Journey Through The Rainbow   作:がじゃまる

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ようやくスクスタが配信されたのでずっと前からため込んできた企画を開放しました
宜しければ一読お願いします


1話 世界の終わりが始まる日

 

「―――・・・・・・ド。聞こえるか?」

 

 視界も感覚も全てが白い。

 何もかも覚束ない、ただただ白だけが延々と広がる世界に声が響く。

 

「・・・時は来たぞ。今、様々な世界の歴史が交わろうとしている」

 

 この世界が何なのか、声の主が誰なのかなど分からない。ただ一つ分かる事は、今この世界に存在しているのは、俺と、この一方的に語り掛けてくる声だけだという事。

 

「もしそうなれば世界の崩壊は免れない。だから、お前がそれを防ぐんだ」

 

 世界の崩壊に、それを防ぐ。羅列されるのはそんな現実離れした言葉。

 明確に事の概要を示すといった様子はなく、ただ一つ、世界を救えとだけ繰り返される。

 

「頼んだぞ―――」

 

 脈絡もなく、俺からの答えを待たずに話は切り上げられ、急速にその声は遠ざかっていく。

 完全に消失する刹那の瞬間、こんな一言を残して。

 

 

 

 

 

 

 

「――――――世界の破壊者」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――――――ん?」

 

 胡乱の中にある意識に呼びかけてくる声に、強烈なデジャヴを覚える。

 

「――――――かさくん?」

 

 だが今度は少し違う。俺はこの声を˝知っている˝。

 俺と言う人間に嫌という程染み付いてしまったこの声を。

 

「―――・・・つかさくん・・・・・・? 士君‼」

 

「・・・・・・んぁ・・・?」

 

 瞼によって遮られていた視界が徐々に広がってゆき、暖かな自然光が眼球へと飛び込む。

 その眩しさに顔を顰めながらも辛うじて保った視線の先で、ライトピンクの髪が揺れた。

 

「もー、やっと起きた・・・。またこんな所でお昼寝?」

 

「・・・・・・歩夢・・・」

 

 呆れ半分のご立腹した様子で俺の顔を覗き込んできた少女を口にする。

 

 上原歩夢。高校二年生。

 やたら俺の事を気に掛けてくる、今の俺が最初に認知した存在・・・・・・と記憶している。

 

「ほら早く、もうライブ始まっちゃうよ!」

 

「・・・・・・ライブ・・・?」

 

 急いでいるような歩夢に手を引かれ、未だ白濁の中にある記憶の泥濘からこれに関連する記憶を弾き出す。

 

 ああ、そうだ。

 確か今日は、コイツが友達と一緒にやってる˝スクールアイドル˝とやらのライブイベント・・・・・・だったか。

 

「凄いよね! あのμ‘sさんとAqoursさんが一緒にライブをやるとか夢みたいだよ!」

 

 今回のライブが通常のスクールアイドルのライブとは違う、別々のグループ同士が共演する合同ライブだという事はコイツから聞かされた。

 

 今回共同でライブを行うという二グループの事は全くと言っていいレベルで知らないが、どちらかと言えば大人しい方の歩夢がこれ程興奮している事から察するに余程人気のあるグループらしい。

 

 と、まあ、そんな人気グループ同士の合同ライブという事もあってか、いつもに増してしつこく勧誘してきた歩夢の根気に負け、渋々ここに赴いたのだった。

 

「歩夢せんぱーい! もやし・・・じゃなくて士さん見つかりましたかぁー?」

 

「あー、うん! ごめんねかすみちゃん心配かけて」

 

「いえいえ~、士さんが心配だなんてそんなー。かすみんはただもやしのせいで先輩だけライブに遅れるのが可哀想だったから呼びに来ただけですよぅ」

 

 どうしてか俺に対して攻撃的な中須かすみとかいった一年生の後輩に手を引かれる歩夢。俺もその後に続き、歩夢と中須以外のも女子が集まった一帯の席に腰かける。

 

 歩夢含め、ここにいる九人の少女は虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会の部員だ。

 普段は別々に行動する事が殆どらしいのだが、今回人気二大巨頭とも言えるグループの競演に際して全員集まったそうな。

 

「あ、士君? 今度はいなくならないでね? ライブ中寝るのも駄目だよ!」

 

 刻一刻とライブの時間が迫り、徐々に会場のボルテージが上がっていく中歩夢にそう言われ疲れて見せるように溜息をつく。

 いや別に、俺だって寝ようと思ってあんな所にいた訳ではないし、何なら歩夢の言う合同ライブだってちゃんと見るつもりだった。

 

