ありふれた英雄願望(挫折)で世界最強   作:LW

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サブタイトルは閨(ねや)と読みます。
直訳で女性の部屋。と言う意味ですが?
私が初めてこの単語を知った物語では、アレ方面で使っていました。


09 水晶の閨

「結局、確か此処は………」

 

残念だが?そろそろ水晶の膝から起きるとしよう。

いつまでも寝ている訳にも行かない。

 

「マスター、残念そうな顔☆

 そんなに水晶さんの膝が気に入ったの?」

 

「否定はしない。また堪能したい処だ」

 

「素直なマスター☆

 いいわ。今晩にでも、また堪能させてアゲル☆」

 

辺りを見渡す。

最近見慣れた迷宮内ではあるが?何か空気が違う。

首元に死神の鎌を、常に突き付けられているような?死の気配。

 

「此処はマスターが攻略中だった、

 オルクス大迷宮100階層の更に深層に存在する真の大迷宮。奈落よ」

 

立ち上がった水晶が応える。

確かチラリと、そんな説明を受けたな?

 

「奈落の構成階層は、上の表層と同じく100階層!

 詰り地上から数えると?大迷宮は200階層だったって事になるわ」

 

「………大迷宮の名に恥じない広大さだな。

 何の為の大迷宮だ?」

 

「反逆者の住処」

 

「反逆者?」

 

「そ、反逆者。

 この世界の神であるエヒト神に逆らったって言う奴等の事よ。

 その主要メンバーである七人の反逆者。

 このオルクス大迷宮は、その内の一人の隠れ家ってワケ」

 

「確か大迷宮は七つ在った筈だ。なら七つとも?」

 

「そうなるって事でしょ?」

 

余り興味無さ気な顔。

自分が出るに出られ無かった大迷宮。良い感情は持っていない様子だ。

 

「具体的にはどうする?

 出口に心当たりは?」

 

「私一人なら?精霊の姿に戻って、もう一度谷を昇れば良い。

 でもそれじゃ意味が無い」

 

水晶は自分と従属目録で繋がる事で、

結晶精霊としての帰巣本能を克服した。

外に出る為には、コチラの存在が必要不可欠となる。

 

「なら、どうする?」

 

「奈落の底。

 奈落の最下層にある反逆者の住処をアテにしましょう。

 常識的に考えて、自分用の出入り手段位用意してるでしょ?」

 

こうして水晶と共に、奈落の探索は始った。

目指すは奈落の最下層。反逆者の住処!

だがそう経たない内に?奈落の恐ろしさを学ぶ事になる。

 

生息する魔物が鬼強い!

今まで攻略していた表層の魔物とはケタが違う!

水晶が居なければ?何度死んでいたか、解らない強さだ。

 

「うっわ~~寄生プレイです。

 それとも姫プレイ?何にしても出番が無い」

 

「その寄生プレイとかでもLvは上がるでしょう?

 それから戦うって事で☆」

 

「水晶が駄目人間製造機です。

 だが他に本当に手段が!」

 

水晶が本当に圧倒的だった。流石のラスボス!

鬼強い奈落の魔物が?ゴミクズにしか見え無い。

出番の無いまま、一日目の探索終了。

 

そして夜は夜で?ずっと水晶のターン!

就寝中に魔物に襲われないように?水晶の張った結界の中で休む。

更に食事!食糧は無いが、水晶が魔法で水を出す。

しかも現代知識チートで、栄養補給飲料を造りやがった!

水晶は生きた神結晶の結晶精霊だから、神水を殆ど無尽蔵に出せる。

その神水を魔法で、栄養補給飲料に加工したらしい。

詰り水で、食事の代りに栄養補給が出来る。

 

更に就寝時には膝枕では無く、添寝された。

戦闘でも生活でも役に立たない自分。

水晶が居なければ生きて行けない自分。

夜に優しく抱き締められると、つい甘えてしまう。

優しく融かされてしまう。そんな日が続いた。

 

「………良いのよ?

 私がずぅ~っとずぅ~っと、抱き締めてあげるから☆」

 

 

また、求めてしまった。

奈落に墜ちてから、やる事が本当に無い。

生息する魔物は強くて、自分はいつまでも戦力外。

食糧は無く、水を造るのも水晶の魔法。

寝床の安全を護るのも水晶の魔法だった。

自分は何も出来ない。

 

そんな何も出来ない自分を、水晶は抱き締めてくれる。

在る日、とうとう水晶を求めた。水晶は拒ま無かった。

それ処か?それから毎晩水晶を求めた。

至福だった。満たされた日々だった。

だがダメだ。

これは自分が忌み嫌う、呼吸するだけの生活だ。

このままじゃ、ダメだ。

 

「………ふ~ん。戻って来たんだ?

 このまま融かしてあげようと思ってたのに☆」

 

「やっぱり狙ってたな?」

 

「絶好の機会だと思って☆

 これも私の愛よ?」

 

「否定はしないがな?」

 

水晶が奈落で護ってくれた事も、

甲斐甲斐しく世話を焼いてくれた事も、

自分を受け入れてくれた事も、疑う心算は無い。

 

だがダメだった。このままでは心が死ぬ。

呼吸するだけの存在になり下り、もう戻れない。

そんな存在になり果てて、生きてどうする?

