Journey Through The Rainbow   作:がじゃまる

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ラブライブフェスお疲れ様です
自分はセンター試験FINALに参戦してたので行けませんでしたが(血涙)


5話 恐怖

 

 

 その日の秋葉原は朝から騒がしかった。

 鳴り響くサイレンや大勢の警察官が町を占拠し、普段の活気などない、緊張感に満たされた息苦しい空気。

 

 事の発端は昨日の夜、秋葉の外れに位置する神社で働いていた若い巫女が、首の骨をへし折られた状態で息絶えているのが確認されたためだ。

 

『―――近隣の皆様、未確認を目撃した場合は決して近づかず、我々への通報をお願いします。繰り返します―――』

 

 今回で三度目となる未確認による殺人事件によって秋葉原一体に警戒態勢が敷かれ、召集された警察官がアリの子一匹ならぬグロンギ一体通さぬ包囲網を展開している。

 

 そんな事態の中この世界において警察官という役割を与えられた俺はというと―――、

 

「流血はない・・・・・・頸椎をへし折られての即死・・・・・・てとこか?」

 

「ちょ・・・君・・・・・・」

 

 件の神社へと赴き、周りの警官やお偉い刑事さんに好奇の視線で見られながら死体観察中である。

 

 別に空気を読まず好き勝手やっている訳ではない。きちんと考えがある上での行動だ。

 これは俺の推測だが、恐らく一連の殺人事件は昨日交戦したグロンギの言った˝ゲゲル˝とやらに関係している。

 

 で、現在それらの事件の共通点を探しているところなのだが―――、

 

「捜査の邪魔だ! 自分の持ち位置に戻れ!」

 

 先程からこの小太りのおっさんが喧しい。班長だかなんだか知らないが邪魔はやめて欲しいもんだ。

 

「君どこの部署の人間だ! 現場検証は我々の仕事、巡査は見周りと警備を言い渡されているだろ!」

 

 そう指摘され、胸元のポケットに潜り込んでいた警察手帳を開いて見やる。

 俺の顔写真と氏名の横に記されていたのは、確かに巡査の二文字。

 

「俺巡査なのか・・・」

 

「今知ったみたいな顔すんな!」

 

 そう言われても事実今知ったのだから仕方ない。

 あまり好き勝手動いて周りに目を付けられても困る。最低限入手したかった情報は手に入ったのだし、ここは大人しく引き下がるとしよう。

 

「・・・・・・で、俺の持ち場どこっすか? 班長」

 

「警部だ!」

 

 

 

 

 

 

 

『クウガ・・・ギベ』

 

『ゴゴギバスジャリンズババヅビビガラパジャラザ』

 

「・・・ぐっ・・・!」

 

 何やら朝から騒がしいと思えば、いきなり未確認の襲来。

 体内に潜んだアークルの力を探知でもできるのか、コイツ等だけは変身前の状態でも雄介をクウガだと把握している。

 

 それが故に、厄介だ。

 

「だ・・・らぁ!」

 

『グバッ・・・!』

 

 クウガにさえならなければ危害を加えては来ない周りの人間と違い、コイツ等はいつどこで襲ってくるかも分からない。

 しかも今のように街中で出現された時には周囲の人目のせいで対抗策である変身が封じられてしまい、生身での対処を強いられてしまう。

 

「うえぇぇ・・・! ままぁ・・・!」

 

 騒ぎの中ではぐれたのか、未確認の出現に逃げ惑う人々の中に幼女が一人母親へ助けを求めて泣いている。

 自分には関係ない。そう言い聞かすも、何か後味の悪いものが胸の中で蟠ってしまう。

 

『リリザパシザ』

 

「ッ・・・!」

 

 雄介に襲い掛かっていた内の一体が幼女に向けて手を振り翳すのが見えた。

 

「クッソ・・・!」

 

 別に自分を怪物扱いし、排除しようとする汚い大人共がどうなろうがどうでもいい。むしろ同じ理不尽を味わって自分に詫びろとすら思う。

 けれどこんな小さな子までもが理不尽を前に屈するのは、納得が出来なかった。

 

「変身!」

 

 雄介の意志に呼応したアークルが光り輝き、その姿をクウガへと変える。

 

「だあぁぁらぁッ!」

 

『ゴガァッ・・・⁉』

 

 いつもとは違う赤い光が腕輪に灯る。

 だが雄介はそんな事意にも介さず、ただ全力で幼女に襲い掛からんとしたグロンギを殴り飛ばした。

 

「大じょ―――」

 

「うちの子に近づかないで!」

 

迫ってくる別の未確認から守るべく伸ばしたその手を焦燥が滲む声が制止した。

見ればこの幼女の母親なのか、血相を変えた女性がクウガを睨み付けながらこちらに駆け寄ってくる。

 

