Journey Through The Rainbow   作:がじゃまる

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クウガ編ラスト


6話 覚醒

「がっ・・・あ・・・!」

 

『その程度か? 破壊者』

 

切り下ろしたライドブッカーが軽々と弾かれ、その余波で腕はおろか身体ごと吹き飛ばされる。

ン・ガミオ・ゼダ・・・・・・グロンギ共から大いなる闇と称される王というだけあって流石に強い。

 

《ATTACK RIDE》

 

《SLASH!》

 

『ぬぅ・・・!』

 

並のグロンギならば一撃で仕留められる剣戟すらも身動ぎ程度で留まってしまう。

この耐久力や腕一本で俺を吹き飛ばすような馬鹿力だけでも厄介だというのに、加えて奴は自身の身体から放つ瘴気で死へと至らしめた人間をグロンギへと変えてしまうという能力がある。

 

今コイツを倒さなければ…この世界の破滅は免れないだろう。

 

 

―――――ディケイド。お前は十八人のライダーの世界を旅しないといけない。それがお前が力を取り戻し、世界を救う唯一の方法だ

 

 

あの時のアイツの言葉が何を意味していたかなんて知りやしない。

けれど十八の世界を救わない限り俺達の世界も壊れたままであり、歩夢も心から笑えない。

 

だからコイツを倒し、この世界を救う。

改めて固めた決意を胸に、俺は再度グロンギの王へとその刃を向けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――状況を変えようともせず全部を周りのせいにしてるような奴が・・・・・・悲劇のヒロイン面してんじゃねぇ!!

 

―――――世界の全てを信じろだなんて抜かすつもりはねぇ・・・・・・けど、せめてお前を信じてくれた奴くらいは信じてやれ

 

初めは胡散臭くて怪しい奴だと思っていた。

正直別の世界から来たとか言っているくらいだしまだその印象は拭い切れていないが、それでも―――、

 

―――――少なくとも俺達はお前を信じる。・・・・・・お前の味方だ、雄介

 

少なくとも、ただの怪しい奴じゃない。そう思ってしまう。

 

「・・・・・・何なんだよ・・・」

 

こんな状況だというのにアイツの声が頭から離れない。

何度も同じような言葉を聞いてきた。それに期待を抱く度に裏切られてきた。

 

それなのにディケイド―――士の言葉に、また俺は誰かを信じようとしている。

いや・・・ひょっとしたらもう―――、

 

「・・・大丈夫かな・・・士君・・・」

 

その士に俺達と一緒にあの煙から離れるように言われた上原歩夢…とやらがか細く呟く。

思えばあの時、上原には穂乃果が俺を心配しているのが分かった訳。それは恐らく、彼女もまた誰かを心配していたから。

 

「・・・・・・」

 

その横の穂乃果に目線をやる。

俺がコイツに対してどんだけ酷い仕打ちをしたかなんて理解している。

 

どんなに異端と称され、どんなに周りに疎まれても、穂乃果だけは俺を見捨てようだなんてしなかった。

 

 そんなコイツを俺は・・・拒絶し続けたんだ。

 穂乃果の優しさに甘えて、向き合う事を拒み続けてきた。

 

「・・・・・・なあ、穂乃果」

 

「・・・?」

 

今がそんなことをしている状況じゃないのは分かっている。

けど、これを伝えられれば俺は……前に進める気がした。

 

「・・・俺さ―――」

 

「わあぁぁぁっ!?」

 

お約束かよ。そうツッコみたくなるレベルのタイミングの悪さで驚嘆の声が上がり、思わずその主である上原を咎めるように目を向ける。

だがその先で俺の目に映ったのは、お約束とか言ってる場合ではないような光景で―――、

 

「・・・なに・・・この数・・・・・・」

 

「さっきのところよりずっと多いよぉ!?」

 

百体はゆうに超えている未確認の群れがうじゃうじゃと街を練り歩いている。

その足元に漂う黒い瘴気はあのオオカミのような未確認から発せられ、人々をそれまでそいつ等が恐れていた怪物へと変貌させるもの・・・・・・つまり。

 

あの人数が一気に未確認・・・・・・いや、グロンギ化した。

信じたくはないがつまりそういうことだ。

 

「ちぃ・・・!」

 

