カズマと名乗るのは恐れ多いのでカズヤと名乗ることにした 作:美味しいパンをクレメンス
おめでとうございます!
そしてこの作品を投稿して一周年、という月でもあります。
ここまで継続できたのは間違いなく感想や評価をしてくれた読者の皆さんのお陰です!
ところでXDの運営さんはグレ響に何か恨みでもあるんですかねぇ......そんなことしてると反動でこの作品の響がイチャラブ幸せお姫様まっしぐらになるやんけ!!
「お父さんには関係ないよ」
この声が響の口から放たれたことをカズヤは信じられず、まず自身の耳を疑った。
疑ったのは内容に関してではない。響の父、洸は家族を捨てて蒸発した男である以上、関係ないという言葉は彼女からしてみれば至極当然だ。
しかし、その声音が絶対零度のような冷たさと覆しようがない拒絶の意思が内包していたことに戸惑う。
響は、これほどまでに他者を拒絶する冷たい声を出せる女の子だったであろうか? と。
カズヤは知らない。彼女から負の感情を向けられたことがない故に知りようがない。彼にとって響とは、出会った頃から今の今まで、明るく元気で優しくて、笑顔が素敵で魅力的な年頃の女の子なのだ。怒ったり悲しんだり泣いたり落ち込んだりした姿は何度か見てきたが、彼女のこんな背筋が凍るような声を聞いたことなどなかった。
未来もカズヤと同じなのか、響の態度に仰天している。
だが、二人よりも驚き戸惑っているのは間違いなく洸。やはり、その理由は二人と同様に響の冷たい声だ。
動揺して反応を示さない三人をそのままに、響の言葉は続く。
「今更お父さんに何の関係があるの?」
「......」
「関係、ないでしょ。だって自分で私との関係を断ち切ったんだから」
冷たい口調に、これまでの行いに対して責めるようなものが含まれる。
「私が何処で誰とどう付き合おうが、私の勝手だよ。口出ししないで」
これ以上の干渉は許さない。そう言外に込められた言葉を吐き捨て、響はカズヤと未来の手を取り踵を返す。
「未来、カズヤさん、もう行こ」
抵抗できる訳もなく、二人は響に引っ張られるがままに足を動かすことにした。
少しずつ、少しずつ洸との距離が離れていく。
後ろ髪を引かれる思いでカズヤと未来は肩越しに背後を振り返る。
視線の先では、なんとも情けない表情をしてこちらに手を伸ばす洸の姿があった。
「......ま、待て、待ってくれひび──」
「うるさい!!」
何か言おうとした洸を響の怒声が遮る。
響の本気の怒鳴り声──先と同じで初めて聞いたそれにカズヤは勿論、未来も洸も本当に驚いて体を震わせた。
二人から手を離し、くるりと反転して響は父親に向き直ると、涙目になりながら怒りと悲しみと嫌悪が入り混じった視線で睨み付け、叫ぶ。
「そんなに知りたいなら教えてあげるよ! この人は、カズヤさんは私にとって世界で一番大切な男の人! お父さんなんかよりも全然強くて、格好良くて、優しくて、何より男らしいの! お父さんと違ってどんなことからも逃げないし、絶対に諦めないし、どんな時でも誰が相手でも退かないし負けない、男の意地を最後まで貫ける人! どんなにボロボロになっても私達のことを命懸けで守ろうとしてくれる、ピンチの時は必ず駆けつけてくれる、物語から飛び出てきたヒーローみたいな人! お父さんみたいに私を裏切ったりしない、心から信頼できる人! 私が落ち込んでたら励ましてくれて、泣いてたら抱き締めてくれる、そんなカズヤさんが私は大好きなの! 結婚して子どもを生みたいくらい好きな人なの! でもお父さんにはそんなこと一切関係ないんだから!! 分かった!? 分かったならもう私達のことは放っておいて!! そばにいて欲しかった時に勝手にいなくなった癖に、今更現れて偉そうに父親面しないで!!!」
一気にそう捲し立てると、響は今度こそ父親に背を向けて歩き出し、それがすぐに全力疾走へと変わる。
「...おい待て響! ああもう! 待てってば!!」
どんどん小さくなる彼女の後ろ姿をカズヤが慌てて追う。
「......」
「......」
その場に取り残された未来と洸の間に、どんよりとした沈黙が下りてきた。
コンビニの前は、空気が重く、非常に気まずくて居心地が悪い空間と化しており、カズヤと一緒に響を追えばよかった、と未来は若干後悔したが時既に遅し。
洸に何と声を掛ければいいだろう、と考えを巡らせていたら、洸が疲れたように乾いた笑い声を上げる。
「今更父親面しないで、か...ハハ、そうだよな。そう言われて当然のことを、俺はしたんだよな...ハハハハ」
「......そう、ですね。それについては誰も擁護できません」
額に手を当て俯く洸に、未来は厳然たる事実として告げた。
