求めたが「"シェルブリットのカズヤ"が動いている! 私達はその援護に向かう故、邪魔をしないでいただきたい!!」と翼が吠えれば、それで察してくれたのか大人しく引き下がってくれた。

 

「悪いが車両を借り受ける」

「ごめんねオッチャン!」

 

たまたま会場出入口の付近で客待ちしていた中年のタクシードライバーから強引に車を奪うマリアと奏。

呆然としているタクシードライバーを捨て置き、運転席にマリア、助手席に奏、後部座席に翼が乗り込むと、ロンドンの交通ルールなど知ったことかと言わんばかりに車が猛スピードで発進。

 

「奏! カズヤはどっちに進んでるの!?」

「位置情報によると、このまま真っ直ぐ!」

「オーケー、ぶっ飛ばすわよ!!」

 

通信機の互いの位置情報を確認可能なツールを用いて彼の位置を特定した奏の声に、マリアがアクセルを更に踏み込む。

 

『一体何が起きているんですか!?』

 

高速で流れるロンドンの夜の街並みを横目に、慌てたような様子の緒川から通信が入ったので、三人を代表して翼が応答。

 

「緒川さん、敵襲です。敵の数は現時点で判明しているのは一名。オートスコアラー、ファラと名乗る成人女性の姿をした人形、生き物ではありません。現在カズヤが先行して追跡中、私達も車でカズヤを追っています」

『敵襲? じゃあさっきの爆発音は──』

「お察しの通り、カズヤのシェルブリットバーストです。スタッフ用通路に大穴を空けました。敵の狙いは未だに不明ですが、私達に対し邪魔者の排除と言っていたので、ほぼ間違いなくカズヤか装者、もしくは両者が狙いだと思われます」

『...分かりました。僕は僕でこのことを司令に報告次第、独自に動きます。お気をつけて』

「了解しました」

 

緒川との通信を終えると、車は大きな橋に差し掛かり、

 

「いた、カズヤだ! マリア車止めろ!!」

 

道路のど真ん中でこちらに背を向ける彼を視認し、奏の指示にマリアが従い、大きくカーブを描きつつタイヤ痕を残しながら横付けするように車が急停止。

三人は直ぐ様車から飛び出し、聖詠を歌う。

 

「Croitzal ronzell Gungnir zizzl」

「Granzizel bilfen Gungnir zizzl」

「Imyuteus Amenohabakiri tron」

 

二振りのガングニールと天羽々斬、それぞれがその力をシンフォギアという形となって顕現され、アームドギアを手に三人はカズヤの横に並び立つ。

 

「それでは、漸く揃ったところで始めさせていただきます」

 

四対一という数的不利を背負いながらも追い詰められた様子のないファラの額には、Y字を逆さにしたような罅が頬にかけて入っている。

だが、やはり痛覚などないらしく、何ら痛痒した様子も見せず、剣を握らない左の手の平に載せていたものをばら蒔く。

それはいくつもの石ころだった。内部に赤く禍々しく光りを宿す、黒い石だ。

不吉な予感に身構えた四人の眼前で、黒い石が路面に触れると、赤い光と共に──

 

「ノイズ!?」

「馬鹿な!!」

「そんな、どうしてっ!?」

 

無数のノイズが姿を現す。

驚愕の事実に動揺し、奏と翼とマリアは信じられないとばかりに叫ぶ。

 

「......バビロニアの宝物庫は未来があの時閉じたはずだってのに」

 

目を細め、眼光を鋭くさせたカズヤが一人言のように呟く。

やはりこの敵には何かある。得体の知れない、何かが。そう確信した。

 

 

 

 

 

『火災マンションの救助活動は、響ちゃんとセレナさんのお陰で順調よ』

 

自分達をここまで運んできたヘリが飛び去るのを見上げるクリス、切歌、調の耳にあおいの声が通信越しに届く。

 

「へっ、あいつらばっかにいいカッコさせるかよ」

「そうデース! 私達で放火魔をとっ捕まえてから市中引き回しの上打ち首獄門にしてやるデスよ!」

「馬はいないから翼さんかカズヤのバイクで、斬首は斬撃系シンフォギアから選ばせてあげよう」

「......お前ら何の時代劇見たんだよ」

 

