Journey Through The Rainbow   作:がじゃまる

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早くコロナにファイナルベントぶちかましたい(切実)


11話 謎は鏡の向こう側

 

 

 キバの世界を後にし、次に訪れた世界で俺達が出会ったのはAqoursの小原鞠莉。

 歩夢や他の同好会連中からの話ではハーフだからこその陽気な人物・・・・・・と聞いていたが、目の前の彼女は見るからに影を背負っている。

 

「・・・それで、二人のこと何か知らない? なんでもいいの!」

 

 そんな小原は俺達を見つけ次第自室へと招き、陽気さなどは微塵も連想させない表情で問い詰めてくる。

 なんでも一ヶ月ほど前から黒澤ダイヤと松浦果南が行方不明になっているとか。

 

「いや・・・、知ってるといっても私達は名前くらいしか」

 

「・・・・・・それかまあ、スクールアイドルくらいか? つってもこっちじゃな・・・」

 

 ここは別の世界。どうせ高坂や桜内と同じパターンだろうと思っていた。

 だからこそ次の小原の返しは意外なものだった。

 

「スクールアイドル・・・・・・? Aqoursのこと・・・・・・?」

 

 Aqours。確かにそう口にする小原。

 もしかするとこちらでもスクールアイドル活動をしているかもしれないが、ここは元いた世界とは違う場所。何かズレがあるはずだ。

 

「・・・・・・でもよく知ってるね、もう二年前の事なのに・・・」

 

 すぐ明らかとなるそのズレ。

 生憎俺はスクールアイドルに関してはさっぱりなので隣の歩夢にさっと目配せ。丸投げする。

 

「えっと・・・・・・確か一年生の時にもダイヤさん果南さんと活動してて、今のAqoursの前進になったってかすみちゃんが・・・・・・」

 

 こっちでもしてたのかよ。

 でもまあ恐らく、この世界ではそこで止まっているのだろう。

 

「詳しいのね・・・でも今も、ってどういう事? 私達は二年前で・・・・・・」

 

 止まっている理由は定かではないが、言っている途中で声が小さく窄んでいく小原を見れば大体察しは付く。

 

「悪い、今言った事は忘れてくれ。・・・・・・とりあえずもう少し詳しく教えろ。心当たりがあるかもだしな」

 

 まずは情報収集。これは俺の勘だが、恐らくこの事件はこの世界のライダーに関係している。少しでも紐解いてゆけばライダーに辿り着けるかもしれない。

 

 一件の解決にまで繋がるかは分からないが、とにかく出来ることを進めていくだけだ。

 

「・・・詳しくといってもね、私もほとんど分かってないの。二人共、急にいなくなっちゃったから・・・」

 

 二人共自らいなくなったという線もあるが、それだとライダーに繋がる可能性が消えるのでここでは考えない事とする。

 状況だけ聞くならばライダー本人というよりはそれぞれの世界の怪物の仕業であると考えるのが妥当か。

 

「・・・でもダイヤがいなくなった時、近所の人が悲鳴を聞いたって。駆け付けたらもう鞄しか残ってなかったそうだけど・・・」

 

「・・・悲鳴」

 

 俺の脳裏に駆け巡るものがあった。

 そう言えば俺達の世界で崩壊が始まった時、黒澤も、松浦も、そして小原も怪物共に殺されていた。

 

 確か黒澤と松浦を殺ったのはそれぞれ魔化魍とスマッシュだったが、仮に奴等の仕業だとしても遺体がないのが矛盾する。

 

 となると・・・・・・、

 

「・・・なあ、その鞄があった場所の近くに鏡はなかったか?」

 

「・・・そういえばカーブミラーのすぐ近くだったけど、それがなにか・・・・・・?」

 

「・・・・・・なるほど」

 

 決まりだ。

 そもそも小原と会った時点で気付くべきだったのかもしれない。俺達の世界で小原を襲った怪物と、彼女が死んだ時に失われたカードの力・・・・・・それは、

 

「・・・・・・なんか知ってそうな顔だな、お前」

 

 推理を纏め終えた俺に掛かる、少なくとも歩夢や小原のものではない声。

 振り返れば一人の男がいた。敵意という程のものではないが、警戒心のようなものを俺に向けている。

 

「ちょっと、真司? 邪魔しないでよ」

 

「お前は簡単に人を信じ過ぎなんだよ鞠莉・・・・・・大体、これに関しちゃ情報持ってる奴の方が怪しいだろ」

 