こちらの存在に気が付き大挙として押し寄せてくる奴等を迎撃しようと腰元に手をかざす。

だが一向に俺の身体が変化する様子はなく、それどころか俺の運命を狂わせたあのベルトすらも浮かび上がってこない。

 

「嘘だろ・・・・・・こんな時に・・・!」

 

そういえばディケイドのキックを喰らった際に変身が解けたが、もしやその時の体力の消耗が原因なのか。

どちらにしろ、今は戦ってここを切り抜けることは出来ない。

 

「ユウ君こっち! 歩夢ちゃんも!」

 

「は・・・はい!」

 

穂乃果に手を引かれ路地へと走る。

秋葉原の電気街の外れは迷路のように入り組んでいる場所が多く、そこを上手く使って振り切ろう。きっと穂乃果はそう考えているのだろうが・・・、

 

「・・・そんな・・・」

 

逃げた先でもグロンギが溢れているのを見て穂乃果が絶句する。

 

この街は人がやたらに多い。

電気街一帯を霧が包んでいるとなると、ほぼ間違いなくどこへ行ってもグロンギはいる。つまり八方塞がりだ。

 

「・・・・・・っ・・・! ユウく――ケホッ…!」

 

「穂乃果・・・!」

 

咽るように起こった咳を皮切りに穂乃果の顔色が悪くなり、それが途方もなく怖くなっているのを感じた。

これだけ街の中を走ってきた以上、あの霧を吸っていてもおかしくない……一瞬の間にそんな想像を何度も浮かび上がらせては否定する。

 

「・・・大丈夫…大丈夫だから・・・・・・」

 

「・・・穂乃果・・・・・・クソッ・・・!」

 

頭に過った最悪の結果が自然と身体を動かし、穂乃果を抱えて走り出させる。

どうすればいいかなんて分からなかった。けど、どうにかしてないといられなかった。

 

「どけ! どけって言ってんだろ!」

 

後方から追いかけてくる上原を気遣う余裕もなく眼前のグロンギを蹴り飛ばしては前へと進む。

 

どうしてこんなにも必死になっているのか。何故こんなにも怖いのか。

それが自分以外の誰かにもたらされたものだと分かっていると、猶更俺を足搔かせた。

 

『グアァ!』

 

「うっ―――ぐ・・・・・・ッ!」

 

だがやはりこの数相手に突破を試みるのは無謀だったか。

捌き切れなかったグロンギの攻撃が背中を捉え、確かな痛みと共に地面を転がる。

 

「ほの・・・・・・か・・・!」

 

今の拍子に抱えていたはずの穂乃果が俺の腕の中から抜け、少し離れた場所で横たわっている。

また穂乃果を抱えて逃げるのが早いか、それともグロンギが穂乃果に群がるのが早いか。そんなことは火を見るよりも明らかだった。

 

「・・・なんでだよ・・・!」

 

これだけ力を求めた時はないというのに、それでもあの忌々しいベルトは―――アークルは答えてくれない。

 

答えろよ・・・・・・変身させろよ・・・!

今まであんだけ人のこと苦しめておいて・・・こんな時に力も貸してくれねぇのかよ!!

 

『ウアァゥ!』

 

「穂乃果さん!!」

 

これでいいのか?

アイツは・・・穂乃果はあんだけ俺に寄り添おうとしてくれたのに……こんな終わり方でいいのか?

 

そもそも俺が穂乃果を遠ざけてた理由はなんだ?

どうして俺は穂乃果を身近に思っていながらもアイツを拒絶していた?

 

拒まれても穂乃果は俺の近くにいようとしてくれた…寄り添い続けようとしてくれた。

そんなアイツとの最後がこんなのでいいのか――――?