 ただ、トイレがてらその辺をうろついていたら急に目の前が白くなり、気付けばあの夢を見ていたのだ。

 

「・・・・・・コイツ等と関係あるのか・・・?」

 

 深々と椅子に座り直し、懐から常に持ち歩いているもの、˝今の俺˝が気付いた時には所持していた19枚のカードを取り出す。

 

 カードに描かれているのは、それぞれ違う、人型をしているのだが人間ではない何かと、恐らくそれの名前だと思われる文字。

 

 

 KUUGA――――――クウガ。

 

 AGITO――――――アギト。

 

 RYUKI――――――龍騎。

 

 FAIZ――――――ファイズ。

 

 BLADE――――――ブレイド。

 

 HIBIKI――――――響鬼。

 

 KABUTO――――――カブト。

 

 DEN-0――――――電王。

 

 KIBA――――――キバ。

 

 W――――――ダブル。

 

 OOO――――――オーズ。

 

 FOURZE――――――フォーゼ。

 

 WIZARD――――――ウィザード。

 

 GAIMU――――――鎧武。

 

 DRIVE――――――ドライブ。

 

 GHOST―――――ゴースト。

 

 EX-AID―――――エグゼイド。

 

 BUILD―――――ビルド。

 

 

「・・・・・・」

 

 その中で1枚だけ、ブランクカードとでも言うべきか。名前が刻まれているのみで、そこだけ切り取られたかのように名前の主であろうモノの姿が映されていないカード。

 

 それがこのDECADE―――――ディケイド。

 

 調べてみてもカードに該当する情報はなく、何を意味しているのかも全く持って分からない。

 そんな意味不明な19枚のカードが、˝記憶を失った状態˝で発見された俺に残されていた唯一の所持品だった。

 

 

 と、こんな調子であるために身元も分からず、今は俺の第一発見者である歩夢、及び上原家の御厄介となっている。

 今日アイツの誘いを断り切れなかったのも、こんな事もあってか未だに俺が歩夢に対して頭が上がらないからだ。

 

 まあ、こうして部活の友人と共にイベントに誘ってくれる辺り好意的には思われているようだし、疎まれて名実共に厄介者になるよりは全然幸せなのだろうが・・・・・・、

 

「・・・・・・?」

 

・・・とまで考えた辺りで、ふと周りがざわついている事に気が付く。

いやまあ、ライブ前で会場の熱も上がっているので当然といえば当然なのだが、それとは何か違う。

言い表すならば、期待や高揚を孕んだ熱気とはまるで正反対。不安や畏怖のような、よからぬ感情だ。

 

「・・・? 何かしらあれ・・・」

 

 その理由は部員の一人、朝香果林が訝し気に指さした方向へと他の部員と同時に視線を流した事ですぐに分かった。

 

「っ・・・⁉」

 

 丁度今からライブが行われようとしているステージの真上で、空が揺れている。

 いや、揺れているというよりは、歪んでいるといった方がいいだろう。

 

「・・・何だろうあれ・・・・・・」

 

 中には好奇の視線を向け、携帯などで写真を撮る者もいる中、猛烈な胸騒ぎがあれはヤバいと訴えかけてくる。

 

 そしてその予感が的中するように歪みはその手を広げ、瞬く間に辺りの空間を侵食し出し――――――、

 

「うおおっ⁉」

 

「きゃああぁぁぁッ⁉」

 

 猛烈な勢いと衝撃をもって俺の横を何かが駆け抜ける。

 それにより転倒した俺がすぐさま身体を起こして何が起こったのかを確認してみれば、駆け抜けていったものの正体―――灰色のオーロラが俺と歩夢達を分断していた。

 

「士君⁉」

 

「ちっ・・・・・・ちょっと離れてろ」

 

 微かに見える灰色の向こうで困惑した顔を浮かべる歩夢達の方へ行こうと体当たりで突破を試みるも、見た目に反して異様な頑丈さを誇るオーロラは微動だにしない。

 辺りを見れば同じものが会場全体に出現しており、ほんの少し前まで存在していた熱気は一瞬にして混乱によって塗り潰されていた。

 

「・・・ッ? 今度は何だ・・・?」

 

「士君・・・? 士君ッ!!」

 