 小原が˝真司˝と呼んだその男は厳格な表情を崩すことなく俺と歩夢の方を交互に向き、その一挙一動を探るように視線を凝らしている。

 今までのパターンからすると、ひょっとしてコイツが・・・・・・、

 

「そもそも地元の人達ですら分からない事だらけなのに、明らかにこの辺の人間じゃない奴から何が知ってるってんだよ」

 

 ただ正論を口にしているだけのように思えるが、それ以上に俺達を小原から遠ざけたいという意図を感じる。

 どれ。俺の予想通りなら・・・の話だが、少し鎌をかけてみる事にする。

 

「・・・・・・まあそりゃ、˝ミラーモンスター˝の存在なんざその辺の奴が知ってる訳ねぇよな」

 

「っ・・・!」

 

 奴の目の色が変わる。ビンゴか。

 

「・・・なんでお前が・・・・・・」

 

 ただ少し予想外だったのは、奴が確かな怒りを見せた事。

 ゆらりと前に踏み出したと思えば、伸ばした腕で俺に掴みかかり―――、

 

「・・・・・・ちょっと来い」

 

「真司・・・? 何する気!?」

 

「お前は引っ込んでろ」

 

 突然の事に唖然とする歩夢と小原を置き去りにし、俺を掴んだままどこかへと進んでいく。

 やがて二人の目の届かないガラス張りの壁の前へと移動すると、長方形のケースのような物体を手にして言った。

 

「答えろ。なんでお前がミラーモンスターの存在を知ってる」

 

 ドスの利いた声が刺さる。それはコイツがそうである証拠。

 

「・・・どうもこうも、この目で見たとしかな」

 

「なに・・・?」

 

「嘘じゃねぇよ。・・・・・・信じるかどうかはお前に任せるが、小原が食われる瞬間、ハッキリとこの目でな」

 

「ふざけんじゃねぇ!!」

 

 踏み鳴らされた床が音を上げる。

 完全に血が昇ったか、その敵意は完全なものと化していた。

 

「・・・決定だ。お前が黒澤と松浦を・・・・・・」

 

 鏡に向かって掲げられた、龍の顔のような紋様が刻まれたケース。

 すると鏡にのみ銀色のベルトが映し出され、それは鏡面から離れると実体化して主の腰へと巻き付く。

 

「変身!」

 

 バックル部分に差し込まれたケースが光を放ち、奴の姿を変える。

 赤と銀のボディに、ケースの紋様と同様所々に目立つ龍のような形状の装甲。

 

 この世界のライダー・・・・・・仮面ライダー龍騎。

 

「・・・龍騎の世界か・・・・・・!」

 

「やっぱり知ってやがったか・・・・・・早くお前も変身しろ!」

 

 どうもコイツと戦わなければいけない流れらしい。どうしてこう毎度毎度。

 

「まあそう焦んなよ、別に逃げやしねぇさ」

 

 ともかく戦わない事には先に進めないのならば仕方ない。この世界のライダーを知る、という意味でも決して無駄ではないはずだ。

 

「・・・なんだ・・・・・・そのデッキは・・・」

 

 ディケイドライバーを装着した俺に龍騎が訝し気な視線を向ける。

 それを軽く受け流すと、俺はライダーカードを差し込んだバックルを回転させた。

 

《KAMEN RIDE》

 

 

《DECADE!》

 

 

 幾多のカードが放出され、やがて俺に集約。

 マゼンタ色の戦士―――仮面ライダーディケイドへと姿を変え、準備はできたと言わんばかりに龍騎を見やる。

 

「何だお前・・・・・・ライダー・・・なのか・・・・・・?」

 

「ごちゃごちゃした話はいい。やるならさっさと掛かってこい!」

 

 啖呵を切り、鏡の方へと飛ぶ。

 この世界において戦いの舞台はこっちの世界ではない。鏡の向こう側―――ミラーワールド。

 

「っしゃぁッ!!」

 

 現実世界と変わらぬ風景。だた一つ違うのは、それらが反転している事。

 流石鏡の世界だと感心する―――そんな暇もなく殴りかかってきた龍騎の拳を片手で流す。

 

「いきなりだなお前。もうちょっと余韻ってモンをだな」

 

「何抜かしてやがる!」

 

《SWORD VENT》

 

 右腕の龍の頭部を模した召喚機―――ドラグバイザーに挿入されたアドベントカードが一本の剣を呼び寄せ、龍騎の手に握られる。

 柳葉刀に似た刀身は如何にも切れ味抜群と言った見た目。当たり前だが直撃は避けるのが無難だろう。

 

 早速だがここは―――、

 

《FOAM RIDE》

 

 

