ありふれた英雄願望(挫折)で世界最強   作:LW

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時間を少し戻して、王都を発つシーンです。


25 グリューエンへの道Ⅱ

あの聖女、レティシアが暴走した。

神山の教会関係者の鏖殺。

幸い殺したのは文字通り全員なので、情報が流れるのはまだ先だろう。

欠員が埋まり、教会が再編されるのは更に先。

レティシアの報告通り、教会が魔物の仕業だと納得しなかった場合。

教会はそこから犯人捜しと言う名の報復に出る!と考えられる。

次の教会のトップが、

権力争いを重視するか?報復を重視するかで、猶予に差が出る。

今は情報が流れる前に王都を離れるべき。

留まるなら、全面戦争を覚悟するべき展開。やるなら最後まで!だ。

 

Roseliaのメンバーには、王都を離れる案件を告げた。

銀髪美人で、しかも海人族のユキナは目立つからな?

そのユキナと手を繋いで、

ゴンドラに乗り込む処を目撃した奴ぐらい居たかもしれない。

疑いを掛けられる恐れが有る。今は王都を離れる!そう伝えた。

 

「王都を離れて、どうするのですか?」

 

「元の旅に戻る。神代魔法を求める旅だ」

 

神山に昇った時、サヨにも説明した通りだ。

バーン大迷宮で神代魔法を手に入れた以上!

今回の件が無くても、元より王都に留まり続ける理由は無い。

 

「その旅に、ユキナも連れて行くんだよね?」

 

「あぁ、リサも覗いていた通りだ」

 

もうユキナに対する気持ちを躊躇わない。

ユキナを連れて行く。

目の届く場所、手の届く場所で護り続ける。

 

「Roseliaの活動はどうなるの?」

 

アコの不安そうな声。

ユキナ一人を連れて行く以上、

旅が終るまで活動は休止!と言う事になるだろう。

 

「私は…一緒に行きたい…です」

 

リンコが、一歩前に出る。

望んだ未来をつかむ為、その手を伸ばす。

 

この一ヶ月!Roseliaでマネージャーの真似事をする間に、

リンコの経緯を聞く機会も有った。

リンコは貴族の出だ。

そう遠く無い内に、貴族の義務を果たさなければならない。

この場合の貴族の義務とは?結婚して子を産み、家を守る事だ。

それは自分が忌み嫌う、息をするだけの生活に似ていた。

 

そしてリンコには夢が在る。

冒険者になって、世界を旅したいと言う夢が!

普通の人間なら笑う処かもしれない。

安定した裕福な貴族の生活を捨てて、何をバカな事を!と。

 

「おかしい…と思いますか?」

 

「リンコの夢だ。

 夢の価値は、自分で決めれば良い」

 

夢の話を聞いた時、そう答えた。

その答えを聞いたリンコの顔を、今でも覚えている。

 

「新しい夢が…出来ました。

 Roseliaの皆と…旅に…出たいです」

 

これはもう、覚悟を決めた顔だ。

神代魔法を求める大迷宮を巡る旅は、命を賭ける旅になる。

だがそれでも構わない!と。それでも一緒に行きたい!と。

リンコはそう覚悟を決めた。

 

あの時言った通りリンコは自分で、自分の夢の価値を決めた。

これはもう覆らない。リンコ自身が決めた事だからだ。

ブーメラン確定案件である。

 

「ダメ…ですか?」

 

 

「結局全員が覚悟を決めた。やってくれる」

 

「マスターが選んだ娘達だから☆」

 

認識が甘かった自分に対して、水晶の反応は平然としたモノだ。

今はユキナ達が居ない。旅の準備をする為、それぞれ家に戻っている。

ユキナは同じ宿で部屋を取って居るが、リサに連れて行かれた。

水晶とふたりになるのは久しぶりだった。

 

「集まっただけだろう?選んだ心算は無い」

 

「他人に興味の無いマスターが突然バンド活動を始めて、

 一ヶ月も行動を共にした。これは仲間を選んだ事と変わらないわ」

 

「仲間」

 

「違うの?」

 

「否定はしないがな、

 危険な旅の同行者が急に5倍だぞ?」

 

「ねぇマスター、

 あの娘達も鏖殺が起きる直前のゴンドラに乗ったわ。

 疑われる要素は、充分に有ると思うの」

 

「あぁ」

 

「危険な旅から遠ざけて、何も起きない事を祈るか?

 全てを自分で護るか?の違いでしかない。

 カミサマにお祈りでもしてみる?」

 

「止めろ。

 アテにならない上に、余計なイベントが起きそうだ」

 

「なら、全てを掴んでしまいましょう?

 欲しいモノを全て掴んで護る。マスターの大好物☆」

 

「そんな好き勝手が出来る程、強くなった心算は無い訳だが?」

 

結局はそこになる。不安だ。

ユキナ一人ならまだしも、全員を護れる程自分は強いのか?

自信は無い。現実はオルクスで経験した。

水晶が居なければダメだった。

だがその水晶は?オルクスの時と同じように、優しく抱き締めてくれる。

 

「でもマスターには私が居る。それでも不安?」

 

「水晶は本当に、駄目人間製造機だ」

 

「言ったでしょう?

 優しく融かしてアゲルって☆」

 

 

「この辺りで良いだろう」

 

翌日。旅支度を整えたRoseliaのメンバーを連れて王都を離れる。

徒歩や乗り合い馬車を使う!と言う選択肢は無い。

だが王都に来た時のようにグラも使えない。

Roselia+二人では圧倒的に定員オーバーだからだ。

 

「出番だ、ケトバス!」

 

と言う訳で別の手段を実行!

