性転換系異世界勇者配信者が性転換して異世界の勇者になった話   作:たま

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#4

異世界ではじめに出会った女の子は僕のファンでした。

 

「...僕のファン?」

 

「そうなの!」

 

女の子は元気よく頷いた。

僕のファン……ファンができるようなことはまだしてないし、配信者としてなら一人いるのかも程度だし……

 

「私は愛星(あいぼし)愛笑(かなえ)。ミルキーさんの勇姿はいつも勇Padで見てました!」

 

「あ、ありがとうございます、すごく嬉しいです。」

 

勇Padというのはよくわからないけど、言葉の響きからしてスマホみたいなものなんだろうな。それより、人にファンと言ってもらえるのはすごく嬉しい……けど、それは配信者としての僕のことではなくて、この世界の勇者としての僕のことなんだろうな。そうなら、そのミルキー・スターではなくなってしまったから申し訳ないかも。

 

「どうやって僕を知ってくれたの?」

 

「そうですね、ミルキーさんは覚えてないかもしれませんが、私がもっと小さかったときの話です。」

 

彼女がミルキー・スターの話を始めたその瞬間、急に頭が痛くなってきた、頭の中に何かが入ってくる。そんな感覚がする……これは……

 

(ミルキー・スター)の記憶?

 

 

「よ~っし!この辺の魔物もだいたい片付けたかな~。」

 

そのとき、遠くの方から叫び声が聞こえた。

 

「こんなところに女の子?急がないと……」

 

 

 

もっと速く!もっと速く!もっと速く!

こんなんじゃ逃げ切れない!呼吸(いき)が苦しくても速く走るの!

じゃなきゃダメ、じゃなきゃダメなの!

 

じゃなきゃ死んじゃうの!

 

「ギギャアァァァァァ!」

 

数えきれない、数えようとも思えない。そんな大群のゴブリンが追いかけてくる、どこまでも。

 

「はっ…はっ…だれかぁ……たすけて……あぁっ!」

 

石につまづいて転んでしまった、躓いてしまった。もう逃げることができなかった、立ち上がる力も残ってはいなかった。

 

「もう……ダメなの……動いてよぉ……」

 

一番前のゴブリンが飛びかかってきた。

 

怖くて目を閉じた。

 

すると聞こえてきた。

 

「ギェビ」

 

いつの間にか閉じていた目を開くと、目の前に剣を持った女の人がいた。

 

「待たせたね、今助けるからと、そう言って私を救ってくれたのはあなたです。」

 

今のはミルキー・スターの記憶だ、今のストーリーは僕がつくったことのないものだ。ミルキー・スターはこの世界で存在していたのか、それとも僕がつくったミルキー・スターの設定を裏付けるようにこの世界がつくり出されたのか、そんな疑問が浮かんできた。

 

「……聞いてました?」

 

「も、もちろん聞いてたし、それに、そのときのことは思い出したよ。」

 

「!……そうですか、なら良かったです。それとさっきから胸の勇Padが鳴ってますよ。」

 

「胸の勇Pad……あ!」

 

パジャマの胸ポケットには普段使っているスマホが入っていた。画面を点けてみると、今気づくまでに何件ものメールがきているのがわかった。

 

送り主は全て友人の星川(ほしかわ)(あい)からだった。

 

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