Journey Through The Rainbow 作:がじゃまる
今回は伏線張りつつほぼバトルですね
独自設定をいいことに作者の趣味でファイナルベント連発しますが許してください()
俺達の世界が崩壊してゆく景色の中、人ならざるものに変貌させられた少女が二人いた。
中須に優木、目の前のコイツはその後者―――優木せつ菜がタイムジャッカーによって強制的に変身させられたアナザーライダーに他ならない。
「・・・・・・モンスターなのか・・・?」
形状からしてコイツはアナザー龍騎・・・・・・のはずなのだが、アナザーキバの時と違い他の連中はコイツを龍騎として認識していない。
奴との相違点を挙げればコイツは俺達の世界で生み出されたアナザーライダー。つまり―――、
「・・・・・・こことは別の世界の龍騎の力・・・・・・?」
「・・・ほう、勘がいいな」
波立つかのように空間が揺れる。
不意に現れた男がタイムジャッカーであることはすぐに理解出来たが、その力は他の二人とは明らかに異質。
何と言うか、俺に近い、何か。
「それとも・・・・・・記憶が戻ったか? 門矢士」
「かど・・・や・・・・・・?」
厳格で、かつ邪悪さを秘めた男が口にしたその名。
知らないはずなのに、覚えていないはずなのに、その名前は酷く記憶を刺激した。
いや、けど今はそれ以上に・・・・・・、
「・・・なんで生身のままミラーワールドに・・・・・・」
俺達のようにライダーに変身しているでもなく、男は全くの生身。
普通なら一分と経たずに身体が消滅するはずなのに、男は消えるどころか苦しんでいる気配もない。
「貴様等には関係のないことだ。それよりも――――」
「・・・・・・イライラするんだよ」
男が続けるより、速く。
地を這う蛇のように疾走する王蛇が一直線に男へと迫った。
「俺の祭りに水を差しやがってよォ・・・・・・あぁ!?」
《FINAL VENT》
盛大に土埃を上げて出現した王蛇の契約モンスター―――ベノスネーカーの放出した毒液の奔流に乗り、両足を咢のように上下させたベノクラッシュが男を粉砕せんと毒牙を光らせる。
しかし奴もタイムジャッカーならば、当然あの能力も―――、
「無駄だ」
瞬間、世界が凍り付く。
やはりかと悟った時には既に俺も奴等の持つ時間停止能力の餌食となり、この場にいる全ての者の動きが停止した。
ただ一人、その能力を行使した男を除いて。
「改めて言おう・・・・・・貴様等の意見など求めん。ただ戦っていればそれでいい」
自らが停止させた世界の中で男は王蛇に歩み寄り、静止したままのベノクラッシュの矛先を別方向へと向ける。
直後に時は再始動し―――ある者を散らせた。
「あああぁあぁぁぁぁぁぁぁぁッッ!!!???」
標的を変えられた毒蛇の牙が、不運にも犠牲者となったシザースを爆散させる。
衝撃で装甲と共にバックルに填められたデッキも砕け散り、ミラーワールドにおける敗北を告げた。
「ま、まだ誰も愛でてない・・・・・・ああぁぁぁッ・・・・・・!」
当然仮面ライダーとしての姿も維持できなくなり、人としての姿に戻った変身者の身体が数秒と持たずに消滅する。
「・・・・・・王たるこの俺に楯突いたのだ、それ相応の罰を与えなければな」
男の暴虐は続く。
独立した意思を持っていたアナザーキバと違いこちらは傀儡状態なのか、アナザー龍騎は男に従うように王蛇へと斬り掛かった。
「チッ・・・」
「ッ・・・!? お前なに―――あぁぁぁッ!?」
だがアナザー龍騎の斬撃が王蛇を捉えることはなく、奴が盾にしたインペラーを切り裂く。
「ぐあぁッ・・・! おま、えぇ・・・・・・!」
「・・・近くにいたお前が悪い」
他のライダーと比べ薄いインペラーの装甲が剥がれていく。
破壊音と悲鳴が交互に上がり、それらが止んだ頃には既に新たな犠牲者の身体は粒子となって掻き消えていた。
「優木ッ・・・・・・!」
矢も楯もたまらず動いた。
今ここで彼女を救わなければ更に悪い事態を招く。確証はないが確信があった。
「う・・・おぉぉぉ・・・・・・!」
男の命令か、はたまたその理性に唯一残された闘争本能がそうさせるのか、武器を構えた俺に斬り掛かるアナザー龍騎。
「オイ優木ッ! 聞こえてんだろッ!」
聴覚には聞こえていても意識までには届いてないのか、俺の呼びかけになど耳も貸さずに嵐の如き剣線で切り刻んでくる。
アナザーキバのように倒せば元の姿に戻るのだろうが、ここはミラーワールド。
アナザーライダーだってライダーであることに変わりはないのだ。ここで倒すような事があればきっと、彼女の身体は消滅するだろう。