過激というか物騒な発言をする後輩二人に嫌そうな顔をするクリス。

その時だ。三人の耳に小さな音が聞こえた。コイントスをしたような、コインを指で弾く音だ。

次に聞こえたのは、金属同士がぶつかり合う甲高い音が二、三度。

続いて爆音。

さっきまで自分達が乗っていたヘリが爆発炎上し、墜落した。

背後で炎と黒煙が巻き上がり、周囲が赤く染まる。

ヘリが墜落した場所を呆然と見つめてから、三人はヘリを墜落させた存在がいるであろう場所を直感的に睨み付ける。

そこには一人の人物がいた。

気取ったポーズでこちらを見下ろす女性。

 

「何者デスか!?」

「この仕業はお前か!?」

「なんてことを...」

 

切歌がいの一番に問い詰め、クリスが続くが相手は答えない。ただ高架上にて人形のような無機質な眼差しを注いでくるのみ。

暫し無言での睨み合いが続き、やがて相手が動く。

手にした金貨を指で弾き、三人の足元に着弾する。

その内の一発、否、一枚の金貨がクリスの左耳付近の髪を掠めた。

夜の闇の中でも美しく光を反射していた銀髪が数本、宙を舞う。

 

「「あっ」」

 

思わず、切歌と調が声を漏らす。

二人は知っていたのだ。クリスが自身の銀髪を、亡き母親譲りのそれを随分前にカズヤから「綺麗だよな」と褒められて以来、常に気を使い丁寧に手入れしている話を。

 

「こちらの準備はできている」

 

指と指の間に金貨を挟み、やはり気取った構えを取る謎の襲撃者。

 

「...」

 

クリスは無言で足元の着弾痕を観察し、そこらの銃器よりも遥かに威力が高い攻撃であり、これならヘリを墜落させることも可能と分析した。

そして、愛する男が褒めてくれた自慢の髪を傷つけられた事実を、ゆっくりと咀嚼するように噛み締める。

 

「抜いたな...!!」

 

地獄の底から響いてくるような、聞いただけで背筋が底冷えするような声音に合わせて、ブチリ、と何かが切れるような音が鼓膜を叩き、切歌と調は本気で怯えた。

普段は頼りにしている先輩のクリスであるが、カズヤに関することで一度キレると手がつけられなくなるのだ。

 

「だったら容赦しねぇ。ママがあたしにくれた、カズヤが綺麗だって褒めてくれた自慢の髪を傷つけたこと、必ず後悔させてやる...後で吠え面かくんじゃねぇぞ!!」

 

魔獣の咆哮を連想させる怒号。次いで首に掛けていたペンダントを取り出し掲げ、聖詠を歌う。

 

「Killter Ichaival tron」

 

真紅の閃光を放ちイチイバルのシンフォギアを纏ったクリスは、アームドギアをボウガンとして顕現し、敵に向けて赤い光の矢を発射しまくる。

 

「お前ら下がってろ、巻き込まれたくなかったらなぁ!!」

 

言われるまでもない。後輩二人は脱兎の如くその場を離れていく。

対する敵は、とても人間とは思えないアクロバティックな動き、速度及び跳躍力を以てクリスが発射した矢の群れを躱す。

 

(この動き、人間離れしてるどころじゃねぇ! 人外そのもの...つまり、粉々に粉砕しても問題ねぇってことだよなぁ!!)

 

小手調べに放った矢の中で直撃しそうだった二本を素手で掴み取り、握り潰す様を目にし、クリスは獰猛に笑う。

 

 

 

この場には、イチイバルの装者──雪音クリスが戦う姿を影から見守る第三者の存在がいた。

 

「装者屈指の戦闘力とフォニックゲイン...それでも彼と同調していない状態ではレイアには通じない...たとえ同調できたとしても、キャロルはむしろ彼と同調した瞬間を狙っている...やはり、"ドヴェルグ=ダインの遺産"を届けないと」

 