「こんな小さな子にまでなにする気よこの化け物!」

 

「ママー、この人―――」

 

「ごめんね・・・怖かったよね・・・!」

 

クウガから奪い返すように娘を抱き上げた母親は、何か言いたげな彼女の声を聞こうともせずに走り去っていってしまう。

そして今のヒステリックな叫びが逃げ惑っていた周りの人間にも届いたのか、未確認への恐怖を発散するかのようにクウガへと攻撃の視線が向けられる。

 

「・・・・・・」

 

続けて上がった罵詈雑言の嵐が、一瞬芽生えかけていた何かを摘み取った。

 

結局こうなるのか。

危害を加えてないとか、誰かを助けようとしたとかは関係ない。

 

少しでも自分達と違っていて、少しでも理解できない存在なら、こうやって排除しようとする。

 

これが人間と、それらが生み出した社会の弱さであり……醜さだ。

 

『ダダバグビショブグバブバダダバ』

 

『バサゴボゾリゾゴシ…ボソギデジャス』

 

強く握り締められた拳が黒いオーラを纏い始めたことに気づかないまま、動かないのを好機と見た未確認がクウガを始末しようとその距離を詰める。

だがその考えが甘いとでも言うようにカウンターが如く拳は振り上げられ―――、

 

『アガァ・・・ッ!?』

 

『グウゥ・・・・・・ッ!?』

 

―――クウガの一撃が到達する前に迸った剣戟によって未確認の身体が爆散する。

 

「・・・・・・巡査の仕事は見回りと発見した場合の牽制とか言うは話だ。別にサボってることにはならんよな」

 

晴れた爆炎の向こうから姿を見せるマゼンタの戦士。

確かディケイドとかいった、別の世界からきたとか抜かすおかしな奴だったか。

 

「お前なんで・・・」

 

「なぁに、お前があんまりにも惨めで見ちゃおれんくてな」

 

「んだと・・・!」

 

ただでさえ気が立っていて事もあってか、減らず口を叩くディケイドに殴りかからん勢いで胸元に手を伸ばす。

だが当の本人にやり合うつもりはないらしく、その手を軽く掴んで見せると顔を寄せてきては言った。

 

「・・・一旦退くぞ。ここじゃ人が多い」

 

未確認十号とされているディケイドの出現で周囲の人々には更なる敵意や混乱が沸き起こっている。

加えてパトカーのサイレンが徐々に大きくなってくる以上、確かに長居するのは得策ではない。

 

「分かったんなら来い!」

 

「あっ・・・・・・おい・・・!」

 

味方、だとは思ってないが、少なくとも敵ではない。なぜかそんな気がする。

そんな奴に無理矢理首根っこを掴まれ、引き摺られるまま群衆とは逆方向へと走り去った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・ようやく振り切れたか…」

 

人目につかない、コンクリートの灰色が広がる川岸。

先日一条とエンカウントしたアーチの足元でようやく追っ手から解放された俺達は軽く息をついた。

 

「・・・・・・どうして助けた? 警察のお前が…」

 

理解ができない。一条の目はそう言っている。

まあ確かにそう思うのは当然だろう。未確認十号でありながら警察に身を置き、招待がバレぬよう静かに振舞うどころか頻繁に変身して他の未確認と交戦している。俺が一条の立場でも同じ事を思うだろう。

 

だが、そうしないのは、俺には別に使命があるから。

 

「俺はこの世界を救わないといけない。そのためにはお前の力が必要だからな。死んでもらっちゃ困るんだよ」

 

「・・・またそれかよ・・・。頭大丈夫かお前」

 

信じにくいのは認めるが頭を心配される筋合いはない。

 

「それに俺は都合のいいヒーローになるつもりなんかねーよ。・・・あんな奴等のために戦うわけないだろ」

 

「・・・俺もそんなご大層なもんになったつもりはない。俺はただ、自分の大切なもの守ってるだけだ。・・・それくらいお前にもあるだろ」

 

一瞬戸惑ったように眉を顰めた一条の脳裏には誰の顔が浮かんでいるのか。

それが彼女であってほしいと願いつつ、俺は次の言葉を継いだ。

 

「今グロンギどもが企んでるゲゲルとやらを止めないと多分だがこの世界は終わっちまう。そうでなくともゲゲルの中心であるここにいる人間が無事でいる保障はないだろうな・・・・・・・・・お前、高坂がそうなっちまってもいいのか?」

 

 俺の見立てでは、今一条が信用を置いているのは高坂ただ一人だ。

 周りの人間、社会そのものがグロンギやクウガを敵視し、排斥する風潮の中一条に寄り添おうとする高坂をコイツが悪く思うはずがない。

 