 急速に空間が白く染め上がってゆき、遮断された向こう側で俺の名を叫ぶ歩夢の声までもが遠くなってゆく。

 そうして出来上がった世界は、先程俺が夢に見たものと全く同じで―――、

 

 

 

 

 

「―――お、やっと繋がったか・・・って、何だお前その姿・・・」

 

 

 見える景色も、空間を支配する白も何も変わらない。

 ただ一つ、今度は俺以外にも別の者が存在している事を除いて。

 

「・・・・・・誰だアンタ・・・」

 

「・・・? 覚えてないのか・・・?」

 

 この季節に着るものとしては少し厚手にも思えるコートと、赤と青、左右で色の違う靴を除いてはこれと言ってパッとした特徴はない。強いて言えば少し顔がいいくらい。

 

「・・・アイツ等の妨害か・・・? けどどうやってこの世界に干渉を・・・」

 

 だがブツブツと何か呟いているこの声は、先程もこの空間で俺に語り掛けてきたものと同じ。つまりコイツがあの白昼夢まがいな現象を引き起こした張本人という事だ。

 

「・・・よく分かんねーけどなんなんだよここ。さっさと元いた場所に戻せよ」

 

「・・・ご生憎そう言う訳にもいかないんだよ。こっちにもこっちの事情ってもんがあるんでね。・・・お前の記憶がないなら尚更だ」

 

 悪態付く俺を飄々といなした後、一変して真面目な顔つきになった男が厳かに口を動かす。

 

「カードとバックルは持ってるか?」

 

「・・・カード? クレジットカードなら作らない主義だぞ」

 

「違うそうじゃない。どっかの筋肉バカみたいなこと言ってんじゃないよ。・・・・・・ライダーカードの話だ」

 

 アホを見るような目で俺を見た後、男は改めて俺に求めているらしいモノの名称を口にする。

 ライダー・・・心当たりのない名前だが、その意味不明な名称と関係がありそうなものなら丁度今俺の手元にある。

 

「・・・もしかしてこれか?」

 

「そう! それだ! ディケイドのカードは⁉」

 

 取り出したカードの束を見せつけると、強めた語気でそう急かしてくる。

そしてディケイドという名称には、これでもかという程心当たりがあった。

 

「・・・コイツの事か?」

 

 カードの束から一枚を引き抜き、唯一のブランク状態であるディケイドのカードを見せる。

 だが期待に添うようなものではなかったようで、男はあからさまに落胆した様子で頭を掻いた。

 

「・・・最悪だ・・・」

 

 

 一体何なんだ。

 

 いきなり俺を呼び出したこの場所は何だ。このカードは一体何なんだ。お前は一体誰なんだ。

 

 お前は一体、俺の何を知っている・・・?

 

「・・・お前の記憶が無いのはディケイドの力を失った事が関係してるのか・・・? けど、そうだとしたら他のライダーの力は失われていないのと辻褄が合わない・・・」

 

 訳も分からないまま一方的に話を進める男に対し、沸々と黒いものが湧き上がってきたのを感じたその瞬間、

 

 俺がこの場所に飛ばされた時と同じように空間の白が更に主張を増し、徐々に目の前にいる男の輪郭が覚束なくなってゆく。

 

「・・・・・・もうタイムリミットか・・・。おい、時間もないから大事な部分だけぱっぱと伝えるぞ」

 

 遠くなっていく男の声と姿と共に、白い世界が崩れていくのと、元の世界に引き戻されるのを感じる。

 

「一刻も早くお前の記憶と、力を取り戻せ。それが崩壊する世界を救う希望になる」

 

 最後に残されたこの言葉。

 俺がその意味を理解するのは、このすぐ、直後だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「―――――――――ッ!!!!」」」

 

 爆音と共に至る所で響いた悲鳴が俺の意識をこちらの世界へと完全に引き戻す。

 

「・・・ッ⁉ なんだよ、これ・・・・・・」

 

 目の前で広がる光景は、意識が向こうに飛ぶ前とはまるで違う。

 

 濛々と煙を上げるライブステージの上空には絨毯のように空を覆う灰色のオーロラが広がり、俺と歩夢たちを引き離した時のように伸ばした幕を地に下ろしては世界を分断している。

 

『『『オオオォォォォォ・・・!!』』』

 

 世界を遮断するオーロラの向こうから叫び声を上げては続々と飛び出してくる異形の怪物達が逃げ惑う人々を蹂躙し、その命を刈り取ってゆく。

 