同情はしない。もし、あの時洸が響を、家族を見捨てることなく今まで生きてきたならば、立花家の状況は確実に今よりも良くなっているはずなのだから。
一家の大黒柱を失ってどれだけ大変だったかを、未来は幼馴染みとしてすぐそばで見ていたのだ。
「それにしても、響に好きな男の子ができたのか。それが有名人なのは一旦置いておくとして、響が女の子として成長してることが嬉しいけど、やっぱり少し寂しいもんだな」
「申し訳ないですけど、そう感じる資格そのものが今のおじさんにはありませんからね。私の前だからいいですけど、たぶん、響とカズヤさんの前で同じことを言ったら二人からぶん殴られますよ」
「......手厳しいなぁ、未来ちゃん」
「事実ですから」
しれっと応じる未来に洸は質問した。
「未来ちゃんの目から見て、彼はどんな人?」
「だいたいさっき響が言った通りの人ですけど、付け加えるなら...」
一度区切って少し考えてから未来は答える。
「私にとっては、響とは違った意味で放っておけない人です。ガサツでデリカシーがない面倒臭がり屋で、響に勝るとも劣らない食い意地張ってて、前しか見てないバカ、大バカ野郎です。でも、子どもみたいにコロコロ表情を変える可愛い人でもあります。雄叫びを上げて戦う姿は凄く凛々しくて雄々しいのに、ご飯を食べてる時は小さな子どもみたいにニコニコ幸せそうに笑うんですよ。別人みたいなそのギャップが堪らなくて!! 普段の日常生活は割りとチャランポランですけど、意外にも家事は一通りできます。根が庶民なのかケチなのか、高額料金のものを全般的に好みません。高級なお料理よりも手軽かつ安価なB級グルメが好きで、お給料もほとんど貯金に回してるって言ってました。とにかく曲がったことが大っ嫌いだから、筋が通らないことには頑として譲らない性格で、その不器用だけど真っ直ぐな生き様には周りの皆にかなり影響を与えてますね。それと動物好きなんで、動物園や水族館に行くと小さな子どもに混じってはしゃぐ姿が微笑ましくて──」
「あ、うん、分かった。未来ちゃんも彼が大好きだということが今のでよーく分かったよ」
やや早口で夢中になって語っているところを、呆れ半分戸惑い半分な様子の洸に遮られ、我に返った未来は顔を真っ赤にした。
「わ、分かっちゃいます?」
「今ので分からない人はいないと思うよ」
「ですよねー、はうぅ」
羞恥に耐えられず洸からそっぽを向き自身の両頬を押さえる。
「......そっか。二人がそんなに言うくらい惚れ込んでるなら、報道されてた内容は全部事実で、彼は本当に凄い男なんだろうな。以前テレビとかで取り上げられてた時、いくら誇張でもやり過ぎじゃないか、世間は何を大騒ぎしてるのかって思ってたけど、そりゃそうだよな、世界を救ってるんだから......凄いのも、世間が騒ぐのも当たり前なのか............それに比べて俺は......響が俺のこと毛嫌いするのは当然だな。娘からして見れば好きな人には絶対に会わせたくない、情けないクソ親父だよ」
「......」
項垂れて自嘲する親友の父の言葉を否定も肯定もせず、横目で窺うのみに留めておく。赤の他人が何を言っても慰め以外にはならないだろうし、そんなものを今更求めている訳ではないだろう。
やがて、なんとか持ち直したのか洸はゆっくりと顔を上げた。
「しかし、未来ちゃんもライバルだと響は大変だな」
「ライバル?」
一瞬、何を言われたのか理解ができず、オウム返し。
ライバルって何のことだろう? と。この時未来は心の底から疑問に思った。
「だってほら、彼って確か人気歌手の、マリア・カデンホウとかいう女性の恋人、じゃなかったっけ?」
「マリア・カデンツァヴナ・イヴです。そんな荷電粒子砲ビームみたいな名前じゃありません」
荷電粒子砲ビームみたいなものならぶっ放す時あるけど、というのは内心で呟くのみとする。
「そうそう、そんな名前だったっけ。とにかくライバルが多いみたいだし、響が恋を成就させるのは難しいんじゃないかな、ってさ」
「え?」
「え?」
「...っ!」
迂闊なことを言いそうになって、咄嗟に口を閉じた。
実は私達、随分前からライバルとかそういうんじゃなく仲の良い竿姉妹なんです、なんて口が裂けても言えない。言える訳がない。
「......ソ、ソーデスネー、ライバル、ウン、ミンナ、手強イ、ライバルデス、ハイ、イクラ響デモ、ワタシ、負ケマセン......」
何十年も油を差さなかった昭和時代のブリキのオモチャみたいな、いかにもギギギッ、と擬音が出そうな動きで洸に向き直り、口をカクカク動かしながら片言で返すのが未来の精一杯だった。
(私達にとっては当たり前だから忘れたけど、よく考えなくても私達の関係って他の人から見たら爛れてるんだった!!)
