なざりっく!   作:田島

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お嫁さんを探そう!

「さて、今日お前たち二人に来てもらった用件だが、嫁探しをしてもらう」

「……妃候補であればアルベドとシャルティアがおりますが、アインズ様はやはりあの二人にはご不満をお持ちなのでしょうか?」

「ちがーう! 私の話ではない! 私に妃を選べというなら、まずはお前たちが家庭を持ってもらおう! 家庭の素晴らしさを見せつけ、私に妃を選びたいという気持ちを起こさせてみろ!」

 びしりと指差すが、デミウルゴスもコキュートスも今ひとつピンと来ていない様子で、はぁと力なく返事した。

 ナザリック地下大墳墓第九階層、アインズの個人部屋兼執務室。今日呼んだのはデミウルゴスとコキュートス。さっき言った通り嫁探しをしてもらう。セバスにはツアレがいるし、マーレにはまだ早い話なので呼んでいない。黒歴史のことは意識的に無視した。

「まあ、漠然と探せと言ったところでお前たちも困るだろうからな。まずはどのような女性ならば妻として迎え入れてもいいと考えているのかお前たちの考えを聞こうと思うのだが、コキュートスはどのような女性が好みなのだ?」

「ハァ……考エタ事モゴザイマセンノデ分カリカネマス……」

 表情はさっぱり分からないが、コキュートスの声色には明らかに困惑の色があった。分かるわー、武芸の鍛錬で忙しくて女とか興味なさそうだわー、思わずアインズは納得しそうになった。

「……デミウルゴスは?」

「はぁ……ある程度丈夫であれば特に好みといったものはございませんが……強いて言えば好みの声かどうかでしょうか」

「声か、なかなか渋い基準だな。色っぽい声が好きとか可愛らしい声が好きとか、声にも色々あるが」

「そうですね……引きずり出した腸を千切った時の言葉にならない絶叫のような苦悶の声が理想なのですが」

「は、え……あ、ち、ちぎ……?」

 突然グロ耐性を要求され今度はアインズが強烈に困惑する。嫁探しだと言った筈なのだが、こいつは嫁に何をするつもりなのだろう?

「あのな……嫁だぞ? 妻、ワイフ。妻の腸を引きずり出す奴がどこにいる」

「ああ、左様でございますね。うっかりして純粋な好みの話をしてしまいました、大変失礼いたしました」

「いやいいのだが……ちなみに丈夫な方がいいのはどうしてだ?」

「あまりに脆弱だと治癒魔法をかける前にすぐ死んでしまいますので、ある程度は丈夫だと助かります」

「いやだから! 妻に何をするつもりなのだお前は!」

「ああ、そうですね、妻の腹は裂きませんか……」

「皮も爪も剥ぐなよ! というか普通は流血はしないから治癒魔法はいらない!」

「……そうなると妻を迎えるというのは一体何が楽しいのでしょうか?」

 普段どんなプレイしてるんだこいつ、アインズは正直これ以上ないほどドン引いていた。

「楽しいというか……お前とて私に妃を迎えろと言う理由は楽しいからではあるまい」

「ナザリックの絶対の支配者であらせられるアインズ様には当然相応しい格を持った妃が必要でございますし、お世継ぎの誕生をナザリックの全ての者が待ち詫びておりますので、ぜひ前向きにご検討いただきたく存じます」

「前向きに検討する材料として、まずお前たちに明るい家庭を築いてもらい、私が妃を迎えたくなるようにしてほしい……のだが……」

 言いながらもアインズは、デミウルゴスには全く期待できないな、と思えて語尾に勢いがなくなってしまった。一方コキュートスはといえば武芸以外の事は恐らく全く興味がないだろう。

「ふむ、それならば君はナーベラルと結ばれればよいのではないかね? アインズ様もお喜びになるだろうし」

「ナゼソウナル……ナーベラルハ友人ダ」

「君にとってはそうでもナーベラルがどう考えているかは分からないだろう? 気付いているかは知らないが、君と話している時のナーベラルはとても饒舌になる。君のことを憎からず思っているのではないかな? 少なくともナザリックの中でも飛び抜けて話しやすい相手、ということではないかね?」

 五大最悪を六大最悪に増やして性癖最悪の称号を与えたいくらいに本人は性癖が破綻しすぎていて家庭とか嫁とかとても無理そうだが、デミウルゴスは他人のことはよく見えている。コキュートスがナーベラルと仲がいいというのはアインズは知らなかったが意外だ。創造主である武人建御雷さんと弐式炎雷さんもとても仲が良かったので創造主の関係を引き継いで相性がいいのだろう。

「それが本当ならぜひ応援したい関係だが、二重の影(ドッペルゲンガー)は生殖は可能なのか? 特に設定はなかったと思うのでよく分からんのだが……」

「それは、実際試してみなければ分からない部分ではございますね。異種族間の交配よりは同種の方が可能性は高くなるかとは思いますが……」

 同種、つまり二重の影(ドッペルゲンガー)または上位・二重の影(グレーター・ドッペルゲンガー)。頭から追い出した筈の黒歴史が自己主張激しく顔を覗かせかけて、慌ててアインズは頭の中から振り払う。

「いや、いい……お互いが望んでのことならば歓迎できるが、コキュートスも無理にナーベラルと結ばれることはない。妙な事を言い出してしまって悪かった。明るい家庭についてはセバスに期待することにする……」

「かしこまりました。最近では痺れを切らしたツアレの方からアプローチをかけているようですので、あの調子ではアインズ様に明るい家庭をお目にかけられるのがいつになるのかは不安ではございますが……お役に立てず汗顔の至りでございます」

「申シ訳ゴザイマセン……」

「二人とも気にするな……」

 家族を作るのって、難しいなぁ……しみじみと思うアインズであった。

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