ありふれた英雄願望(挫折)で世界最強   作:LW

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ルートが選択されました。
→2/神殿騎士と共に使命を果たす。悪を討伐!(笑)


04 孤独の歌姫

「おぉ、ユキトシか。どうした?」

 

「はい。メルド団長に相談が有って来ました」

 

メルド団長に面会を求めた。

訓練は既に?大学の履修形式に近い段階に移行している。

詰り必要だと思う事を、自分で選択して学んで行く。

勿論疑問や相談が有るなら、教師役の者達が協力する形だ。

 

「実戦訓練。近いですよね?」

 

「………あぁ、オルクス大迷宮で行う予定だ」

 

オルクス大迷宮。

世界に七つ存在すると言う大迷宮の一つ。

内部は地下百層まで在ると噂されているが?

人類は未だ、踏破に到ってはいないとか。

魔物の巣窟。深層に到る程、生息する魔物が強くなるのはお約束。

 

「その実戦訓練の前に、殺害経験を積みたいと思っています。

 手頃な相手を用意出来ないか?相談に来ました。

 具体的に言うと?処刑予定の罪人とか、討伐予定の野盗とかです。

 無いなら、殺害可の闘技場や賭け試合ですね」

 

平和な日本では?殺害の経験を積む機会は皆無に等しい。

本来の食糧を得る為に獲物を仕留める機会すら無く、

命を奪う事を前提とした対人戦。殺害経験を積める機会が無い。

 

だがそれはマズイ。だから丹精込めて説明した。

一歩外に出れば?いつ宿敵たる魔人に襲われてもおかしく無い!と。

人型種族を前に、躊躇する危険を潰すべきだと!

自分はもう戦える!血気盛んな死亡枠のモブの如く必要性を語った。

 

「………殺害経験を積ませる事も、勿論考えてはいた。だが」

 

「時期尚早。と?」

 

メルド団長は頷いた。

オルクス大迷宮で、まず魔物相手に討伐経験を積む。

人型の相手はそれから積ませる心算だった。それがメルド団長の答えだ。

 

「………解りました。

 今まで通り、自己鍛錬に努めます」

 

どうやらコチラのプランは通らないらしい。

もう国のバックアップがアテにならなくなった。

 

「………ユキトシ。お前達は人類の希望なのだ。

 くれぐれも軽率な行動は控えてくれ」

 

「追手を掛けられるようなマネはしません。

 御心配無く」

 

退室しようとした処で釘を刺される。

返答後、今度こそ退室して行動開始。

 

独自に動くしかないか?どうやって?

冒険者にでもなって、野盗討伐の依頼を受けるか?

→新米冒険者に討伐依頼は回って来ない。

 実戦訓練前までに、ランクアップを望むのは難しい。

奴隷を購入して殺害する?

→何処で売っているのか解らない。値段も同様。

 支給されている金額で買える気がしない。

スラムを歩いて、絡んで来る社会のゴミを殺す?

→これが一番イージーな気がする。社会のゴミなどいくらでも居る。

 だが報復されたり、法の裁きを受ける恐れも有る。

 

「………失礼。清水様ですね?」

 

「アンタは?」

 

さてどう動くか?

と、自然に人気の無い資料室に向かって行くと?声を掛けられた。

そこに居たのは全身黒い男だった。

まるでカラスのよう。(髪は金髪)

黒いからでは無く、

上から俯瞰して来る目が、カラスのようだと思った。

 

「私はダービット・オルレクスと申します。

 神殿騎士の任に就いております」

 

メルド団長の配下では無く、

聖教教会の狗。と言う事になる。

 

「………それで、用件は?」

 

「はい。清水様の御覚悟、しかと伺いました。

 神の使徒として、早々に使命を果たしたい。と志願したと」

 

メルド団長に面会を求めたのはつい先程。部屋を出たのはもっとだ。

キッチリ教会勢力に浸食されてるよ☆コレだから宗教は!

 

「何か良いアテが有るのか?」

 

「はい。このダービット・オルレクスにお任せ下さい」

 

だが今回は利用させて貰う。こう言うのは?教会の方が得意だろう。

で、案の定な展開である。

ダービット曰く、王国に不法入国した亜人が?

王国のスラムの一角を不法占拠しているらしい。

ダービットは既に何人かの亜人を討ち取り、今日は掃討戦の予定だったと言う。

そこに現れた神の使徒の一人が、掃討戦参加を志願する。素晴らしい!

と言う流れらしい。何ともメデタイ頭だ。

 

勿論亜人が好き好んで人間の国。しかも王都に住み着くとは考え辛い。

亜人は、人間の国では奴隷扱いだからだ。

何処かの奴隷商が逃がした奴隷か?

街から逃げる事も出来ずに、教会に見つかったのか?

何にしても好都合だった。

 

「コチラです。使徒様!

 さぁ、穢れた者共に神の裁きを!!」

 

そこに居たのは、親子(仮)らしい二人の亜人。

もう抵抗する力も、意志も挫かれたか?震えるだけだった。

 

「あぁ、御苦労。初めてがオマエで良かった。

 今回の件は神の使徒の糧となり、貢献される」

 

そして躊躇う事無く魔法を放つ。

【棘影】(トエイ)

影から生える棘が対象を刺し穿つ。

ダービットの影から生えた棘の群が、磔刑の如く貫く。

貫いたのは亜人。では無くダービットだった。

 

 

「存外、何も無いモノだな」

 

初めての人殺しを済ませる。だが特に何も無かった。

後悔や恐怖。或いは歓喜が、だ。

これはダービットが、背負う価値も無いゲスだったからか?