誰か一人が独占する為に、戦闘力にものを言わせた本気の奪い合い──当人込みで──をするくらいなら、彼を共有財産として扱い、その上で仲良くやっていこう。というのがフロンティア事変におけるガチバトルを経て出た結論である。
しかし、人間関係の発端が常軌を逸していれば、その過程も結果も常軌を逸しているのは最早当然の帰結であり、おかしいのが当たり前になっていたのを忘れていた。
一人の男を巡って女同士が日夜火花を散らし、争っている段階の方がまだ健全なのだろうが、自分達の場合はそんな段階、初期の初期でとっくに終わっていたのだ。
そこまで考えが至らないあたり、未来も相当毒されていた。
急にぎこちない感じで喋る未来を少し訝しむ洸であったが、あまり気にしていないようにも見える。
これ以上ボロを出す前に退散しよう、響のことも気になるし、と思考を切り替え、洸に別れを告げようとした時だ。
「......未来ちゃん、お願いがあるんだけど、いいかな?」
洸が懇願するようにそう言ってきた。
全力疾走していた響が漸く立ち止まり、その背に追い付く。
「響」
震えるその背中から視線を外さずに名を呼べば、彼女は直ぐ様反転すると、こちらの胸に飛び込んできた。
野生の猪をも凌ぐ凄まじい勢いであったが、なんとか一歩後退するだけで踏み留まり、抱き止める。
「......響」
「私、私、お父さんに酷いこと言っちゃった!」
顔を上げた響は大粒の涙をポロポロ零し、嗚咽を漏らしながら懺悔するように、胸を詰まらせる感情を吐き出すように泣き喚く。
「お父さんとカズヤさんを、比べるようなこと、言っちゃった! お父さんなんかとか、お父さんと違ってとか、男の人が一番嫌がる言い方して、貶すようなこと、何度も、繰り返して!!」
「......」
「お父さんが、カズヤさんと違うのは当たり、前なのに、比べるなんて、いけないなんて本当は分かっ、てるのに、お父さんの顔見たら、今までのこと、思い出して、頭の中、グチャグチャで、気が、ついたら、あんな、こと、口走ってて、うううぅ、ああああ、ああああああああん!!」
ついに大声を上げて泣く響。
こちらの胸に顔を埋める彼女をギュッと抱き締め、カズヤは絞り出すように声を掛けた。
「大丈夫だ。響のこれまでを考えたら、むしろあそこで一発殴らなかっただけスゲーことだぞ。俺がお前の立場だったら間違いなくマウント取ってタコ殴りにしてる。だから今は、思わず手が出なかったことに安心しようぜ?」
「でも、他に言い方、あったはずなんですよぉ...あんな傷つけるような言い方、したくなかったのに!」
「もう言うな。吐いちまった以上、言葉ってのはもう戻せねー。だからっていつまでも自分を責めるな」
頭を、背中を優しく撫でて落ち着かせるようと試みるが、やはりすぐに泣き止むことはない。
だったらこの際泣きたいだけ泣かせてあげよう、そう考える。
結局、響は未来が追い付いてくるまでカズヤの腕の中で泣き続けた。
【残響】
切歌が待ち切れないとばかりに憤慨した。
「遅いデス! 遅過ぎデス! アイスはいつになったら届くんデスか!?」
頬を膨らませプリプリ怒る切歌に、調も半眼になってコンビニがある方角を睨む。
「何してるんだろう、あの三人。アイス買って戻ってくるだけのはずなのに」
「随分時間が掛かってますね」
調とエルフナインの発言に、他の装者五名がピクリと反応する。
何してるんだろう、あの三人。こんなに時間を掛けて。
時間を掛けてナニしてるんだろう?
ほわんほわんほわんほわわわわ~ん、と妄想が掻き立てられる。
暗くて人通りがほぼないと言っても過言ではない田舎の夜道。
周囲から聞こえてくるのは虫の鳴き声と、静かな波の音のみ。
隣には無防備なカズヤ。
ナニも起きないはずがなく......!!
彼を暗がりに連れ込んで、
「あいつらぁっ!!」
突然クリスが怒号を上げて、それに切歌と調、エルフナインが驚きビクッとする。
「クソッ、やられた! 何が罰ゲームだ! 全部未来の仕込みだったんだ!」
「ということは立花もグルか、おのれ小日向! 何処まで計算高いんだ!?」
続いて奏が頭を抱えて仰け反り、隣の翼が血が出るんじゃないかと思うくらいに強く拳を握り締めた。
「ふざけないで! 今日、初めてオートスコアラーを撃破したのは私なのに、どうして未来と響が愉しんでいるの!? 本来なら本日のMVPである私が愉しめるはずで、ぐっは!?」
「マリア姉さん、さりげなく自分一人の手柄にしないでください!!」
ここにはいない二人に非難の声を上げるマリアを、セレナが容赦なく背後からド突いた。
怒りを露にする五人に一瞬呆気に取られるものの、切歌と調とエルフナインはすぐに『アイスをあの三人だけで楽しんでいることを許せないようだ』という勘違いを起こし、文句の声を上げる。
「自分達だけ(アイスを)楽しむのは許せないデース!」
「私達だって(アイスを)食べたいのに!」
「甘いものの摂取は頭脳労働に必要です!」
「そうだよな、あたしらに一言も告げずに自分達だけ(カズヤとのにゃんにゃんを)愉しむのは許せねぇ......せめてあたしも混ぜろっての」
拳を掲げて煽る三人にクリスが真っ先に同意を示す。
「とにかく、三人を探しに行くよ!
