未来人と艦娘と 作:メテオ・ザ=ディザスター・アラシ(以下略
0500、あの夢(?)のせいですっかり目が覚めてしまった。まだまだみんな起きてくるまで時間があるし、かといって睦月たちを起こすのも気がひけるな……。暇だし、とりあえず
その辺ぶらついてみるか……。とりあえず工廠にでも行ってみようかな。部屋を出て廊下を歩き始めたその時だった。
「遅刻遅刻―――――――――――!!」
「ごはっ!?」
突然勢いよくドアが開き、そこから飛び出して来た何かに直撃。そのままなすすべもなく押し倒された。
「いたた……って、学さん!?ごめんなさい!!」
部屋から出て来たのは五月雨だった。何やら急いで出ようとしていたところを、不幸にも僕が通りかかったせいで直撃したらしい。
「大丈夫大丈夫。ところで、何をそんなに急いでるのさ……」
「あーっ!大変です!遅刻ですよ遅刻―!もうみんな遠征に出発しちゃいます!」
「えっ?今は0500だから出発はまだまだ先のはず……」
「……あっ」
さっきまであんなに慌てていた五月雨は、あっという間に魂が抜けたような感じになってしまった。どうやら早朝に起きたにも関わらず寝坊したと勘違いしたようだ。それに気づいた五月雨は「またやっちゃいましたぁ……」と言って膝をついている。
「あのー……さっきすごい音がしたんですが何があったんですか?」
さっきの騒ぎを聞いたのか、五月雨の部屋の二つ隣にいた朝潮が出て来た。起こったことをありのまま話すと、
「工藤さん、朝から災難でしたね……」
と苦笑いされた。五月雨は今にも泣き出しそうである……。
「五月雨は悪くないんだからそんな引きずることないよ……。ところで、朝潮はこんな朝から何しに行くの?」
「私はこれから朝食を作りに行きます。今日は私が当番なので」
「あー……。よかったら僕も手伝いましょうか?」
「本当ですか!?助かります!」
「朝潮さん、お魚焼けました!」
「野菜も切り終わったよ」
「しょっきのじゅんびできましたー」
食堂では僕と朝潮、さっきの事故から立ち直った五月雨、そしていつの間にかついて来た妖精さんたちとで調理していた。鎮守府のメンバーが増えた分作る量も増えたが、おかげで楽になったという。
「あら、五月雨に学も起きてたのね。早いじゃない」
「早起きはいいことだな」
食堂に入ってくる叢雲と木曾に会釈をし、準備に戻る。調理は粗方終わり、あとは盛り付けるだけになった。
「おお、これはうまそうだな。昨日の鍛錬で腹が減ってたから助かる」
「もうそろそろ時間だし、みんなを起こしましょうか。放送入れるから木曾はここで待ってなさい」
0610。放送を聞いた艦娘たちが次々と食堂に集まってくる……のだが
「工藤、睦月と漣はどうしたのよ」
「ああ……たぶん寝坊ですねぇ」
昨日睦月たちに付き合わされてオセロ大会としりとりやって、あいつらが寝たの夜遅くだったからなぁ……。睦月と漣に至ってはオセロでガチ勝負してたし、疲れて起きてないのかもしれない。
「もう、夜遊びして寝坊なんてまだまだ半人前ね!だいたい夜は早く寝て明日に備えるのがレディーの務めよ!」
「そういう暁も僕らと混じって夜中にオセロやってたじゃないか……」
「わ、私はレディーとしてあの子たちが眠くなるまで付き合ってあげただけなんだから!それに、私はちゃんと起きれたわよ!」
ムキになって必死で弁解する暁。これじゃあ一人前のレディーというかそれを見習う子供みたいだ。隣で朝潮と木曾も笑ってるぞ……。
「仕方ありませんね……。不知火が起こしてきましょう」
懐から何かを取り出し、不知火が席を立った。なんか嫌な予感がするのは僕だけだろうか……。
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「何度デモ……沈メテ……アゲル……!」
「火ノ……塊トナッテ……沈ンデシマエ!」
目の前に立ちはだかる未知の深海棲艦。どちらも圧倒的な威圧感を放ち、味方はすでにボロボロである。
「撤退するわよ!こんな相手、勝てっこないわ!」
「このままではあなたまで沈んでしまいます。ここは引きましょう!」
やつらの手で大破し、撤退を進言する味方たち。でも……
「ここは睦月に任せて!あんなのちょちょいのちょいなんだから!」
私は弾薬を装填し、真っ赤に染まった海面を駆けていく。片方の深海棲艦は無数の白い艦載機を放ってきた。もしかしたらあいつは空母なのかな?放たれた艦載機をものすごいスピードで避け、敵が艦載機を再び放とうとする隙をついて後ろに回り込む。そして一斉に砲撃と魚雷を撃ち込んだ。
「ナッ……コレジャア艦載機発艦出来ナイジャナイノ!」
こちらの攻撃は全て直撃し、相手は中破して置物になった。どうやら深海棲艦は空母のようだ。
「ヤルジャナイノオチビチャン……。ダケド、ココデオシマイヨ!駆逐艦ゴトキガ、戦艦ニ勝テルワケガナイワ!」
もう片方の深海棲艦が巨大な砲門をこっちに向ける。相手は戦艦と言っていた。ならば直撃すれば私も危ない。でも……
「大丈夫!睦月はとっても強いから、戦艦なんて楽勝にゃしー!」
轟音とともに飛んでくる巨大な砲弾。それをただひたすらかわし続け、一気に距離を詰める。
「てえええええい!」
射程圏内に入った深海棲艦に向かって魚雷を発射。さらに魚雷発射管からもう一本魚雷を取り出し、砲門に向かって投げつけた。これも直撃し、相手の砲門は使い物にならなくなった。
「馬鹿ナ!コノ私ガ……駆逐艦ゴトキニ!」
「ココマデ……ナノネ……」
「これでおしまいよ!睦月を侮ったこと、後悔するがよいぞ!」
深海棲艦たちに向かってありったけの魚雷を発射。大爆発し、あっという間に奴らは沈んでいった。
「ダメナノネ……」
「何度デモ……繰リ返ス……変ワラナイ限リ……!」
赤かった海面がみるみるうちに青色に染まっていき、深海棲艦がいたところには光る何かが現れた。
「睦月、やったわね!」
「すごかったわよ!あんな化け物じみたやつをあっという間に沈めるなんて……」
「でしょでしょー!睦月をもっともっと褒めるがよいぞ!褒めて伸びるタイプにゃしー!」
私のことを賞賛する仲間たち。みんな睦月のことを褒めてくれてとってもいい感じにゃしー!にひひっ!
