ありふれた英雄願望(挫折)で世界最強   作:LW

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ライセン大迷宮編の始りです。
オリ展開入ります。目指すは王都!


14 啓示

「間に合わ無かった。と言う事か?」

 

王都の亜人街に戻って来る。

マスターと歌姫が出逢った枯れた噴水の前。

此処でまた逢おうと約束した訳じゃないのに。

だけどマスターは此処に戻って来て、

歌姫を探すけどその姿は無くて、あの歌も聴こえない。

 

全てが遅かった。

そう悟るまでマスターは立ち尽くして、やがて亜人街を去る。

取り溢したモノは思ったよりも大きくて、マスターの足取りは重い。

その日はとにかくマスターを元気付ける。旅はまだ続くから。

 

一つの点は交わる事無く終り、

けれどまた、残酷に交差する。

 

依頼で訪れた町。

町に魔物の群が迫る。

魔物は大地を覆い尽す程、やがて町は容易く飲み込まれて消えて行く。

それは確定事項。誰もが諦める現実。町の放棄。

けれど最後の手札を持つ者が一人。マスターだった。

正確には私を従えるマスター、

マスター一人だけが、この町の運命を覆す事が出来る。

その事実を知る、マスターの小柄な恩師は懇願する。

町を救って欲しいと。

 

「町を救うのに、コチラに何のメリットが有る?

 他人より自分を選んで何か問題が?」

 

けれどマスターは撤退を選択。

それが小柄な恩師に対する問いの答えだった。

 

「………清水君。何があったんですか?

 確かに清水君は、何処か諦めていた処がありました。

 周囲に何も期待していない処があったと思います。

 でも!それでも!手を伸ばす事が出来る子だった!!

 それでも頑張れる子だった筈です!

 それがどうして、また諦めてしまうようになってしまったの?」

 

対するマスターは何処か空虚で、

目の前の小柄な恩師では無く、此処では無い遠くを見ているよう。

 

「結局、またダメだった。

 またつかめ無かった。

 つかめ無い人間だと思い知らされた。

 やる気が出ない。

 どうしようも無くやる気が出ない。

 こんな時に戦えと?無駄死に確定だ!

 ウルは滅びる。覆す手札何て、無かったって事だ」

 

全てが決しようとしていた。

マスターは動かない。狂乱の魔物は町に迫る。

けれど聴こえて来る。

聴き覚えの在る歌が、聴こえて来る。

 

「………どうして」

 

歌が聴こえる。

狂乱の侵攻を続ける魔物の壁の向こうから、聴き覚えの在る歌が聴こえる。

銀髪の歌姫。

彼女の歌が聴こえる。

 

「約束、果たしに来た」

 

「幸利」

 

結果的に、ウルの町は何とか壊滅を免れる。

マスターは吶喊を選択。魔物の群を貫いて、歌姫に迫る。

けれどマスターを見る歌姫は悲し気で、そこに紡がれる言葉は無かった。

 

「よもやこの数の魔物が敗れるとは、な?

 流石は人類の神の使徒!と言った処か、

 撤退だ。行くぞ?」

 

「………そうね」

 

マスターの手は届かない。赤毛の男と共に撤退して行く。

それから、歌姫との戦いは続いた。

砂漠の大火山。

大海原。

王都の神山。

そして最終決戦。

 

最後の戦いでも、歌姫と戦った。

大量の魔物を、その歌で従える歌姫。もう何度も見た光景。

そうして、最期に倒れるのも歌姫だった。

 

「私の歌を、聴いて欲しかったの。

 でも無理だった。誰も私の歌を聴いてくれない。

 貴方は、私の歌を初めて聴いてくれた。

 聴いてくれたのに、貴方と戦ってしまった。

 ………ごめん、なさい」

 

それが歌姫の最期の言葉。

歌姫はマスターの腕の中で、独り息を引き取る。

 

「おい、逝くな!

 名前、お前の名前もまだ!!」

 

最後にマスターの慟哭が聞こえて、【啓示】は終る。

そうして現在の拠点。奈落の底、解放者の住処で目を覚ます。

 

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技能:

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

■■■■■■■真名看破・啓示・世界の裁定・コネクト・永劫の誓い・言語理解

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啓示

効果/

裁定者(ルーラー)のクラス技能。

裁定者(ルーラー)に関わる分岐点を感知。可能性を予見する。

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「………ダメな娘ね?

 あんなにマスターを悲しませて」

 

身支度を整えて部屋を出る。

暫く世話になったけど、もう今日でお終い。

 

「残念ね、運命さん?

 歌姫はまだその運命に囚われていないし、

 マスターはその結末を許さない。それに私が居るから☆」

 

 

「このままでは、全てが間に合わない。

 そう言う事だな?」

 

水晶から話は聞いた。

このままでは全てが遅くなる。

歌姫は、コチラを待つ事無く王都を去る。

赤毛の男の元へ行き、長く敵対する事になる。

 

「そう言う事☆

 信じられない?」

 

「今更だな?

 信じよう。水晶の言葉だ」

 

全てが始る0日目だ!と言うヤツだろう?知ってる。

ヒロインの死亡から始る物語だ。

ストーリーを進めて、

初めてヒロインの生きている姿を見た時の喜びは、今も覚えている。

アレをリアルで、ガチプレイしろって話だ。

 

「王都に急いで、歌姫に逢えば良い。

 猶予は解るか?」

 

「少なくとも、後一ヶ月経ったらもう間に合わない。

 歌姫は行ってしまう、戻れない道に」

 

なら急ごう!