「「「「おお!!」」」」
「......皆そんなにアイス食べたかったデスか」
「流石にたかがアイスで血祭りは酷いんじゃ......」
「やっぱり皆さんはそういう発想になるんですね」
話が噛み合ってるようで致命的に噛み合ってない。血走った目で物騒なことを言い出す奏と、彼女と同じような鋭い眼光を放つ翼、クリス、マリア、セレナ達の姿に、切歌と調とエルフナインの三人はドン引きだ。
「ワリー、待たせた」
と、このタイミングでカズヤの声が鼓膜を叩く。
あらぬ方向へ盛り上がっていく奏達の所へ、話題の渦中にいる三人が戻ってきた。
「遅い! 今までナニして.........なんかあったの?」
さっきまでの勢いは何処へやら、奏は毒気を抜かれたように呆けてしまう。
他の皆も同様に口を開いてポカンとした。予想だにしなかった光景に思考が停止する。
何故なら、響がカズヤにおんぶされた状態で、しかも目元を赤く腫らし、ぐったりしたように眠っていたのだから。
その後、落ち着いて話をできる場所に、ということで本部に移動し、いつも雑談や暇潰しをする際に使用するレストルームに辿り着く。
目を覚ました響は、気がつけば本部内だということに少し驚いてから、今までおんぶしてくれたカズヤに礼と謝罪を述べるので、気にするなと返す。
「で、何があったの?」
真剣な面持ちで問う奏。
他の者達も口には出さないが気になってしょうがない様子だ。
カズヤは未来と顔を見合わせてから、同時に響に視線を注ぐ。
どうする? という意味を込めたそれを受け、響は意を決したように口を開く。
「皆には、知ってもらった方がいいかもしれないから......実はね、さっきコンビニの前で、お父さんに会ったんだ」
それから訥々と響は語った。
まず最初に語られたのは、全ての原因である三年前のライブ会場の惨劇。
その後立花家を襲う、世間から被害者への謂れのない誹謗中傷。
中学校にて些細なことから始まる響への壮絶なイジメ。
学校における響のように、会社内で父も同様に理不尽な扱いを受け、結果的に職を失い、それから間もなく蒸発したこと。
父がいなくなってからリディアンに入学するまで、母と祖母と三人で暮らしてきたこと。
そして、つい先ほど、蒸発した父と思わぬ再会を果たし、カズヤと父を比べるようなことや今更父親面するなと暴言を吐いたことなど。
語り終える頃には啜り泣きを始める響を、隣に座るカズヤが沈痛そうな表情で肩を抱き寄せ、反対側の未来が響にティッシュを手渡した。
もらい泣きをしたのか、いつの間にかカズヤを除く装者全員が涙を零している。
特に奏と翼は、当時の自分達の力不足が不甲斐なくて、悔しさもプラスされていた。
誰もが当時の響の境遇に悲しみ、怒り、拳を握り締める。
そして、
「......了子さん、出てこいよ」
今にも怒りが爆発しそうなカズヤの低い声がレストルームに響く。
ご指名を受けた調──ではなく調の肉体に宿るフィーネの魂は、宿主の了解を得て体の主導権を握り、ソファーから立ち上がって響の正面に回ると、それはもう見事な土下座をした。
「響ちゃん、謝って許される問題じゃないし今更感が凄いけど、本当にごめんなさい!!」
「マジであんたろくでもねぇ女だな!!」
カズヤの怒号がフィーネに降り注ぐ。
「了子さん、アンタどんだけ余罪あんのよ? アタシの家族だけじゃなく響まで......」
「櫻井女史、私も奏同様、あの惨劇は今でもたまに夢に見る」
「ごめんなさいごめんなさい!!」
奏と翼は白い目で調の後頭部を見下ろした。
「響が辛い目に遭ってるのにそばにいることしかできなかった私の気持ち、分かります?」
「ひぃぃぃ!? ごめんなさいぃぃぃ!!」
絶対零度の眼差しと静かな声で紡がれた未来の言葉に、フィーネは本気で恐れ慄いた。
「......もう謝らないでいいですよ、了子さん。いくら謝ってもらっても、一度壊れたものは二度と元には戻りませんから」
「響ちゃんごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい!!」
切なげな口調の響にただひたすら謝り続けるフィーネ。
「皆さん、ここぞとばかりに言いますよね」
エルフナインが誰にも聞こえない声で呟く。
何も言わないが、クリス、マリア、セレナ、切歌もゴミを見る目でフィーネを見下ろしていた。
ついに、ひっくひっくとフィーネが泣き出す。その姿が鬱陶しいし、ある程度溜飲が下がってきたので、調に交替させる。
「......あー、私の体を使って謝っていいとは言ったけど、フィーネがたくさん泣いたから涙と鼻水で顔がグチャグチャ。顔洗ってくる」
了子さん出てくる前から調の顔グチャグチャだったけどな、と思ったがカズヤは何も言わず、鼻を啜りながら退室する彼女を見送れば、私も私もと皆揃って洗面所に行ってしまった。
一人レストルームに残されたカズヤは、疲労を吐き出すように一度大きく溜め息を吐く。
「あいつらが戻ってくる前に、麦茶のお代わりでも用意しとくか」
顔を洗い、すっきりした皆が戻ってきてソファーに座るのを見計らい、響に声を掛ける。
「で、響はどうしたい? 今後の親父さんとの関係」
「...今後の、お父さんとの関係...」
「そう。今日のことはなかったことにして忘れるか、それとも関係修復したいか」
「......」
黙り込んでしまう響を急かすことなく答えを待つが、
「分からない、です......どうすればいいのか、どうしたいのか」
俯いて小さな声で返答する彼女。そりゃすぐに答えは出ないよな、どうしたもんかな、とカズヤは顎に手を当て考え込む。
横から奏とクリスが口を挟んだ。
「関係修復って、どうするつもりなの? っていうかカズヤは話を聞いて響のお父さんのこと、どう思ってるの?」
「いつものお前だったら間違いなく一発殴ってから『二度と近づくなこのクソ野郎!』とか言いそうなんだが」
