ありふれた英雄願望(挫折)で世界最強   作:LW

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エヒト神が居る限り、
どんなクロスキャラが居てもおかしく無い事に気付いたよ!
さすエヒです。カミサマ☆


02 神の掌

「………清水。大丈夫?」

 

「あぁ、大丈夫だ。問題無い」

 

園部の声と、

繋がれた手の温もりで正気に戻った。

余りの詰みゲー展開に、SANチェックが入ったようだ。

きっと園部は精神分析持ちに違い無い!(錯乱)

 

「救済さえ終われば帰してくれるかもしれない。……どうですか?」

 

「そうですな。エヒト様も救世主の願いを無下にはしますまい」

 

最後の晩餐が出来そうな別の部屋に案内されて、

告げられた教皇だか神官長だかの、詰みゲーの説明は以下の通り↓

 

1/

今回の件はやはり異世界召喚。

召喚者は彼等が信仰するエヒト神であり、彼等に送還などの手立ては無い。

2/

異世界トータスは、人と亜人と魔人の住む世界であり、人と魔人は戦争中。

劣勢の人類を救う為、自分達は援軍として召喚された。

召喚された神の使徒として、人類に勝利を!バックアップはするとの事。

3/

天之河が楽観論を謳っているが?戦争に勝っても、日本に還れる保証は無い。

 

やはり詰みゲーだった。

大体どうして、平和な日本の一般学生を召喚するかな?

自衛隊か、在日米軍のプロを召喚しろ!と言いたい。

ハッキリ言って職業軍人を召喚すれば?

フィジカルな戦闘能力や実戦経験の他にも、

現代兵器のファンタジー世界持ち込みが望める。

自分がエヒト神なら、情け容赦無く人員込みで原潜を召喚する。

勿論核の搭載艦を!である。

 

エヒト神は、本気で人類を勝たせる心算か?

それとも核爆撃より、一般学生に価値が有るとでも?

 

「………どう思う?」

 

「どうしようも無い。

 詰みゲー確定だが、神の使徒とやらの使命放棄もキツイ。

 使命を放棄した役立たずまで、バックアップしてくれるとは思えない」

 

と、此処からは小声で伝える。

だが戦争の駒として、延々と戦う心算は無い。

暫くは訓練と言う名のチュートリアル期間を設けるらしい。

そこで異世界で生きるすべを習い、離脱の準備を進める。

 

戦いたい奴は戦えば良い。

顔も名前も知らない奴等の為に、命を賭けて人殺しを続ける。

それは尊く立派だ。だが覚悟が無い。

魔人とやらは、日本人の認識的に恐らく人型種族だ。

人の姿をした者達を、何処まで殺し続けられるか見物だな?

 

それ以前に、

あの教皇率いる聖教教会に逆らえば、普通に人間との戦争も在り得る。

異端認定とかな?悪名高い魔女裁判の仲間だ。

宗教が巨大な権力を握っていた危険な時代。お約束だろ?

 

と、こんな事を考察デキる時点で?まだ最悪の手前だ。

召喚と同時に洗脳や記憶改竄。思考誘導で奴隷兵。

即座に戦場送りになるよりは、まだましな方。

 

「洗脳!?」

 

「………初手から洗脳は有効な手段だ。

 違和感を抱く機会が無い」

 

他に思い付くパターンは?

別の場所に浚われたクラスメイトが居て、

そのクラスメイトの存在を、既に忘れている可能性だ。

 

自身の学生証を取り出す。

清水幸利。

自分の名前だ。その裏面には、

南雲ハジメ。園部優花。の名前がメモってある。

 

「………それは?」

 

「友人リストだ。

 こんな時の為の点呼リストでもある」

 

取り出した学生証に気付いた園部が問い質して来る。

記憶は、人にとって最も大切な自身だと思っている。

これを侵す事は最も許されない。

この学生証のメモは?ガチで記憶改竄対策の一つだ。

 

「清水が、

 本気で記憶改竄対策とかしちゃうヤツなのは解った」

 

今まで手を離さなかった園部が?

手を離してヤレヤレポーズを取る。選択を間違えた!?