「・・・けど、俺がいたらアイツに・・・」

 

 だがどうして一条はそれを受け入れようとしないのか。それは至って単純だ。

 

「違うな。お前はただ怖がってるだけだ」

 

「あ・・・?」

 

俺の指摘に、一条の声音が幾分か低くなる。

図星か。そう捉えた俺は更に言葉を連ねた。

 

「周囲に恐怖されるような怪物に変身し続けることで高坂に拒絶されるが……孤独になるのが怖くてたまらないんだろ」

 

「・・・・・・」

 

俯き、黙り込む一条。

これは一条にも無自覚だったそれを浮き彫りにする反面、過敏になってるこいつを余計に刺激しかねない。一か八かの賭けだが…、

 

「・・・・・・お前に何が分かるんだよ…」

 

どうにもこの世界での俺は引きが悪いらしい。

頑なに何かを譲ろうとしない人間がその根底にある弱みを突かれた時にするものといえば・・・・・・逆上だろう。

 

「虐げられる怖さが・・・裏切られる怖さが・・・・・・なんの不安もなしに生きてそうなお前なんかに分かってたまるか!!」

 

彼にとって忌むべきアークルの力が一条をクウガへと変える。

心に秘めた弱さ故に他者を受け入れず、己の殻に閉じ篭るこの世界の仮面ライダーはその純白の拳を俺へと向けた。

 

「・・・っ! わかんねぇ奴だなお前は!」

 

《KAMEN RIDE》

 

 

《DECADE!》

 

 

ドライバーの力で俺もディケイドへと変身し、クウガの・・・一条雄介の拳をその感情ごと受けとめる。

 

「誰がいつこんな力が欲しいって言ったんだよ・・・・・・! 誰が戦いたいって言ったんだよ!!」

 

幼体故か、やはり繰り出される攻撃自体は大した威力ではない。

だが一条の感情が乗るその拳は、威力以上に重く感じた。

 

「ええ!? またぁ!?」

 

「ちょ・・・、士君!? 何とかするんじゃなかったの!?」

 

コンクリート舗装の堤防から顔を覗かせた歩夢と高坂が大慌てで殴り合う二人の仮面ライダーを止めに駆け下りてくる。

大方この警戒態勢で攻撃対象となる一条を案じて普段こいつが隠れてるここまで探しに来たところビンゴを引いたわけだろう。俺と違って引き運いいなコイツ等。

 

「普通じゃないのが何なんだよ・・・! 未確認と同時に現れたってのがなんなんだよ! 俺は化け物なんかじゃねぇ!!」

 

二人の存在は気にもかけず、一条はなおもクウガとしての力をもって俺に殴りかかることをやめない。

 

「自分達と違うってだけで人を化け物扱いして抹消しようとしやがるテメェ等のほうがよっぽど化け物じゃねぇか!!」

 

怒号や、一撃一撃に込められた、世間への怒り。

確かにこれは脅威となりうる未知の存在を受け入れられず、自分達の平穏のためにそれらを抑圧し、排除しようとする人間の心理が引き起こしたものだ。

 

だが―――、

 

「違う! お前はただ向き合う努力を怠っただけだ!」

 

一条の怒りを、恐怖を、悲しみを全てその身で受け止めた上で、切り返しの頭突きと共に真っ向から否定する。

 

「状況を変えようともせず全部を周りのせいにしてるような奴が・・・・・・悲劇のヒロイン面してんじゃねぇ!!」

 

《FINAL ATTACK RIDE》

 

 

《DE・DE・DE・DECADE!》

 

 

初めて会ったあの瞬間にコイツがやってきたように、胸元を蹴りつけた勢いを利用して飛翔。

バク中の後体勢を整えると、出現したカードの束を突き破るように飛び蹴りの形で突撃。防御すら許さぬ勢いで突っ込んだ俺のディメンションキックがクウガを地面に叩きつけた。

 

「ぐ・・・ぁ・・・・・・」

 

「ユウ君・・・!」

 

変身が解除された一条に駆け寄る高坂。

その瞳に恐怖や侮蔑の感情は一切なく、むしろ心配や不安といったもの。そんなことは彼女のことをよく知らない俺や歩夢でも分かっていることだ。

 

ただ、一条が目を逸らし続けていただけの話。

 

「世界の全てを信じろだなんて抜かすつもりはねぇ・・・・・・けど、せめてお前を信じてくれた奴くらいは信じてやれ」

 

ゆっくりと歩み寄り、手を差し伸べる。

かつて記憶も身寄りも、何もかも失っていた俺に、歩夢がそうしてくれたように。

 

「少なくとも俺達はお前を信じる。・・・・・・お前の味方だ、雄介」

 

一条の・・・いや、雄介の瞳が迷いに揺れる。

クウガになってしまったことでそれまで親しくしていた友人も軒並み離れていったという話は高坂から聞いている。恐らくそのことも雄介が高坂を拒んでいたのも一因しているのだろう。

 

「ユウ君」

 

高坂が作った、雄介に対して絶やそうとしなかった笑顔。

それに勇気づけられるように、雄介は何物も掴もうとしなかったその手を開き―――、

 

 

―――――ゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・!