 

「・・・・・・いいわけ・・・・・・ねぇだろ!!」

 

ああ、そういえばあの時もそうだったか。

穂乃果を守りたくて、無我夢中で庇ったあの時と。

 

――――

 

ゴッ。

そんな重い打撃音の後、滴った血が地面を叩く。

 

「ユウ・・・君・・・?」

 

「・・・そうだよ・・・・・・怖かったんだよ…」

 

グラついた視界に驚嘆と不安に満ちた穂乃果の顔が映った。

こいつに外傷がないということは当然、地面に広がる赤は俺から流れた血だ。

 

「・・・お前にまで拒絶されるのが怖くて・・・・・・一人になるのが怖くて・・・・・・・・・だから自分から適当な理由をつけてお前を遠ざけてた・・・・・・自分勝手で、お前の優しさに甘えてたんだ・・・!」

 

士の指摘は何一つ間違っちゃいなかった。

ただ俺が認めたくなかっただけ。認めたらこいつが離れて行ってしまうように思えて首を振りたくなかったんだ。

 

そんなはずはない。分かっていたのに、それを信じきれない弱さがあったから。

 

「・・・でも、お前を失う方がもっと怖かった」

 

両親がいなくなってから、こいつが大きな支えだった。

だから拒絶されるかもと思った時は自分でも制御できなくなるほど過敏になっていたし、そうならないために必死になっていた。いなくなられるなんて以ての外だ。

 

「・・・多分な、拒絶されようがされまいが関係なかったと思う・・・。俺は―――」

 

「・・・拒絶なんかしないよ」

 

それ以上を言うのはここじゃないと、呻き声の中でも穂乃果の声が鮮明に耳を打つ。

 

「・・・・・・私だってそうだよ。ユウ君が遠くに行っちゃいそうで、それが怖かったから一緒にいようとしたんだもん」

 

その言葉が真実かどうか。疑ってはいないが、仮にそれが事実と違っていてもどうでもよかった。

 

「・・・どんな風になったって、ユウ君はユウ君だよ。…ずっと信じてる」

 

この言葉聞ければ、十分だったから。

それだけで、俺は戦える。

 

「・・・まだお前が俺を信じてくれるなら・・・・・・俺もお前を信じる」

 

今日の力が尽きたなら、明日の力をひり出せばいい。

俺は俺を信じてくれたこいつを・・・守り抜く。

 

「だから見ててくれ・・・俺の――――――

 

 

 

 

 

―――――――――変身ッ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「がっ・・・はぁ・・・・・・!」

 

 一方的・・・とまではいかずとも、終始押されっぱなしのまま変身が解除された俺が地面を転がる。

 やはりガミオは今の状態の俺で勝てるような相手じゃない。

 

『完全な力を出した貴様とやり合えないのは惜しいが・・・・・・そろそろ時間でな』

 

 奴の持つ理性に反した野性的な咆哮が轟く。

 狼が群れの仲間に呼びかける際の遠吠えに似ているそれは、やがて周辺から奴がグロンギ化させたであろう人々の群れを呼び寄せ、俺へと差し向けた。

 

『さらばだ。名もなき破壊者よ』

 

「ぬ・・・あぁぁ・・・!?」

 

さながらホラー映画のゾンビが如く大群を成したグロンギ共が俺の肉を貪らんと言わんばかりに押し寄せ、圧迫する。

四方八方全方位から押し潰すように掛かる圧に身動きが取れず、ディケイドへの再変身も叶わない。

 

ここまでか。

抵抗こそ続けながらも果てかけた、その時だった。

 

「ハアァァァァッ!!」

 

どこからともなくエンジン音が唸りを上げたと思った次の瞬間、突っ込んできたバイクに跨った深紅の戦士によって俺に群がっていたグロンギが一掃される。

 

「・・・俺にあんだけ偉そうな事言って自分はこのザマかよ。仕方ねぇから助けてやろうか?」

 

「お前・・・」

 

逞しく伸びた二又の角に、象徴的な赤い肉体。

それは不完全な形態などではない、戦う意味をその身に宿した仮面ライダークウガ真の姿―――マイティフォーム。

 

「・・・反抗期は終わりか? そりゃあもうご立派に更生したんだろうな未確認四号さんよ」

 

「うるせぇ。・・・俺はただ俺を信じてくれた奴を信じることにしただけだ」

 

すっと、先程自分がされたことを返すようにクウガの手が俺に差し伸べられる。

 

「・・・・・・だから、一応お前のことも信じてやるよ・・・・・・士」

 

「・・・そーかい。ならせいぜい足引っ張らないようにするんだな。雄介」

 

「言っとけ。ほら、ぱっぱと片付けるぞ」

 

ようやく通じることのできた雄介の手を取り、立ち上がる。

俺達二人の視線が向く先にはグロンギの群れと、その大将であるン・ガミオ・ゼダ。その猛獣が如き眼光もまた純粋な疑念を持って俺達を捉えていた。

 