 

「………でも、

 私に何か遭ったら、捜してくれる心算だったの?」

 

 

教皇イシュタルの御高説は終り、教会の外に出る。

此処は聖教教会の総本山。神山の頂に在った。

これから麓のハイリヒ王国へ赴き、今度は国王と謁見するらしい。

神の使徒降臨の報告と、快く戦争参加を表明した報告だろう。

着々と使命は果たされるって事だ。

だがそれも束の間。他のクラスメイト達は、

初めて見る異世界の、神山から見下ろせる光景に目を奪われていた。

此処が地球上の外国で、これが観光か何かなら?と言った処だ。

 

「幸利」

 

だがその最中に目を、意識を奪って行ったのは園部だった。

神山の教会を背に、園部は宣言する。

 

「今から私の事は優花、と呼びなさい。

 私も名前で、幸利って呼ぶ事にしたから」

 

「解った、優花。

 ………コレで良いか?」

 

名前呼びイベント!

世の中最初から、名前呼びを許すヒロインも珍しくは無いが?

今まで名字呼びだった相手を、

名前で呼べるようになるのは、萌えるモノが有る。

リアルでは、更に得難い展開。躊躇は無い。

 

「///

 アッサリ言うな、バカ!」

 

 

神山を下り、麓のハイリヒ王国に入国。

そこで国王との謁見。

他にも王女やら幼い王子やら、国の重鎮やらの紹介。

その辺りは唯一の大人(笑)の畑山先生や、

既にリーダーと目されつつ在る天之河が主立って対応する。

面倒を進んで引き受けてくれるのは、楽で良い。

こう言うのはクラス委員時代に、無駄に体験した。

 

謁見とその後の晩餐会を終えて、与えられた部屋に下がる。

一人一部屋の個室だった。

オーソドックスな中世ファンタジー世界の文明Lvを考慮すると、

悪く無い部屋だと思う。

だが寝る前に個室を出る。

貫徹も珍しく無いゲーマーには?まだ早い時間だった。

 

「………幸利」

 

「優花もまだ起きていたか」

 

部屋割りは男女で別フロアだったが、

共用スペースのラウンジの外、バルコニーに優花が居た。

既に就寝用のネグリジェにガウンを羽織ったダケの姿だったが、

特に寒そうな素振りは無い。

名前呼びの一件の時とは違い、もう落ち着いているようにも見えた。

 

勿論此処で、ネグリジェ姿の優花をガン見する愚は犯さない。

真のゲーマーたる者、いつでも心のCGモードで回想可能!(嘘)

 

「眠れ無くて、ね」

 

暫く無言の時が過ぎる。

だが、何か話が有るのは察していた。

 

「………幸利は離脱するって言ったよね?

 皆と別れてどうするの?」

 

「天之河の言い分は、アテの無い楽観論だ。教皇の回答もな?

 相手は強制召喚を実行するようなカミサマだ。そもそもアテにナラナイ。

 別の手段を探すべきだ」

 

「………それこそ、アテは有るの?」

 

此処は異世界。

探すべきは異世界転移。

難易度は途方も無く高い。

その上!確実に手札を持つ、神の掌を離れる選択を選ぼうとしている。

無謀と笑うべき選択だ。

 

「無い。

 だが、往かなくてはナラナイ」

 

「………どうして?」

 

「何もしない者に、望んだイベントはやってこない。

 手を伸ばさない者に、つかめるモノは無い!」

 

一陣の風が吹く。

優花の髪が流されて、リアル一枚絵が彩られる。

優花は少し呆然として、やがて笑った。

 

「意外。

 幸利はゲーマーだから、ファンタジーな異世界で永住する!

 とか言い出すかと思った」

 

その時の優花が浮かべる表情は、

笑顔。と言うより、安堵に近かったのかもしれない。

 

「ゲーマーだが、ファンタジー世界に住みたいと思った事は無い。

 好き好んで、文明の劣るセカイに住むとか!ナイワ~。

 此処がSF系の世界なら、まだ考慮するが?」

 

と素直に答えると、全力で笑われた。

こんなに笑う優花は初めて見る。

 

「………幸利。

 往く時は声を掛けなさい。私も往くから」

 

「まずはレベリングから、だがな?」

 

異世界転移初日、夜。

パーティー参加イベント発生。

詰みゲーにしては、幸先の良いスタート。




異世界転移初日の夜。
割と眠れない奴も多いと思う。
共用スペースのラウンジって?人が集まりますかね?
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