あの聖女、レティシアが暴走した。
神山の教会関係者の鏖殺。
幸い殺したのは文字通り全員なので、情報が流れるのはまだ先だろう。
欠員が埋まり、教会が再編されるのは更に先。
レティシアの報告通り、教会が魔物の仕業だと納得しなかった場合。
教会はそこから犯人捜しと言う名の報復に出る!と考えられる。
次の教会のトップが、
権力争いを重視するか?報復を重視するかで、猶予に差が出る。
今は情報が流れる前に王都を離れるべき。
留まるなら、全面戦争を覚悟するべき展開。やるなら最後まで!だ。
Roseliaのメンバーには、王都を離れる案件を告げた。
銀髪美人で、しかも海人族のユキナは目立つからな?
そのユキナと手を繋いで、
ゴンドラに乗り込む処を目撃した奴ぐらい居たかもしれない。
疑いを掛けられる恐れが有る。今は王都を離れる!そう伝えた。
「王都を離れて、どうするのですか?」
「元の旅に戻る。神代魔法を求める旅だ」
神山に昇った時、サヨにも説明した通りだ。
バーン大迷宮で神代魔法を手に入れた以上!
今回の件が無くても、元より王都に留まり続ける理由は無い。
「その旅に、ユキナも連れて行くんだよね?」
「あぁ、リサも覗いていた通りだ」
もうユキナに対する気持ちを躊躇わない。
ユキナを連れて行く。
目の届く場所、手の届く場所で護り続ける。
「Roseliaの活動はどうなるの?」
アコの不安そうな声。
ユキナ一人を連れて行く以上、
旅が終るまで活動は休止!と言う事になるだろう。
「私は…一緒に行きたい…です」
リンコが、一歩前に出る。
望んだ未来をつかむ為、その手を伸ばす。
この一ヶ月!Roseliaでマネージャーの真似事をする間に、
リンコの経緯を聞く機会も有った。
リンコは貴族の出だ。
そう遠く無い内に、貴族の義務を果たさなければならない。
この場合の貴族の義務とは?結婚して子を産み、家を守る事だ。
それは自分が忌み嫌う、息をするだけの生活に似ていた。
そしてリンコには夢が在る。
冒険者になって、世界を旅したいと言う夢が!
普通の人間なら笑う処かもしれない。
安定した裕福な貴族の生活を捨てて、何をバカな事を!と。
「おかしい…と思いますか?」
「リンコの夢だ。
夢の価値は、自分で決めれば良い」
夢の話を聞いた時、そう答えた。
その答えを聞いたリンコの顔を、今でも覚えている。
「新しい夢が…出来ました。
Roseliaの皆と…旅に…出たいです」
これはもう、覚悟を決めた顔だ。
神代魔法を求める大迷宮を巡る旅は、命を賭ける旅になる。
だがそれでも構わない!と。それでも一緒に行きたい!と。
リンコはそう覚悟を決めた。
あの時言った通りリンコは自分で、自分の夢の価値を決めた。
これはもう覆らない。リンコ自身が決めた事だからだ。
ブーメラン確定案件である。
「ダメ…ですか?」
†
「結局全員が覚悟を決めた。やってくれる」
「マスターが選んだ娘達だから☆」
認識が甘かった自分に対して、水晶の反応は平然としたモノだ。
今はユキナ達が居ない。旅の準備をする為、それぞれ家に戻っている。
ユキナは同じ宿で部屋を取って居るが、リサに連れて行かれた。
水晶とふたりになるのは久しぶりだった。
「集まっただけだろう?選んだ心算は無い」
「他人に興味の無いマスターが突然バンド活動を始めて、
一ヶ月も行動を共にした。これは仲間を選んだ事と変わらないわ」
「仲間」
「違うの?」
「否定はしないがな、
危険な旅の同行者が急に5倍だぞ?」
「ねぇマスター、
あの娘達も鏖殺が起きる直前のゴンドラに乗ったわ。
疑われる要素は、充分に有ると思うの」
「あぁ」
「危険な旅から遠ざけて、何も起きない事を祈るか?
全てを自分で護るか?の違いでしかない。
カミサマにお祈りでもしてみる?」
「止めろ。
アテにならない上に、余計なイベントが起きそうだ」
「なら、全てを掴んでしまいましょう?
欲しいモノを全て掴んで護る。マスターの大好物☆」
「そんな好き勝手が出来る程、強くなった心算は無い訳だが?」
結局はそこになる。不安だ。
ユキナ一人ならまだしも、全員を護れる程自分は強いのか?
自信は無い。現実はオルクスで経験した。
水晶が居なければダメだった。
だがその水晶は?オルクスの時と同じように、優しく抱き締めてくれる。
「でもマスターには私が居る。それでも不安?」
「水晶は本当に、駄目人間製造機だ」
「言ったでしょう?
優しく融かしてアゲルって☆」
†
「この辺りで良いだろう」
翌日。旅支度を整えたRoseliaのメンバーを連れて王都を離れる。
徒歩や乗り合い馬車を使う!と言う選択肢は無い。
だが王都に来た時のようにグラも使えない。
Roselia+二人では圧倒的に定員オーバーだからだ。
「出番だ、ケトバス!」
と言う訳で別の手段を実行!
