性転換系異世界勇者配信者が性転換して異世界の勇者になった話   作:たま

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#7

愛笑(かなえ)ちゃん、打ち合わせ通りに頑張ろうね」

 

「うん!」

 

愛笑(かなえ)ちゃんの元気の良い返事が返ってくる。

今から行う配信は、あくまで僕の友達である星川(ほしかわ)(あい)ちゃんに、僕が天ノ川(あまのがわ) (せい)であることを信じてもらうためのもの。

面白い配信にしよう、という考えは無い。

 

『配信始めるよ、見ててね』

 

という内容の文をメールで送り、SNSにも同じようなことを書いて、配信を開始することにした。

 

「どうもー!ミルキー・スターだよー!」

 

初配信のときと同じような挨拶をした。まだ2回目の配信ということもあって緊張もしているけど、噛まずに言うことができた。

この配信を見てくれている視聴者の数は1と表示されていたので、(あい)ちゃんが見てくれているものだと思い、そのままの勢いで配信を進めて行くことにした。

 

「なんとね、今日の配信はひとりじゃないんだよ」

 

そう言い、愛笑(かなえ)ちゃんにアイコンタクトを送ると、画面に映らない位置からこちらに歩いて来て、そして挨拶をする。

 

「はじめまして〜、みんなに愛と笑顔を!愛星(あいぼし)愛笑(かなえ)だよ〜」

 

「はい、今日の配信は愛笑(かなえ)ちゃんに参加してもらってるよ、実は僕の命の恩人なんだよね」

 

僕がこの世界に来てからのことについては、また別の機会に話すことにした、配信の目的とはあまり関係がないと思ったからだ。

 

「じゃあ、この配信で僕がしたいことなんだけど、それは、親友に僕が僕であることを信じてもらうためなんだよ。だから、僕は今からあることについて話すね」

 

どうすれば(あい)ちゃんに僕だと信じてもらえるのか、それはちょっと考えればすぐに思い浮かぶことだった。

 

それは、

 

「親友の黒歴史について話すよ!」

 

そう、僕がこれから話すのは親友の黒歴史、誰にも知られたくない、封印してしまいたい過去のエピソード。

当時、僕も一緒になって同じことをしていたので、お互いに精神的なダメージを受けると思う。けど、これが一番手っ取り早く、信じてもらえる方法だと確信している。

 

そして僕が話そうとしたそのとき、

 

『ちょっとまて』

 

そうコメントがきた、それは初配信にも来てくれたラブスターさんのものだった。最初から見てくれている唯一のファンなので、親しみもある。

 

「あ、ラブスターさん、こんにちは。いまから親友の黒歴史について話していくよ」

 

『それはやめたほうがいい』

 

「やめたほうがいい?それってどういう…あ!」

 

いまさら気が付いた、ある可能性を。

理由はある、ラブスターさんは黒歴史を話すことを止めようとしていること。それと、配信の視聴者数がずっと1と表示されていること。

もしそれがあっているなら、ラブスターさんは…

 

「ラブスターさんには止められたけど…やっぱり話そうかな」

 

そのとき、電話がかかってきた。相手はもちろん(あい)ちゃんだ。

 

「ごめん!電話がかかってきたから、今日の配信は終わりにするね!またねー!」

 

すぐに配信終了のボタンを押し、電話に出る。

 

(あい)ちゃん?」

 

『信じるからぁ!』

 

第一声は叫び声だった、

 

『だからぁ!それだけはやめてぇ!』

 

魂の叫びだった、

 

(あい)ちゃん、信じてくれた?」

 

『信じる、だから絶対言わないで』

 

「わかってるよ、言わない言わない」

 

配信で親友の黒歴史を言うことはできなかったけど、目的は達成できたから、結果的には良かった。

 

「一応確認するけど、(あい)ちゃんはラブスターさんということであってるんだよね?」

 

『…そうだけど、ねぇ(せい)ちゃん…(せい)ちゃんはどうしてそんな世界にいっちゃったの?』

 

「それは…僕も知りたいことかな」

 

『ねぇせ…』

 

「…?(あい)ちゃん」

 

急に声が聞こえなくなってしまった、スマホを確認してみると、どうやらバッテリーが切れてしまったみたいだった。充電しなければ使用することはできない。

 

「充電、この世界で充電はできるのかな」

 

スマホのような、勇Padなるものが存在するようだし、できるのかも知れない、できないと困る。とても困る。本当に。

 

「ミルキーちゃん?どうかした?」

 

「え?」

 

何のことかと思い、自分のことを気にしてみると、いつの間にか涙を流していた。今まで、スマホが唯一の元いた世界との通信手段だったのに、それがなくなってしまった。

それはつまり、今の僕にとっては、心の支えがなくなったということと同じ。

 

「事情はわからないけど、泣きたいときは泣いてもいいんだよ」

 

愛笑(かなえ)ちゃんに慰められながら、僕は大声で泣いた。

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