基本ゲーム脳。趣味第一。逸般人です。
「………ナニ?この展開。テンプレ?」
特別。
特別な存在。
特別な存在になりたい。
それは一度は抱く機会の有る願望だと思う。
英雄願望。
端的に言うなら、自分も物語の主人公のようになりたい!
的な?身の程知らずで経験の足りない子供特有の病気なアレだ。
自身も患った経験は有るが、既に完治している。
キッカケは何だっただろう?
如何にもモブのヤラレ役系クラスメイト相手にケンカで負けた時か?
或いは意気込んでクラス委員に立候補して、
面倒でツマラナイ。ただ時間を浪費するダケの雑用仕事を処理し続けて、
何のイベントも無いのだと知った時だったか?
自分に特別な力は無い。
特別な運命ってヤツも無い。
自分は特別じゃ無かった。
にしてもザコい。思い返して見ると実にザコい。
某全能系未覚醒ヒロインが?
野球場に詰め駆けた観客を見て、
自分がありふれた特別では無い人間だと思い知らされるイベントより、
圧倒的にザコく、ありふれている。
が、確かに自分は特別では無い。ありふれた存在だと認識したんだ。
「いやっ!離してっっ!!」
さて、そろそろ現実世界に戻ろう。
手垢の付いた余りのテンプレを前に、ログってしまった。
視界に入った路地の先には、
名前も咄嗟に出ない程度の知った顔のクラスメイトの女子が一人。
頭の悪そうなガタイの良い男が二人。
クラスメイトの女子は既に腕をつかまれていて、
全力で拒否っているようだが、男二人は逃がす気は無い模様。
強引なナンパ。と言った展開と思われる。
因みにクラスメイトの女子を含めた三人は、
表通りからは視界に入り難い路地に居る。
辺りに人影は少なく、路地に注意を向ける者は居ないようだ。
何と言うテンプレ!と言いたくなる。
が、これはゲームでもラノベでも無い。リアルイベントだ。
リアルに御丁寧な年齢認証のタグは無い。
最悪の場合!未成年だろうと18禁ルートに強制突入だ。
これがフィクションなら?
颯爽と主人公キャラが現れて、ヒロインを救出するシーンだろう。
が、現実にそんなヤツは居ない。
当然ながら?自分もそんなテンプレ主人公では無い。
ただのインドアゲーマーだ。ありふれたモブ男子Bと言った処だろう。
作中にヴォイスが入っていれば御の字だ。立ち絵が在れば奇跡のLv!
「………ッ!」
「何だよ。その目は」
此処で取るべき行動は、Uターン一択だろう。
見なかった事にして、ありふれた日常に戻るって事だ。
自分に何が出来る?無力なゲーマーだろ??
精々通報でもして、クラスメイトの無事を祈る程度だ。
飛び出して助ける!何て器じゃ無い。
だが目が合った。
「助けて」と。手を伸ばされた気がした。
ゲームのやり過ぎ。ラノベの読み過ぎ。
と自分に失望しながら前に出る。
突発イベント発生。回収を選択!ゲーマーの常識だろ?
「ありがとう。
………清水。だよね?」
「そう言うオマエは………
あぁ、園部か」
ナンパ男(仮)二人の撃破に成功。
救出したクラスメイトはやや呆然とした表情でコチラを見て、
名前を呼ばれた辺りで、コチラもクラスメイトの名前を思い出した。
「………如何にも、
今までクラスメイトの名前も忘れてました。ってリアクションじゃない?」
「使う機会の無い名前だからな、
忘れていても不都合は無いだろ?」
と言うと?恋愛ゲーで言う処の、好感度が下がったような顔をする。
がそれこそ問題無い。今は恋愛ゲーのプレイ中では無いからだ。
「………で、清水?
改めて聞くけど、ソレは?」
「あぁ、コレか?」
園部の視線は、両手に握られた得物に向けられている。
たった今、ナンパ男(仮)二人を沈めた得物だ。
「何処にでも有るありふれた改造スタンガン二刀流だ。
防犯コーナーとかで見た事位有るだろう?」
因みに今回は?
既に園部が囚われていたので、本当の奥の手の放射型スタンガンは使っていない。
出力リミッターを解放した改造スタンガンのみ使用した。
「ちょっ!?
改造って!」
「………何だ?