人目の無い郊外で登録従魔のケトバスを解凍召喚!
ケトバスは、バスサイズの巨大な黒猫だ。
正確には猫妖精のケット・シー。ケット・シーのバスでケトバス!
体内に乗り込めるようになっていて、
中にキャンピングカーのような居住スペースが有る。
旅の移動はこれで行う。
「そう言えば?詳しいルートを訊いていませんでした」
「そうだったな、これから向かうのはグリューエン砂漠だ」
詳しいルートを説明すると?
王都→ブルック→フューレン→ホルアド→アンカジ→エリセン
となる。目的のグリューエン砂漠が在るのはアンカジであり、
エリセンは次の目的地の最寄りの町だ。
「グリューエン砂漠。確か大火山がそうだと言う噂ですが?」
「その噂は確定情報。大火山が目的の大迷宮だ」
解放者自身から得た情報だ。
バーン大迷宮の位置情報も正しかった。
間違いは無いと見て良いだろう。
「確か…ハルツィナ樹海にも大迷宮が有る。
と言う噂…ですよね?」
リンコが訊きたいのは難易度の件だろう。
どうやら事前情報も持っているらしい。
「そちらも確定情報だ。ハルツィナ樹海にも大迷宮は有る。
だが行き先はグリューエン砂漠に決めた」
常識的に考えて樹海と砂漠!どちらが難易度が低いだろうか?
恐らく樹海!と答える方に票が流れるだろう。だが敢て、此処は砂漠で行く!
何故なら、樹海はヤヴァイ蟲がウヨウヨ居たり、
超危険な殺人ウィルスが眠っている印象が強いからだ。
なら砂漠は安全なのか?と言う話になるが、それは無いだろう。
砂漠は過酷な環境で在り、生息する魔物が脆弱で在る筈も無い。
詰り難易度の問題では無い!と言う事だ。
「他に…何か理由が?」
「ロマンだ!」
樹海の大迷宮と言われると、どうにも東洋風のイメージが有る。
東洋=地元!後回しで良いだろう。
因みに好きなシチュエーションは北の果て!とか氷の大地だ。
氷雪は凍てつかせ、真実を覆い尽して行く。
氷雪の下に真実が眠っているのはお約束である。
「ロマン☆」
「流石はリンコ、ロマンが解るようだな?」
流石は旅人志願者!ロマンが解るらしい。好感度↑だ。
だがリンコと盛り上がっている内に、問題発生!
「あれ、ユキナ~~?」
リサの困惑したような声。
サヨやリンコと話している内に、ユキナが姿を消していた。
何処に?と思ったが、その姿は直ぐに見つかる。
「♪♪♪」
ユキナは一足早くケトバスに乗り込んでいた。
乗り込むと言うより、全身でダイブしていた。
ダイブして、今まで見た事の無い超上機嫌な笑顔でスリスリしている。
「猫好きはこのままで良いとして、出発しよう」
猫好きには思う存分猫を堪能させて、ブルックへ向けて出発する。
最初の内は「ユキナは猫好きだったんだね~♪」と微笑ましい展開だったが、
色々とユキナの猫好きを甘く見ていた。
ユキナは旅の間、ずっとケトバスに抱き付いていた。
食事と風呂以外はずっとだ。
やがて身支度や諸々の世話をリサが焼く事になる。
要介護者Lvだった。
だがそんな旅にも終りはやって来る。ブルックに到着。
町から離れた場所でケトバスを止めて、全員降車。
ユキナ以外は、と冠が付く。
ユキナはケトバスから降りようとしなかった。
仕方無いのでケトバスの召喚をそのまま解除。ユキナは、
「にゃ~~にゃ~~」
親猫に捨てられた子猫のように泣き出す始末!
すっかり猫化していた。
「次の移動の時も出すから、そろそろ帰って来い」
「絶対よ?」
そう言って抱き付いて来る。
ユキナの声を久々に聞いた気がする。次は何か手が必要だ。
†
オリキャラ&クロスキャラ設定
7/リンコ・シロガネ(白金燐子)
Roseliaキーボード担当。貴族出身。半クロスキャラ。
ユキナ一人では?流石にRoseliaの音は出せまい!と、
急遽登場が決まった異世界Roseliaの一人。
しかし急造なので、ユキナ以外のメンバーには大きな弱点が!
せっかく登場させたのに?危険な旅に同行する設定が無い。
バーン大迷宮では、デートの覗きに来て巻き込まれる!
と言う苦肉の策を弄したモノの、後が続かない。
そこでリンコの出番!
これからも仲間と一緒に居たい!と、
命の危険が有っても、その価値が有るかどうかは自分で決める。
これは燐子かな?と思って送り出しました。
実は清水(挫折)とは?設定的に相性が良かったりする。
政略結婚をして、望まぬ生活を延々と続ける。
これは清水(挫折)が忌み嫌う、息をするだけの生活と同ジャンル。
リンコの人生に影が差したら?助けに来そうです☆
ケトバスに関しては?
お察しの通り、ジ○リの○○ロに出て来るアレがモデルです。
アレの黒猫Verを想像して下さい。
友希那がトリップしそうなヤツをチョイスしました☆