と見せ掛けてイベントも発生。
サブタイトルは階(きざはし)と読みます。
ブルックに着いて色々と細かい事を済ませると、
そうだライブをしよう!と言う話になる。
特に理由は無い。強いて言うなら、ユキナ達が本当に奏者だからだろう。
と言う訳で?準備を整えるのがマネージャーの仕事だ。
公園広場の場所を確保して、使用許可も取る。
後からグダグダと横槍が入ると面倒だからだ。
生成魔法で野外ステージも作った。やはり生成魔法は錬成師スキルだと思う。
水晶は照明魔法のチェック。舞台によって照明も変わるからな?
「平和なモノだな?」
自分はいつから社会復帰していたのか?と言う展開。
インドアゲーマーの自分が随分遠くまで来たモノだ。だが、
「悪くは無い」
と呟く自分に苦笑。
アイツ等とならまだ続けても良い。
そう思っている自分が、最も意外だった。
Roseliaの幕が上がる。
舞台は問題無く終り、今回も上々の稼ぎを上げる。
自分達で旅費を稼ぐのは重要だ。
アイツ等善性の存在だから、寄生生活を良しとしない。
まぁその方面の心配はしていないが?
「異世界でバンド活動か?意外だな」
「ハジメ」
舞台が終り観客が掃けた処で、白髪黒衣が現れる。
片目に何処ぞの戦闘民族のようなモノクルを付けて、
腕には如何にもギミックを仕込んでいそうな籠手を装備!
言うまでも無くハジメだった。
ユエと、初見のウサギも居る。残念そうなウサギだ。
「厨二病が再発したのか!?」
「バイクに躊躇いなく、
厨二ネームを付ける奴に言われたくないな?」
友人同士の軽いジャブを交わし、再会を喜び会う。
情報交換と互いの面通しも行う。
「そっちの銀髪が例の歌姫か、
無事合流出来たようだな?」
「あぁ、色々在った。
勢いでバンド活動を始めたり、
初の魔人キルをしたり、告白までした。本当に色々だ」
「色々とシャッフルし過ぎだろう!
バンドはまだしも、初キルと告白を混ぜるな。
一瞬初キス自慢かと思ったぞ?」
「盛大に空耳。
それとタイミングがおかしいだろ」
その自慢を始めるなら、
ホルアドに着いた辺りが妥当なタイミングだろう。
と言っても自慢を始めるような精神状態では無かったが。
「バンドと告白に挟むからだ。
オレはハジメ、南雲ハジメだ」
「ん、ユエ。
ハジメの女」
「シアです!
ハジメさんの愛玩奴隷☆」
「オイコラ、初対面の相手にそれは止めろ。
ユエはまだしも、愛玩奴隷ってのは何だ?」
確かに奴隷的な首輪は付けている。
オルクスを出て、速攻で夜の遊びを覚えたか?
特にサヨの周辺温度が↓気がする。
だが結構本気で嫌そうな顔。これはウサギの残念発言だな。
「ユキナよ、
Roseliaのボーカルを担当しているわ」
「サヨです。
御覧になっていたかもしれませんが、ギターを担当しています」
「リサだよ、よろしくね☆」
「リンコです…よろしく…お願いします」
「アコだよ!」
この後アコの厨二挨拶が進むモノの、耳に入る事は無い。
挨拶の後、さり気無く腕を取って来るユキナの感触の方が大事だからだ。
「ハジメ」
「そこで張り合わなくても良いからな?
それとシアは調子に乗るな」
張り合わなくても~と言いつつ、
ユエの抱擁をハジメが拒む事は無い。
しかしもう片方の腕で、抱き付こうとするシアを撃墜していた。
「ハジメさん!
もう少し私にも、優しくしてくれても良いと思います!!」
「いやユエはオレの恋人で、
お前はただの残念ウサギだからな?
むしろユエと同列に並べろとか、その方が図々しいだろ」
「でもほら、ほらあぁぁぁっっっ!!!!!!」
「中々面白いウサギを拾ったようね☆」
ハジメの言い分は正論である。誠実とも言う。
だが残念ウサギことシアが指す先には、
ユキナとは逆の腕を取る水晶の姿が!
どうやらシアを面白い玩具だと認識したらしい。
†
「それで大迷宮を二つ攻略済か、流石だな?
他の大迷宮の情報を入手したのもデカイ」
「オルクスを出て早々、
必須の案内を手に入れたのも大したドロー力だと思うが?」
樹海では、亜人の案内が必須である。と言うのが常識らしい。
大迷宮の入口と思われる大樹周辺は、
常時霧が発生しているらしく、特に必要となるようだ。
と言ってもこれは所謂正攻法の話だ。
要は大樹に到着すれば良い話なので、案内無しでも手段は有ると思われる。
パッと思い付くだけでも、森を焼く。空から攻める。結界で閉ざす。
などが浮かぶ訳だが?正攻法で行けるなら選ぶ手段では無い。
「ライセン大迷宮では、生き残りの解放者と接触か。
問題はクリア報酬の鉱石だな?
これは例の通信に適した鉱石だぞ!
その腐れ外道が、感応石や遠透石を独占したんじゃないだろうな」
腐れ外道は錬成師では無い。
意図的に有用な鉱石を独占した訳では無い。とは思っている。
だがライセン大迷宮に配置された騎士鎧の数を思うと、
結果的に有用な鉱石を独占した形になるのは間違い無い。
「そっちは帝国の奴隷狩りと交戦だろ?