その人物は小脇に抱えた長方形の箱を、一度チラリと見下ろしてから戦いに視線を戻す。

クリスと戦っている女──オートスコアラーのレイア・ダラーヒムは金貨をあり得ない速度で弾き飛ばし、迫り来る赤い矢の群れを撃ち落とす。

二人の間で、赤い光と金の光が弾け飛び、互いを相殺し合う。

弾幕の張り合いでは埒が開かないと瞬時に頭を切り替え、クリスは横方向に走り出し、それにレイアも倣うように同方向へと駆ける。

ほぼ同時に相手に向かって跳躍、一瞬の交差の末、火花が生まれ位置を入れ換えた。

ボウガンをガトリング砲に変形させ、レイアに撃ちまくるクリス。

対して高速でビルの壁面を走る──壁走りを披露しながらクリスの砲撃を回避しつつ、彼女に接近を試みるレイア。

ある程度の間合いを詰めたレイアが跳躍し、上空から強襲しようとしたところで、クリスは腰部装甲を展開し大量の小型ミサイルを一斉射。

狙いは寸分違わずミサイルの群れがレイアに着弾。

 

「直撃っ!?」

 

爆煙が空間を満たし、レイアの姿が見えなくなるが、クリスの追撃は終わらなかった。

アームドギアを仕舞い、着弾した空中に向けて高架上から跳躍する。

右の拳を握り締めると、右腕全体が赤い光を瞬かせ、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()へと形を変えた。

 

「こいつを食らいやがれぇぇぇぇっ!!」

 

右腕全体が赤く光輝き、エネルギーを収束させ、爆煙の中を突撃していく。

大きく振りかぶり、真っ直ぐ突き出された右の拳が、爆煙の奥でレイアが展開させていた金に光る障壁に突き刺さり、

 

「シェルブリット、バァァストォォォッ!!!」

 

障壁は罅が入った瞬間に砕け散り、人形でありながら人間のように表情を驚愕に染めたレイアの顔面に、赤く光輝く拳が激突した。

視界が、夜の闇が瞬時に赤い光に満たされ、一拍遅れて大爆発を起こす。

その光景を目撃し、第三者──エルフナインは知らず息を呑む。

 

「......オリジナルの、シェルブリットバースト...彼と同調もしていないのに、どうして...!?」

 

そう疑問に思ったのはエルフナインだけではなかった。

 

「く、くく、クリス先輩! いつの間にそんな、単独でカズヤのシェルブリットバーストが使えるようになったデスか!?」

「凄いビックリした。今のって、最終形態のカズヤと同調してないとできなかったはずなのに」

 

隠れていた物陰から飛び出し駆け寄ってきた切歌と調に、クリスは疲れたように微笑むと、彼女の右腕が一瞬光った後に元の腕へと戻る。

 

「...なんか、敵のクソッタレをぶん殴ってやらねぇと気が済まねぇって思ってたら、体が勝手に動い、て...」

 

最後まで言い切ることができず、体をフラつかせて倒れそうになったクリスを切歌が咄嗟に支えた。

 

「大丈夫デスか!?」

「す、すまねぇ。体に力が入らねぇんだ」

「無理もないです。考えてみたら、同調なしでシェルブリットバーストを撃ったんだから、疲れて当然です。あれって数値に表すととてつもないエネルギー量なんですから」

 

調が心配する声にクリスは相槌を打つ。

 

「ああ、一発しか撃ってねぇし、威力もカズヤのと比べたら程遠いってのに体力がごっそり持ってかれちまった。同調してねぇとこれが限界だな」

 

言いながら元に戻った右の手の平を見つめ、ゆっくり閉じたり開いたりを繰り返した後、ギュッと握り締めた。

 

(でも、どうして急に? 同調すらしてねぇってのに...今のはほとんど無意識だった。絶対にぶっ飛ばしてやるって気持ちがそのまま形になった感じだ。もしかしてこれまでカズヤと同調し続けてきたお陰か? 現状、全てのギアがカズヤのアルターで再構成されたシェルブリットである以上、これがあたしだけ、ってことはねぇだろうし...)