『・・・貴様等は何故戦う。何故リント共に虐げられながらもそのリント側に立ち抗おうとする』

 

「・・・・・・別に人間の為に戦ってるつもりなんざさらさらねーよ」

 

「ああ。俺もこいつも、ただ自分の大切なもん守ってるだけだ」

 

大義がどうとか正義のためだとか。自分の内に秘めてる信条こそあれど、それだけで戦える奴なんてそうはない。

結局いつも誰かの為に戦ってるって奴は、自分の守りたいものを守ってるだけだ。

 

「俺達が守ってるだけじゃない。俺達もその大切な何かに支えられている。互いが互いを必要としている。だから戦うんだ」

 

俺も雄介もそう。自分に寄り添って支えてくれた存在がいたからこそ今こうして戦う覚悟を決めている。

 

「教えてやるよグロンギの王。壊して圧するだけのお前等と守るものがある俺達の差……格の違いってやつをな」

 

『・・・・・・何者だ、貴様』

 

何者、か。

そう問われれば答えは一つしかあるまい。

 

「通りすがりの仮面ライダーだ。覚えとけ!」

 

《KAMEN RIDE》

 

 

《DECADE!》

 

 

何故か懐かしさすらも覚える返しと共に変身。クウガと並んで立ち塞がるグロンギ共を正面から突破し、ガミオの胸部へと強襲する。

 

「テメェを倒せばこの霧も消える・・・・・・アイツも助かる!」

 

『ヌ・・・・・・グゥオ・・・・・・!』

 

クウガの力はグロンギに対抗すべく古代の人間が生み出した力。先日倒したグロンギがそう言っているのを聞いた。

高坂への想いで真の力に目覚めた雄介の拳は、着実にガミオへとダメージを与えている。

 

「超変身!」

 

秘石が雄介に戦い方を教えているのか、はたまた雄介の意思が秘石と同調しているのか。

どちらにせ雄介の想いに呼応したアークルが青く煌めき、クウガの姿を変える。

 

「だあぁぁらぁッ!!」

 

『ガ・・・ァッ・・・・・・!』

 

引っこ抜かれた道路標識がリーチのある槍へと変化し、巨人が如く力任せにぶん回されるままにガミオを殴りつける。

反撃に移ったガミオの攻撃も体捌きの軽やかさで回避し、切り返しの一撃で今度は強烈なアッパーを叩き込んで見せた。

 

《ATTACK RIDE》

 

《SLASH!》

 

「フウゥンッ!」

 

当然俺だってただ見ているだけじゃない。

ガミオがクウガに翻弄されている隙を突き、防御の開けた懐に強烈な斬撃を炸裂させる。

 

『・・・恐ろしい力だな・・・・・・その力を恐れ、リント共はこれからもお前達を排除しようとするだろうよ』

 

クウガの覚醒によって形勢こそ逆転したが、その頑強さ故かガミオはまだまだ健在でいる。

その余裕の表れなのか、人知を超えた力を行使する俺達に対し˝誰かを守ろうと強くなるほど人々から恐れられる˝という皮肉を突き付けてくる。

 

「・・・・・・確かにそうかもな」

 

「・・・・・・」

 

その言葉を肯定した俺にガミオが嗤い、クウガの攻撃の手が止む。

 

「・・・けどな、届く奴には届くもんだと思うぜ?」

 

『何を・・・』

 

俺は知っている。

死の霧から逃れ、慄きながらも俺達の戦いを見ていた人間の中に、俺達仮面ライダーへの恐れを抱いていない者がいることを。

 

 

「がんばれぇぇぇ――――――ッ!!!!」

 

 

「『ッ・・・!」』

 

群衆の中から飛んだ、この世界では初めてであろう仮面ライダーへの˝応援˝の声。

 

「あの子は・・・・・・」

 

その声を張り上げた少女は、クウガと目が合うと嬉しそうにその手を振る。

助けてもらった。母親にそう話す彼女の声は俺の耳には届いていたから。

 

「言っただろ? 届く奴には届いてるってな」

 

「・・・・・・」

 

少女に続き、徐々に応援の声が上がり始める。

これが民衆のクウガに対する信頼の証なのかは分からない。ただ自分達に仇を成す存在としてこの場だけの特別扱いという可能性だってある。

 