「確かに響の親父さんには良い印象ねーよ。むしろ悪い印象しかねー。もしあの人が俺の親父だったらクリスの言う通りぶん殴ってた。けど、あの人は俺の親父じゃなくて、響の親父さんだ。殴るかどうか、今後の関係をどうするのかは響が決めることだろ。赤の他人でしかない俺の感情は、本来そこに介入するべきじゃねー。これは家族の問題なんだからな。つーか、諸悪の根源を怒鳴りつけたからある程度気が済んだのもある......まあ、これ以上響を泣かせたら自分で自分を抑える自信がねー、ってだけ言っとくが」
娘を捨てた父親、という存在はやはり誰もが悪い印象を持つもので、響と洸が和解することに納得いっていないらしい。
なお、正直に告白すれば、あの時は響の父親への冷たい対応に心底ビビって見ていることしかできなかった、というのが正しい。
(そうだよな。自分の父親が最期まで立派だったからこそ、家族を捨てた響の親父さんを認めたくないんだよな)
奏の父親は、ノイズから奏を庇って死んだ。
クリスの父親は、亡くなるその日まで政情不安定な国で平和を願って懸命に音楽活動をしていた。
それに比べて響の親父は、となってしまうのは女性陣からすれば当然なのかもしれない。
(口には出さねーけど、表情からして他の面子も奏やクリスと似たような感情持ってるみたいだし)
イヴ姉妹は、故郷が戦禍に巻き込まれ難民生活を余儀なくされるまでは、ごく普通の家庭で育ったらしいし、心情的には響を捨てた親が許せないという色が強い。
そもそも自身の親に関して記憶がない切歌と調は、響を泣かせたということで、洸に憤りを覚えたようだ。
未来は響の味方という立場が顕著なので、響の意見を尊重するようだが、内心では洸を許しているとは思えない。
唯一の例外は翼だろう。彼女は極めて特殊な環境で育ったが故に、この件については迂闊なことを言うつもりはないようで、固く口を閉ざしている。ただ、やはり同じ『娘』という立場である為、響を見る目は同情的だ。
エルフナインは判断に迷う出生なのだが、彼女は彼女なりに洸の父親という立場を放棄するような行為に眉を顰めていた。
「分かってると思うが、俺達の中で親が健在なのってほとんどいねーだろ」
カズヤの声に誰もが息を呑む。
奏、クリス、マリアとセレナは既に死別。切歌と調は親に関する記憶がない。翼はいるにはいるがまともな家族関係ではない。カズヤは記憶がない上に、そもそも『親』という存在がいたのかすら疑わしい。エルフナインはややこしい生まれなので申し訳ないが考えない。
「月を破壊しようとするアホがいたり、月が落ちてきそうになったり、世界を分解しようとしてるバカが出てきたりで、今のこのご時世、平和かどうかって言われたら微妙だろ? 響がこれからどういう選択をするにしても、後悔だけはして欲しくねーからな」
響の頭の上に手を載せて、そのまま撫でながら続ける。
「...カズヤさん」
「皆お前の味方だ。困ってたら相談に乗るし、愚痴聞いて欲しけりゃいくらでも聞く、力が貸して欲しけりゃ好きなだけ貸してやる。そういうもんだろ、俺達の関係って」
響が視線をカズヤから皆に移せば、誰もが力強く頷いている。
「そうだよ響、遠慮せずにアタシ達に何でも言いな」
「役に立てるかどうか分からないが、私達は何事においても全力を尽くすぞ、立花」
立てた親指で自身を差す奏と、その隣で腕を組みつつ諭すように言う翼。
「お前がそんなにしょぼくれてると、こっちの調子まで狂うんだよ。早くいつものうるせぇくらいに元気になりやがれ」
口調はぶっきらぼうだが優しさが滲み出ているクリス。
「クリス先輩の言う通りデース! 響さんは笑顔でいるからこその響さんですよ!」
「響さんが元気ないと皆悲しみます。だから、響さんが元気になる為なら私達は協力を惜しみません」
人を明るくさせるような快活な笑みを浮かべる切歌に、静かでいながら気合いの籠った声を出す調。
「あなたは独りじゃないんだから、抱え込まないようにね」
「いつだって私達がそばにいます」
年上の女性としての包容力を見せつけるように、優しく告げるマリアとセレナ。
「僕はこの件に関して助力できることはないかもしれませんが、お話くらいなら聞かせてください」
微笑むエルフナイン。
「響、私は何があっても響の味方だよ」
そして満面の笑みで響の手を握る未来。
「...あ、ありがとう、皆...ありがとう」
蚊の鳴くような小さな、震えた声で礼を述べて、響はもう一度だけ涙を零した。
「一応ではあるんですけれど、おじさんと連絡先の交換したんですよ」
「マジか。明日にでも俺一人でガソスタ回りでもしようかと思ってたけど、手間が省けたな。ナイスだ未来!」
「もっと褒めてもいいんですよ」
「よーしよしよしよしよし!!」
「犬みたいな扱い......でも嬉しいからいいや」
言葉の通り、人懐っこい犬を撫で回すように未来の頭を撫でまくると、彼女は髪をグッシャグシャにされつつニヘラと表情が弛む。
「じゃ、俺にも教えてくれ」
「はいはい」
洸の連絡先を自身の携帯電話に登録すると、
「じゃ、早速かけまーす」
カズヤは躊躇なく、とても軽い感じでいきなり電話をかけた。しかもスピーカーモードにして。
「ちょっとカズヤ!?」
「何考えてんのアンタ!!」
「いきなりかよおい!!」
「待てカズヤ、本気かお前は!?」
携帯電話から流れるコール音が室内に響く中、突然の行為に驚愕するマリアと奏とクリスと翼を順番に、静かにしろと声に出さずに睨み付ける。
「...この行動力、流石カズヤさんだなって思っちゃう」
「デスデス」
「絶対に何も考えてないだけだと思う」
小声で妙に感心する響と切歌に未来が冷静に突っ込む。
「な、なんだか緊張してきちゃいます...!」
「なんでセレナが......」
「手の平に『人』という漢字を三回書いて舐めると緊張か解れると聞きましたよ」
「本当ですか? やってみます」
