Journey Through The Rainbow   作:がじゃまる

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部屋整理してたらバースドライバー発掘して地味にテンション上がりました
今回からキバ編(昼ドラ)です


7話 ロンリーキング・血塗りの過去

 

 

 

「・・・キバの・・・世界・・・・・・」

 

クウガの世界を後にし、暗い闇夜の世界を訪れた俺達を最初に待ち受けていたのは、この世界の怪人―――ファンガイアと戦う仮面ライダーキバ。

 

月光に照らされ雄々しく、それでいて美しく照り映えるその姿はヒロイックなドラキュラのような印象を与え、今し方倒したファンガイアから浮き出たエネルギー体の光も相まって神秘的にも覚えた。

 

『――――――ッ!!!』

 

「え・・・なに・・・?」

 

高い咆哮の後、怪しげな雰囲気を纏っていた摩天楼の中腹がだるま落としのそれのように分離。

その正体は城の形状をした胴体から頭や手足を生やす竜のような生物であり、キバの元まで舞い降りると浮遊していた発光体を一飲みにする。

 

「・・・あのビル生きてやがったのか・・・・・・どおりで・・・」

 

「ッ・・・! 誰だ!?」

 

食事を終え、また何事もなかったようにビルへと戻った竜もどき―――キャッスルドランを眺める俺達にキバの警戒の声が飛ぶ。

 

「・・・そこにいるのは分かってんだ。出てこい」

 

「あーはいはいわかったわかった。落ち着けよキバさんよ」

 

「ッッ!!」

 

「うおぉっ!?」

 

要求どおり姿を見せた俺にいきなり飛び掛かってきたキバ。

辛うじて回避はしたものの奴の攻撃態勢はまだ続いており、俺に対する敵意は明らかだった。

 

「どうしてその名前を・・・・・・やっぱりファンガイアか!」

 

「あぁったく・・・・・・めんどくせぇな!」

 

《KAMEN RIDE》

 

 

《DECADE!》

 

 

俺をファンガイアと誤解しているのか、とにかくやらなければやられる以上こちらも変身して応戦するしかない。

ディケイドライバーがカードの力を開放。瞬時にマゼンタの戦士へと姿を変えた俺とキバの拳が衝突する。

 

「離れてろ歩夢」

 

「う、うん…」

 

いきなりの戦闘は予想外だが、キバの変身者の人となりや力量を見定めるにはうってつけの機会ではある。

それに―――、

 

「まあ、丁度いい。新しい力を試してやる」

 

《KAMEN RIDE》

 

 

《KUUGA!》

 

 

キバの基本形態―――キバフォームは恐らくディケイドのような武器を主体とした戦いではなく肉弾戦を得意とするタイプの形態だ。

だったら、同じ戦闘スタイルのクウガマイティフォームの方が奴の力量を測りやすい。

 

「姿が変わった・・・?」

 

「フウゥン!」

 

 体色や形状のみならず全くの別ライダーになった事へのリアクションごと殴り飛ばすように拳を殺到させる。

 浅いとは言え虚は付いたものの、そこはやはりそれなりの場数は踏んでいそうな戦士。身体を捻ってそれをいなして見せると、逆に裏拳でカウンター。

 

「ハアァッ!」

 

 バックステップを取って距離を取る俺にキバの蹴りが伸びる。

 だが逆に俺はそれを利用し、伸ばされた奴の足を起点にしたターンで懐に潜り込んでは雄介のそれのように強烈な正拳突きを叩き込んだ。

 

「ぐッ・・・・・・なら・・・!」

 

『ガルルセイバー!』

 

 笛状のアイテムを自身の蝙蝠のようなベルトに加えさせたキバ目掛け、再び姿を見せたキャッスルドランが何かが放出。

 その何か、狼を模したような刀剣を左手に握ったキバの姿が、蒼く染まる。

 

「グゥアァァァ!」

 