それとも自分がゲスだからなのか?それは解ら無かった。

だがこれなら、実戦でも躊躇は無い。

それは理解デキた。だからそれで良い。

 

あの時助ける形となった、亜人達との交流は続いている。

亜人では無い。亜人達だ。

あの亜人の親子(仮)は?王都の裏社会に通じていた。

人間の国で生き延びる為、何でもアリだ。

そのツテで、殺害可の賭け試合にも出た。

そこで殺害と、殺害を前提とした対人戦の経験を更に積む。

ついでにファイトマネーで資金も潤沢になった。

後の方になると、賭けが成立しなくなるので?出禁になる程だ。

 

「♪♪♪」

 

歌が聴こえる。

美しくも寂しい歌。飛べない鳥が、空を想っているかのよう。

歌に誘われるように歩を進める。

この辺りは亜人街でも、無人エリアだった筈。

もう亜人街も、大分詳しくなった。

 

そこに一人の歌姫が居た。

美しい銀髪の少女で、

アレは海人族か?此処からでも、特徴的なヒレのような耳が見える。

だがそれ以上に美しいのは、その歌声だった。

自分以外誰も居ない無人の公園を舞台に、枯れた噴水をバックに歌い続ける。

観客が自分一人なのが?色々とオカシイ。

陸地でローレライかセイレーンとエンカウントしたの?

と思いつつも、歌を最後まで拝聴する。

 

「誰!?」

 

「スマナイ。最後までキッチリ聴かせて貰った。

 素晴らしかったと思う」

 

「えっ、最後までってそんな筈!?

 ………本当に?」

 

歌が終り、戻って来ると流石に気付かれた。

そこで素直に応えると、妙に驚かれる。

 

「………良いわ。

 なら聴きなさい、私の歌を!」

 

何やらまた歌ってくれると言うので、ノリノリで聴きに入る。

彼女もノって来たのか?歌い続ける度、アンコールを受ける度笑顔になった。

 

「………ありがとう。

 こんなに歌えたのは、きっと初めてだと思うわ」

 

それから色々と話し込んだ。

特にコチラの事を何かと訊かれたので、

成り立ての冒険者で、

近々あのオルクス大迷宮に挑む為、王都で何かと準備中だと答える。

神の使徒だの異世界召喚だのは?アレだと思ったからだ。

 

「………そう。

 幸利は大迷宮に挑むのね?」

 

最初から名前呼びだった。

そして物理的にも、恐らく心の壁的にも近い。

 

「………そうだ。

 名前、聞いても良いか?」

 

「………そうね。

 なら、願掛けにしましょう?」

 

だからまだ、名前を訊いてイナイのを失念していた。

そこで名前を訊くと?彼女は、

 

「幸利は無事に大迷宮から帰って来る。

 ………そうしたら、私の名前を教えるわ」

 

「大迷宮攻略のクリア報酬か!

 良いだろう。受けて立つ!」

 

そう応えた。

此処で煽って来るとは、コヤツやりおる!

ゲーマー魂が燃える!そんな自分を見て、彼女は苦笑する。

 

結局その後も話し込んで、

今は便宜上、仮に彼女を歌姫と呼ぶようになり、

やがて日は暮れて別れの時間になる。

夜には城に戻らないと色々マズイ。

 

「次は大迷宮攻略の後か?」

 

「………えぇ、そうね」

 

そこで歌姫と別れて、城の自室で眠る筈だった。

だが現実はそれとは異なる。

歌姫に、後ろから抱き着かれた。

抱き着かれて、その金の瞳に縫い止められる。

 

「………行かないで、と言ったら。

 幸利は聞いてくれるかしら?」

 

 

オリキャラ&クロスキャラ設定

 

1/ダービット・オルレクス

初めての人殺しの為に出した生贄。オリキャラ。

表向きは神殿騎士の任に就いて居るが?

裏では聖教教会の為に、汚れ仕事を担っている。

普通に亜人や魔人には?

人権が無いと思っている一般的な聖教教会の信者。

 

実はオスカーの親類縁者の家系の出。と言う捨て設定有。

家名の由来はそこから。

 

2/歌姫

銀髪の歌姫。名前はリバース中。海人族。半クロスキャラ。

某歌姫からキャライメージだけ貰った半クロスキャラ。

アニメ版でラベンダー系が定着していますが?本来は銀髪の筈。

本人が異世界転移したり、転生した訳では無い。

 

髪の色。喋り方。歌姫で在る事。

この情報だけで原作のキャラ名が解る人は、訓練された重課金者だと思う。

答えは○ ○○○です。言うまでも無くポジションはボーカル。

 

本編で清水(挫折)は?

歌姫に取って、大切なフラグを初見で立てました。

こう言う相手に特別ってヤツを感じるのでは?と言う次第。

初めから大胆な行動に出ていますが?

事情説明は別の機会となります。

抱いてから始まるヒロイン。これからまだ長い付き合いになる予定。

 

実はフューレンで、ミュウの代りに出す予定でした。

海人族なのはその名残。

ですがアニメ版のミュウが普通に可愛かったので、立場がフリーに。

後から、即脱落させる予定の某キャラの後釜として設定。

だと言うのに先行登場!出逢いのフラグが欲しくなりました。




今回は色々難しかった。
前半は殺傷忌避の解除?イベント。
後半はまだ名前伏せのままですが、一人目のクロスキャラ登場。
しかも最後は………と言う展開。
後日談(朝帰り)シーンは次回になります。

王都に亜人街と言うスラムが在るのは、オリジナル設定です。
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