《KIBA GARULU!》

 

 

 全身を覆うように鎖が巻き付き、狼の遠吠えと共に弾ける。

 青いキバ―――ガルルフォーム。

 

「ハァッ!」

 

 目には目を歯には歯を。剣には剣を。

 ガルルセイバーを振り下ろし、龍騎の剣―――ドラグセイバーと衝突。

 

 キバの世界において渡のガルルセイバーの膂力は半端なものではなかった。例え鍔迫り合いの形だろうと押し負ける訳が―――、

 

「らあぁぁッ!」

 

「んなッ・・・!?」

 

 そんな予想に反し押し負けたのは俺の方。

 一瞬龍騎のパワーがとんでもないのかと頭を過るが、そう言えばとフォームチェンジしてからどうも力が入らない事に気が付く。

 

 渡と俺でガルルフォーム使用時の違い・・・それは―――、

 

「まさかコレ、夜じゃねぇと力が出ないとかじゃないだろうな!?」

 

 渡が俺を圧倒したあの時は満月の夜だったが、今はその正反対の真っ昼間。

 よくよく考えてみればガルルフォームは狼の力。昼と夜で発揮できる力に差があるのは当然といえば当然だ。

 

「チッ・・・!」

 

《FOAM RIDE》

 

 

《KIBA BASSHAA!》

 

 

 キバの鎧を緑色に染め上げるバッシャーフォーム。

 野性味溢れるバックステップで一気に距離を取り、引き金を絞ったバッシャーマグナムで龍騎を牽制する。

 

「また姿が・・・?」

 

《STRIKE VENT》

 

 厚い弾幕に思うように身動きの取れない龍騎が更なるアドベントカードを挿入。

 天から舞い降りた龍頭の手甲―――ドラグクロ―が右腕に宿り、放出された火焔が銃弾ごと俺を燃やす。

 

 だが―――、

 

《FOAM RIDE》

 

 

《KIBA DOGGA!》

 

 

「だあぁぁらッ!!」

 

「がはぁぁぁッ・・・・・・!?」

 

 紅の世界から飛び出した大槌が龍騎を派手に殴り飛ばす。

 龍の力なだけあって相当な熱量だったが、紫のキバ―――ドッガフォームの鎧ならば防ぎきれる。

 

「フンッ! ハアァッ!」

 

「がっ・・・あぁ・・・!」

 

 多彩な攻撃を用いてくる龍騎でもこちらの手数には敵わないか、連続で振るわれるドッガハンマーが次々と命中し火花を噴き上げる。

 

「・・・なんなんだお前・・・・・・本当にライダーなのかよ?」

 

「まーたそれか・・・・・・通りすがりの仮面ライダーだ!!」

 

《KAMEN RIDE》

 

 

《KIBA!》

 

 

 ドラグセイバーを弾き飛ばしたところでようやく基本形態―――キバフォームへチェンジ。

 武器さえなければ、接近戦においてもっとも有利なこの形態の出番だ。

 

「お前みたいなライダー聞いた事もねぇぞ!」

 

《ADVENT》

 

 ただ一つ誤算だったのは、奴にまだ手数が・・・・・・それも俺の予想を上回る切り札が眠っていた事。

 咆哮が轟いた直後、どこからともなく現れた巨大な赤龍が龍騎の懐へ潜り込んだ俺を真横から掻っ攫った。

 

「・・・そういや、お前等はミラーモンスターと契約して戦ってるんだっけか・・・」

 

 現れた龍はドラグレッダー。仮面ライダー龍騎の契約モンスターだ。

 奴と契約してるからこそなのか、龍騎の姿は所々ドラグレッダーと酷似している・・・・・・と、そんな感想を述べてる場合ではない。

 

 

《FINAL VENT》

 

 

 既に奴等は勝負を決めに来ている。ドラグレッダーを召喚したのもそういう事だろう。

 だが幸いこちらもキバフォーム。向かい打つ準備は出来ている。

 

《FINAL ATTACK RIDE》

 

 

《KI・KI・KI・KIBA!》

 

 

 約熱の龍炎を纏ったドラゴンライダーキックと、夜の常闇を宿したダークネスムーンブレイクが衝突。凄まじい衝撃波が鏡の世界を疾走する。

 本来ならばどちらもただでは済まなかっただろうが、直前で力点をずらした俺の起点により両者とも変身が解除される事もなく地面へと落下した。

 

「・・・お前、まさかモンスターと契約してないのか・・・・・・?」

 

 起き上がりつつそう口にする龍騎。当たり前だがコイツの世界ではそれが普通。いつだって異端なのは俺だけだ。

 