魔法陣を出て、そこから王都を目指す!

 

「待て!話は聞かせて貰った。

 急ぐのは良いが、準備を怠ってどうする?

 持って行ける物は持って行け」

 

工房から出て来たハジメに呼び止められる。

ユエが呼んで来てくれたらしい。

 

「まずは足だな?

 ライセン大峡谷から、徒歩だの馬車だので王都まで行く気か?

 遅い、遅過ぎる!

 試作品のバイクが有る。それを持って行け、馬車よりは速い」

 

ハジメ製作の魔力駆動二輪。

名前通り魔力で走行するバイクだ。

計画ではスパイ映画宜しく、隠し武器を搭載する予定だったが?

これは試作品なので武装は無し。カラーリングは黒。

 

「幸利の分だからな?

 闇術師らしく色は黒だ。夜間迷彩って事で」

 

「専用カラー!

 それは良いが、名前は?」

 

「乗るのはお前だ。

 付けたければ、好きに付けると良い」

 

「なら、グラで行こう。

 【風の暴食者】的な意味で」

 

「【暴食】(グラ)かよ!

 スピード重視な物に付ける名前じゃない気もするが、

 まぁ良い。何度も言うが、乗るのはお前だからな?」

 

今日は3daysな気分だからな?

何と無くノリで付けた。他意は無い。

 

「それと預かってたオルクスの指輪だな?

 こっちの方も収納空間が起動していた。

 さっきのバイクも余裕で収納出来るし、

 今までお前が貯め込んでた魔石や、

 換金出来そうな魔物素材も入れといたから、

 金が入用になったら売っとけ、途中で町ぐらい寄るだろ?」

 

「あぁ助かる」

 

オスカーの骸骨が持っていた指輪と、

表層30階層のボスドロップの指輪。

機能的な差異が無いか、調べて貰っていた訳だが?

オスカーの方がマスターキー的な代物で、

ボスドロップの方が解放者の住処まで到達しないと、

フルスペックで機能しないように設定されていただけで、

スペック自体は同じだった。

 

それは指輪の収納機能も同じで、

所謂ゲームの道具袋的な機能だ。

詳しい最大収納量は不明だが?

ハジメの言うように、余裕でバイクも収納出来る。

更に車やその他武器類も入ったらしく、荷物運びの苦は無い。

 

「後はこのGPS、ようやく試作品が出来た」

 

「通信衛星も中継用の電波塔も無しにか?」

 

「無しだ。だから所詮はトランシーバーLvだ。

 それでも近くに居れば、何とか行き違いぐらいは防げる。

 どうにも通信系に使える鉱石が、何故か少なかった。

 この辺りじゃ珍しいのかもしれないな?」

 

見た目はどう見ても、ただのコンパスだ。

極短距離なら、相手の居場所に反応するらしい。

通信に適した鉱石を必要量入手したら、改良するとの事。

 

「オレからは以上だ。

 その歌姫とやらを助けに行くんだろ?

 オレも準備が終り次第此処を出る。次は青い空の下で、って事だな?」

 

「あぁ必ず歌姫を連れて来て、ハジメにも紹介するからな?」

 

「………修羅場には気を付けろよ?」(小声)

 

最後の一言を聞き逃したような気もするが?まぁ良い。

水晶と共に魔法陣を潜り、ライセン大峡谷側の隠し洞窟に出る。

更にいくつかの隠し扉も越えて、洞窟を出た。

そこは大峡谷の名の通り、地の底では在ったが?確かに外の世界だ。

かなり上方ではあるが青い空が広がり、太陽も出ている。

何より空気の味が違った。

 

「随分と久しぶりな気がするな?」

 

「私にとっては千年ぶり、

 本当にありがとう、マスター☆」

 

水晶から感謝の抱擁。

服越しではあるが、感じ慣れた良い感触である。

 

「とにかく王都だ。急ぐとしよう。

 この大峡谷も、良い場所とは言えない」

 

このライセン大峡谷は天然の魔力分解作用が働くらしく、

魔法を出したその瞬間から、魔力は分解されて減衰する。

これを力押しで補うと?通常の10倍近い魔力を消費してしまう。

正に魔術師にとっての鬼門!

因みにコチラは、ふたりとも魔術師である。

 

「私は力押しでも余裕だし、

 マスターも対策済でしょう?」

 

「………慣れない戦い方を強いられるのは事実だ。

 元々このステータスは、近接戦に向いていないしな?」

 

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清水幸利 17歳 男 レベル:100

天職:闇術師

筋力:700

体力:700

耐性:700

敏捷:700

魔力:3200

魔耐:3000

技能:

闇属性適性[+発動速度上昇][+効果上昇][+魔力効率上昇][+魔力消費減少]

[+連続発動][+複数同時発動][+遅延発動]

・闇属性耐性[+状態異常耐性上昇][+状態異常自然回復上昇]・複合魔法

・魔力感知・高速魔力回復・従属目録・精神支配無効・生成魔法・言語理解

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歌姫は元々、敵キャラの心算でキャラメイクしました。
ですが水晶の余りのチートぶりに、
救済ルートが閃き、今回のような展開に!

今回のステータスは、殆ど最終ステの予定。
平凡な技能を集めた心算です。
ハジメヒロインズには劣り、勇者パーティーよりは強い!的な?
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