悲惨な歴史をひたすら説いて来る感じにしました。
バーン大迷宮並びに、王都編も一先ず完結です。
「今回はメンタルブレイクで来たか」
バーン大迷宮の攻略が始る。
攻略を始め奥に進むに連れて、大迷宮の試練は牙を剥いて来た。
それは延々と続く戦争の記憶だった。
憎しみ殺し合う、血と汗と涙と鋼の記憶。
それが実体験の如く、頭に直接流れ込んで来る。
だが此処でも精神支配無効は頑強だった。
本来目を反らしたくなる程の記憶も、戦争映画程度の難易度になる。
「これは相性有利が入ったか?」
『でしょうね?
此処は余裕の有るマスターが、メンタル管理する場面じゃない?』
この調子では、水晶共々ヌルゲー展開である。
だが今回はユキナを始め、Roseliaのメンバーが居る。
このメンタルブレイクに対して、反応は如何に?
「ユキナ、無事か?」
「流石に来るモノがあるわ、
でも幸利は平然としている感じね?」
「対抗スキルが有るからな?
相性有利が入った。この手の精神干渉には強い」
「他の大迷宮でも、こんな感じだったの?」
「オルクスは全200階層の広大な大迷宮で、
特に深層100階層は、生息する魔物が鬼畜な強さだった。
ライセンは物理トラップ祭りでな?
しかも時間経過で構造が変わる。
腐れ外道の精神が形になったような大迷宮だ」
「さっきも言っていたわね?
ミレディさん、だったかしら?」
「アレは腐れ外道で充分。
ユキナに逢いに王都へ急いでいる時に、
大迷宮に強制突入させたヤツだぞ?」
そう言ってユキナを抱き寄せる。
間に合わなくなって、この温もりがなくなっていたら?
と言うパターンは、余り考えたくない。
「そんなに、私に逢いたかったの?」
あの時の気持ちを言葉にするのは難しい。
ユキナを抱き締める力が強くなる。
「………その、何と言いますか」
「あぁうん、解るよ?
私もちょっと、恋人欲しいなぁ~って思ったし☆」
「///」コクコク。
「うわっリンリンの首が凄い事に!」
いつの間にか視線が集まっていた。
特に隠していないので、当然の展開である。
「まぁおかげで、
頭の疲れが何処かへ行きましたが」
「そうだね?
普段なら、リア充爆発しろ!って感じだけど☆
ありがとうユキナ♪」
「何故かしら?
余り嬉しくないわ」
探索を再開する。
流れ込む記憶は止まらないモノの、足取りはマシになっていた。
記憶に対して、折り合いが付いたのかもしれない。
探索のスピードも上がる。
「大迷宮で通勤ラッシュか」
『この電車に、復旧の見込みは無いけど☆』
軽口に応えたのは、対抗スキルの有る水晶だけだった。
流石にRoseliaの面々は顔色を悪くしている。無理も無い。
大迷宮を進むと、開けた場所に出た。
大聖堂か何かの類だろう。
その大聖堂が、ゴースト系の魔物で通勤ラッシュを起こしていた。
数えるのがバカらしい数のゴーストである。
「これも大迷宮の試練なの?」
「いや、これはガチのゴーストかもしれない」
「ガチのゴースト?」
「これまで散々、神や教会の所業は見て来ただろう?
その犠牲者が溜まって、今も此処に!と言うパターンかもな」
だが何にしても、先に進むには此処を通る必要が有る。
無双タイムかな?と言う処だが、ユキナの要望は楽器の用意だった。
「祓う心算か?
悲惨な記憶が続いた後だが、背負う必要は無い」
「それは違うわ」
普段から楽器は、
オルクスの指輪の収納で預かっているので、此処で出すのも問題無い。
取り出したマイクを手に、ユキナは起つ。
そこに居るのは、起つべきステージを前にした歌姫の姿だ。
「解るの、此処は私達のステージだって。
だから歌うわ、Roseliaの歌を」
突発ライブの準備が整い、Roseliaのステージが始る。
演奏が始り、色々と凄まじい事になった。
通勤ラッシュ状態のゴーストが、凄まじい勢いで昇天して逝く。
ハッキリ言って、あの演奏には退魔系の効果は無い筈。
本当に演奏だけで!通勤ラッシュのゴーストを祓っている。
「行かせない、
此処から先はRoseliaの舞台だ」
中には元気にRoseliaの舞台に上がろうとした輩も居たが、
そういう輩はコチラで迎撃したり、凌いだりで近づけさせない。
だが大部分のゴーストがRoseliaの演奏で昇天して逝く。
ライブが終った頃には、大聖堂に静寂が戻る。
RoseliaのFULLCOMBO!達成である。
†
「もう二度目だからな?
同じ話で盛り上がれない」
『マスターは元からでしょう?』
通勤ラッシュを祓った辺りで、大迷宮攻略は山場を越えた。
クリアは厳しいかと思われたRoseliaの面々も、神代魔法をゲット出来た。
やはり通勤ラッシュを祓った事が、大きく評価されたらしい。
今はバーン大迷宮の創設者、
ラウス・バーンの記録魔法から、真剣に世界の真実を聞いている。
だがコチラは水晶とふたり、
同じ話で盛り上がる事も無くクリア証の指輪を回収。
問題無く手にした神代魔法の具合を確かめていた。
「魂魄魔法か」
『魂や精神に作用する魔法みたいね?
マスターとも相性が良さそう☆』
元々精神支配無効のスキル持ちだったからな?