『ウ・・・アアァァァァッッ!!』
「ぐうぅ・・・・・・!」
応戦はするものの攻めに転じられない俺は攻撃本能しか残っていない奴にとってはサンドバックのようなもの。波のように押しては返す攻撃に跳ね飛ばされる。
「どうした? いくらお前と言えどお友達は攻撃できないか?」
「テメェ・・・・・・」
悪態付くが手がないのも事実。
かといってこのまま甚振られ続けるのも―――、
「「「ッ・・・!?」」」」
重力が増したかのような何かが圧し掛かった。
何者かの足音が一歩また一歩と近づいてくる度にそれは重圧を増して俺達を押し潰さんとする。
「・・・・・・戦え」
短く、アナザー龍騎含むその場のライダー全てにそう告げる金色の影。
それも確かにライダーのはずなのに、纏う全てが他のライダーを上回っている。さながら神と邂逅したような錯覚すら覚える。
そして感覚で分かった。コイツが、この世界における最強―――仮面ライダーオーディン。
「「ッッ……!?」」
腕を一振り。その動きだけで俺と龍騎、そしてアビスの身体が浮かび上がり、戦うことを促すように王蛇に叩きつけられる。
この状況下においても王蛇の闘争心は盛んなまま、何よりあの男によって楽しみを妨害された故か、オーディンの行動を吉と取るようにアビスへの攻撃を開始した。
『ア゛ア゛ア゛アァァァッ……?』
その一方でオーディンの刃はアナザー龍騎へと向く。
この世界における戦いに紛れ込んだ異物を排除せんとしているのか、攻撃に一切の容赦はなく、確実に命を奪おうとするものだった。
「優木……!」
地面を蹴り飛ばし、両者の間に入り込んではオーディンの一振りを受け止める。
「邪魔をするな…!」
「なん―――があぁっ……!?」
スペックに差はあるがカードの力で埋められる範囲だ。
だがアタックライドのカードで奴を押し返そうとした刹那、背後から襲い掛かった衝撃により弾き飛ばされてしまう。
『ガアアァァァッ!!』
やはり理性は残されていないのか、盾となっていた俺を薙ぎ払ったアナザー龍騎は怒気のままにオーディンへと切り掛かる。
しかし所詮は思考能力のない獣。この世界での頂点である奴には到底敵わない。
《FINAL VENT》
オーディンの召喚機であるゴルトバイザーが終焉を宣告する。
契約モンスターである黄金の鳳凰―――ゴルトフェニックスが舞い降り、そのままオーディンの背後へ接着。眩い光を放っては猛烈な圧と共に飛翔。
そして瞬刻に迸った光の奔流が、アナザー龍騎を飲み込んだ。
「優木ッッ!!」
肉体を綻ばせるアナザー龍騎が少女の姿へと戻り、黒いウォッチが地面に転がる。
咄嗟に飛び出した俺が抱えた彼女はやはり、あの騒動の中でアナザーライダーへと変えられた優木せつ菜だった。
「つか…さ……さん……?」
恐れていた通り、シザースやインペラー同様ミラーワールド内で敗北した彼女の身体が光の粒子となって消えてゆく。
元の世界ではやかましいとすら思っていた笑顔や快活さは既に見る影もなく、ボロボロの身なりも相まってただ死を待つだけの身に思えた。
「…もう限界か。惰弱な」
音もなく歩み寄ってきた男によってアナザーウォッチが拾い上げられる。
「だがその女にはまだ利用価値がある……返してもらうぞ」
男が手を翳して見せると、俺達の世界を襲ったそれと全く同じオーロラカーテンが出現。そのまま俺を撥ね退けて優木を飲み込んでは霧散していく。
「何が目的だお前……アイツを襲う理由はなんだ!?」
「その女事体に興味はない。俺が欲しいのはそいつの中にある˝欠片˝だ」
そう言うと男も自ら生み出したオーロラの中に消えてゆく―――その寸前、
「ぐああぁぁぁッ……!?」
王蛇によって吹き飛ばされたアビスが男の足元に転がる。
その装甲には紫電が走り、ひび割れは今にも砕け散りそうな予感を孕んでいた。
「待って……嫌だ…! 僕はまだ……!」
「…丁度いいな」
《RYUKI……!》
消滅は必至。そう思われたがそこに男の黒い意志が入り込む。
今しがた優木から回収したアナザーウォッチを起動させると、そのままアビスの身体へ向け―――、
「うっ……あああぁぁぁぁぁッッ……!」
アビスの装甲をすり抜けるようにアナザーウォッチが埋め込まれ、発生した瘴気がその姿をアナザー龍騎へと変貌させる。
『ア、 アァ……、これは……?』
「力だ。全てがお前の思うようになるな……」
囁くように言い残し、今度こそ男が消える。
残ったのは俺に龍騎に王蛇、オーディン。そしてたった今誕生した新たなアナザー龍騎で―――、
『力…………これなら!』