 

次から次へと沸いてくる疑問は一旦置いて顔を上げる。

 

「で、敵はどうなった?」

 

すぐに思考を切り替え問うが、二人は横に首を振るのみ。手応えはあったものの、あの爆発の後に敵がどうなったのかまでは分からない。

その時、あおいから通信が入る。

 

『何が起こってるのクリスちゃん!?』

「敵だ、敵の襲撃だ。こっちはなんとか迎撃したが、シェルブリットバーストでぶっ飛ばしたせいで見失っちまった、倒せたかは分かんねぇ。そっちはどうなってる!?」

「危ない!!」

 

返答した瞬間、聞き覚えのない第三者による危険を知らせる声が辺りに響く。

三人が声に反応し、頭上を仰げばいくつものクルーザーが空から降ってきた。

 

「何の冗談だぁ!?」

 

車より大きなクルーザーが宙を舞う、という事実に開いた口が塞がらないクリスを庇うように、切歌と調が前に出て跳ぶ。

 

「Zeios Igalima raizen tron」

「Various Shul Shagana tron」

 

それぞれが翠色と桃色の光と共にシンフォギアを纏い、鎌と鋸を素早く振り回し、クルーザーを細かく刻み、あっという間にバラバラにしてみせた。

かつてクルーザーだったものの残骸が周囲に転がるのを見て、クリスがホッと一息つく。

 

「......すまねぇ、助かった」

「クリス先輩は一戦終えた後だから、むしろ任せて欲しいデスよ」

「カズヤのシェルブリットバーストまで使ったんだから、疲れて動けないのは当然です」

「...頼もしい後輩だ。それなら、少し楽させてもらうが、その前に」

 

笑顔で応じる二人に柔らかな笑みを返してから、声がした方に体ごと向き直った。

 

「そこにいるのは誰だ? 姿を見せてもらうぞ」

 

危険を知らせてくれたので、敵ではないと思うが警戒しつつ質問。

すると、

 

「僕の名前はエルフナイン。キャロルの錬金術から世界を守る為、皆さんを探していました。イチイバル、イガリマ、シュルシャガナのシンフォギア装者、雪音クリスさんと暁切歌さんと月読調さんですよね」

 

調よりも背の低い少女が姿を見せた。

 

「錬金術...だと...!?」

「デデデデース!?」

 

聞き慣れない単語と、エルフナインと名乗った少女の痴女みたいな格好──極端な言い方をすれば裸マントのような姿にクリスと切歌が頬を赤く染めて驚く横で、

 

『...やっぱりあれは錬金術だったのね...だとしたら厄介よ...!!』

「フィーネ? どうしたの?」

 

自身に宿るフィーネが厳しい口調で告げた言葉に首を傾げる調がいた。

 

 

 

 

「そんな所にいると危ないよ!」

 

高架付近に佇む人物に声を掛ける響の隣で、セレナは違和感を拭い切れないでいた。

かなり大規模な火災現場を目の前にして、何故あんな危険な場所に立っていて、その場を離れようとしない?

格好も普通とは言えない。全身をローブに包み、頭にはトンガリ帽子。端的に言って魔女のコスプレのような服装だ。いくら日本がそういうアニメやゲームなどの文化が浸透している国でも、ここはイベント会場ではない。

単に火事を見に来た野次馬だったとしても、余程奇特な人物でなければコスプレ姿で現れないし、そもそも今の季節は真夏。高温多湿の日本での厚着は地獄の苦しみだ。

考えられる可能性としては──

 

「パパとママとはぐれちゃったのかな? そこは危ないから、お姉ちゃん達が行くまで待っ──」

「黙れ」

 

──火災を起こした張本人!

 

「響さん下がって!」

 

響を庇うように前に出て聖詠を歌い、アガートラームを纏い短剣を左腕の装甲から引き出す。

魔女のコスプレをした人物──少女の声は、子どもとしか思えないほど若い、いや、幼かった。実際、こちらに振り向いた顔は幼い。しかし声音は冷たく、敵意を感じる。

少女は指で虚空に大きく円を描くと、翠の光が軌跡となって輝き、刹那、獲物を狙う蛇を連想させる竜巻が生まれ、こちらに襲いかかってきた。

目の前に展開した三角形の白い障壁に竜巻が衝突するが、問題なく防ぐことに成功。

 

(この力、まるで切歌さんと調さんが好きなアニメやゲームに出てくる魔法...まさか私達が知らない異端技術!? それとも、カズヤさんのような特殊能力者!?)