「・・・・・・人のこと散々化け物扱いしといて、いざ自分達が危なくなったらこれかよ・・・・・・都合よすぎるだろ・・・」

 

だが、クウガへの意識が変わり始めたという事実に変わりはない。

こいつにはそれだけで十分だろうから。

 

「・・・・・・でもまあ、悪い気はしねぇな」

 

刹那、熱が滾るのを感じた。

空の器に零れていたものが戻ってくるような、そんな熱を。

 

「・・・・・・!」

 

その正体は、力が失われていたクウガのライダーカード。

鼓動するように光を放つそれ等を手に取ってみれば、それぞれに失われていた色と力が浮かび上がる。

 

「つーわけだグロンギの王。残念ながらこいつは自分で信頼を勝ち取ることにしたらしいぜ」

 

《FINAL FOAM RIDE》

 

 

《KU・KU・KU・KUUGA!》

 

 

「ちょっとくすぐったいぞ」

 

「え―――おうわぁ!?」

 

復活したカードの力をドライバーで開放すれば、途端にクウガの背中に裂け目が生じる。

そして手を突っ込んだその裂け目を一気に広げれば脱皮する昆虫のように中身が現れ、巨大なクワガタムシのような姿―――クウガゴウラムへと変貌。

 

「なんじゃこりゃぁぁぁッ!?」

 

「うるせぇ。いいから行くぞ!」

 

サーフィンでもするようにその背中へと飛び乗り、発進したクウガゴウラムがガミオへと突撃。

巨大な大顎でガッチリと奴を挟み込み拘束した奴をそのまま上空へと運び去る。

 

『きさ・・・まぁぁ・・・!」

 

「遅くなって悪いな。・・・・・・それじゃ約束通り、お前を破壊させてもらう!」

 

《FINAL ATTACK RIDE》

 

 

《KU・KU・KU・KUUGA!》

 

 

『グッ・・・・・・オオぁアァァァァ・・・・・・!!』

 

真下へ放り投げると同時にこちらも奴目掛けて急降下。

破壊者のキックと古代戦士の大顎がその身を貫き、断末魔と共にン・ガミオ・ゼダを粉砕した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「穂乃果ッ!!」

 

これにて一件落着、とは残念ながらいかず。

ガミオが倒されたことで他のグロンギも死滅ないしは散り散りとなり、平穏は戻ってきたが・・・こちらの事態はまだ収まってはいなかった。

 

「なんでだよ・・・アイツは倒したはずだろ…?」

 

あの瘴気を吸ってしまったという高坂の容体が治らない。

それどころか新たな体調不良を訴え、現在病院にて診断の結果を待っている次第だ。

 

「・・・ごめんユウ君・・・私・・・・・・」

 

「いいよしゃべるな・・・安静にしとけ・・・」

 

そういうが、本当にあの霧が原因なら安静にしたところで結果は見えている。

だからこそ、焦りと不安が蔓延するこの場に診断結果をもって現れた医者に雄介が飛びつくのも訳がなかった。

 

「先生・・・コイツは・・・穂乃果はどうなんです!?」

 

「落ち着いてください一条さん。ここは病院です」

 

「落ち着いてられるかよ! 死んじまうかもってのに!」

 

「いや人間死にはしませんよこれくらいで」

 

「・・・へ?」

 

「あ?」

 

「え?」

 

「ふぇ?」

 

あっさり告げられ、全員仲良く思考停止。

 

「急性胃炎・・・・・・ま、要するに食べ過ぎです。一日もすれば元気になりますよ」

 

「・・・え、じゃああの霧のせいじゃ・・・・・・」

 

「若干吸い込んでしまったようですがこの程度なら問題ないですね。せいぜい咽たり気分が悪くなる程度です」

 

「「「「・・・・・・」」」」

 

一斉に高坂の方を向き、どういうことだと目で訴える俺達。

すると高坂は何か思い出したように頬を掻き、全力で目を泳がせながら細々と答えた。

 

「えぇ・・・っと、そのぉ・・・・・・ほら、昨日歩夢ちゃん私の家に泊まっていったでしょ? それでお母さん張り切っちゃっていつもよりご飯とかおやつとか豪華だったから・・・・・・その・・・・・・ついつい・・・」