「・・・まあ、な。俺は―――」

 

「・・・見慣れねぇ顔がいるな・・・・・・」

 

 そろそろ明かす頃だろうと口を動かした俺の声を遮る声。ついさっきも同じ事があったのでデジャヴ感が凄い。

 

「・・・王蛇・・・・・・!」

 

 龍騎が˝王蛇˝と呼んだ、蛇を装甲にしてそのまま纏ったかのような紫色の戦士。

 奴もまたこの世界の仮面ライダーであることは明白だった。

 

「お前、まだ犯人捜しなんてしてんのか」

 

「・・・犯人捜し・・・?」

 

「・・・知らねぇのか? そいつはそいつの女のお友達をやった犯人を捜し続けてるんだよ。あんなんただの事故だってどいつも言ってるのによぉ」

 

 今更何をしたって帰ってくる訳でもないのに無駄な事を。そう続けた王蛇に龍騎が微かな怒気を帯びる。

 

「・・・そんな事より、遊ぼうぜェ・・・!」

 

《SWORD VENT》

 

 警鐘を鳴らし続けていた警戒の音が一際大きく響く。

 金色の硬鞭を握った王蛇が高笑いと共に地面を蹴り、俺と龍騎、どちらにも見境なく斬り掛かってくる。

 

「っ・・・・・・?」

 

 咄嗟に飛びのき攻撃は回避するも、身体から砂のような粒子が舞い上がっている事に気が付く。

 

「・・・もう時間か・・・・・・おいお前、さっさと退くぞ!」

 

 同じ現象の起こっている龍騎が慌てた様子で俺に声を飛ばし、ストライクベントで王蛇を牽制した後に全速力で駆けだす。

 その先は―――先程俺達がミラーワールドに侵入する際に介した鏡だった。

 

「チッ・・・・・・逃げるのかよ」

 

「急げッ!」

 

 鬼気迫る声に自然と身体が従い、龍騎と共に現実世界へと帰還。同時に変身が解かれる。

 鏡の向こう側では見るからに不機嫌そうな王蛇が立ち去っていくのが見えた。

 

「・・・・・・なんだったんだよアイツは・・・」

 

「仮面ライダー王蛇・・・・・・俺達ライダーの中でも特に危ない奴だよ」

 

 口ぶりから察するに龍騎と王蛇以外にも複数人ライダーが存在するらしい。

 あれ以上の危険人物がいないというのは少し安心だった。

 

「・・・お前は俺達とは違うみたいだな。疑って悪かった」

 

 敵意が抜け、幾分か表情の柔らかくなった彼が頭を下げる。以外に素直らしい。

 

「そういや名前も教えてなかったな。仮面ライダー龍騎の本場真司、よろしく」

 

「・・・仮面ライダーディケイドだ。士でいい」

 

「じゃあ俺も真司でいい。・・・・・・それより士、お前その力はどこで・・・・・・」

 

「さあな、俺にも分からん。・・・てかさっきの話は何だ。犯人がどうのこうのっての。ミラーモンスターの仕業じゃないのか?」

 

 王蛇は言っていた。真司が黒澤と松浦を襲った犯人を捜していると。

 だが俺の推測だと彼女達を襲ったのは契約者のいない野良のミラーモンスター。俺達の世界で小原が食われた時と同様、捕食行為の餌食になったと思っていたが。

 

「・・・そのミラーモンスターを使って二人を襲った奴がいるって事だ。カーブミラーはモンスターが狩りを出来るような大きさじゃない・・・・・・人間が介入してるならともかくな」

 

 コイツかなり調べているらしい。

 だとするなら、もう恐らくあの結論にも―――、

 

「・・・あの蛇野郎の言ってた事、お前も気付いてんだろ」

 

「あぁ・・・。生身の人間じゃミラーモンスターには太刀打ちできないし、もし逃れられたとしてもミラーワールドから出れずに消滅するのを待つだけ・・・・・・」

 

 

 二人の無事を信じ続けている小原鞠莉には言えない事実がここにはあった。

 

 

「・・・・・・二人はもう、死んでる」

 

 

 




と、いう訳で今回から龍騎編スタートです。まあ分かってた人も多いでしょうが……
ここまで来たら世界を回る流れは大体お察しでしょう

キバクウガは若干本編も踏襲しましたが今回はリマジの世界の色が強くなりそうですかね…………コラそこ王蛇がモロ浅倉なことに突っ込まない

そしてこっちの世界でもおっ死ぬお二人さんェ……


それでは次回でまた
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