園部は、男なら素手で戦え!とでも言う奴か?」
ゲーマーには過度な期待だ。
話はソレダケか?とばかりに背を向ける。
足元にはナンパ男(仮)二人が倒れたままだ。
さっさと退散した方が良いだろう。
「本当にありがとう。
………意外だったけど」
それは目が合った時の事か。
当然だろう。助ける気は無かった。
だが知っていた。
俯いて目を反らしてしまえば、何事も無く安全だったかもしれない。
だがそこには、何のイベントも無い。
息をするダケの生活。
フラグを盛大に逃した共通ルートの後半的な展開だ。
手を伸ばさない者に、イベントはつかめ無い。
「………怒った?」
「いや、園部が無事で良かった。
とでも言うシーンかな?とは思った」
だから特別でなくても、
ありふれていようとも手を伸ばそうと思う。
†
「はいはい。テンプレテンプレ」
最近はテンプレに愛されているのだろうか?
それともこれはコモンイベントの類なのか?
何にしてもレア度が低い事に違いは無い。
「………チッ、清水か」
人気の無い学園の階段。
昼休みが終る直前の空白。
膝を付く南雲の姿。
珍しく一人の檜山。
手は拳を作り、苛立たし気な表情。
ありふれたイジメで現場確定。
「意外だな、
ソロプレイ中か?」
レア度のついでに沸点も低い。
チャットをしながら何気無く南雲に近づくと、
檜山は当たり前の事のように殴り掛って来る。
先に前提条件の話をしよう。
ハッキリ言って、檜山はケンカが強い訳では無い。
腕力が強い訳でも、体力が有る訳でも無い。
足が速い訳でも無いし、場数を踏んでいる訳でも無いだろう。
注意すべき道具を常備している訳でも、
ましてやファンタジースキルを有している!と言う事も無いだろう。
檜山が持つ手札は、ただ数で押す事。物量戦ダケだ。
だと言うのに、今の檜山は一人。ソロだ。
ソロは絶好の狙い目。狩られるのが常道!
これなら勝てる!己の迂闊さを呪うと良い♪
「………不幸な事故だな?」
難無く殴り掛る檜山の攻撃を回避!
ついでに足を掛ける。
檜山は反撃を想定していなかったのだろう。
アッサリ掛かる。
そして此処は人気の無い階段の近く。
もう解っただろう?
「うわぁ、言い切った。
しれっと言い切った!」
我が希少な友の南雲が、若干非難めいた声で告げる。
被害者の身で、中々心の広いヤツだった。
何か問題が有っただろうか?
「大丈夫だ。問題無い」
結局檜山は入院した。全治一ヶ月らしい。
詳しい事は知らない。何も係わっていないからだ。
だが退院後、檜山は一生感謝する事になる。
この一ヶ月の入院中に、あの事件が起きたからだ。
†
「まさかのラスボス化!
愉しませてくれる」
今週も週末の愉しみを視聴し終える。
既に深夜を随分と回っているが、後悔は無い。
当初は大きな期待は無かった。
自分はRPG畑出身の現恋愛ゲー押しのゲーマーだった。
物語には?恋愛要素が欲しい!と思う人種で、
女性キャラオンリーの物語の評価は渋いユーザーだ。
が、特にこの物語にはその手の破綻性は感じ無かった。
メインが女性キャラのみでも、特に問題無く視聴デキる。
「………千年の妄執。
諦観。孤独かね?」
自分には何も無い。と嘆く主人公も魅力的だった。
強キャラ仕様のヒロインは、概ね守備範囲だった。
白い巫女の敗北は意外だった。勝ち確フラグだと思っていた。
だが特筆すべきは?ラスボスさんだろう。
まさかコイツがラスボス化するとか!
たしかに他に敵は居なかった。
だから最後は?主人公とヒロインが、親友バトルをするのかと思った。
だが実際は残った敵のラスボス化!
コイツ潜んでやがった!伏兵である。
だが、もしこのラスボスさんにルートが在ったら?
抱き寄せて、よしよしとしたくなるモノである。
「お疲れさま」と言うヤツだ。
怒るだろうか?泣くだろうか?出来る事なら泣かせたい。
彼女を泣かせられる奴が居れば良い。
そう言う物語じゃないだろうって?知ってる。
キレイにし過ぎるとキャラ崩壊だろうって?それも知ってる。
だがそれが許されるのが?恋愛ゲーであり、ルート分岐だと思っている。
「それはジャンル違いだろ?
ってクレームは無しの方向で頼む」
その独り言に応える者は当然居ない。
戯言だった。
この清水(挫折)を見て、どの辺りがモブなの?
と思ってくれたら嬉しいです。
作中の某全能系未覚醒ヒロインとは?
涼宮ハルヒの憂鬱シリーズのハルヒの事。
私は作中でも語った、野球場のシーンが好きです。