性転換系異世界勇者配信者が性転換して異世界の勇者になった話   作:たま

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#10

あれからしばらく歩いて、ある建物の前まで来た。

扉にはでかでかと『星歌(せいか)研究所』と書いてある。

その扉は重厚な見た目で、手を掛けることができるような物は付いておらず、押しても引いても開かないということは目に見えていた。

愛笑(かなえ)ちゃんが扉の前に立って勇Padをかざすと、とても重いものを引きずるような大きい音を立てながら、扉はゆっくりと開いた。

 

扉が開くとともに、中の様子も段々と見えてくる。廊下があり、奥に見える扉まで続いていた。その扉は少し開いていた。

 

「星歌!入るよ!」

 

愛笑ちゃんはひと声かけた後に、一気に扉を開いた。

中はとても暗く、僕達が開けた扉からの光しか、明かりになるものはなかった。

それと同時に、おびただしい量の紙が床に散乱していおり、当然床は紙で見えず、全ての紙に多様な事が書かれているので、踏み入るのはためらわれた。

が、そんなことは気にせずに、愛笑ちゃんは一切迷うことなくずかずかと中へ入っていった。

申し訳ないと思いながら、僕も後をついていった。

愛笑ちゃんが明かりをつけると、部屋の隅に積んである紙の山が少し揺れているのが見えた。

 

「ん……ふぁぁ……あ、かなちゃんじゃん。いらっしゃーい」

 

紙の山を押し上げて出てきたのは白衣を着た、女の子だった。

 

「もうお昼だよ、寝過ぎじゃない?」

 

「いいのいいの、寝る子は育つからねー。それよりもさ、何か作ってくれない?お腹が消滅しそうでさ」

 

「いつも通りマイペースだね、じゃあキッチン借りるよ」

 

「うん、ありがとー」

 

愛笑ちゃんが部屋を出ていく前に耳元でひとつ、助言をくれた。

 

「ミルキーちゃん、気をつけて欲しい事があるんだけど、星歌の身長には何も言わないであげてね」

 

「わ、わかった」

 

それだけ言うと部屋を出ていってしまった。

確かに身長は僕よりも小さかったが、何かコンプレックスでもあるのだろうか。

 

「初めまして、きみがミルキーちゃんだね。私は星歌、星歌博士なんて呼んでくれると嬉しいかな。きみのことはかなちゃんに聞いているよ、直したい物があるんだよね?」

 

「そうなんだ、これを」

 

僕は電池が切れて動かなくなったスマホを差し出した。

 

「これは…なるほど」

 

にやりと笑い、僕を見て星歌博士は言った。

 

「ミルキーちゃん、日本から来たでしょ」

 

声が出なかった。愛笑ちゃんから異世界から来たということは聞いていたかも知れないけど、まさか日本を当てられるとは思わなかった。

 

「鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしてるね、実はかくいう私も日本に住んでたんだよ、私の話なんだけど……」

 

僕以外にもこちらの世界に来た人がいるという衝撃の事実を知ることができた。この世界には実は多くの地球から来た人、もしくは別の世界から来たという人もいるのかも知れない。もしそうなら色々な人達と出会いたい、そう思った。

 

「ミルキーちゃん聞いてるー?」

 

「ご、ごめん!考え事してた」

 

「ふーん、まぁいいけどね。で、スマホのことなんだけど、」

 

預けたスマホを手渡された。

 

「使えるようになったよ」

 

「…え、もうできたの!?」

 

電源ボタンを押してみると、今まで使っていたように、画面が明るくなった。(あい)ちゃんの連絡先もちゃんと残っていた。

愛ちゃんからのメールがこの世界に来たときのように恐ろしい数届いていた。後でちゃんと説明しなければならないな。

 

「まぁ何で動くかを変えただけだからねー、ほんとにこの世界のエネルギーは便利だよ、スターって呼ばれるものなんだ。それで動くようにしたからね、充電もいらないよ」

 

「星歌博士、ありがとう!」

 

そこに愛笑ちゃんが料理を持って戻ってきた。

 

「星歌、持ってきたよ」

 

「おー、たすかるよ。かなちゃんは料理上手だから毎日でも訪ねて来て欲しいなー」

 

「私だって暇な訳じゃないからね。じゃあミルキーちゃん、帰ろうか」

 

「いつでもきてねー」

 

それから僕達は家路につく。

愛笑ちゃんに星歌博士の事、主に身長のコンプレックスについて教えてもらいなから。

 

 

しばらく歩くと、すでに懐かしく感じる愛笑ちゃんの家が見えてきた。

 

そのとき、遠くの方から悲鳴が聞こえた。

 

 

 

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