噛み締めるように自身の身体を眺めた後、咆哮を上げたアナザー龍騎がオーディンへと迫ってゆく。
『お前のカードをよこせ……! アレがあれば!』
龍騎同様に左腕に備わった手甲から火炎が放たれ奴を包む。
炎自体は翼の一振りで簡単に振り払われるが、袈裟懸けに振り下ろされた長剣までには反応が追い付かずその身体にヒット。上体を仰け反らせ数歩後退する。
「馬鹿な……?」
優木の時と違い理性がある故か、それともまた別のわけか、今度のアナザー龍騎は明らかに強くなっている。
加えアナザーライダーは力を奪ったライダーを弱体化させる性質を持つ。スペック差こそあれど全員が同じシステムで変身しているこの世界のライダーには、例えオーディンであっても同じ作用が働くのだろう。
『ウアアァァァッ!!』
それを知ってか知らずか、反撃も許さないようなアナザー龍騎の猛攻が続く。
何故いきなりオーディンに標的を定めたのかは不明だが、その姿には鬼気迫るものがある。
「っ…! そうか!」
最初にそれを悟ったのは龍騎。同時に焦るように飛び出してはオーディンへの攻撃へと加勢する。
「渡すかよ……お前にだけは!」
真司にもオーディンを攻撃する理由が出来た……そう取れる行動。
彼が向かったのならばきっと俺も加勢すべきなのだろうが、まだ一人気の抜けない奴がいる。
「今度はお前か……兄ちゃん」
戦闘狂の王蛇。コイツを突破しない限りは真司の加勢に向かえない。
早々に迫ってきたベノサーベルの一振りをバックステップで回避し、ライドブッカーの銃口を向ける。
《ATTACK RIDE》
《BLAST!》
威力の増した銃弾を連続でぶっ放す。
数発は弾かれてしまうだろうが一発でも当たればそれでいい。一瞬でも怯ませられればこちらのペースに持っていける。
『シャアァァァッ!!』
「なぐっ……!?」
が、真下から飛び上がってきたベノスネーカーにより弾丸は悉く防がれ、逆にその巨体によって跳ね上げられる。
しまった。先程のファイナルベントで召喚されていたことを失念していた。
「ぐ……!」
《FOAM RIDE》
《KIBA GARULU!》
空中で姿を変え、噛みつかんと咢を広げるベノスネーカーの頭部に飛び乗っては狼が如し動きでその背中を駆ける。
《ATTACK RIDE》
《HOWLING SLASH!》
自重を落下の勢いに相乗させ、その上で回転を加えた一撃が王蛇の袈裟を切り裂く。
「クハハ……! いいぜぇ……もっと楽しませろ!」
並みの相手ならば一撃で葬れる技だが、やはりコイツともなると仕留めきれないか。
正直このまま戦っていても埒が明かない。ともなれば、
《FINAL VENT》
こうなれば一か八かだ。王蛇の挙動に注意を払いつつ、龍騎達の乱戦にも視線を向ける。
「ハアアアァァァッッ!!!」
牙を剥くベノクラッシュをギリギリまで引き込み、寸でのタイミングでドライバーにカードを差し込んだ。
《FOAM RIDE》
《KIBA DOGGA!》
重量のあるドッガハンマーを地面に突き立て、それを軸にポールダンスの要領で身体を回転。回し蹴りで王蛇のから強襲する。
「うおぉッ……!?」
軌道が曲がり、推進方向の変わったベノクラッシュが砕いたのは―――、
「―――ッ!?」
毒液の双牙が幾度となく砕いたのはオーディン。
死角から襲い掛かったその一撃をモロに受け、手放したゴルトバイザーと共に弾け飛ぶ。
「真司ッ!」
「ッ……!」
俺の声を受け真司も飛ぶ。
召喚機であるゴルトバイザーを失った以上、奴は殆どの防御手段を失っている。決めるなら今だ。
《FINAL VENT》
ドラグレッダーが再度龍騎の周囲を舞い、吐き出した炎に乗ってドラゴンライダーキックが放たれる。
「ぬっ……ぐ、ああああぁぁぁぁ……!!」
着弾と共に爆発を起こしたそれは装甲もろともオーディンをぶち砕き、龍騎の勝利を決定付けた。
「士ッ!」
今度は真司が俺を呼んだ。
それに応えた俺も飛び上がると龍騎は滞空したまま今の爆発で舞い散ったオーディンのカードを一枚手に取り、ドラグバイザーに差し込んだ。
《TIME VENT》
原作キャラリョナリストのラブライバーとは私のことだ
まあまだせつ菜ちゃん死んでないのでセーフ(じゃない)
ボス格と思われるタイムジャッカーが口にした門矢士の名前ですが、この士君は厳密には門矢士ではないんです……まあ詳細は後々
そしてお気づきかもしれませんがそのボスジャッカーさんは皆さんがよく知るあの人だったりします
ファイナルベント何回も使ってる件については突っ込まないでくれると嬉しいです!!!(説明放棄)
それでは次回で