 途端に猛る肉食獣のような動きに変化したキバの荒々しい剣戟が肩や胴体を刻む。

 流石に武器を持たれると素手のマイティフォームでは戦いにくい・・・・・・なら、

 

《FOAM RIDE》

 

 

《KUUGA TITAN!》

 

 目には目を歯には歯を剣には剣を。

 紫のクウガ―――タイタンフォームへと姿を変え、迫る剣線を紙一重で回避。

 

「生憎、剣術は得意分野でね!」

 

 幸いここは工事現場だ。

 クウガの能力―――触れたものを武器へと変える力は存分に発揮できる。

 

「オォォラッ!」

 

 俺の手に握られた鉄パイプが変形したタイタンソードがキバのガルルセイバーと衝突する度に火花を散らす。

 

「お前、あそこで何をしてた。答えろ」

 

「何もかもねぇ。ただの通りすがりだ!」

 

 キバのガルルセイバーが軽量型の片手剣なのに対し、こちらのタイタンソードは重量型の両手剣。

 速度では勝るが重い分威力はこちらの方が上だ。一度刃を合わせる状態になれば力押しが―――、

 

「ぐおおぉぉッ・・・!?」

 

 共に振り下ろされた剣と剣が交わったその刹那、片手剣のそれとは思えない力で大きく跳ね飛ばされる。

 辛うじて後方に飛びのき威力を受け流しきるも、またあの威力で斬り掛かられるようでは小回りの利かないこちらの分が悪い。

 

 なら―――、

 

《FOAM RIDE》

 

 

《KUUGA PEGASUS!》

 

 

 挿入した別のカードでペガサスフォームのクウガへとチェンジ。ライドブッカーをペガサスボウガンへと変形させ、距離を取りつつキバを射抜く。

 

「また姿が・・・・・・」

 

「オラお返しだ!」

 

《ATTACK RIDE》

 

 

《BLAST PEGASUS!》

 

 

 これまでの牽制の攻撃から数段威力の上がった弾丸を放出。あの膂力を誇るガルルセイバーであろうと接近戦に持ち込めなければ意味はあるまい。

 

「ち・・・・・・そっちが銃なら!」

 

『バッシャーマグナム!』

 

 汽笛と共に飛来した奇怪な形状をした銃を右手に取ったキバの姿が蒼からペガサスフォーム同様の緑色へと移行。

 ペガサスボウガンにバッシャーマグナム。互いに銃を持ったとなれば起こることは一つ。

 

「これでもまだ俺がファンガイアに見えるのか?」

 

「ああ、ファンガイアには見えない。だからこそ危険なんだ。お前みたいなのは見たことがない!」

 

「危険なのはどっちだ話も聞かず襲ってきやがって!」

 

廃材や重機の陰に隠れつつ、さながら映画のワンシーンのような銃撃戦を繰り広げる。

ガルルセイバー同様、奴のバッシャーマグナムは軽量型でありペガサスボウガンに比べ連射性能で優っている。だが一発一発の威力となるとこちらの得物の方が上だ。

 

「フッ!」

 

「ぐっ・・・!」

 

バッシャーマグナムが障害物ごと俺を打ち抜けないのに対し、ペガサスボウガンの弾丸は障害物を貫いてキバに届く。

加えペガサスフォームの力により研ぎ澄まされた感覚は、例え目視してなかろうとキバの居場所を含め辺りを把握できる。

 

「もう一発いくぞ!」

 

《ATTACK RIDE》

 

 

《BLAST PEGASUS!》

 

 

土煙の中だろうが関係ない。正確無比な弾丸がキバへと迫り―――、

 

『ドッガハンマー!』

 

―――轟轟と振り回された巨大な大槌に粉砕される。

 

見れば今度のキバの姿は紫。片腕や体色が変わるだけだったガルルフォームやバッシャーフォームと異なり、今度は上半身全体を甲冑のような鎧が覆っている。

そして最も目を引くのは手をそのまま武器にしたかのような、奴の身の丈ほどあるハンマー。

 