 

内心で今見たものに戦慄しながらも、表情には一切出さず、セレナは毅然とした態度で少女を見上げた。

 

「あなたがこの火災を引き起こした張本人で間違いないですね」

「そうだ。オレの手の者がやった」

「...え...」

 

平然と肯定する少女に、響はセレナの隣で呆然とするのみ。

眉を歪めて少女を睨み付けるセレナの耳にクリスから通信が入る。

 

『敵だ、敵の襲撃だ。こっちはなんとか迎撃したが、シェルブリットバーストでぶっ飛ばしたせいで見失っちまった、倒せたかは分かんねぇ。そっちはどうなってる!?』

 

どうやら向こうもこちらと似たような状況だったらしい。

 

「......イチイバルの装者、雪音クリスがレイアを撃退したか。シンフォギアも存外やるな...」

「「っ!?」」

 

シンフォギア装者を知っている!?

僅かに感心したように言う少女に向けて、セレナは逆手に持った短剣型のアームドギアを油断なく構えながら問う。

 

「何者ですか?」

「錬金術師、キャロル・マールス・ディーンハイム」

「錬金、術師...」

 

淡々と名乗る少女──キャロルの肩書きに響が戸惑ったように反芻する。

 

「こんなことを仕出かした目的は、何ですか?」

「世界を壊し、万象黙示録を完成させること」

「...世界を、壊す?」

「一体何を言っているのか、理解に苦しみます」

 

当然のように疑問符を頭の上に浮かべる二人に向けて手を翳すキャロル。

すると彼女の眼前に現れたのは、四つの魔法陣と表現すべき翠色に光る紋様と図形。

 

「オレが奇跡を殺すと言っている」

 

もう片方の手の平の上に、同色の元素記号にも似た文字を生み出し、魔法陣に放り入れ、四つの魔法陣が重なり合い一つになると、計七本の竜巻がミサイルのように発射された。

 

「「っ!!」」

 

 

 

自身が放った暴風に二人が呑み込まれ、その際に舞い上がった煙で視界が悪くなった光景を、キャロルは冷たく見下ろす。

 

「出てこい。この程度でやられるはずがないだろう」

 

そう声を掛けた時、視界を塞いでいた煙を貫き、引き裂いて現れたのは白いレーザービームのような光。

回避することなく、障壁を展開し防御を選択するが、

 

「何?」

 

障壁に白い光が触れると、ピシリと音を立てて罅が入る。

この時点で防御を諦め、舌打ちを一つして回避に移行。

射線から身を横にずらせば、数秒も経たずに障壁が貫かれた。

横目でそれを一瞥してから、煙が晴れた先を見据える。

 

「今のを容易く防ぎ、反撃してくるか...思ったよりもやるな、セレナ・カデンツァヴナ・イヴ。シェルブリットがそばにいなくても、それなりに戦えるようだ」

 

左腕の装甲そのものを砲身としたセレナが、キャロルに改めて狙いを定めて告げた。

 

「大人しく投降してください。あまり手荒な真似はしたくありません」

「せ、セレナさん...」

 

最悪の場合は実力行使──キャロルと戦うことを辞さないセレナに、響が恐る恐るセレナの名を呼ぶ。

普段の元気溌剌とした面影がなく、別人のような弱々しい態度の響と、普段の穏やかで優しげな雰囲気など一切ない厳しい態度のセレナ。

相反する二人がそこにいた。

セレナはあえて冷たい口調を響に使う。

 

「響さん、敵の見た目に騙されないでください。あれを野放しにすれば、またいつ何処で今回のような惨劇が起こるか分かりません。今回は偶然、私達の救助が間に合って死者が出ませんでしたが、次もそうだとは限りません」

「...」

「それとも後悔でもするつもりですか? 『あの時捕まえておけば、こんなにたくさんの人が死ぬことはなかったのに』って」

「それは...!」

「通信を聞いていたでしょう! クリスさん達に襲撃があったんですよ!? あのキャロルという女の子の仲間が、私達の仲間を襲ったんですよ! ここで戦うことを躊躇して誰かが殺されても、自分はあの時戦いたくなかったと甘えた言い訳を言うつもりですか!!」

 

隣で響が息を呑むのを感じながら、セレナは視線をキャロルから外さない。

彼女も本当は、響と同じように自分だってできるだけ戦いたくないという思いがある。シンフォギア装者となって何年も経った今でも、ギアの力を戦いに用いることに抵抗がない訳でもない。