何故か身震いするセレナに、その隣で調が呆れ、エルフナインがいつ何処で仕入れたのか迷信を教えた。
やがて──
『はい、もしもし』
数コール後に洸が出た。カズヤ以外の全員が口を閉ざす。
何故か切歌だけ両手で自身の鼻と口を覆って息を止め始めたので、慌てて調が止めさせていた。
「あー、もしもし、俺だけど、俺俺、俺だよ、分かる?」
世間を騒がせた詐欺の手口みたいな切り込み方に誰もが、詐欺師かよ!? まずは名を名乗れぇ! と思ったが喋れない。
『......もしかして、カズヤくん、かな?』
「あ、バレました?」
『声聞けば分かるよ』
「ちっ、存外冷静な対応されたな、つまんねぇ」
おいバカ舌打ちするな! と必死に奏と翼、クリスとマリアが目で訴えてくるが無視した。
未来とセレナ、切歌と調は目に見えてそわそわしている。
エルフナインは目をパチパチしながらカズヤの携帯電話を見つめ、響は父の声が聞こえた時点で俯いて、膝の上に置いた両の拳を固く握った。
「なんで俺があんたに電話かけたか、分かるか?」
若干怒ったような口調をわざと出しつつカズヤが問えば、洸は電話の向こうで僅かに怯んだのか少し間を置いてから答える。
『......響のこと、じゃないのかい? その口ぶりからして、響からはもう聞いてるんだろう、俺のことを』
「まあな。今更未来と連絡先交換して何のつもりか、あんたの真意を聞いておきたくてな」
『......』
沈黙したところを畳み掛けるように言う。
「で、今更何のつもりなんスかね?」
『......』
「早く答えろよ。黙ってたら分かんねーだろが」
いかにも苛々してるような声で洸を急かすようなことを言うのだが、カズヤの顔はまるでとっておきのイタズラが成功した悪ガキみたいな顔で、おまけにペロッと舌を出して皆にウインクする。
演技派だ、役者めー、嘘吐くの得意だからなこいつ、これだけ演技ができて何故アニメの出演オファーを断ったんだ? とそれぞれが思う中で、急かされた洸の声が絞り出すように聞こえてきた。
『俺は......』
「はよ言え」
『俺は、響と、話がしたい』
「話だぁ? 何も言わずに消えた奴がか? あんたそれ本気で言ってんの?」
『うっ......』
またしても電話の向こうで洸が怯む。
あまり責め過ぎると話が拗れるから、程々にしておかなくてはと思い直し、カズヤは口調とは裏腹に内心は結構ドギマギしており、探り探りで続けた。
「響があんたと話すことを望んでいるとは思えねーな」
『......分かってるさ』
「つーかさ、さっき散々言われただろ。あれでまともな会話が成立するとでも?」
『だとしても、だ』
決して強くはないが覚悟を感じる声に、おっ、と思わず感嘆の声が出そうになって咄嗟に口を噤む。
響以外の皆も同じようで、スマホに向かって一斉に身を乗り出す。
俯いていた響が顔を上げる。
カズヤは未来に目を向け視線で問う。
(あの後なんかあった?)
(いえ、特には)
首を横に振る彼女の反応に首を傾げた。
電話の向こうからは、先程響に一方的に言われていた時とは違う何かを感じたのだ。
それが何か明確には不明だが、これは期待できるかもしれない。
だがまだ足りない。もう少しだけ、彼の父親としての覚悟が見たい。その為にも、響と洸を会わせる前にもうワンクッション挟みたい、と考えながら喋る。
「だったら、響と話す前に、まず俺とサシで話してもらえる?」
『それが終われば響に会わせてもらえるかな?』
「それはあんた次第だ、考えてやってもいいぜ。ただ、これだけは覚えておけ。俺は響を泣かせる奴は許さねー。たとえ相手が誰だろうとぶん殴る」
『......分かった。じゃあ明日の──』
それから待ち合わせの場所と時間を決め、通話を切った。
「取っ掛かりとしちゃあ、まずまずかね」
ふう、と一息ついたカズヤは、唇を吊り上げニヤリに笑い、スマホをズボンのポケットに仕舞う。
「とりあえず、お前の親父さんが明日どういう風に出るのか、見せてもらおうぜ。んで、響がどう思うかで今後を決めればいい」
響の頭の上に手を載せてポンポンと軽く叩けば、彼女は小さく頷いて、
「ありがとうございます、カズヤさん」
やっと、皆が待ち望んでいた柔らかい笑みを見せてくれた。
そろそろ寝よう、ということで各々が本部内に用意された部屋に向かい寝る準備していた時、響は廊下からこちらを覗き込むマリアとセレナから手招きされた。
何の用だろう? と疑問に思いながら二人が待つ廊下にホイホイ出てみれば、
「本来なら今晩は私とセレナがご褒美をもらえるかと思ってたけど、譲ってあげるから貸し一つよ、響」
「え......?」
「カズヤさんが本部の外で待ってます」
「それって──」
「たくさん甘えてきなさい。朝までは二人っきりにしてあげるから」
「他の皆さんも既に納得済みです。あ、私達のことは気にしないでください。カズヤさんには埋め合わせの約束もしてもらってますし」
さあさあホラホラ行きなさい、とお節介を利かせた二人に背を押され、響は潜水艦から追い出される。
「私、もう寝間着に着替えちゃったんですけど!」
「こんな時間のこんなド田舎、誰も見てないわよ」
「カズヤさんだけしか響さんを見てませんから安心してくださいね」
そういう問題じゃない! と抗議の声を上げるが二人は全く聞き耳持たず。タンクトップにショートパンツという寝る直前の、非常に夏らしい部屋着というラフな格好のまま、カズヤの前までやって来てしまう。
「それじゃあ、行こうぜ」
「あうぅ...」
「「ごゆっくり~」」
腰に回されたカズヤの腕がやや強く抱き締めてきて、密着した彼の体温を感じて、最早部屋に戻って寝るという選択肢が失せる。むしろこれからのことに期待がむくむくと成長、あっという間に膨れ上がっていく。
(...現金だなぁ、私って)
背後でにこやかな笑みを浮かべ手を振るイヴ姉妹に見送られ、響はカズヤに連れられその場を後にした。
教えてネット大辞典!