「オオォォォォッ!!」

 

相当重量のあるであろうそれをキバは軽々と持ち上げ、重さなど得物の苦でないかのように猛然と俺へと迫る。

その加速に乗ったドッガハンマーが猛烈な圧をもって振り下ろされ、すんでで回避したものの地面にクレーターを作るほどの衝撃波によって吹き飛ばされてしまう。

 

「とんでもねぇな・・・」

 

銃弾ですら軽々と弾かれる以上ペガサスフォームでの戦闘を続行するのは危険だ。

あの破壊力を秘めた武器に対抗できるとすれば―――、

 

《KAMEN RIDE》

 

 

《KUUGA DRAGON!》

 

 

青のクウガ―――ドラゴンフォームへとチェンジ。

先程タイタンソードとして用いた鉄パイプを今度はドラゴンロッドへと変化させ、ドッガハンマーの柄、あの破壊力が直接作用しない部分目がけて振り抜く。

 

「ハアァ!」

 

しかも二つの前例と違い今度はこちらの方が機動性に優れている。

いくらドッガハンマーの重量をものともしない奴の怪力でも、こちらのドラゴンロッドと同じように扱うのは不可能だ。よって今、この瞬間における形勢は俺にある。

 

「こんの・・・・・・こうなったら!」

 

『ウェイク! アーップ!』

 

ドラゴンロッドを用いた連撃を無理矢理振り払ったキバが再度キバフォームへと戻り、深紅の汽笛を自身のベルトに噛ませる。

その直後に高々と跳躍して見せたそれは先程ファンガイアに止めを刺したキックだということはすぐに察知した。

 

「そっちがその気なら相手になってやる」

 

《FINAL ATTACK RIDE》

 

 

《KU・KU・KU・KUUGA!》

 

 

こちらもマイティフォームへと戻り、灼熱の闘気を右足に宿し跳躍。

クウガのマイティキックに、キバのダークネスムーンブレイク。両者の必殺技が空中で激突し、生じた衝撃波が辺りを疾走する。

 

「ぐぁ・・・・・・!」

 

だが流石に上空からの一撃となった向こう側の方に分はあったようで、キバにダメージを与えつつも激しく地面に打ち付けられた俺の姿がディケイドへと戻る。

 

「手こずらせやがって・・・・・・これで―――」

 

『待て渡』

 

「・・・・・・キバット?」

 

なおも戦闘を続行しようとするキバを制止したのは、奴のベルトに一部かと思われていた一匹の蝙蝠。

逆さにぶら下がっていたベルトから分離すると、キバットと呼ばれたそいつは本物の蝙蝠のように飛び回ってはキバの説得を試みる。

 

『コイツはファンガイアや他の種族の差し金とかじゃない・・・・・・多分お前と同じだ』

 

「同じ・・・、コイツが・・・・・・?」

 

キバの釣り上がった双眸が俺に向く。

心なしかキバットの一言で若干の棘が抜けたようにも見え、襲い掛かってきた時と比べれば大分温和とも感じる。

 

『・・・それに向こうで隠れてる嬢ちゃんは正真正銘の人間だ。心配ねーよ』

 

「・・・・・・お前がそういうなら・・・」

 

警戒の糸が完全に解れたのか、変身を解いたキバの変身者が俺に手を伸ばす。

 

「誤解して悪い。最近ちょっとファンガイアや他の種族が活発化しててな・・・・・・気が立ってた」

 

「…・・・まあ分かればいい」

 

俺も変身を解いてその手を取り、立ち上がって改めてその男の顔を見る。

今回は大分友好的なこの世界のライダーは大体雄介と同じ高校生くらいの見た目であり、どことなく涼やかな印象を覚えた。

 

「俺は羽島渡。渡でいい」

 

「俺も士でいい。そんで向こうのは上原歩夢。・・・お前がこの世界のライダーか、キバ」

 

「それなんだが・・・・・・なんでお前その名を―――ッ!」

 