そう言う事も有るかもしれない。
「幸利」
「ユキナ、もう話は終ったのか?」
「えぇ、皆は少し休んでいるわ」
「今回のライブは圧巻だった。
アレは解ってやったのか?」
「いいえ。でも、やれる気がしたの」
「無茶をする」
「それでも、幸利は信じてくれたわ」
そしてユキナは、
自身のステータスプレートを取り出す。
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ユキナ 17歳 女 レベル:100
天職:歌姫
筋力:200
体力:200
耐性:200
敏捷:200
魔力:12500
魔耐:6700
技能:
歌唱
・水属性適正[+発動速度上昇][+効果上昇][+魔力効率上昇][+魔力消費減少]
・水属性耐性[+水属性無効][+水属性状態異常耐性][+水属性状態異常無効]
・魔力感知・高速魔力回復・耐性貫通・蒼海の羅針盤
・ローレライの歌声・セイレーンの誘い・メロウの寵愛
・界境の歌姫・魂魄魔法
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界境の歌姫
ただ一人の為に届けたい歌が在る。
歌は世界も越えて、清水幸利に届く。
効果/
ユキナの固有技能。
清水幸利限定の無制限通信。
この通信に音声系技能を乗せる事も可能。
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「これを伝えに来たの、
さっきのでカンストしたみたいね」
「通勤ラッシュの分か、早かったな。
それと、これは固有スキルか?」
「幸利の為だけの歌よ」
『神山に昇った時に、ね』
別のユキナの声が、頭にも聞こえて来る。
この念話のようなヤツが、ユキナの固有スキルか?
そして意味有り気に唇に触れている辺り、
発現したのはゴンドラで告白した時だろう。
そのまま目を閉じて待ち態勢に入ったので、
迷う事無くユキナの唇を塞ぐ。
「態々この念話っぽいので促さなくても、
キス待ちされたら、解るからな?」
「///」
こうしてバーン大迷宮の攻略は終った。
だが全てが終る事無く、アリアから緊急連絡が入る。
「侵入者が?」
『迷いが無い感じの動き、危険な相手ね』
何者かが神山に侵入!
支配下の神官達を躊躇い無く始末しつつ、奥に進んでいるらしい。
花洗脳も効果が無い。何らかの対抗スキル持ちと予想される。
謎の侵入者とは、祈りの間(仮)近くの回廊で接敵した。
それは血塗りの聖女だ。そう確信させた。
解り易く、返り血を浴びているからでは無い。
返り血を浴びて、愉し気に口を歪めていたからだ。
「見つけました。
貴方の仕業ですね?」
「あぁ、そうだ」
血塗りの聖女は、
ユキナ達には興味が無い様子で、コチラだけに視線を向けて来る。
「教皇猊下も貴方が?」
「………そうだ」
これは嘘が通じないヤツだな?と悟ってアッサリ肯定。
すると回廊に聖女の狂笑が響く。
確実に不定の狂気を発症している。そんな笑いだった。
「素晴らしい。素晴らしいわ、アナタ」
聖女は花洗脳を受けて佇む神官に近づくと、無造作に顔をつかんだ。
すると神官は痙攣して、内側から爆ぜた。
返り血が飛び散り、聖女が更に赤く染まる。
「今のは、回復魔法か?」
「えぇそうです。私は反転回復と呼んでいます。
ですがこれを見ても、顔色一つ変えずに分析ですか?
お連れの方達は、顔色が悪いようですよ?」
ユキナ達には悪いが、
こんな危険人物を前に後ろは向けない。
それが解ったのか?やはり聖女は笑みを浮かべる。
「やはり良いわ、
アナタ、お名前は何と言うのかしら?」
「テンプレだな?
先に名乗れよ聖女様」
「レティシア。
破戒聖女と呼ぶ人も居ます」
「幸利、清水幸利だ」
再び聖女の狂笑が響く。
待ち望んだ運命に出逢ったかのよう、そう思えた。
「ねぇユキトシ、
あの狂った神を、教会を全て滅ぼしてしまいましょう?」
†
オリキャラ&クロスキャラ設定
5/聖女レティシア
聖教教会の聖女。やさぐれ聖女様。オリキャラ枠。
崩落により新たに発見された未踏破区画(バーン大迷宮)を調査して、
クリアしてしまった聖教教会の聖女様。
神と教会の真実を知り、信仰は死に絶えた。
精神の均衡を失い廃人になる筈だったが、
手に入れたばかりの魂魄魔法で、何とか精神を保っている。
精神的なショックで回復魔法をマトモに使えなくなってしまい、
回復を攻撃に転化した反転回復を使って戦う。
その残忍な戦闘スタイルから、破戒聖女と呼ばれる事に。
神と教会は滅ぶべきと判断してはいるが、
自分一人では到底不可能!と冷静な部分も残していた。
だが今回のようなチャンスに巡り合うと、平然と凶行に踏み切る。
魔物に憑かれていたので、何とでも言い訳は出来る!と言う判断。
因みに教皇を殺していなかったり、
対面で嘘を吐いていたりすると?気に入られる事無く戦闘開始!
反転回復の脅威を目撃する展開になった筈。
バーン大迷宮は聖教教会の内部に有る設定なので、
運悪くクリアしてしまった教会関係者も居るのでは?
と言うキャラコンセプトです。
此処までの事を神山でやったら、
ノイントが動くのでは?と思った方も居ると思います。
ですがノイントは動けませんでした。
真相はグリューエン大迷宮編で解る予定です。