 

「「「・・・・・・・・・」」」

 

なんという、壮絶なオチ。

ここまでくるともはや無事でよかったというよりも怒りが勝るというかなんというか。

 

まあとりあえず、やっちまえ雄介。

 

 

 

「穂乃果ァァァァァァァッ!!!」

 

 

 

「ごめんなさぁぁ―――――いっ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・行くのか?」

 

「ああ。次の世界を回らないとなんでな」

 

「・・・それマジだったんだな・・・」

 

「まぁな。・・・・・・それにもう大丈夫だろ」

 

 人々から恐れられ、親しい者すらも拒絶するクウガを前へ進めるよう手助けする。それがクウガの世界での俺の役割。

 

 コイツ等はもう大丈夫だ。自分達の道は自分達で切り開いてゆける。

 

「・悪かったな。世話になったよ色々」

 

「気にすんな。どうせ俺等の世界を救うためだ」

 

「・・・そうか」

 

 この世界のライダーを救い、その力を取り戻した以上、俺達は次の世界へと向かわなければならない。

 雄介や高坂達とはここでお別れだ。

 

「・・・また会えるか?」

 

「さあな。正直分からん」

 

「ええぇぇっ!? あ、そうだ歩夢ちゃんなら連絡先交換しよう連絡先!」

 

「別世界なのに通じる訳ないだろ」

 

 それでも一応交換するまで待ってやり、ちょっとウザったいくらいに別れを惜しむ高坂を何とかなだめてバイクに跨った。

 

「じゃあな。もう大事なモン見失うんじゃねーぞ」

 

「分かってるよ。・・・そっちも頑張れよ」

 

 出発のエンジンが切られ、次なる旅立ちまでのカウントダウンが始まる。

 向かう先は例のオーロラカーテン。今度はそんな世界が待ち受けているのやら。

 

「歩夢ちゃーん! また遊びに来てねー!」

 

「はい! 絶対!」

 

 そんな保証はないと言ったばかりなのにどうしてまたコイツ等は。

 ともかくまあそんな調子で最後まで喧しい高坂の声と、少し寂しそうにも見える雄介の視線を背中に受け、俺達はオーロラの向こうへと飛び込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 満月が暗い闇夜に浮かぶ。

 飛び込んだ次なる世界で俺達が最初に見たもの、それは瞬刻前までのクウガの世界とは対照的な夜の世界だった。

 

「・・・なんか不気味だね・・・」

 

 歩夢の言う通り、ここはどこか異質だと肌で感じる。

 見上げた先で聳え立つ摩天楼は秋葉原のそれを彷彿とさせるが、どことなくなにか・・・それが生きているかのような感覚を覚える。

 

「まあとにかくこの世界のライダーから探さないとな。でなきゃなにも―――ッ!」

 

「うひゃぁっ!?」

 

 接近する気配を感じ、咄嗟に下げた頭の真上を生き物らしき何かが通過。

 まだ暗闇に適応しきっていない視界で辛うじて確認できたのは、何か人ではない二体の生物が戦っているという事ぐらいだ。

 

『ウェイク! アーップ!』

 

 妙にハイテンションな声に続き汽笛の音が上がり、周囲の闇が一層濃くなる。

 その刹那、月光の下で一体の蝙蝠が宙を舞った。

 

「ハアァァァァァァッ!!!」

 

 雄叫びの共に飛び蹴りの形になったシルエットが地上へと落下。凄まじい衝撃音を起こして地面を揺らす。

 そこでようやく明瞭になり始めた俺達の目が映したのは、釣り上がった複眼と、至る所に鎖を巻いたマッシヴな赤い鎧を纏った―――仮面ライダーの姿だった。

 

 

 

 

「・・・・・・キバの・・・世界・・・」

 

 

 




書き終わってから気付きましたがガミオちょっと原点と違いますね…すみません
まあそれはともかくクウガ覚醒。あの名台詞をパロったことに関しては目をお瞑りください
まあとにかく穂乃果への想いが雄介をそうさせたって事で(雑)

一応説明入れておくとクウガの事を応援した女の子は前回雄介が助けようとした子です

そして次の世界はキバ
キバ編のヒロインは誰なのかお楽しみに…!

それでは次回で!ウェイクアップ!
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