今度は何か。そう思った次の瞬間。

何かの気配を察知したように身構えたキバ―――及び渡の目線の先で、闇の中から声が上がった。

 

「キバァ―――! どこだァ―――ッ!!」

 

「・・・・・・イクサか…」

 

キバを求める、紛れもなく人間の声に苦虫を嚙み潰したような表情になる渡。

怒気・・・そして敵意か。少なくとも良からぬものではない感情をその声からは感じる。

 

「・・・・・・話は後だな。とりあえず場所を変えよう」

 

見つかると面倒だ。最後にそう呟いた渡に続き、急ぎ歩夢を連れてそそくさと先の戦いで荒れに荒れた工事現場から撤退する。

その背後ではなおも、キバに向けられた怒声が暗闇の中で反響していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・随分と広いな」

 

「ちょっと訳ありでな・・・・・・まあ通れよ」

 

渡に導かれるままに辿り着いたのは現代日本ではまず見ないような西洋建築の古風な屋敷だった。

戸を開くと最初に目に映ったのは外見に違わぬクラシックな玄関であり、特別調度品のようなものこそないものの渡一人で住むには少し豪華すぎる気がしないでもない。

 

「他に誰かいるのか?」

 

「・・・同居人なら一人・・・・・・」

 

「渡―! おっかえりー!」

 

噂をすれば何とやら。

何故か苦々しく答えた直後、待ってましたと言わんばかりに飛び出してきた少女が思いっきり渡へと抱き着く。

 

・・・・・・バスローブ一枚という、青少年には少々刺激が強い格好で。

 

「今日もファンガイア倒してきて疲れたでしょ渡ー。あたしがたーっぷり癒してあげるよー!」

 

「音羽・・・! 離れろ・・・!」

 

すぐ横に俺達がいることにも気づかず、その女は恥ずかしげもなく露出度全開で自分の身体を押し倒した渡に押し付けている。

風呂上りか何かなのか、程よく湿った銀髪や肢体、そして自己主張の激しい豊満な双丘は彼女の格好も相まって艶やかさを増徴させて―――、

 

「つつつ士君は見ちゃダメぇ!!」

 

などと冷静に分析していたら顔を真っ赤にした歩夢に思いっきり目を押さえつけられる。

そこでようやく音羽とか言うその女は俺達の存在に気付いたのか、醜態を晒したのにも関わらず特に恥じる様子もなくそれどころか不機嫌そうにこちらに顔を向ける。俺には見えないが。

 

「む・・・・・・渡に何か用? 生憎渡の下半身事情ならあたしで間に合ってますけど」

 

「お前で間に合わせた記憶もない。・・・いいから離れろ。そして服を着ろ」

 

「ぶー。邪魔者はんたーい」

 

と文句を垂れつつも部外者に裸体を晒すつもりはないのか、素直に変態女が引き下がってゆく。

 

「・・・悪いな。見苦しいものを…」

 

「お前も大変だな・・・・・・あれが同居人か?」

 

「・・・誠に遺憾ながらな。コイツは―――」

 

「羽島音羽でーす! 渡の妻だよ!」

 

「―――登音羽。境遇が似ててな、世にあぶれた者同士ここで身を潜めてる」

 

「当たり前のように無視決め込まないで!?」

 

コイツなかなかやるな。

音速で着衣を済ませてきた登の妄言を見事なまでにスルーして見せ、渡は淡々と話を進める。

 

「世にあぶれたってどういう・・・」

 

「ちょっとー? 誰の許可得て渡に話しかけてるの?」

 

「情緒不安定かコイツ・・・」

 

渡に対する求愛行動といい歩夢に対する明らかな敵意と言い野生動物か何かなのかこの女は。

 

「アイツだけでも邪魔だってのにこんな子まで・・・」

 

「落ち着けそんなんじゃない。てか士といる時点で察しろ」

 

「やーごめんね誤解してたー」

 

「変わり身早!?」

 