 

 

「うわわわぁ!?」

 

「なんだ・・・?」

 

刹那に揺れた地面がそれを阻んだ。

 

「地震・・・?」

 

「いや・・・・・・何か違う」

 

地面そのものが生きて動いているかのような気持ちの悪い揺れ。

ただの地震じゃない。俺の勘が鋭くそう告げる。

 

「ッ――――――!?」

 

そして早くもその予感は的中し、遠くで上がった悲鳴に続いて地下深くへと繋がる周囲のマンホールから黒い瘴気が溢れだし、辺りを包み始める。

 

「ちぃっ……!」

 

「あ…! 士君!?」

 

咄嗟に飛び出し、悲鳴が上がった教会と思しき建物に入り遅かったことを悟る。

怯える人々の視線の先ではグロンギと、聖職者らしき女性が異形の足元で息絶えており、その現場はこれまでグロンギが起こしてきた殺人の跡と酷似していた。

 

つまり、これが意味する事とは―――、

 

『ゲゲルパゲギボグギダ』

 

「なんだと…?」

 

掴みかかった俺に対し抵抗する様子もなく、グロンギは常人には理解しえない言語で高々と宣言する。

 

『ゴゴギバスジャリン…ズババヅザ!』

 

「クソッ…!」

 

ライドブッカーで切り捨てられても嬉々としたままのグロンギが爆散。

しかしコイツを倒したところで肝心のゲゲルが成功してしまっては意味がない。

 

日本の都で神に仕えるリントの女……つまり巫女などの神職に携わる女性を一滴の血も流すことなく四人殺害する。それが奴等の言うゲゲルの条件。

それが果たされた今、その大いなる闇とやらがとんでもなくヤバいことを引き起こす訳で…。

 

「士君!」

 

そしてそれを裏付けるように鬼気迫った表情で駆け込んできた歩夢に連れられた俺が見た光景は―――、

 

「なっ…!?」

 

教会に入って出てくるまでの短い間に集まってきたとは思えない数のグロンギの群れに愕然とする。

どうして警察の警戒態勢もあるのにも関わらずこんなことになったのか。その答えはすぐに分かった。

 

「…人間が…、グロンギに…?」

 

地震と同時に発生し、辺りを包んだ黒い瘴気。

それが触れた人間をグロンギへと変え、世界を奴らのものへと塗り替えている。

 

『壮観だな。我等を追い遣ったリント共が奴等にとって忌むべき我等と同じ姿になり果てる様は』

 

「・・・・・・お前が大いなる闇ってやつか?」

 

教会の屋根から混沌渦巻く地上を見下ろす、人々を蝕む黒い瘴気の発生源。

人型をした狼のような外見に、野性味溢れる盛り上がった肉体。加えて人間の言葉を話す知能から明らかに他の雑魚共とは違う風格を感じる。

 

『・・・・・・貴様はリントともクウガとも取れんな・・・、なぜ我々の邪魔をする』

 

「俺は世界の破壊者って奴らしくてね、お前達も破壊したくなっただけだよッ!」

 

ガンモードに移行したライドブッカーの引き金を絞り、奴に向かって発砲。

だが確かに命中したそれは微塵のダメージも与えず、奴自身痒いとも思ってなさそうに鼻を鳴らしている。

 

『面白い・・・・・・ならば』

 

 ふわりと浮かび上がった奴の身体が屋根から離れ、地面へと降り立つ。

 やがて己の放つ瘴気で文字通りあたりの空気を変えて見せ、大いなる闇―――ン・ガミオ・ゼダは言い放った。

 

『我を・・・・・・破壊してみろ!』

 

 

 

 




明けましておめでとうございます。新年初投稿です
月並みですが今年もよろしくお願いします

それで本編、雄介が穂乃果を遠ざけていたのは彼女にまで拒絶されたくなかったから
何もかもから逃げ続けてるが故にまだクウガとして覚醒出来ずグローイングフォームのまま。果たして覚醒できるのやら…

ところでン・ガミオ・ゼダってこんな喋り方だっけもう記憶がないぜ
調べ次第直すかもです

それでは次回で。クウガ編最終回です
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