生きる為に自分を失くしてしまったら、生きる意味が無くなる。

それは避けなければならない。自分を失くしてはならない!

 

「………私はこのままでも良かったのに☆

 でも?男が良い男になろうとしてるのを止めるのは、

 良い女のする事じゃないでしょ☆」

 

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技能:

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

■■■■■■■■■■■■■■■■真名看破・コネクト・永劫の誓い・言語理解

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コネクト

効果/

結晶精霊の種族技能。

結晶精霊と接続して、その力を借り受ける。

但し接続には、結晶精霊の信頼が一定以上必要。

借り受けられる力の上限も、信頼度に依存する。

====================================

 

「………これが、マスターの在り方なのね?」

 

 

決意を新たにしたあの日、水晶の新たなスキルが解放された。

【コネクト】

水晶と接続して、ステータスとスキルの一部を借り受けるスキルだ。

このスキルの発動中、

水晶は精霊形体に戻り、コチラと同化している。

 

「私はマスターの中で休むから、頑張って☆」

 

そして訪れる万能の魔力!何と言う万能感!!

だが溺れてはならない。これは水晶の力。水晶が貸してくれた力。

コチラのワガママに付き合ってくれた力だ。

 

「………そんなに肩に力を入れなくても良いのに?

 私達は元より一心同体。そうでしょ?」

 

同化中でも、心に水晶の声が聞こえる。

大丈夫だ!問題無い。水晶の声が在る限り、この魔力に溺れる事は無い。

 

「【穿針】【棘影】」

 

奈落の魔物。二本尾の狼、通称二又と遭遇。戦闘を始める。

コイツの事は知っている。水晶がアッサリ無双していた。

奈落の魔物は余裕で固有魔法持ちだ。その隙は与えない!

大量の【穿針】を放ち、固有魔法を使う暇も俊足の機動力も封じる。

行動範囲を誘導して、【棘影】で刺し貫き続けた。

例え動かなくなっても?確実に魔石を破壊した。そこで残心。

周囲の安全を確認。ようやく戦闘が終ったのだと安堵する。

 

「大丈夫よ、マスター。貴方の勝ち。

 おめでとう。奈落での初勝利よ☆」

 

「………あぁ」

 

凄まじい緊張感!そして勝利の余韻!

初めて魔物と戦った時よりも緊張したし、勝って生き残った事が嬉しい。

これが本当の命の奪い合い!これが実戦!

これに比べたら、表層での戦いはヌルゲーである。

 

「………待っていた!」

 

「ギュギュッッ!!!」

 

次に現れたのは、二匹の蹴兎。

もう兎と言うには、色々と間違っている武闘派の魔物だ。

固有魔法で空中二段ジャンプとかも、普通に仕掛けて来る。

だが今回は、敢て空中二段ジャンプを使わせた。

蹴兎が用意した足場を、【穿針】で破壊。

空中でバランスを崩す蹴兎A。

そのまま【闇撫】で魔石を握り潰して仕留める。

 

「ギュギュッッ!!!」

 

だが仲間が仕留められても、蹴兎Bは怯まない。

迷わず得意の空中二段ジャンプで、回し蹴りを放つ!

攻撃がガードした腕に入るが、ダメージは即座に回復する。

 

「マスター。しっかり☆」

 

「助かる」

 

水晶が体内で、神水を出してくれたようだ。

オートリジェネ状態である。

 

「【吸魔】【棘影】」

 

「ギュギュッッ!!!」

 

水晶とのコネクトで、

効果範囲も吸収効率も一気に膨れ上がった【吸魔】で、

蹴兎Bの動きを止めて、即座に連続発動させた【棘影】で串刺しにする。

勿論魔石の破壊も忘れない。そうして二匹の蹴兎を仕留めた。

 

「………コイツは」

 

暫くして現れたのは、奈落では初見の魔物。

だがコイツは知っている。

表層60階層の中ボス。四足獣ことベヒモスだ。

 

「ボスキャラが後半ではエンカウントで出る。お約束だな!」

 

だがベヒモスの攻撃パターンは既に把握している。

しかも表層60階層のような、広い直線スペースの無い此処では?

ベヒモスの突進系スキルも活かせない。ただのデカブツだった。

 

「終りだ。【陽影】」

 

しぶといだけのデカブツに止めを刺す。

奈落では、コイツも捕食されるだけの存在だと言う事だ。

 

「お疲れ様。今日はそろそろ休みましょう?」

 

「………あぁ、そうだな」

 

水晶がコネクトを解除して、人の姿で現れる。

結界を張り、今日の寝床を確保。

ベッドはいつも通り、水魔法で作ったウォーターベッドだ。

因みに風呂も有る。

土魔法で穴を掘り、コーティング。

水と火の魔法で湯を張った。もう何でもアリである。

 

「今日はマスターの初勝利のお祝いに、サービスタイム☆」

 

いつもの水晶手製の栄養補給飲料を飲む。

今日は文字通りのサービスタイム。口移しだった。

水晶の感触は、今日も瑞々しい。

 

「………今日は、どうする?」

 

「勿論、頂く」




今回は水晶のヤヴァイ処も感じて欲しいと思いました。
水晶に男が出来たら、こうなりそうな気がする!(妄想)

爪熊はハジメの宿敵なので、別の者を用意。
またしてもベヒモスさんはカマセに☆
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