恋敵でなくなれば他はどうでもいいのか、コークスクリューが如し勢いで手のひらを返した登が人懐っこい笑みで歩夢の手を取る。

かなり個性の強い奴等の集まりだった虹ヶ咲にもこの手のタイプはいなかったので歩夢も対応に困っているように見えた。

 

「それで? 世にあぶれてるってのはどういうこった」

 

「それについてはちゃんと答えるが・・・・・・先にこっちの質問に答えてくれ。どうしてお前はキバの事を知っていた」

 

「え・・・・・・?」

 

クウガの世界同様、この世界でも仮面ライダーの存在は一般に認知されているものではないのか。

渡のみならず歩夢を振り回していた登もその手を止めて俺の答えを待っている。

 

「・・・ちょっと長くなるぞ」

 

 どうせ隠すようなものでもないし、それでこの世界とキバの情報を得られるなら安いもんだ。

 そこで話した。俺の力や記憶の話、俺達や他のライダーの世界が崩壊の危機にある事、俺はそれを防ぐためにそれぞれの世界を回っている事。話せる限りの全てを。

 

『なるほど。そういう事だったか』

 

 話を終え若干空気が重くなったこの場で最初に口を開いたのは渡でも登でもなくキバットだった。

 

「どういうことだ?」

 

『この二人のライフエナジーが他の人間と異質なのが気になってたんだよ。けど別の世界から来たってんなら納得だな』

 

 ライフエナジーというのは生命が持つ魂やエネルギーのようなもので、この世界ではファンガイア等の魔族の他人間でさえこれを摂取して生きている。

 そのライフエナジーの質や循環に明確な違いがあるのがこの世界の人間ではない証拠だ。それがキバットの主張だった。

 

「・・・まあ、とりあえず。俺が飛ばされたって事はこの世界にも何かしらの危機が迫ってるって事だが・・・・・・何か心当たりは?」

 

「はい! はい! 渡があたしと合体してくれない!」

 

「それはお前の中だけの危機にしておけ」

 

『・・・・・・いや、言い方がアレなだけであながち間違ってる訳でもないんだよなぁ・・・・・・これが・・・』

 

「・・・・・・はぁ?」

 

 まさかの告白に歩夢と揃って渡の方を見やる。

 

「・・・それに関しては俺達があぶれ者な訳・・・・・・出自に関係するんだけどな・・・」

 

『そこからは俺から説明しよう』

 

渡の言葉を継いだ、キバットとはまた別の蝙蝠。

明るい体色のキバットとは違い、赤と黒の、血を連想させるそれはまるでキバットの対を成すような存在にも思えた。

 

『父ちゃん・・・・・・珍しいじゃねぇか俺達以外の前に出てくるなんて』

 

『・・・渡や音羽と同じような気配を感じたものでな。話す価値はあるだろう』

 

やたら似ているなと思ったがなるほど親子らしい。

キバットの父―――後にキバットバットⅡ世と名乗ったその蝙蝠は、雰囲気や声音の威厳に似合わぬパタパタとした羽ばたきで音羽の頭へと降り立つ。

 

『渡と音羽。此奴等は人間とファンガイアの間に生まれた混血児なのだ・・・・・・故にどちら側にも属することが出来ず、あぶれ者としてここに潜んでいる』

 

「・・・人とファンガイアの・・・・・・ハーフ・・・・・・?」

 

『出来るんだよ。現にマーマン族は人間に自分の子を宿して繁殖することもあるしな』

 

信じられないといった顔をする歩夢にキバットが補足を入れる。

この世界の人間は特殊な能力を持たない代わりに万能性を備えており、故に全ての種族との交配が可能・・・・・・続けてキバットはそう語った。

 

「・・・人間と交配する種族がいるんならある程度理解があってもいいと思うけどな」

 

『もちろんそれが出来れば一番なんだがな・・・』

 

『・・・だがファンガイアの掟はそれを許さなかった』

 