人目の無い郊外で登録従魔のケトバスを解凍召喚!

ケトバスは、バスサイズの巨大な黒猫だ。

正確には猫妖精のケット・シー。ケット・シーのバスでケトバス!

体内に乗り込めるようになっていて、

中にキャンピングカーのような居住スペースが有る。

旅の移動はこれで行う。

 

「そう言えば?詳しいルートを訊いていませんでした」

 

「そうだったな、これから向かうのはグリューエン砂漠だ」

 

詳しいルートを説明すると?

王都→ブルック→フューレン→ホルアド→アンカジ→エリセン

となる。目的のグリューエン砂漠が在るのはアンカジであり、

エリセンは次の目的地の最寄りの町だ。

 

「グリューエン砂漠。確か大火山がそうだと言う噂ですが?」

 

「その噂は確定情報。大火山が目的の大迷宮だ」

 

解放者自身から得た情報だ。

バーン大迷宮の位置情報も正しかった。

間違いは無いと見て良いだろう。

 

「確か…ハルツィナ樹海にも大迷宮が有る。

 と言う噂…ですよね?」

 

リンコが訊きたいのは難易度の件だろう。

どうやら事前情報も持っているらしい。

 

「そちらも確定情報だ。ハルツィナ樹海にも大迷宮は有る。

 だが行き先はグリューエン砂漠に決めた」

 

常識的に考えて樹海と砂漠!どちらが難易度が低いだろうか?

恐らく樹海!と答える方に票が流れるだろう。だが敢て、此処は砂漠で行く!

何故なら、樹海はヤヴァイ蟲がウヨウヨ居たり、

超危険な殺人ウィルスが眠っている印象が強いからだ。

なら砂漠は安全なのか?と言う話になるが、それは無いだろう。

砂漠は過酷な環境で在り、生息する魔物が脆弱で在る筈も無い。

詰り難易度の問題では無い!と言う事だ。

 

「他に…何か理由が?」

 

「ロマンだ!」

 

樹海の大迷宮と言われると、どうにも東洋風のイメージが有る。

東洋=地元!後回しで良いだろう。

因みに好きなシチュエーションは北の果て!とか氷の大地だ。

氷雪は凍てつかせ、真実を覆い尽して行く。

氷雪の下に真実が眠っているのはお約束である。

 

「ロマン☆」

 

「流石はリンコ、ロマンが解るようだな?」

 

流石は旅人志願者!ロマンが解るらしい。好感度↑だ。

だがリンコと盛り上がっている内に、問題発生!

 

「あれ、ユキナ~~?」

 

リサの困惑したような声。

サヨやリンコと話している内に、ユキナが姿を消していた。

何処に?と思ったが、その姿は直ぐに見つかる。

 

「♪♪♪」

 

ユキナは一足早くケトバスに乗り込んでいた。

乗り込むと言うより、全身でダイブしていた。

ダイブして、今まで見た事の無い超上機嫌な笑顔でスリスリしている。

 

「猫好きはこのままで良いとして、出発しよう」

 

猫好きには思う存分猫を堪能させて、ブルックへ向けて出発する。

最初の内は「ユキナは猫好きだったんだね~♪」と微笑ましい展開だったが、

色々とユキナの猫好きを甘く見ていた。

 

ユキナは旅の間、ずっとケトバスに抱き付いていた。

食事と風呂以外はずっとだ。

やがて身支度や諸々の世話をリサが焼く事になる。

要介護者Lvだった。

 

だがそんな旅にも終りはやって来る。ブルックに到着。

町から離れた場所でケトバスを止めて、全員降車。

ユキナ以外は、と冠が付く。

 

ユキナはケトバスから降りようとしなかった。

仕方無いのでケトバスの召喚をそのまま解除。ユキナは、

 

「にゃ~~にゃ~~」

 

親猫に捨てられた子猫のように泣き出す始末!

すっかり猫化していた。

 

「次の移動の時も出すから、そろそろ帰って来い」

 

「絶対よ?」

 

そう言って抱き付いて来る。

ユキナの声を久々に聞いた気がする。次は何か手が必要だ。

 

 

オリキャラ&クロスキャラ設定

 

7/リンコ・シロガネ(白金燐子)

Roseliaキーボード担当。貴族出身。半クロスキャラ。

ユキナ一人では?流石にRoseliaの音は出せまい!と、

急遽登場が決まった異世界Roseliaの一人。

 

しかし急造なので、ユキナ以外のメンバーには大きな弱点が!

せっかく登場させたのに?危険な旅に同行する設定が無い。

バーン大迷宮では、デートの覗きに来て巻き込まれる!

と言う苦肉の策を弄したモノの、後が続かない。

 

そこでリンコの出番!

これからも仲間と一緒に居たい!と、

命の危険が有っても、その価値が有るかどうかは自分で決める。

これは燐子かな?と思って送り出しました。

 

実は清水(挫折)とは?設定的に相性が良かったりする。

政略結婚をして、望まぬ生活を延々と続ける。

これは清水(挫折)が忌み嫌う、息をするだけの生活と同ジャンル。

リンコの人生に影が差したら?助けに来そうです☆




ケトバスに関しては?
お察しの通り、ジ○リの○○ロに出て来るアレがモデルです。
アレの黒猫Verを想像して下さい。
友希那がトリップしそうなヤツをチョイスしました☆
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