「……睦月!上から何か落ちてくるわ!」
「えっ!?」
見上げると、上から巨大な爆雷がこちらに向かってきていた。あんなの爆発したらひとたまりもない。でもこの距離からでは避けられない……!
「いやあああああああああああああああ!」
「あ、あれ?深海棲艦は?」
「やっと目をさましましたね。深海棲艦と戦う夢でも見ていたんですか?」
「う、うん。睦月が一人でやっつけて……って!もうこんな時間―!?」
目の前には私を起こしにきた不知火が立っていた。どうやら思いっきり寝坊してしまったらしい。こんなことなら昨日漣とガチンコオセロ対決なんてしなきゃよかったー!
「んあー、にゃにごとですかー」
隣で漣が目をさまし、眠そうな顔で見上げる。周りにはオセロのコマが散らばっていた。相当寝相悪かったのね……。
「漣さん、もう起床時間ですよ」
「うるしゃいなー。しゃざなみはおねむなのー。しっしっ」
ダメだこの子、完全に寝ぼけている……。もう放っておいて部屋を出ようとした時、隣から恐ろしい殺気を感じた。
「へえ……爆雷一発爆発させればその音で目覚めるかと思いましたが、どうやら一発程度では足りないようですね……!」
「ふぇ?」
待って不知火さん、その手に持っているたくさんの爆雷は一体……。それって目覚ましがわりじゃなくて、潜水艦を攻撃する武器じゃないの!?
「いいでしょう。ばっちり目が醒めるまで付き合ってあげますよ……!」
「にゃああああああああ!?」
漣は飛び起き、ものすごいスピードで部屋を出た。不知火はそれを追って爆雷を投げつける。なんでこんなことになったのよぉ……。
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「なんだ?向こうが騒がしいな」
「そうですね。何かあったんでしょうか?」
不知火が二人を起こしにいってしばらく経った後、廊下の方から悲鳴や爆音が聞こえてくる。寝坊した艦娘一人起こしに行くだけでこんなになるものなのか……?
「……僕、ちょっと様子見てくるよ。早くみんな揃って朝食食べたいからね」
「わかったわ。よろしくね」
僕は騒がしい廊下に向かって歩いていく。ほんとに何があったんだろうか、と考えながら曲がり角に差し掛かった次の瞬間……
「どいてえええええええええええ!」
「ごふぁ!?」
またしても突然飛び出してきた何かに突き飛ばされ、派手に吹き飛ばされた。そのすぐそばで何かが爆発し、至近距離で爆音が響く。
「いったた……って、ご主人様!?」
「工藤さん、どうしてここに?」
「それがですねー……」
「で、様子を見にいったら漣と衝突したと。しかもこれで二回目ですか……」
「ほんとついてないよ……まあ、医療妖精さんが左腕の怪我治してくれたからよかったけど」
起きた時に五月雨と、様子を見にいった時に漣と衝突し、左腕は派手に出血していた……のだが、たまたま近くを通りかかった医療妖精さんが
「いたいのいたいのとんでいけー」
といって怪我した部分をさすっただけで傷はふさがってしまった。妖精さん曰く、この程度の傷を治すぐらい朝飯前だという。妖精さん強すぎません……?
「それで不知火、あんたはなにをやってたのよ」
「そうよ。だいぶうるさかったんだから!」
「漣さんが全然起きる気がしないので、少し頭にきて爆雷を投げつけて起こしてました」
「「「はい!?」」」
いやこの人怖すぎるだろ。なんでそんなものを味方に向かって投げつけようと思ったんだ……。
「相変わらず、不知火を怒らせるといろんな意味で怖いわね……」
「そうね。前に中破させられた時は相手をずっと追い回してまで沈めたからね……。あの時の不知火は恐ろしかったわ」
水が入ったコップを片手に霞が語る。この人だけは怒らせないほうがいいな、うん。
「ほんと怖かったですよご主人様。漣、死ぬかと思いました」
漣は魚を箸で掴みながらため息混じりの声で……って
「おい漣、何しれっと僕のおかず盗ろうとしてるんだ?」
「えーいいじゃないですかー」
気付いた時にはもう遅く、漣は一口で魚を食べてしまった。
「あああああああああ!なんてことをおおおおおお!」
「提督―、どんまい!」
「睦月!お前も味噌汁勝手に飲んでるじゃないかあああ!」
結局朝食のほとんどを睦月と漣に盗られ、ほとんど何も食べられなかった。二回も衝突するし、朝食は盗られるし、その様子をみんなから笑われるしで災難続きの朝であった……。僕、今日の運勢悪いのかな……。
ちなみにこの世界で一番チートな存在は妖精さんです