人間の社会に法律という規則があるように、ファンガイアの社会にもファンガイアの規則がある。

この世界の魔族で最強の力を持つファンガイア。故にその掟も厳しく、自分達よりも弱い種族・・・即ち人間との恋愛は固く禁じられているらしい。

 

つまりその掟を破った者達の間に生まれた渡と登は、ファンガイアにとっては存在してはいけない禁断の混血児ということになる。

 

「・・・お前等の出自は大体分かった。だがそれがどうしてこの世界の危機と関係がある」

 

『・・・代々、ファンガイアはその代で最も強い力を持つキング、ないしはクイーンいう存在が治めるものなのだが・・・・・・今はそれが不在でな』

 

「え・・・・・・どうして・・・・・・」

 

「・・・あたしが殺したから」

 

それまで黙っていた登の一言に歩夢の表情が凍り付く。

衝撃のカミングアウトを放った登からはあの耀げな雰囲気が消え、その瞳の奥には到底俺達には触れることなど出来ないだろう闇が渦巻いていた。

 

『・・・・・・出自の話に戻ろう。既に言った通り、この二人は人間とファンガイアの混血児。…しかもキングとクイーンの子と言う禁断中の禁断の存在だ』

 

「ファンガイアの王が掟を破ったってことか・・・・・・?」

 

「・・・ん? てことは二人は兄妹・・・?」

 

ふと歩夢がそんなことを口にする。

だがそんな純朴な疑問もコイツ等にとっては爆弾も同義だったのか、更に重くなった空気が圧し掛かってくる。

 

「・・・名義上はな。けど俺達に血の繋がりはない」

 

「・・・渡はキングが人間との間に作った子供。そしてあたしはクイーンと人間の間に生まれたの」

 

『・・・・・・そしてそれが悲劇を生んだ。音羽が自分以外の者、しかもよりによって人間との間に生まれた子供だと知ったキングは激怒し・・・・・・クイーンと音羽を殺そうとした』

 

Ⅱ世によると渡の父―――先代キングは支配欲が強く、自分の意にそぐわない者や気に入らない者は躊躇わず始末する奴だったらしい。

代々ファンガイアの統治はキングの独裁が主だったらしいが、渡の父の代は特にそれが顕著だったのが伺える。

 

「ひどい・・・・・・自分だってクイーンさんのこと裏切ってたのに・・・・・・」

 

『そういうもんなんだよ、ファンガイアってのは。で、怒り狂ったキングによってクイーンは殺され、あわや音羽も・・・って思われたその時だったよ』

 

『・・・・・・死が迫った極限状態により音羽はファンガイアの血に目覚め、クイーンの一族に代々伝わる暗黒の鎧の装着資格を得たことで逆にキングを殺した』

 

愛憎に塗れた大人の・・・しかも肉親の争いに巻き込まれ、結果として登はその手を血に染めた。

そしてそれは同時に、登が渡から父を奪ったということにもなる。

 

『キングとクイーンが死んだことでファンガイアの秩序は崩壊。その結果押さえつけていた奴がいなくなったことで自分がキングになろうとする奴や好き勝手やってる奴が溢れてこのザマだ』

 

つまり再び無法者のファンガイア共を統括する存在が必要ということだが、これがかなり厄介なことになってるそうな。

ファンガイアの王のシステムは人間の作った王朝と似ており、先代キングの血族か下剋上を起こしキングを倒した者が王位に就く慣習らしい。

 

つまりそれに従えば現在王座に就く資格を得ているのは先代キングの子である渡かキングを殺した登ということになるが・・・・・・、

 

『知っての通り、いくら暗黒の鎧があるとは言え音羽はキングの血を引いていない上に人間との混血児・・・・・・当然認めないファンガイアも多くいる』

 

『渡もキングの血を引いちゃいるが全てのファンガイアを統率できる程の力はまだない。コイツが音羽の暗黒の鎧と対を成す黄金の鎧・・・つまりキバの真の力を開放できてればな・・・』

 