きっと響は怖いし、嫌なのだろう。誰かを助ける為の力を傷つける為に振るうのが。その気持ちが、セレナには痛いほど分かる。

だが、何度も目にし、そして救われたのだ。

敵を完膚なきまでに粉砕する圧倒的な力と、戦いを是とする男の後ろ姿を。

生きることは戦いだと、その生き様で示してくれた男の後ろ姿が、脳裏に焼き付いて離れない。

どんなに嫌でも、戦いを避けられない時がある。力がなければ、戦う意志と覚悟がなければ、大切なものどころか自分のことさえも守れない。

そう教えてくれた男に想いを馳せながら、セレナは厳しい態度から一転、優しい口調に変えて続ける。

 

「思い出してください。カズヤさんは、誰かを救う為の戦いに、一度でも躊躇したことがありましたか?」

「...ない、です。クリスちゃんの時も、未来の時も、カズヤさんは迷わなかった...全力で、真っ正面から戦ってました」

「はい...そして私達には力があります。困っている誰かを助ける力が、悲劇を食い止める力が。違いますか?」

 

その時、響の脳裏にかつてカズヤから言われたことが過った。

 

 

──お前の手はきっと、俺だけじゃなく、

  これからも誰かを救うんだろうな。

 

 

「違いません!!」

 

気づけば響は叫び、聖詠を歌った。

閃光を放ちガングニールのシンフォギアを纏う。

 

(そうだ...いつもいつも、カズヤさんは迷わなかった、躊躇わなかった...いつだって、自分の意地を貫き通していたのを、ずっとそばで見てきたはずなのに!!)

 

握った拳に力を込め、弦十郎直伝の拳法の構えを取る。

 

(クリスちゃんの時は、お互いに譲れないものがあったから。未来の時は、お互いに渡せないものがあったから)

 

その為には、戦わなければならないと、教えてくれたじゃないか。

 

(ごめんなさい、カズヤさん。私、この半年間で人助けばかりしてたから、すっかり忘れてました)

 

戦わなければならない時に、戦う大切さを。

自分の意地を貫く為に、迷ったり躊躇ったりしてはいけないことを。

誰かを救う為に、握った拳を振り抜く必要があることを。

 

「すみません、セレナさん...ありがとうございます」

「ふふっ、どういたしまして」

 

謝罪と礼を述べれば、セレナは優しい笑顔になる。

 

「そうだ、シンフォギア共...オレと戦え。オレはお前達の敵だ。オレを止めたければ力ずくでやってみせろ」

 

キャロルから威圧感が増し、ローブがはためき、掲げた両手にいくつもの魔法陣が浮かび上がった。

 

「敵とかそんなの、どうでもいいよ! ただ、世界を壊す目的とその理由、その辺りの事情とかその他諸々をちゃんと聞かせてもらうから! キャロルちゃんをぶん殴った後で!! だって、カズヤさんならきっとそうするから!!」

 

そして響はセレナと共に、躊躇を捨て、迷うことなくキャロルに飛び掛かった。




クリスちゃん、原作と違ってカズヤと奏と三人暮らしで、甘えたい時に思う存分甘えられる相手がいて、フロンティア事変の後すぐに切歌と調の面倒見てたから精神的に結構余裕がありますし、後輩に頼る時はしっかり頼る良い先輩です(カズヤへの依存は既に取り返しがつかないレベルだが)。

セレナ、実はこの作品において最も精神面でカズヤの影響を受けた人物。ネフィリム暴走事故の際にカズヤに助けられたことで『避けられない戦いから逃げてはいけない』というパラダイムシフトを起こしています。だから、戦いを好まない穏やかで優しい性格は変わりませんが、いざという時は覚悟を決めるのが誰よりも早い。

ビッキー、フロンティア事変以降は原作通り人助けばっかしてたからキャロルに対して戦うのを躊躇してしまうが、セレナに発破をかけられ、カズヤのことを思い出して覚悟完了。とりあえず殴ってから話し合う、というより、殴り合えば分かり合えるはず! を地で行くことになる。

ちなみに前回の適合係数の順位についてですが。
『元々の適合係数』+『同調した合計時間』+『遺伝子情報取得量』を総合した結果になります。
なので、正規適合者は元々の数値が高いので当然上位にきます。(響も一応正規適合者扱い)

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