ウサギの姉の墓守と、ガライとか言う冒険者の刀がヤヴァイと」
帝国は傭兵が興した国であり、戦意が高い。
亜人も奴隷兵として運用している。
ハジメ達が遭遇したのも、そんな奴隷狩り部隊の一つだろう。
「シアの姉、今はウータイと名乗っていた。
天職は墓守。この墓守について何か解るか?」
実際にウサギの姉!
ウータイと戦ったハジメはそちらが気になるようだが、
ガライと言う冒険者の方も気になる。
何故冒険者が部隊の指揮を?余程部隊運用が上手いのか?
帝国の常識?実力主義らしいのは聞いているが。
「話を訊く限り、墓守の固有クラス技能を発現しているわ。
怨念吸収。怨念を吸収して、基礎ステータスを爆発的に上昇させる。
限界値は有る筈だけど、ハジメと戦える時点でかなりのモノね?
だけど技能に因る底上げなら、強化解除か技能封印に弱い筈。
私なら確殺ね☆」
「流石は水晶。やっぱり知識チート」
水晶はステータスの高さや、スキルのチートぶりも鬼だが?
単純に長命種なので、知識量も豊富である。
「それで王都では、
ユキナを追って来た魔人と戦闘か。どうだった?」
「アレ自体はどうと言う事も無い。
問題は、アレが王都に居た。と言う点だろう」
「王都の結界だな?
魔人はもう、易々と結界を突破出来るのか?或いは!と言った処か」
「神は邪神で教会は狗。
色々と問題だが、手引きが有ってもおかしく無い」
「その教会のバーン大迷宮では、聖女とやらが鏖殺か。
関わって大丈夫か?」
「放置の方が危険だと判断した。
教会の全てを相手取るにも、手札が足りていない」
教会関係者。詰り信者だけを選んで殺すぐらいなら?
それこそ聖女のように、鏖殺した方が手間が少ない。
「それで幸利達はグリューエンに行く訳だな?」
†
「あの、ユキナさん。で良いんですよね?」
「えぇ、シア。だったわね」
幸利達が難しい話をしている間、同じように置いて行かれたのか?
兎人族の、シアが話し掛けて来る。
でも雑談が目当てでは無いのは直ぐに解った。シアも銀髪だったから。
「もしかしてユキナさんも、ですよね?」
「そうね。見ての通りよ」
亜人にとって、銀髪は固有魔法発現の証。
そして故郷の掟で追放されるのも同じ。
同じ筈なのだけど、でもシアの家族は違った。
シア一人を追放する事無く一族総出で同行した。
羨ましく何か無い。と言ったら嘘でしょうね?
故郷を追われて、それなりの苦労はして来た心算だから。
「でもそれがどうしたの?」
「ユ、ユキナさん」
きっとシアに悪気は無い。
自分と同じ銀髪の私を見て、勝手に共感した。顔を見れば解るわ。
そして仲良くなれると思った。同じ銀髪だから。
†
グリューエンに向かうコチラとは異なり、ハジメ達は樹海に向かう。
既にハウリア族を率いているので、これは確定。再び別行動となる。
ハジメは既に渡したライセン大迷宮のクリア報酬の鉱石で、
今度こそマトモな通信機を作る!と言うが、
それはアリアの花通信で解決している案件だった。
「オィオィ、オレにお花に向けてお喋りしろと?
オレは恋する乙女か!?」
「そこまで気にする事か?
普段はユエに渡して置くとかでも良いだろう?」
ハジメ的に?花に話し掛けるのはアウトらしい。
一晩時間をくれ!通信機を作る!!とまで言って来た。
だがただの通信機では、アリアの花通信には勝てない。
アレは花を中継して世界規模の通信を可能にする代物だ。
それこそ通信衛星でも造らない限りは!一晩では厳しいだろう。
「それにこう言うタイプも有る」
だがハジメの言うように、花に話し掛けるのが怪しいのも事実。
と言う訳で既に対応済だ。
アリアの花を生きたまま、アクセサリーに加工した。
ブローチ。ペンダント。イヤリング。腕輪型など。
これなら通信しても、独り言で済む。
「アクセサリー型か、まぁこれなら」
「ユ、ユキナさん」
ハジメが納得し掛けた処で、それは聞こえて来る。
シアの困惑気味の声。そのシアに背を向けて走り去るユキナ。
どうやら目を離した隙にトラブルらしい。
「行って来る。
他を宿まで頼む」
ハジメに他のRoseliaのメンバーの事を頼んで、直ぐにユキナを追う。
水晶は当然のような顔で着いて来る。時は夕闇の黄昏。
「アテは有るの?」
「大丈夫だ。問題無い」
丁度ハジメと話していたネタだが、
アリアの花を加工したアクセサリーは?
Roseliaのメンバー全員に渡して有る。
これならイザと言う時に連絡が取れるし、位置も特定可能だ。
だが今回はそれも必要無かったらしい。
「歌が聴こえる。ユキナの歌だ」
黄昏のブルックにユキナの歌が響く。
だが初めてユキナと逢った時と同じように、道行く者は誰も反応しない。
昼の路上ライヴとはまるで違う反応。【界境の歌姫】だ。
「ユキナからオーダーだ。行くとしよう」
本作ではハジメは目も腕も健在なので、
スカ○ター型(笑)眼鏡と、籠手型アーティファクトを装備しています。
シアが同じ銀髪の亜人と出逢ったら?
仲良くなりたくて近づくと思います。
しかしユキナは、独りで故郷を追放された設定です。反発必至。