「・・・・・・だから渡と登がくっつけば王位の正当性とファンガイア共を押さえつける力が同時に手に入る・・・・・・晴れてキングとクイーンの誕生ってことか」

 

「そういうこと。あたしはいつでもウェルカムなんだけど、渡がね・・・・・・」

 

キバット親子に登、そして俺と歩夢の視線が渡へと向く。

血筋や王位がどうとかという以前に、ファンガイアとのハーフだが渡も立派に意思を持った一人の人間。きっと誰も無理強いなどはしていないのだろうが、渡自身がそれをどう受け止めているのか・・・。

 

「・・・・・・今日はもう遅いな。部屋の空きがあるから泊まってけよ」

 

別世界から来た俺達を気遣う素振りを見せ、王位の重荷や、また別の何かから逃げるように渡が奥へと消えていく。

 

・・・・・・どうやら、この世界も一筋縄ではいかないらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・やっぱ同じ部屋っておかしいだろ・・・」

 

「まあまあ、泊めてもらえただけでありがたいよ」

 

翌朝。

警察寮があったクウガの世界と違いこちらでは泊まる場所もなかったため、お言葉に甘え通された部屋で一晩を明かした。

 

どういう訳か同じ部屋に通されたのが引っかかるが・・・・・・まあ確かに贅沢は言ってられないだろう。

 

「・・・ねえ、士君がウチに来たばかりだった頃覚えてる? あの時も―――」

 

「悪い忘れた」

 

「そんなぁ!?」

 

まあ実際は覚えているのだがこっぱずかしいしそれより優先すべきことがある。

渡がファンガイアの王になるのを受け入れない理由。昨晩の様子からしてキングとしての重荷やこんな形で登と婚約をすることに対する抵抗以外にも何かがある。

 

とはいえまだ渡に関する情報が少ない。とりあえず今日はアイツの事を調べると―――、

 

『おい・・・嘘だろ・・・。コイツ等一晩同じ部屋にいてイチャつきすらしなかったぞ・・・・・・』

 

「何呑気に鑑賞してやがるエロ蝙蝠」

 

何を期待していたのか、部屋の隅からこちらを観察してやがったキバット。同じ部屋にしてやろうとか言いだしたのも恐らくコイツだろう。

 

「あれ・・・? お客さんかな・・・」

 

俺が逃げ損ねたキバットの羽をつまんでぶん回していると、窓の外を眺めていた歩夢が訪問客の存在を告げる。

渡や登曰くたまに来る新聞業者などは居留守を使って無視をしているらしいが、歩夢の反応からしてその類ではないようだ。

 

そう思い、俺もその様子を伺おうと窓枠まで移動する。

 

『お? アイツは…』

 

「・・・あの人って・・・」

 

見覚えがあるように声を上げる歩夢とキバット。俺だけが誰か分からない。

というか、歩夢が見覚えのある人物と言えば・・・、

 

「そうだアイツ・・・」

 

そこでようやく思い当たる記憶を弾き出す。

間違いなく美人と見なされるであろう釣り目が特徴の整った顔立ちに、バレッタで纏められた長く繊細なワインレッドの髪。

 

確か歩夢達虹ヶ咲の連中の憧れであるスクールアイドルグループ―――Aqoursのメンバー・・・・・・

 

 

 

「・・・桜内梨子・・・・・・」

 

 




はい。色々と情報量が多く影が薄くなっていますがキバ編のヒロインは桜内さんです・・・コラそこ音羽とどっちがヒロインか分からないとか言わない

でまあその音羽とキバ編のライダー渡君はそれぞれファンガイアの王と女王の子供
本編で語った通り結構過去は重いです

なんでⅡ世が息子と仲良くくらしてるかは大体キバ本編でⅡ世がキングを裏切った時と同じ事が起こったと考えてください。この世界でのキバット一族はクイーンの家系に使えていた事になるので。喋り方に違和感覚えてても気にするな掴みにくいんだよ


それでは次回で
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