知りたい単語を一発検索すればこれであなたも物知りに!
当サイトではあらゆる単語について可能な限り正確に、分かりやすく、面白おかしくをモットーに解説しております。
下記項目は編集が完了していません。
また、存命人物の検証可能な情報源が不足しています。信頼できる情報源の提供に協力をお願いします。存命人物に関する出典不明、もしくは誤った情報に基づいた論争の材料、特に誹謗中傷や名誉毀損等有害となるものはただちに消去いたします。
シェルブリットのカズヤ
本名:君島カズヤ
性別:男性
国籍:日本
生年月日:不明
出身地:不明
職業:日本政府機関特異災害対策機動部→国連直轄下 Squad of Nexus Guardians(超常災害対策機動部タスクフォース、略称はS.O.N.G)
副業:ツヴァイウィングのボディーガード
・概要
シェルブリットのカズヤとは、ルナアタックやフロンティア事変等の未曾有の大災害から世界を救った英雄、及び彼を意味する二つ名である。※上記二点の出来事についてはリンク先を参照。
二つ名の由来は、彼が自身の右腕をシェルブリットと呼んでいることからだと思われる。
・来歴
詳細不明。しかしながら、目撃情報などから少なくともルナアタックから遡り六年ほど前からノイズの殲滅を主な活動としていたと推測される。
QUEENS of MUSICにてマリア・カデンツァヴナ・イヴ(以下マリア)によりその存在を露見された時点で、既に特異災害対策機動部に所属しており、日本政府側から秘匿扱いを受けていたことが判明している。
現在はS.O.N.Gに所属していることが国連より公式情報として発表された。
・人物像
世間に初めて認知された当初は謎の人物であったが、実はフロンティア事変より以前からアーティスト『ツヴァイウィング』のメンバーである『風鳴翼』が配信しているツーリング動画に第一回目から撮影係を担当、登場しており、日常生活における彼の一面が垣間見える。※フロンティア事変以前は声のみの出演、しかもその声はのんびりボイスに変換されたもの。現在は地声、顔出しもしている。詳細はリンク先の動画を参照。
非常にノリが良く、鋭く突っ込むこともあればボケもこなす気さくな青年、という印象が強い。が、動画内では基本的に風鳴翼がボケ倒す関係で突っ込みが多い。動画ファンからの愛称はKさん。動画内の風鳴翼の言動に振り回されていることから、犠牲者とも呼ばれている。
有事の際は熱血漢のようで、フロンティア事変にて泣き崩れるマリアを叱咤激励、奮い立たせる姿を見せた。※詳細はリンク先の動画を参照。
大の動物好きで、動画において可愛い動物が登場するシーンになると異常にテンションが上がり、子供のようにはしゃぐ。
・能力、及び活躍
理論は不明だが、現行兵器では殲滅が困難なノイズを倒すことが可能。
「輝け」という声と共に金色の光を全身から放ち、鎧のような右腕『シェルブリット』でパンチを繰り出す『シェルブリットバースト』が主な攻撃方法。ノイズを殴って殲滅している光景が世界中で目撃された。ノイズが保有する位相差障壁と炭素分解を無効化することが可能。また、こちらも原理は不明だがノイズを遠距離から分解、粒子化することも可能。
ルナアタックの際、落下する月の欠片が粉砕される直前に同色の金の光が発生していたことが観測された為、パンチの威力は月の欠片すら砕くことが判明。※リンク先の動画を参照。
フロンティア事変においてマリアと共に落下する月の軌道修正を行い、世界を危機から救う。なお、当時の様子が全世界に生放送されたことから、以後彼女とは世界公認のカップルとなっている。
所属がS.O.N.Gになって以降、災害救助の為に世界中へ派遣されている。その際、放出する金の光が目立って隠しようがないのか、日本政府も国連も最早開き直って「彼が救助中の様子です」と報道するのが常になりつつある。
・人間関係
◇マリア・カデンツァヴナ・イヴ
当初はテロリストとして動く彼女と敵対関係にあったが、後に和解、協力関係となった末、恋人に。なお、彼女は最初から世界を救う為ではなく、恩人の彼と再会する為だけに動いていたと公言。だからこそ世界を救えたのではないか、というのが彼女のファンの専らの見解。
フロンティア事変で見せたウェディングドレスのような姿は必見の価値あり。
◇風鳴翼
ツーリング仲間にして副業であるボディーガードの護衛対象。
ファンからは沼に引き摺り込んだ女、歌が上手いバラエティー芸人、バイクバカ、距離ガバ勢、ボケ芸人、可哀想な女と散々な呼ばれ方をされている。
上記の通り、歌手としてではなく一人のライダー(ズス菌感染者)としての姿を動画で視聴可能。
◇天羽奏
風鳴翼同様に護衛対象。
風鳴翼の動画にてよく話題が上がる。会話の内容からして関係は良好らしく、動画内における背景としてたまに映ることから、ツーリングに同行する時がある模様。
◇北海道観光協会
ゆるキャラ『蝦夷野熊五郎』関連。詳細はリンク先を参照。
・余談
ツヴァイウィングのボディーガードもしている関係で、公式サイトのブログはマネージャーから彼に対する愚痴や観察記録になっている。
アニメ『快傑☆うたずきん!』に登場するアニメ版オリジナルキャラクター『シェルブリットの熊五郎』は彼と北海道のゆるキャラ『蝦夷野熊五郎』をモデルとしている。※詳細についてはフロンティア事変及び上記のリンク先を参照。なお、担当声優のオファーは恥ずかしいという理由で断った。ちなみに、ツヴァイウィングのマネージャーが代役として抜擢され小川忍という芸名で熊五郎の声を担当している。ついでに言えば声は本人かと聞き間違えるほどそっくりである。
SNSニュース! 最新のトレンドを紹介!