「・・・おい・・・おい・・・・・・夢だよな・・・・・・」

 

 表現するならば、破滅と言う概念そのものが意思を持って人間に牙を剥いたかのような理不尽さ。

 

「・・・っ! 歩夢・・・? 歩夢‼」

 

 そんな世界の終わりを想像させるその光景の中、つい先程までオーロラの向こう側にいたであろう歩夢達の姿が確認出来ない。

 

 他の奴等と一緒に逃げたか、あるいは次々に襲い来る怪物の餌食になったか・・・・・・、

 

「・・・クッソ・・・! アイツ肝心なこと何も伝えないで消えやがって・・・!」

 

 一瞬頭に浮かんだ最悪な結果を振り払い、地面を蹴ってははぐれた少女の姿を探す。

 世界の崩壊が始まろうとしている・・・だとかは言っていた気がするが、そう言った直後に崩壊する世界があるか。

 

「歩夢! 歩夢‼」

 

 少女の名を叫んで走り回る俺の視界や耳に崩れる世界や命を落とす人々、その最期の姿や音が流れ込んでくる。

 悲壮や絶望の渦巻くその様相は、とても昨日まで平穏が満たしていた世界だとは思えない。

 

「・・・ぐっ・・・・・・うぅ・・・・・・!」

 

 瞬間、それに呼応したかのように走る頭痛。

 雷撃のように鋭いそれがもたらすのは痛みだけでなく、遠い記憶のような映像。

 

 目の前の混沌と全く同じ、世界が終わる、破滅の色。

 

 

「な・・・んだ・・・・・・?」

 

 

 俺はこの光景を・・・・・・この世界が終わる瞬間を知っている・・・?

 

 

 

「っ・・・・・・⁉」

 

 脳裏に崩壊する世界の中で戦う幾つもの人影らしきものが映る。

 

 クウガ、アギト、龍騎、ファイズ、ブレイド、響鬼、カブト、電王、キバ、W、オーズ、フォーゼ、ウィザード、鎧武、ドライブ、ゴースト、エグゼイド、ビルド。

 

 俺の所持するカードに姿が映されていた18人の˝ライダー˝。

 彼等が一様に敵意の眼差しを向ける先には、その戦士達と同じようで、全く異質な気配を纏った怪物達の姿。

 

 

 

 

 異形の者と化した自分自身と対峙するように衝突し、倒れてゆくライダー達。

 その中に、一点。

 圧倒的な覇気をもって力を振るい、ライダー達を倒した怪物達を叩き伏せてゆく、他の者とは一線を画する˝ライダー˝の姿。

 

 

 

 

「・・・・・・ディケイド・・・?」

 

 

 19枚のカードの内、一枚だけ抜け落ちたように何も描かれていなかったカード。

 そして、謎の男が俺に残した力を取り戻せという言葉。

 

 もしこの記憶らしき光景の中で猛威を振るうあの孤高の戦士がディケイドならば、あれが、あの男の言った俺の取り戻すべき力・・・?

 

 

 

「うっ・・・・・・⁉」

 

 頭痛が消え去り、脳裏に流れる景色も止まったと思った刹那、今度は胸―――否、懐のカードに熱が宿る。

 もしやと思い取り出してみれば、やはり。

 

「・・・ディケイド・・・」

 

 何も描かれていなかったカードに映し出された、バーコードのようなラインの走った戦士の顔。

 

「・・・・・・よく分かんねーけど・・・」

 

 これをどうすればいいのか、これのどこが力なのか。そんな事を考える事もなく、導かれるようにして動いた俺の腕は、いつの間にか巻き付いていたベルトのバックル部分、ピンクに近い色で形成されたその中にへと、ディケイドのカードを差し込んでいた。

 

 

《KAMEN RIDE》

 

 

「俺が世界を救ってやる・・・・・・・・・多分」

 

 何故か身体に走る懐かしいような感覚。

 その感覚に身を任せるように俺はバックルの側部に展開されていたハングルを内へとスライドし、戦士―――仮面ライダーディケイドへと姿を変えた。

 

 

 

 

《DECADE!》

 

 

 




まず初めに、合同ライブの時点で虹ヶ咲が全員揃っていたり、士に語り掛けてきたのが渡じゃなかったり、平成二期ライダーの力も所持してたりと所々改変している部分もあるのでご了承を。
お祭り作品的な要素がほとんどを占めると思いますが、それなりに工夫して進めるつもりなのでお付き合いして頂けると幸いです。
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