#筑波の田舎町でノイズ発生!?
#何の光ィ!?
#シェルブリットのカズヤ
#また輝いていらっしゃる
#いつもの
#何処で誰が何してんのか分かる光
#写真撮ってたらツヴァイウィングに早く逃げろって怒られた
本日お昼頃、○○市にてノイズの発生があったことが国連から正式に発表されました。なお、既にノイズは殲滅済みということなので、付近の住民の皆さんはご安心ください。しかし、万が一ノイズを見掛けた場合は──
未来と別れてから、洸は家に帰ると着替えもせずスマホを用いてカズヤに関する情報を素人なりに集められるだけ集めた。
ネットで検索し、出てきた結果を片っ端からひたすらタップする。色々な記事やページを読み漁り、多数の動画を視聴し、匿名掲示板なども閲覧。
知れば知るほど、見れば見るほど不思議と彼に興味を惹かれていくのを自覚した。
そして同時に、自分自身に怒りを覚える。
「俺は......今まで一体何をしていたんだ......!」
さっき響が言った通り、きっとカズヤは自分にはないものをたくさん持っているのだろう。それに響が惹かれたのは当然と言えば当然だった。
『ネフィリムはこのフロンティアと一つになっている! 故にエネルギーがある限り、僕は何度でも何体でも無尽蔵にネフィリムを──』
『輝け』
『っ!?』
『もっとだ、もっと! もっと輝けええええええええええ!!』
『殺せ、ネフィリム、こいつを殺せ!!』
『シェルブリットバァァストォォォ!!!』
もう何度目になるか分からない動画のループ再生。
眩い光を迸らせ、巨大な肉体を誇る化け物に臆することなく、決して退かずに突っ込むカズヤの姿が繰り返し映し出される。
見る者に勇気を与える輝きと戦いぶりに、洸は知らずに拳を強く握り締めた。
胸が熱くなるのを感じる。
あの時家族と一緒に捨ててしまったものが、甦ってくるかのようだ。
嗚呼......今更になって漸く気づく。
誰にも告げることなく突然家を出て、家族を捨て、責任を放棄し、全てから逃げ出し、それらを今の今まで引き摺りながら地べたを這いずる虫のようにうだつの上がらない生活を送ってきたからこそ、彼が放つ光と輝きは当時の自分にはあまりにも眩し過ぎたのだ。
だから目を背けていたんだ。どうして世間が当時大騒ぎをしていたのか、本当は知りたくなかった。知ろうとすることを拒絶し、報道内容は誇張だと勝手に決めつけ、斜に構えたような見方をしていた。
だけど、今なら分かる。
どうして彼がこんなにも世界中で絶大な人気を誇るのか。
どうして響が、未来があれほど惚れ込んでいるのか。
──それは彼の姿が人の心を熱くさせるからだ。
そうとしか考えられない。そうでなければ、かつて失ってしまったこの胸の熱が突然甦った説明がつかない。
『お父さんと違ってどんなことからも逃げないし、絶対に諦めないし、どんな時でも誰が相手でも退かないし負けない、男の意地を最後まで貫ける人!』
響に言われたことが脳裏を過る。
「......逃げない、諦めない、退かない、負けない、男の意地を最後まで貫く、か......」
そんな風に振る舞えていた時期が、かつての自分にあっただろうか。
もしかしたらあったかもしれないが、少なくとも今の自分にはあり得ないと断言できてしまう。
それが堪らなく悔しい。
だが、同時に悔しいと思えることが嬉しい。
まだ自分自身を諦めていないということに、気づくことができたのだから。
「......響、カズヤくん、俺は──」
思わず口から声を漏らしたその瞬間、知らない番号から着信がきたのであった。
次回、カズヤと響パパ、お話する。
実はアプリ版のXDU、この前の三周年記念を機に始めました。(今更のご報告に遅過ぎィィって言われちゃう)
石が高過ぎて課金する気が全く沸きませんが、なかなか楽しくやってます。(石一個一円計算なら月額三千円課金するのに)
何故今更こんなことを後書きでお伝えするのかと言いますと、私、プレイヤー名を『シェルブリット』にしているのですが、ついこの前バトルアリーナをやっていたらプレイヤー名『カズマ』という方と当たりまして、対戦時に
シェルブリット カズマ
と並んだのを見てなんか、運命、感じちゃいまして......ビクンビクン!!
はい、ただの偶然です。
とりあえずグレ響の新しいやつ、あと四枚欲しいけど全然石足りないので、大人しく石集めの作業に戻ります.........仕事の合間にな!!